2015年世界陸上競技選手権大会・女子100m

第15回世界陸上競技選手権大会
女子100m

メダル獲得者
会場北京国家体育場
開催日8月23日 予選
8月24日 準決勝、決勝
参加選手数36か国 54人
優勝記録10.76
メダリスト
金メダル  ジャマイカ ジャマイカ
銀メダル  オランダ オランダ
銅メダル  アメリカ合衆国 アメリカ合衆国
« 2013 モスクワ2017 ロンドン »

2015年世界陸上競技選手権大会・女子100m(2015ねんせかいりくじょうきょうぎせんしゅけんたいかい・じょし100メートル)は、2015年世界陸上競技選手権大会の種目の一つ。2015年8月23日から8月24日にかけて中華人民共和国北京市北京国家体育場で開催された[1]シェリー=アン・フレーザー=プライス前回大会の覇者として、また今季世界最高記録10秒74を保持して大会に臨んだ[2][3]

準決勝1組では、当季世界第2位で決勝進出が最も期待されていたイングリッシュ・ガードナーが決勝進出を逃すという波乱があった。2組では2大会ぶりに準決勝に進んだ福島千里が出場したが7着であり、決勝進出はならなかった[4]。3組ではダフネ・シパーズが自身の持つオランダ記録を更新する10秒83を叩き出して準決勝を突破するサプライズがあった。シパーズは世界選手権前の7月下旬にロンドンで開かれた大会で優勝した経験があったが、その大会に出場していた中で今世界選手権の決勝に出場した選手はブレッシング・オカグバレだけであり、6月上旬のパリでの大会の際は、フレーザー=プライス、ガードナー、オカグバレに惨敗している。準決勝でマークした記録により、シパーズは決勝でフレーザー=プライスの隣のレーンを獲得した。

決勝では、号砲が鳴ると「ポケット・ロケット」の異名を持つフレーザー=プライスが飛び出し、最初の3歩で明らかに他の選手より前に出ていた。シパーズは号砲への反応時間で2番目に飛び出し、ナターシャ・モリソン英語版ミシェル=リー・アイエベロニカ・キャンベル=ブラウンの後を追った。トップスピードに達すると、シパーズとトリ・ボウイが先頭集団に食らいついた[5]。シパーズはフレーザー=プライスに追いつけなかったが、10秒81で2位に入賞し、準決勝に続いてオランダ記録を更新した[6][7]

生まれが4か月差のフレーザー=プライスとウサイン・ボルトジャマイカ人選手は、対照的な100m覇者である。ボルトが最も成功した長身の男性選手の1人であるのに対して、フレーザー=プライスは最も成功した低身長の女性選手の1人である。フレーザー=プライスとボルトのコンビが100mを制したのは北京オリンピックロンドンオリンピック世界選手権では2009年2013年に続くものである。

記録

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大会開幕前の各種記録は以下の通りであった[8]

世界記録   フローレンス・グリフィス=ジョイナー (USA) 10.49   アメリカ合衆国インディアナポリス 1988年7月16日
大会記録   マリオン・ジョーンズ (USA) 10.70   スペインセビリア 1999年8月28日
今季世界最高記録   シェリー=アン・フレーザー=プライス (JAM) 10.74   フランスパリ 2015年7月4日
アフリカ記録   ブレッシング・オカグバレ (NGR) 10.79   イギリスロンドン 2013年7月27日
アジア記録   李雪梅 (CHN) 10.79   中国上海 1997年10月18日
北中米カリブ記録   フローレンス・グリフィス=ジョイナー (USA) 10.49   アメリカ合衆国インディアナポリス 1988年7月16日
南米記録   アンヘラ・テノリオ英語版 (ECU) 10.99   カナダトロント 2015年7月22日
ヨーロッパ記録   クリスティーン・アーロン (FRA) 10.73   ハンガリーブダペスト 1998年8月19日
オセアニア記録   メリッサ・ブリーン (AUS) 11.11   オーストラリアキャンベラ 2014年2月9日

参加標準記録

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参加標準記録[9]
11.33

日程

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ラウンド
2015年8月23日 12:00 予選
2015年8月24日 19:40 準決勝
21:35 決勝

時刻は中国標準時(UTC+8)

結果

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WR 世界記録 | AR エリア記録 | CR 選手権記録 | GR 大会記録 | NR 国家記録 | OR オリンピック記録 | PB 自己ベスト | SB シーズンベスト | WL 世界最高(当該シーズン中)
Q 順位による通過| q 記録による通過| w 追い風参考記録| DQ 失格

