登板
投手として試合に出場すること
登板(とうばん)とは、
投手が投球するとき、マウンドに埋め込まれている投手板を踏んでいることから、この名称がある。以下では1.について述べる。
試合に出場しても登板が記録されない例
編集野球の試合においては、投手として登録されている選手であっても、出場した試合で投手を務めなかった場合、打撃成績としての試合出場は記録されるが、登板は記録されない。
- 投手以外の守備位置(先発出場のほか、指名打者、代打、代走、守備のみの出場など)でのみ出場した場合がこれに該当する。投手以外で先発出場しても、試合の途中で投手に移った場合は、登板が記録される。
- 試合中の投手交代で、新たに登板することになった投手が告げられた直後に、降雨などでコールドゲームが宣告された場合。[2]
- 2009年の規則改正に伴い、このような例では登板は記録されないようになった。それ以前は登板が記録されていた(いわゆる「0球登板」)。
- 呉昇桓(阪神タイガース) ― 2014年8月29日、対東京ヤクルトスワローズ第18回戦(阪神甲子園球場)の9回表、ヤクルトの攻撃中、阪神が10 - 5と5点リードしている無死満塁の場面。降雨によるコールドゲームが宣告されたため。[3][4]
- 増田達至(埼玉西武ライオンズ) ― 2015年9月6日、対千葉ロッテマリーンズ第23回戦(QVCマリンフィールド)の9回裏開始前。降雨によるコールドゲームのため。
- タナー・シェッパーズ(千葉ロッテマリーンズ) ― 2018年5月23日、対北海道日本ハムファイターズ第11回戦(ZOZOマリンスタジアム)の9回表開始前。降雨によるコールドゲームのため。
- 三嶋一輝(横浜DeNAベイスターズ) ― 2018年6月10日、対北海道日本ハムファイターズ第3回戦(横浜スタジアム)の6回表開始前。降雨によるコールドゲームのため。なお、5回まで投げていた先発投手の今永昇太には完投が記録された。[5][6]
- 甲斐野央(福岡ソフトバンクホークス) ― 2019年4月9日、対北海道日本ハムファイターズ第1回戦(長崎県営野球場)の10回表開始前。降雨によるコールドゲームのため。
- 武藤祐太(横浜DeNAベイスターズ) ― 2020年7月10日、対阪神タイガース第4回戦(阪神甲子園球場)の5回裏開始前。降雨によるコールドゲームのため。
- 試合中の投手交代で、新たに登板することになった投手が告げられたが、その投手が負傷により投球できなくなりそのまま別の投手と交代した場合。
日本プロ野球
編集通算記録
編集順位 | 選手名 | 登板 |
---|---|---|
1 | 岩瀬仁紀 | 1002 |
2 | 米田哲也 | 949 |
3 | 金田正一 | 944 |
4 | 梶本隆夫 | 867 |
5 | 小山正明 | 856 |
6 | 宮西尚生 | 869 |
7 | 江夏豊 | 829 |
8 | 五十嵐亮太 | 823 |
9 | 藤川球児 | 782 |
10 | 皆川睦雄 | 759 |
順位 | 選手名 | 登板 |
---|---|---|
11 | 稲尾和久 | 756 |
12 | 鹿取義隆 | 755 |
13 | 益田直也 | 747 |
14 | 権藤正利 | 719 |
15 | 大野豊 | 707 |
16 | 石井茂雄 | 705 |
17 | 鈴木啓示 | 703 |
18 | 山本和行 | 700 |
19 | 東尾修 | 697 |
平野佳寿 |
- 記録は2024年シーズン終了時[9]
シーズン記録
編集順位 | 選手名 | 所属球団 | 登板 | 記録年 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 久保田智之 | 阪神タイガース | 90 | 2007年 | セ・リーグ記録 |
2 | 平井克典 | 埼玉西武ライオンズ | 81 | 2019年 | パ・リーグ記録 |
3 | 藤川球児 | 阪神タイガース | 80 | 2005年 | |
4 | 久保裕也 | 読売ジャイアンツ | 79 | 2010年 | |
浅尾拓也 | 中日ドラゴンズ | 2011年 | |||
6 | 稲尾和久 | 西鉄ライオンズ | 78 | 1961年 | |
菊地原毅 | 広島東洋カープ | 2001年 | 左投手記録 | ||
8 | 福間納 | 阪神タイガース | 77 | 1984年 | |
9 | 木塚敦志 | 横浜ベイスターズ | 76 | 2007年 | |
