シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー
「シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウインドー」(She Came in Through the Bathroom Window)は、ビートルズの楽曲である。1969年9月に発売された11作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『アビイ・ロード』に収録された。レノン=マッカートニー名義となっているが、ポール・マッカートニーによって書かれた楽曲。アルバム『アビイ・ロード』のB面の特徴であるメドレー「ザ・ロング・ワン」(The Long One)の5曲目で、前半のメドレーを締めくくる楽曲。1969年7月に「ポリシーン・パン」と繋げてレコーディングされた。
「シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー」 | ||||||||||
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ビートルズの楽曲 | ||||||||||
収録アルバム | 『アビイ・ロード』 | |||||||||
英語名 | She Came in Through the Bathroom Window | |||||||||
リリース | 1969年9月26日 | |||||||||
録音 |
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ジャンル | ロック[1] | |||||||||
時間 | 1分57秒 | |||||||||
レーベル | アップル・レコード | |||||||||
作詞者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
作曲者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | |||||||||
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背景
編集本作のタイトルについて、ジョン・レノンは「1968年5月にニューヨークを訪れた時に泊まっていたフラットで、ポールがふと『She Came In Through The Bathroom Window(彼女は浴室の窓から入ってきた)』というフレーズを口にした。つまりあのフレーズは何年も前からあるわけで、それをやっと仕上げたわけだ」と語っている[2]。
歌詞の内容は、マッカートニーが留守中にファンが自宅に忍び込むというエピソードが元になっている[2]。また、「So I quit the police department(だからぼくは警察署を辞めて)」というフレーズは、1968年10月に後にマッカートニーの妻となるリンダ・イーストマンと娘・ヘザーと共にタクシーでジョン・F・ケネディ空港に向かっていたときに見た、「ユージン・クイッツ、ニューヨーク警察署」と記された身分証明パネルから触発されたもの。このフレーズについてマッカートニーは「そこが無作為の素晴らしさ。もし僕があの男のタクシーに乗っていなかったら、この曲はずいぶんと違っていたと思う」と語っている[2]。
本作は1969年1月に行われたゲット・バック・セッションでも取り上げられており、トゥイッケナム・スタジオで幾度となくリハーサルが行われた。1月7日のセッションで一度だけ完成バージョンに近いテンポで演奏されたが、ほとんどはスローなテンポで演奏された。このリハーサルから、1月21日の演奏が1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に収録された[3][2]。なお、同音源でレノンはエレクトリックピアノ、ハリスンがワウワウをかけたエレクトリック・ギターを演奏した[2]。2003年に発売された『レット・イット・ビー...ネイキッド』の特典ディスク『Fly on the Wall』にもセッション時の音源の一部が収録された[4]。
レコーディング
編集「シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー」のレコーディングは1969年7月25日に開始され、「ポリシーン・パン」と繋げてレコーディングされた[5][2]。8トラック・レコーダーのトラック1にポール・マッカートニーのベース、トラック2にリンゴ・スターのドラム、トラック3にレノンの12弦アコースティック・ギター、トラック4にハリスンのリードギター、トラック6にレノンとマッカートニーのリード・ボーカルが録音された[6]。同日に録音されたテイクの中から、オーバー・ダビング用にテイク39が採用された[7]。
7月28日と30日にスネアドラム、シンバル、タンバリン、EからAに下降し、この2つのキーの間の転調を可能にする5音のエレクトリック・ギター、レノンとマッカートニーのハーモニー・ボーカル、新たなリード・ボーカルなどがオーバー・ダビングされた[7]。
クレジット
編集※出典[2]
- ポール・マッカートニー - リード・ボーカル、ベース、ハーモニー・ボーカル
- ジョン・レノン - 12弦アコースティック・ギター、ハーモニー・ボーカル
- ジョージ・ハリスン - リードギター
- リンゴ・スター - ドラム、タンバリン、マラカス、パーカッション
ジョー・コッカーによるカバー
編集「シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー」 | ||||||||||||||||
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ジョー・コッカー の シングル | ||||||||||||||||
初出アルバム『ジョー・コッカー&レオン・ラッセル』 | ||||||||||||||||
B面 | チェンジ・イン・ルイーズ | |||||||||||||||
リリース | ||||||||||||||||
規格 | 7インチシングル | |||||||||||||||
録音 |
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ジャンル | ポップ・ロック | |||||||||||||||
時間 | ||||||||||||||||
レーベル | A&Mレコード | |||||||||||||||
作詞・作曲 | レノン=マッカートニー | |||||||||||||||