予選

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通過条件:各組上位3着(Q)および記録上位3人(q[10]

風速:1組=+0.5 m/s、2組=-1.3 m/s、3組=-1.2 m/s、4組=+2.3 m/s、5組=-1.6 m/s、6組=+1.5 m/s、7組=-0.5 m/s[10]

順位 選手 国籍 記録 備考
1 1 トリ・ボウイ   アメリカ合衆国 10.88 Q
1 4 シェリー=アン・フレーザー=プライス   ジャマイカ 10.88w Q
3 4 マリー・ジョゼ・タ・ルー   コートジボワール 10.95w Q
4 3 ミシェル=リー・アイエ   トリニダード・トバゴ 10.98 Q
5 5 ダフネ・シパーズ   オランダ 11.01 Q
6 1 ベロニカ・キャンベル=ブラウン   ジャマイカ 11.04 Q
7 2 ブレッシング・オカグバレ   ナイジェリア 11.07 Q
8 2 ナターシャ・モリソン英語版   ジャマイカ 11.08 Q
8 4 カリーナ・ホーン英語版   南アフリカ共和国 11.08w Q
10 3 イベット・ラロワ   ブルガリア 11.09 Q, SB
11 3 ミュリエル・アウレ   コートジボワール 11.10 Q
12 3 エシンネ・オクパラエボ   ノルウェー 11.12 q, SB
13 6 ケリー=アン・バプティスト英語版   トリニダード・トバゴ 11.13 Q
14 7 ロサンジェラ・サントス英語版   ブラジル 11.14 Q
15 5 スモワ・ハケット英語版   トリニダード・トバゴ 11.16 Q, SB
15 7 イングリッシュ・ガードナー   アメリカ合衆国 11.16 Q
17 6 ムジンガ・カンブンジ英語版   スイス 11.17 Q, NR
18 6 シェローン・シンプソン   ジャマイカ 11.22 Q
19 7 福島千里   日本 11.23 Q, SB
20 2 ビクトリア・ジャブキナ英語版   カザフスタン 11.24 Q
21 1 アシャ・フィリップ英語版   イギリス 11.28 Q
21 6 韋永麗   中国 11.28 q, PB
23 5 ジャスミン・トッド英語版   アメリカ合衆国 11.29 Q
23 4 ロマナ・パパイオアヌー英語版   キプロス 11.29w q
23 4 レベッカ・ハース英語版   ドイツ 11.29w
26 6 カーミカ・ビンガム英語版   カナダ 11.30
27 3 クリスタル・エマニュエル英語版   カナダ 11.33
28 1 ジーナ・ルケンケムペル英語版   ドイツ 11.34
29 5 オレシャ・ポフ英語版   ウクライナ 11.40
30 2 ナオミ・セドニー英語版   オランダ 11.41
30 2 フェレーナ・ザイラー英語版   ドイツ 11.41
32 7 マーヤ・ミハリネッチ英語版   スロベニア 11.42
33 3 イシドラ・ヒメネス英語版   チリ 11.47
33 5 タヘシア・ハリガン=スコット英語版   イギリス領ヴァージン諸島 11.47
35 6 ナルチサ・ランダズリ英語版   エクアドル 11.48
35 7 シェニクア・ファーガソン英語版   バハマ 11.48
37 1 オリガ・サフロノワ英語版   カザフスタン 11.49
38 1 インナ・エフティモワ英語版   ブルガリア 11.50
39 4 Nediam Vargas   ベネズエラ 11.51w
40 5 Kimberly Hyacinthe   カナダ 11.54
41 2 メリッサ・ブリーン   オーストラリア 11.61
42 7 Nataliya Pohrebnyak   ウクライナ 11.62
42 7 Andrea Purica   ベネズエラ 11.62
44 3 Aziza Sbaity   レバノン 11.98
45 6 Hafsatu Kamara   シエラレオネ 12.13
46 5 Adriana Alves   アンゴラ 12.19 PB
47 1 Valentina Meredova   トルクメニスタン 12.25
48 3 Patricia Taea   クック諸島 12.34 SB
49 1 リディアン・ロペス   カーボベルデ 12.43 NR
50 6 Marlene Mevong   赤道ギニア 12.56
51 5 Regine Tugade   グアム 12.60
52 2 Lihen Jonas   ミクロネシア連邦 13.70
2 シャーロット・ウィングフィールド   マルタ DQ R162.7
4 Jamile Samuel   オランダ DQ R162.7

準決勝

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通過条件:各組上位2着(Q)および記録上位2人(q)[11]

