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AVE MARIA (本田美奈子のアルバム)

解説編集

本田美奈子のソプラノ・アルバムの第1作。クラシックの楽曲を現代の感性で歌える歌手を探していた岡野博行と、クラシックへの志向を強めていた本田との邂逅により生まれた作品である。『ミス・サイゴン』以来の本田の恩師である岩谷時子が日本語詞を書き下ろし、編曲は井上鑑が担当した。収録曲は100曲以上の候補の中から本田自身が心に響く曲、歌いたい曲を選んでいった。手作りにこだわる本田は歌入れ以外の録音にも全て立ち会った。

本田はジャケット制作のためのスタッフとの顔合せの場で「私はこのアルバムに命を賭けていますので、絶対に失敗できないのでよろしくお願いします」と挨拶したと伝えられている[1]。岡野による伊豆大島でのジャケット撮影のレポートでは収録曲として12曲が紹介されている[2]が、実際にはこの中から「天国への階段」の収録が見送られ、代わって「ヴォカリーズ」と「タイスの瞑想曲」が収録された。この「天国への階段」は本田の逝去後にアルバム『心を込めて...』に収録された。

本田の逝去をきっかけに他のアルバムとともに売上が上昇、オリコンアルバム売上ランキングで最高22位を記録した。

収録曲編集

  1. 流声〜プロローグ〜
    (作詞・編曲:井上鑑)
  2. アヴェ・マリア
    (作曲:ジュリオ・カッチーニ 編曲:井上鑑)
    本作のタイトルトラック。ロシアのカウンターテナー歌手スラヴァらが取り上げて以降急速に知名度を増した、カッチーニ作とされる作品(実際には偽作である)。数ある「アヴェ・マリア」の中でも本田が最も気に入り本作に収録された[3]
  3. 私のお父さん〜オペラ「ジャンニ・スキッキ」より
    (日本語詞:岩谷時子 作曲:ジャコモ・プッチーニ 編曲:井上鑑)
    プッチーニのオペラ・アリアの中でも最も広く親しまれているものの一つ。原曲は結婚の許しを父親に懇願する歌だが、岩谷の日本語詞は結婚を控えた娘が父への感謝を歌う内容になっている。
  4. タイム・トゥ・セイ・グッバイ
    (作詞・作曲:フランチェスコ・サルトリ、ルチオ・クァラントット、フランク・ピーターソン 編曲:井上鑑)
    アンドレア・ボチェッリサラ・ブライトマンによる歌唱で有名な曲。服部克久の推薦により出演したシドニーオペラハウスでの日豪親善コンサート(2000年6月19日開催)で初めて歌い、その後テレビ番組に出演した際にも歌っていた[4]。本田がクラシカル・クロスオーバーに進出するきっかけとなった曲である。
  5. 美しい夕暮れ
    (日本語詞:岩谷時子 作曲:クロード・ドビュッシー 編曲:井上鑑)
    ドビュッシーが10代の頃に作曲した歌曲で、ハイフェッツによるヴァイオリンへの編曲でも知られる。本作中の最高音であるハイCisが現れる曲である。
  6. ヴォカリーズ
    (作曲:セルゲイ・ラフマニノフ 編曲:井上鑑)
    ラフマニノフの最も広く親しまれている歌曲で、タイトルの通りヴォカリーズで歌われる。岡野は「テイクによって驚くほど様々な表情が生まれた」と述べている[3]
  7. グリーンスリーブス
    (イングランド民謡 編曲:井上鑑)
    16世紀にまで遡るイングランドの古い民謡。シェイクスピア戯曲の中で言及されることでも知られる曲。
  8. ジュピター〜組曲「惑星」より
    (作詞:岩谷時子 作曲:グスターヴ・ホルスト 編曲:井上鑑)
    オーケストラ組曲『惑星』の第4曲「木星」の「Andante maestoso」の旋律に詞をつけて歌ったもの。シングル「新世界」には新たに録音し直した音源が収録された。2004年12月1日開催の「Act Against AIDS」でも歌われた。
  9. 私を泣かせてください〜オペラ「リナルド」より
    (日本語詞:岩谷時子 作曲:ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル 編曲:井上鑑)
    ヘンデルのオペラ・アリアの中でも「オンブラ・マイ・フ」などとともに最も広く親しまれている作品。
  10. シシリエンヌ
    (作詞:岩谷時子 作曲:ガブリエル・フォーレ 編曲:井上鑑)
    フォーレによる名高い作品。シシリエンヌとはシチリア舞曲の意。はじめチェロとピアノのために作曲され、後に劇付随音楽『ペレアスとメリザンド』及びその管弦楽組曲版に組み入れられた曲である。本田は2004年8月29日に行われた『N響ほっとコンサート』に出演した際に岩村力指揮のNHK交響楽団との共演でこの曲を歌っている。
  11. ニュー・シネマ・パラダイス 愛のテーマ
    (作詞:森寧子 作曲:アンドレア・モリコーネ、エンニオ・モリコーネ 編曲:井上鑑)
    映画『ニュー・シネマ・パラダイス』のサウンドトラックからの一曲。多くの音楽家により取り上げられている人気のある曲である。
  12. タイスの瞑想曲
    (作詞:本田美奈子 作曲:ジュール・マスネ 編曲:井上鑑)
    マスネによるオペラ『タイス』の幕間を飾る間奏曲である。その静謐な美しさから単独で取り上げられることが多く、様々な楽器への編曲でも親しまれている。本田自身が作詞を手がけた平和への祈りの歌である。
  13. アメイジング・グレイス
    (作詞:ジョン・ニュートン 日本語詞:岩谷時子 作曲:不詳 編曲:井上鑑)
    有名な賛美歌を岩谷の日本語詞に英語詞の一部を交えて歌っている。没後、本田の代名詞ともいえる楽曲となった。詳しくはアルバム『アメイジング・グレイス』の解説を参照のこと。
  14. ベラ・ノッテ〜映画「わんわん物語」より
    (日本語詞:海野洋司 作詞・作曲:ペギー・リー、ソニー・バーク 編曲:井上鑑)
    ディズニー映画の名高い挿入歌。タイトルはイタリア語で「きれいな夜」を意味する。子守歌風のやさしいメロディーによりアルバムを締めくくっている。

演奏者編集

脚注編集

  1. ^ 『天に響く歌-歌姫・本田美奈子.の人生』 ワニブックス、2007年
  2. ^ 岡野博行公式サイト内本田美奈子「AVE MARIA」ジャケット撮影レポート
  3. ^ a b ライナーノートの岡野による曲目解説
  4. ^ 2001年10月6日放送の『ミュージックフェア』及び2002年4月7日放送の『題名のない音楽会21』。『題名のない音楽会21』では布施明とのデュエットで歌っていた。

外部リンク編集