萌え擬人化

萌え擬人化(もえぎじんか)とは現代の日本の漫画・アニメ・ゲームなどに関する二次創作用語で、人間以外の生物や無生物を人間(の姿)に見立て萌えと結びつける行為である。
概要編集
非人間を人間に近い姿に(擬人化)したイラストを描くことなどをいうが、この場合萌え属性を追加する事で愛着が湧くようにしてある。一般的に女性化・少女化が主なものとされているが漫画『Axis powers ヘタリア』のように男性化・少年化の萌え擬人化を要素としている作品も存在している。
本来の擬人化は元のものに人間の特徴(顔の表情や二足歩行や人語を話すこと等)を加える事だが、この場合該当する事物をイメージした格好をした人間として描かれることが多い。元の事物の特徴をほとんど外見に反映していない擬人化もあるが、その場合はキャラクターの性格や人間関係などにモチーフの特徴が反映される[1]。
ただし、服を着ているキャラクターが元の場合はそれと同じ服を着用(コスプレ)した人間として描かれることが多い。
かつては主に同人誌で見られた手法だが、昨今では『びんちょうタン』や『090えこといっしょ。』『ピザびより』など商業ベースの作品も発表されている。
歴史編集
同人や二次創作の世界では古く(1980年代頃)から擬人化のジャンルがあり、主に漫画・アニメの動物キャラクターや無生物を題材としてきた。どちらも同人・二次創作全体から見ればマイナーなものだが、後者は2001年頃からInternet Explorerの中止ボタンを擬人化したキャラクター「しいたけちゃん」がインターネット上で人気を集め「擬人化」というジャンルを広く知らしめた。
2004年頃からの『びんちょうタン』のヒットをブームの発端とする意見もある[1]。
2013年、『艦隊これくしょん』の登場後様々な擬人化作品が登場し擬人化ブームが始まった。
このジャンルの草分けと呼べる商業作家としての存在が、『MS少女』シリーズや『銀河お嬢様伝説ユナ』等で知られる明貴美加である。尚、明貴はこの手の作品を描く際は当初は"あむろれい"名義で行っていた。
萌え擬人化の例編集
- 鉄道の擬人化「鉄道擬人化」も参照
- 終電ちゃん - 最終電車の擬人化。
- ステーションメモリーズ! - 鉄道車両を擬人化。
- 鉄娘な3姉妹 - 松山せいじの漫画作品。
- ファステックたん - 新幹線E954形電車の擬人化。
- ミラクル☆トレイン - 鉄道駅を擬人化したメディアミックス企画。
- 自動車の擬人化
- その他乗り物、交通機関の擬人化
- 佐渡汽船カーフェリー三姉妹 - 佐渡汽船のカーフェリーの擬人化。
- 国・地域・自治体の擬人化「国の擬人化」も参照
- 武器・兵器の擬人化「艦船擬人化」も参照
- 萌え萌え2次大戦(略)、萌え萌え大戦争☆げんだいばーん - システムソフト・アルファー開発のゲーム。「鋼の乙女(はがねのおとめ)」と呼ばれる、戦車や艦船、戦闘機といった実在した兵器の擬人化キャラクターが多数登場する。武器・兵器の擬人化ゲームの先駆け。
- 蒼き鋼のアルペジオ - 「メンタルモデル」と呼ばれる艦艇の擬人化キャラクターが登場する。
- アズールレーン - 「KAN-SEN」と呼ばれる実在した海軍艦艇の擬人化キャラクターが多数登場する。
- アビス・ホライズン - 軍艦の擬人化。
- うぽって!! - 銃器を擬人化した天王寺きつねの漫画作品。
- MC☆あくしず - イカロス出版より刊行されているミリタリー雑誌。様々な兵器を擬人化して兵器の開発史や戦史を解説している。『ブラウザMC☆あくしず-鋼鉄の戦姫-』としてゲーム化される。
- ガーディアン・プロジェクト - 軍艦の擬人化。
- 艦隊これくしょん -艦これ- - C2機関、角川ゲームズ開発、DMM POWERCORD STUDIO、DMM.com配信のブラウザゲーム。「艦娘(かんむす)」と呼ばれる実在した海軍艦艇の擬人化キャラクターが多数登場する。
- 空戦乙女☆ヴァージンストライク - 戦闘機の擬人化。
- 鋼鉄のワルツ - 「鋼舞姫(こうぶひめ)」と呼ばれる、実在する戦車の擬人化キャラクターが多数登場する。
- 最終戦艦withラブリーガールズ - 軍艦の擬人化。
- 少女兵器シリーズ - 兵器の擬人化。
- 戦艦少女R - 軍艦の擬人化。
- 千銃士 - 古銃の擬人化。
- 天華百剣 - 刀の擬人化。
- 刀剣乱舞 - ニトロプラス開発、DMM.com配信のブラウザゲーム。「刀剣男士」と呼ばれる日本刀や槍を擬人化した男性擬人化キャラが多数登場する。
- ドールズフロントライン - 「戦術人形」と呼ばれる銃の擬人化キャラクターが多数登場する。
- Battleship Girl -鋼鉄少女- - 軍艦擬人化の先駆作品。
- バトルタンクガールズ - 戦車の擬人化。
- Panzermadels: Tank Dating Simulator - 第二次世界大戦で活躍した戦車の擬人化。
- ファントム オブ キル - キル姫と呼ばれる伝説の武器や神的存在の擬人化。
- ブレイブソード×ブレイズソウル - 魔剣の擬人化。
- ミリ姫大戦 - 兵器の擬人化。
- 萌娘爆破 - 軍艦の擬人化。
