のだみそ株式会社(旧:合資会社野田味噌商店)は、愛知県豊田市に本社を置く味噌メーカー。天然醸造の豆味噌を主力商品とする[1]。「桝塚味噌(ますづかみそ)」の名で三河地方では古くから知られる[注 1]

のだみそ株式会社
本社工場
本社工場
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 日本の旗 日本
470-1213
愛知県豊田市桝塚西町南山6番地
設立 1928年昭和3年)
業種 食料品
法人番号 3180303002474 ウィキデータを編集
事業内容 味噌(主に豆味噌)、醤油等の製造販売
代表者 代表者 野田清衛
資本金 700万円
外部リンク 蔵元 桝塚味噌
テンプレートを表示

概要 編集

1928年昭和3年)、野田清市が愛知県碧海郡上郷村(現在の豊田市)で味噌委託加工専業を創業した。桶に入れて運ばれてきた大豆を仕込んで返すという業種で[2][3]、創業時から三河地方を中心に、大豆の栽培農家などから委託を受けた。一部は「八丁味噌」として仕込みを代行した[4]。依頼業者は安城岡崎、豊田から日進名古屋まで広がり、桶を運ぶリヤカーが1キロ程つながったこともあった。1965年(昭和40年)頃まで仕込み加工業を続け、以後は味噌製造中心にシフトしていった[2]

木桶に大豆を仕込み、を積んで18から24か月間天然で熟成させる伝統的な製法を守っている[4]

2017年平成29年)時点で、年間約2,500トンを生産した[5]。工場には大小400の木桶がある。江戸時代末期に作られたものもある[6]。大樽約400本保有は国内最高と言われる。自動制御の工程の中でも、大豆を蒸す釜(NK缶)は原料6トンを一気に蒸し上げる事のできる全国でも最大級の釜である[7]

年表 編集

  • 1928年昭和3年) - 野田清市が個人経営にて創業。
  • 1930年(昭和5年) - 味噌製造を開始。年産6トンであった。
  • 1959年(昭和34年) - 「合資会社野田味噌商店」に改組。
  • 1969年(昭和44年) - 米味噌の生産を開始。
  • 1981年(昭和56年) - 年産6000t体制の設備となる。
  • 2011年平成23年) - 愛知ブランド企業認定。
  • 2014年(平成26年) - 農林水産省より食育優良活動表彰受賞。
  • 2022年令和4年)
    • 7月8日 - 「のだみそ株式会社」に組織変更[8][9]
    • 11月17日 - 第63回全国味噌鑑評会(主催:一般社団法人中央味噌研究所、後援:農林水産省)が東京都中央区の鉄鋼会館で開催。「木桶熟成八丁味噌」が一般社団法人中央味噌研究所理事長賞を受賞した[10][11][注 2]

エピソード 編集

2010年(平成22年)1月、豊田市内の販売店55店が集まり「とよた五平餅学会」が発足。学会の会長には社長の野田清衛が就任し、「豊田の誇るべき郷土食」として五平餅のPRに努めた[15]

「大黒蔵」と呼ばれる幅15メートル、奥行き30メートルほどの建物は、岡崎海軍航空隊の航空基地の施設だった[16]。米軍による武装解除の後、創業者の野田清市が飛行場の一部を譲り受け、蔵として使い始めた。また、近辺の高嶺小学校上郷中学校の校舎も漸次購入し、それらを味噌蔵として再利用していった[17]。旧日本軍がつくった木造建築が残っているのは愛知県内では珍しいとされる[5]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 商号は「のだみそ株式会社」だが、味噌のブランド名は「桝塚味噌」としている。
  2. ^ 2017年12月15日、地理的表示保護制度の管轄省庁である農林水産省は、県内39社の業者から成る「愛知県味噌溜醤油工業協同組合」を八丁味噌の生産者団体として地理的表示(GI)に登録。組合員ではない岡崎市の老舗2社(カクキューまるや八丁味噌)はGIから除外され、同市から郷土食品が失われるおそれがある事態にまで発展した[12][13]。そうした中でも、のだみそには根強いファンがおり、岡崎市の味噌煮込みうどんの人気専門店「二橋」は「より癖が少ない」との理由により、のだみその豆味噌を使い続けている[14]

出典 編集

  1. ^ “天然醸造で味噌を育てる「蔵元 桝塚味噌」”. DoChubu. (2010年12月2日). http://dochubu.com/2010/12/02/masuzukamiso/ 2018年10月27日閲覧。 
  2. ^ a b 野田味噌商店”. みかわこまち. エムアイシーグループ. 2021年5月11日閲覧。
  3. ^ 沿革(歴史)”. 蔵元 桝塚味噌. 2023年2月10日閲覧。
  4. ^ a b 森田真奈子 (2018年8月4日). “<どうなる八丁味噌> (下)文化の継承”. 中日新聞. オリジナルの2018年8月23日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180823000636/http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20180804/CK2018080402000058.html 2021年12月23日閲覧。 
  5. ^ a b 作山哲平「はっくつ・新三河遺産 (4) 戦争の記憶伝える味噌蔵 豊田 食への感謝も“醸成”」 『中日新聞』2017年1月8日付朝刊、西三河版、18面。
  6. ^ 臼井昭仁 (2018年8月2日). “愛知)100年前の味噌桶が居酒屋玄関に 豊田の蔵元”. 朝日新聞. https://www.asahi.com/articles/ASL7542KYL75OBJB001.html 2018年10月27日閲覧。 
  7. ^ のだみそ株式会社”. 愛知ブランド. 愛知県経済産業局産業部産業振興課. 2023年2月10日閲覧。
  8. ^ のだみそ株式会社”. 国税庁法人番号公表サイト. 2023年2月9日閲覧。
  9. ^ 組織変更のご案内”. 蔵元 桝塚味噌 (2022年7月7日). 2023年2月9日閲覧。
  10. ^ 第63回全国味噌鑑評会 農水大臣賞が決定 マルコメ、ハナマルキなど”. 食料新聞 (2021年11月28日). 2023年2月24日閲覧。
  11. ^ 第63回全国味噌鑑評会 受賞者名簿”. 一般社団法人中央味噌研究所 (2022年11月17日). 2023年2月24日閲覧。
  12. ^ 登録の公示(登録番号第49号)”. 農林水産省 (2017年12月15日). 2022年2月17日閲覧。
  13. ^ 森田真奈子 (2018年8月2日). “<どうなる八丁味噌> (上)対立の背景”. 中日新聞. オリジナルの2018年8月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180822233826/https://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20180802/CK2018080202000306.html 2021年12月23日閲覧。 
  14. ^ 酒井希実 (2023年3月2日). “こだわり強化し再出発 味噌煮込みうどん専門店「二橋」”. エフエムEGAO. 東海愛知新聞. 2023年3月6日閲覧。
  15. ^ 『中日新聞』2011年1月5日付朝刊、西三河版、14面、「三河発 食は縁なり (1) 五平餅 豊田 見つけた郷土の“宝物”」。
  16. ^ 細谷真里「戦跡は語る 令和元年、夏 (6) 『死と生』伝える味噌蔵 豊田の岡崎海軍航空隊基地跡」 『中日新聞』2019年8月16日付朝刊、西三河版、14面。
  17. ^ 桝塚味噌 味噌蔵・大黒の社(旧第三岡崎海軍航空隊格納庫) | 全国近代化遺産活用連絡協議会

外部リンク 編集