家賃保証会社(やちんほしょうがいしゃ)とは、賃貸住宅の契約時や公営住宅の入居時に必要な賃借人の連帯保証人を代行する会社で、不動産賃借人との間で保証委託契約を締結する会社である[1]

賃借人・借主が家賃滞納などの家賃債務の債務不履行をした場合、賃借人に代わって家賃保証会社が家賃の代位弁済を賃貸人に行う。賃借人は家賃保証会社へ返済することになる。賃貸保証会社、家賃債務保証会社という呼称を用いることもある。

概要編集

連帯保証人に代わって賃借人が滞納した家賃の支払いを一時的に引き受け、連帯保証人と同様に家賃を立替える会社で国土交通省で把握している保証会社数は全国で147社、2015年度の契約件数は119万件、不動産賃貸契約の6割で利用されている[2]

元来、家賃保証会社は賃貸物件の契約時に「連帯保証人」を用意できない借主の為に誕生した保証の制度であった。しかし、家賃の滞納などを意図的にする悪質な入居者のケースを想定して、近年、家賃保証会社は連帯保証人を用意できない借主にも連帯保証人を求めるようになった。また、個人の連帯保証人の形骸化などの諸問題に対応し、家賃保証会社は、最初の家賃保証という業務に加えて、貸主及び賃貸不動産管理業者の家賃回収業務のアウトソーシングにも業務を拡大するようになった。

2014年時点において、家賃保証会社に対する法規制はなく、野放し状態となっていたが[3]、国土交通省は任意の登録制を導入し、登録会社には借主の帳簿の保存、不動産契約時の重要事項の説明や書類交付の徹底のほか「借主からの相談窓口」の設置を求めることとした[2]。家賃の取り立てなど個々のトラブルについては、貸金業法の規定を適用した判決がある[4]。2020年の民法改正を見据えて、個人の連帯保証人から保証会社の利用への切替が進んでいる。昨今では自主管理をしている家主が保証会社と直接契約できるケースが増えている。

メリット編集

借主にとっては、何らかの事情で連帯保証人が立てられない場合でも、家賃保証会社に手数料を支払って家賃保証会社を利用できれば借主の収入や社会的信用で部屋を借りられる可能性があるというメリットがある。

貸主・大家にとっては、借主の家賃不払リスクを軽減できるメリットがある。また何らかの事情で通常の生活を送ることが困難になった場合、公的支援制度の相談窓口、給付・融資制度等の案内をする生活相談窓口を設けている会社もある。また、NPO団体と連携した食糧支援も行っている。また、自治体によっては公営住宅の入居時に保証会社を利用できるところもある。

デメリット編集

家賃を保証するはずの家賃保証会社が経営不振で数多く倒産したりして[5]、そのリスクを残された借主・入居者と貸主・大家が背負うケースもでてきた。

また、2008年には、家賃保証会社が違法性の高い手段によって、借主を部屋から強引な閉め出し・追い出し行為をしていることも指摘された[6]

消費者庁には契約内容をめぐる相談や苦情が毎年600件以上寄せられ、滞納家賃の強引な取り立てなど悪質業者の存在も指摘されており、家賃保証会社の対応が求められている[2]

問題点と業界での自主対策編集

家賃保証会社を巡るトラブルは、近年増加している。

  • 借主がアパートの入居申し込み時に、最初、不動産仲介会社から、「家賃保証会社か、連帯保証人のどちらかが必要」と説明されていたのに、契約日になってから不動産仲介会社の担当者から「大家の意向」と言う理由で家賃保証会社と連帯保証人の両方が必要の「ダブル保証」を求めてきたケースがあった[7]
  • 家賃を2か月滞納した借主に対しては、家賃保証会社の社員が「明け渡し訴訟になる」などと言って、家賃の支払いをすぐにするように借主に電話やメールで繰り返し迫ったケースがあった。その電話はとても執拗で、職場の電話にも平気でかかってくることがあり、1日5回も家賃の支払いを求められたケースもあった[8]
  • 家賃を滞納した借主に対して、家賃保証会社が借主の外出中に無断でアパートに入って鍵を交換して、部屋にあった借主の私物、家財道具を勝手に処分して、借主を部屋から追い出したケースもあった[9]
  • 借主には自分の連帯保証人がいる、家賃保証会社はつける必要ないと言ってるのに、不動産仲介会社がその借主の意向を拒否して、代わりに不動産仲介会社から家賃保証会社との契約を強制させられ、そうしないと、アパートを借りることができない、と言われたケースもあった[10]
  • 連帯保証人のいない借主に対して、家賃保証会社が連帯保証人をつけるように要求するケースもあった[11]

保証会社が加盟する業界団体の 「賃貸保証制度協議会」は、家賃債務保証業務の適正な実施について自主ルールを制定した[12]。また、業界団体は独自に、金融機関の利用する信用情報機関のような賃貸保証のデータベース機関LICC(リック)を設立、2010年2月より信用情報の登録確認を行っている。国土交通省で把握している保証会社は全国で147社あるが業界団体に加盟しているのは55社にとどまるとされている[2]

2014年売上50億円以上の家賃保証会社と始業年編集

 
日本賃貸保証本社

売上50億円以上のデータは帝国データバンク「家賃債務保証会社48社の経営実態調査」に拠った[13]

  • 全保連株式会社(2001年11月)
  • 日本賃貸保証株式会社(1995年7月)
  • 株式会社Casa(2008年10月)[* 1]

信販系家賃保証会社編集

脚注編集

[脚注の使い方]

注釈編集

  1. ^ 2018年10月東証証券取引所一部上場

出典編集

  1. ^ 帝国データバンク「家賃債務保証会社48社の経営実態調査」
  2. ^ a b c d 2016年12月2日日本経済新聞朝刊42面「家賃保証会社に登録制」
  3. ^ 部屋を借りる際の「家賃保証会社の利用必須」とはマイナビ賃貸、2014年7月17日配信
  4. ^ 家賃保証会社の従業員による取立行為が不法行為に当たるとされた事例国民生活センター、2012年1月
  5. ^ 日経不動産マーケット情報【倒産】リプラスが破産、負債総額325億7000万円(リプラスは東証マザーズ上場企業だった)
  6. ^ 室矢英樹、千葉雄高 (2008年11月13日). “賃貸住宅の「追い出し屋」被害、入居者ら賠償求め提訴へ”. 朝日新聞. http://www.asahi.com/special/08016/OSK200811120120.html 2020年10月19日閲覧。 朝日新聞2008年11月29日夕刊にも所載。
  7. ^ 家賃払えず2カ月… 「恐怖」の取り立て電話、職場にも:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル (2021年2月22日). 2022年7月30日閲覧。
  8. ^ 家賃払えず2カ月… 「恐怖」の取り立て電話、職場にも:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル (2021年2月22日). 2022年7月30日閲覧。
  9. ^ 家賃滞納者「追い出し」、家賃保証会社に賠償命令” (日本語). 日本経済新聞 (2016年4月13日). 2022年7月30日閲覧。
  10. ^ 東京借地借家人新聞/東借連”. www.zensyakuren.jp. 2022年7月30日閲覧。
  11. ^ 東京借地借家人新聞/東借連”. www.zensyakuren.jp. 2022年7月30日閲覧。
  12. ^ 財団法人日本賃貸住宅管理協会 「業界適正化にかかる自主ルール」
  13. ^ 帝国データバンク「家賃債務保証会社48社の経営実態調査」

参考文献編集

関連項目編集

外部リンク編集