- りっく☆じあーす - ズー開発、Yahoo!モバイル、楽天アプリ市場配信のブラウザゲーム。「陸自娘(りくむす)」と呼ばれる陸上自衛隊の歴代の装備を擬人化した「武器娘(ぶきむすめ)」と各地の駐屯地・分屯地の1個小隊を擬人化した「駐屯地娘(ちゅうとんちむすめ)」が多数登場する。
- その他機械、道具の擬人化
- 人間以外の生物の擬人化
- 亜人 - 「モンスター娘」や「人外娘」などとまとめて呼称されるケースがある。
- ウマ娘 プリティーダービー - 競走馬を擬人化したキャラクターである「ウマ娘」が多数登場する。
- うんコレ - 大腸菌をはじめとした腸内細菌の擬人化。
- えとたま - 十二支を擬人化。
- エボラちゃん - エボラ出血熱の擬人化で、日本だけでなく4chanなどで広がりを見せている[3]。
- けものフレンズ - 動物を擬人化。
- ごきチャ - るい・たまちによる漫画作品。ゴキブリの擬人化。
- 侵略!イカ娘 - 海洋生物の擬人化という発想から企画された安部真弘の漫画作品。
- 超巨大!ジュラシック娘 - 古生物を擬人化
- はたらく細胞 - 清水茜原作(講談社・月刊少年シリウス連載)の漫画でとある人の体内が町でその町で住んで働く細胞たちが擬人化している。
- ハバネロたん - 唐辛子の一種ハバネロを擬人化。
- FLOWER KNIGHT GIRL - YourGames開発、DMM.com配信のブラウザゲーム。「花騎士(フラワーナイト)」と呼ばれる花を擬人化したキャラクターが多数登場する。
- 企業・団体の擬人化
- ウィキペたん - ウィキペディアの擬人化。特に日本語版で用いられる。
- ネプテューヌシリーズ - ゲームメーカーの擬人化キャラが登場する。
- ハードウェア・ソフトウェアの擬人化
- 藍澤祈 - Internet Explorerのマスコットキャラクター。
- 藍澤光 - Microsoft Silverlightのマスコットキャラクター。
- OSたん - Microsoft Windowsシリーズの擬人化。
- おぺらたん - ウェブブラウザOperaの擬人化。
- グリーンダムたん - 中国で用いられる検閲ソフトを擬人化したキャラクター。
- セガ・ハード・ガールズ - ゲーム機を擬人化。
- P.S.すりーさん・えすえぬ家の人々 - ゲーム機を擬人化したIKaの漫画作品。
- 建造物の擬人化
- 御城プロジェクトRE - DMMゲームズ開発、DMM.com配信のブラウザゲーム。城娘と呼ばれる城郭を擬人化した女性キャラクターが多数登場する。
- 城姫クエスト - 城を擬人化。
- その他
- MS少女 - ガンダムシリーズの兵器、モビルスーツの擬人化。又作者の別名義作品では、『太陽の牙ダグラム』のCBアーマーの擬人化作品『デロイアナナちゃん』も存在する。
- 温泉むすめ - 温泉の擬人化。
- ガールズシンフォニー〜少女交響詩〜 - 楽器を擬人化した音精(ニュムパ)が登場する。
- 柑橘娘。 - 柑橘系フルーツの擬人化。
- ざるそば(かわいい) - ざるそばの擬人化。
- 食用系少女 - 台湾のB級グルメを擬人化したメディアミックス作品。
- デモンズ★キッチン - 食材や料理の擬人化。
- 東映ロボットガールズ / ロボットガールズZ - ロボットアニメの擬人化。
- ナポリたん - カゴメが制作したナポリタンの擬人化。
- のすたるじっくガールズ - 学用品、遊具、食品などの子供のころの思い出の品を擬人化。
- びんちょうタン - 和歌山県みなべ町にある「みなべ川森林組合」のマスコットキャラクターでご当地キャラクター(ゆるキャラ)で、備長炭をモデルにしている。キャラクターデザイン・江草天仁。
- フレームアームズ・ガール - コトブキヤが販売するプラモデルシリーズ、フレームアームズの擬人化。
- 宝石の国 - 宝石の擬人化。
- モノごころ、モノむすめ。 - May-Be SOFTのアダルトゲーム。様々な物品の擬人化キャラクターが登場する。
- ワイン娘 - ワインのぶどう品種の擬人化。
脚注編集
- ^ a b “漫画・アニメに擬人化ブーム 物の形残さず、性格で表現”. asahi.com (朝日新聞社). (2010年10月3日). オリジナルの2010年10月6日時点によるアーカイブ。 2010年10月3日閲覧。
- ^ 広田稔 (2010年12月18日). “【トゥギャッター通信】第7回 「KAGEROUとプログラマ」”. 週アスPLUS. アスキー・メディアワークス. 2011年1月5日閲覧。
- ^ Caitlin Dewey (2014年9月22日). “4Chan’s latest, terrible ‘prank': Convincing West Africans that Ebola doctors actually worship the disease”. ワシントンポスト 2015年10月9日閲覧。
参考文献編集
- 『現代用語の基礎知識 2006』2005年11月4日発行、自由国民社 ISBN 978-4426101244
- 『擬人化たん白書』2006年8月8日発行、アスペクト ISBN 978-4757212626