風速:1組=+0.5 m/s、2組=+0.9 m/s、3組=−0.2 m/s[11]

順位 選手 国籍 記録 備考
1 1 シェリー=アン・フレーザー=プライス   ジャマイカ 10.82 Q
2 3 ダフネ・シパーズ   オランダ 10.83 Q, NR
3 2 トリ・ボウイ   アメリカ合衆国 10.87 Q
4 1 ブレッシング・オカグバレ   ナイジェリア 10.89 Q
4 3 ベロニカ・キャンベル=ブラウン   ジャマイカ 10.89 Q, SB
6 2 ケリー=アン・バプティスト英語版   トリニダード・トバゴ 10.90 Q
7 2 ナターシャ・モリソン英語版   ジャマイカ 10.96 q, PB
8 3 ミシェル=リー・アイエ   トリニダード・トバゴ 10.97 q, SB
9 3 ミュリエル・アウレ   コートジボワール 10.98
10 1 マリー・ジョゼ・タ・ルー   コートジボワール 11.04 PB
11 1 シェローン・シンプソン   ジャマイカ 11.06
12 2 ロサンジェラ・サントス英語版   ブラジル 11.07
12 2 ムジンガ・カンブンジ英語版   スイス 11.07 NR
14 3 イベット・ラロワ   ブルガリア 11.13
14 1 スモワ・ハケット英語版   トリニダード・トバゴ 11.13 SB
14 1 イングリッシュ・ガードナー   アメリカ合衆国 11.13
17 3 カリーナ・ホーン英語版   南アフリカ共和国 11.15
18 2 ビクトリア・ジャブキナ英語版   カザフスタン 11.19 PB
18 3 エシンネ・オクパラエボ   ノルウェー 11.19
20 1 アシャ・フィリップ英語版   イギリス 11.21
20 3 ジャスミン・トッド英語版   アメリカ合衆国 11.21
22 1 韋永麗   中国 11.27 PB
23 2 福島千里   日本 11.32
24 2 ロマナ・パパイオアヌー英語版   キプロス 11.38

決勝

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決勝は21時35分に開始し、風速は-0.3 m/sであった[12]

順位 選手 国籍 記録 備考
  シェリー=アン・フレーザー=プライス   ジャマイカ 10.76
  ダフネ・シパーズ   オランダ 10.81 NR
  トリ・ボウイ   アメリカ合衆国 10.86
4 ベロニカ・キャンベル=ブラウン   ジャマイカ 10.91
5 ミシェル=リー・アイエ   トリニダード・トバゴ 10.98
6 ケリー=アン・バプティスト英語版   トリニダード・トバゴ 11.01
7 ナターシャ・モリソン英語版   ジャマイカ 11.02
8 ブレッシング・オカグバレ   ナイジェリア 11.02

脚注

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  1. ^ Beijing 2015: Timetable”. Beijing 2015 (10 August 2015). 10 August 2015閲覧。
  2. ^ Bolt and Fraser-Pryce front Jamaica's team for IAAF World Championships, Beijing 2015”. IAAF (2015年8月11日). 2015年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月26日閲覧。
  3. ^ Start list”. IAAF. 2015年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月26日閲覧。
  4. ^ 女子100、福島千里は準決勝敗退 世界陸上”. 朝日新聞 (2015年8月24日). 2015年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月26日閲覧。
  5. ^ Sean Ingle (24 August 2015). “Shelly-Ann Fraser-Pryce powers to third world championships 100m gold”. ガーディアン. 2015年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。25 August 2015閲覧。
  6. ^ Shelly-Ann Fraser-Pryce holds off charging Dutchwoman Dafne Schippers for World Championships 100m glory”. Daily Telegraph (24 August 2015). 25 August 2015閲覧。
  7. ^ World Championships 2015: Fraser-Pryce retains 100m title”. BBC Sport (24 August 2015). 25 August 2015閲覧。
  8. ^ Records & Lists – 100 meters”. IAAF. 14 August 2015閲覧。
  9. ^ IAAF World Championships Beijing 2015 – Standards, IAAF, (2014), オリジナルの2015-08-26時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20150826082256/http://media.aws.iaaf.org/competitioninfo/544c7d0a-0807-4226-a85b-79928c58a097.pdf 26 August 2015閲覧。 
  10. ^ a b Heats results”. IAAF. 2015年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月26日閲覧。
  11. ^ a b Semifinals results”. IAAF. 2015年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月26日閲覧。
  12. ^ Final results”. IAAF. 2015年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月26日閲覧。