青木高広 | 広島東洋カープ | 2011年 |
- 記録は2024年度シーズン終了時[10]
救援登板記録
編集順位 | 選手名 | 登板 |
---|---|---|
1 | 岩瀬仁紀 | 1001 |
2 | 宮西尚生 | 869 |
3 | 五十嵐亮太 | 823 |
4 | 藤川球児 | 747 |
5 | 鹿取義隆 | 739 |
- 記録は2024年度シーズン終了時
新人登板記録
編集順位 | 選手名 | 所属球団 | 登板 | 記録年 |
---|---|---|---|---|
1 | 益田直也 | 千葉ロッテマリーンズ | 72 | 2012年 |
2 | 林安夫 | 朝日軍 | 71 | 1942年 |
大原慎司 | 横浜ベイスターズ | 2011年 | ||
4 | 攝津正 | 福岡ソフトバンクホークス | 70 | 2009年 |
5 | 野口二郎 | セネタース | 69 | 1939年 |
堀本律雄 | 読売ジャイアンツ | 1960年 | ||
権藤博 | 中日ドラゴンズ | 1961年 |
野手登板
編集稀ではあるが、野手登録している選手が公式戦で投手として起用される事例があり、この場合は「野手登板」と表現される。他の野球規則に抵触していないのであれば、この選手交代(野手登板)自体は問題ない。
- 日本プロ野球での事例
- 1995年オレステス・デストラーデ(西武ライオンズ、オリックス・ブルーウェーブ対西武ライオンズ戦、富山市民球場アルペンスタジアム)
- 8回裏、オリックス9-0西武、2死走者なしの場面で登板
- 登板成績 - 投球回0、打者3、被安打1、与四球2、失点0、自責点0
5月 9日:
- 2000年五十嵐章人(オリックス・ブルーウェーブ、大阪近鉄バファローズ対オリックス・ブルーウェーブ戦)
- 8回裏、大阪近鉄13-6オリックスの場面で登板
- 登板成績 - 投球回1、打者4、被安打1、与四球0、失点0、自責点0
- この試合で五十嵐章人は全ポジションでの出場を達成した(プロ野球史上2人目)。
6月 3日:
- 2020年増田大輝(読売ジャイアンツ、阪神タイガース対読売ジャイアンツ戦、甲子園球場)[11][12]
- 8回裏、阪神11-0巨人、1死走者なしの場面で登板
- 登板成績 - 投球回2/3、投球数13、打者3、被安打0、与四球1、失点0、自責点0
8月 6日:
- 2023年北村拓己(読売ジャイアンツ、横浜DeNAベイスターズ対読売ジャイアンツ戦、横浜スタジアム)[13][14][15]
- 8回裏、横浜12-4巨人、攻守交替の場面で登板
- 登板成績 - 投球回1、投球数14、打者4、被安打1、被本塁打1、与四球1、失点1、自責点1
9月 2日:
- 野手登録中に「野手登板」した後、投手登録された選手による「野手登板」事例
メジャーリーグベースボール
編集通算記録
編集順位 | 選手名 | 登板 |
---|---|---|
1 | ジェシー・オロスコ | 1252 |
2 | マイク・スタントン | 1178 |
3 | ジョン・フランコ | 1119 |
4 | マリアノ・リベラ | 1115 |
5 | デニス・エカーズリー | 1071 |
6 | ホイト・ウィルヘルム | 1070 |
7 | ダン・プリーサック | 1064 |
8 | マイク・ティムリン | 1058 |
9 | ケント・テカルヴ | 1050 |
10 | ラトロイ・ホーキンス | 1042 |
順位 | 選手名 | 登板 |
---|---|---|
11 | トレバー・ホフマン | 1035 |
12 | リー・スミス | 1022 |
ホセ・メサ | ||
14 | ロベルト・ヘルナンデス | 1010 |
15 | マイク・ジャクソン | 1005 |
16 | リッチ・ゴッセージ | 1002 |
17 | リンディ・マクダニエル | 987 |
18 | トッド・ジョーンズ | 982 |
19 | デビッド・ウェザース | 964 |
20 | フェルナンド・ロドニー | 951 |
- 記録は2024年シーズン終了時[19]
シーズン記録
編集順位 | 選手名 | 所属球団 | 登板 | 記録年 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | マイク・マーシャル | ロサンゼルス・ドジャース | 106 | 1974年 | ナ・リーグ記録 |
2 | ケント・テカルヴ | ピッツバーグ・パイレーツ | 94 | 1979年 | |
サロモン・トーレス | 2006年 | ||||
4 | マイク・マーシャル | モントリオール・エクスポズ | 92 | 1973年 | |
ペドロ・フェリシアーノ | ニューヨーク・メッツ | 2010年 | 左投手記録 | ||
6 | ケント・テカルヴ | ピッツバーグ・パイレーツ | 91 | 1978年 | |
7 | ウェイン・グレンジャー | シンシナティ・レッズ | 90 | 1969年 | |
マイク・マーシャル | ミネソタ・ツインズ | 1979年 | ア・リーグ記録 | ||
ケント・テカルヴ | ピッツバーグ・パイレーツ | 1987年 | |||
10 | マーク・アイクホーン | トロント・ブルージェイズ | 89 | 1987年 | |
フリアン・タバレス | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 1997年 | |||
スティーブ・クライン | セントルイス・カージナルス | 2001年 | |||
ポール・クアントリル | ロサンゼルス・ドジャース | 2003年 | |||
ジム・ブラウワー | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 2004年 |
- 記録は2024年度シーズン終了時[20]
脚注
編集- ^ 相手の先発投手やその日の調子などを見て、試合開始後に出場選手を決めたい場合に、その選手の代わりにスターティングメンバーに名前を入れる選手。その試合に登板予定の無い投手が使われることが多い。予告先発投手制度の導入以後はほとんど用いられなくなった。
- ^ 公認野球規則9.20【原注】
- ^ 呉昇桓 緊急登板もその瞬間豪雨…結局1球も投げず「ハジメテ」 - 2014年8月30日 Sponichi Annex
- ^ 【プロ野球セ】すべては大雨のせいだ!呉昇桓リリーフカーで登場も… 2014/08/29 T-S - YouTube プロ野球チャンネル・セ【CentralLeagueMovie】
- ^ 2018年6月10日(日)【日本生命セ・パ交流戦】 横浜DeNAベイスターズ vs 北海道日本ハムファイターズ 3回戦 NPB(日本野球機構)試合速報
- ^ DeNA筒香が勝ち越し3ラン 今永は今季初勝利 - 2018年6月10日 日本経済新聞
- ^ ただし、MLBでは2020年シーズンより、打者3人との対戦を終えるか、または攻守交代になるまで交代できないと規則が改定された。
- ^ 中日・谷元を「体調不良」で登録抹消 10日に1球も投げず緊急降板 - 2021年7月11日、スポーツニッポン
- ^ 歴代最高記録 登板【通算記録】 - NPB.jp 日本野球機構(シーズン中は毎日更新)
- ^ 歴代最高記録 登板【シーズン記録】 - NPB.jp 日本野球機構
- ^ 2020年8月6日(木) 甲子園【JERA セ・リーグ公式戦】 阪神タイガース vs 読売ジャイアンツ 7回戦(試合速報 | NPB.jp 日本野球機構)
- ^ 巨人・増田が野手20年ぶり登板の珍事!過去にマウンドに上がった野手は誰? | THE DIGEST
- ^ 2023年9月2日(土) 横浜【JERA セ・リーグ公式戦】 横浜DeNAベイスターズ vs 読売ジャイアンツ 20回戦(試合速報 | NPB.jp 日本野球機構)
- ^ 【巨人】内野手の北村拓己が8回プロ初登板 大量失点に「僕でよければ投げられます」と志願 : スポーツ報知
- ^ 巨人投手陣が大崩れ、初回の守備ミスから先発・横川乗れず…大量ビハインドで野手登板 : 読売新聞
- ^ 2022年5月21日(土) マツダスタジアム【JERA セ・リーグ公式戦】 広島東洋カープ vs 中日ドラゴンズ 10回戦(試合速報 | NPB.jp 日本野球機構)
- ^ 2022年6月19日(日) バンテリンドーム【JERA セ・リーグ公式戦】 中日ドラゴンズ vs 読売ジャイアンツ 12回戦(試合速報 | NPB.jp 日本野球機構)
- ^ 2022年度 支配下選手登録(中日ドラゴンズ) | 2022年度公示 | NPB.jp 日本野球機構
- ^ MLB 通算記録 - Baseball-Reference.com
- ^ MLB シーズン記録 - Baseball-Reference.com