プロデュース | レオン・ラッセル | |||||||||||||||
チャート最高順位 | ||||||||||||||||
後述を参照 | ||||||||||||||||
ジョー・コッカー シングル 年表 | ||||||||||||||||
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ジョー・コッカーは、1969年4月にオリンピック・スタジオで「シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー」のレコーディングを行なった[8]。かねてよりマッカートニーは、コッカーに本作を録音してもらうことを望んでいた[9]。コッカーによるカバー・バージョンは、同年に発売されたアルバム『ジョー・コッカー&レオン・ラッセル』に収録され、同作にはハリスン作の「サムシング」のカバーも収録されている[10]。同年12月にシングル・カットされ、B面には「チェンジ・イン・ルイーズ」(Change in Louise)が収録された。オランダやドイツで発売されたシングル盤は、B面曲が「お前の仕事さ」(That's Your Business Now)に変更されている[11]。
コッカーによるカバー・バージョンは、アメリカのBillboard Hot 100で最高位30位[12]、オランダのSingle Top 100で最高位18位を獲得[11]。『オールミュージック』のスティーブン・クックは、アルバムのレビューの中で本作のカバーについて「とても立派な演奏」と表現している[13]。
シングル収録曲
編集# | タイトル | 作詞・作曲 | 時間 |
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1. | 「シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー」(She Came in Through the Bathroom Window) | レノン=マッカートニー | |
2. | 「チェンジ・イン・ルイーズ」(Change in Louise) |
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合計時間: |
# | タイトル | 作詞・作曲 | 時間 |
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1. | 「シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー」(She Came in Through the Bathroom Window) | レノン=マッカートニー | |
2. | 「お前の仕事さ」(That's Your Business) |
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合計時間: |
チャート成績
編集チャート (1970年) | 最高位 |
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Canada Top Singles (RPM)[14] | 31
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オランダ (Single Top 100)[11] | 18 |
US Billboard Hot 100[12] | 30
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脚注
編集出典
編集- ^ Unterberger, Richie. She Came in Through the Bathroom Window - The Beatles | Song Info - オールミュージック. 2020年9月12日閲覧。
- ^ a b c d e f g Abbey Road 2019, p. 12.
- ^ Winn 2009, p. 250.
- ^ Womack 2016, p. 87.
- ^ Lewisohn 2005, p. 182.
- ^ Abbey Road 2019, pp. 12–13.
- ^ a b Abbey Road 2019, p. 13.
- ^ O'Dell & Ketcham 2009, p. 77.
- ^ Dowlding 2009, p. 495.
- ^ Spignesi & Lewis 2009, p. 183.
- ^ a b c "Dutchcharts.nl – Joe Cocker – She Came In Through The Bathroom Window" (in Dutch). Single Top 100. 2022年3月1日閲覧。
- ^ a b “The Hot 100”. Billboard. 2022年3月1日閲覧。
- ^ Cook, Stephen. Joe Cocker! - Joe Cocker | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2022年3月1日閲覧。
- ^ “Top RPM Singles: Issue 5003”. RPM. Library and Archives Canada. 2022年3月1日閲覧。
参考文献
編集- Dowlding, William J. (2009) [1989]. Beatlesongs. Touchstone. ISBN 1-4391-4719-1
- ハウレット, ケヴィン (2019). アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション) (ブックレット). アップル・レコード.
- Lewisohn, Mark (2005) [1988]. The Complete Beatles Recording Sessions: The Official Story of the Abbey Road Years 1962-1970. London: Bounty Books. ISBN 978-0-7537-2545-0
- Spignesi, Stephen J.; Lewis, Michael (2009) [2004]. 100 Best Beatles Songs: A Passionate Fan's Guide. Philadelphia, Pennsylvania: Running Press. ISBN 1-6037-6265-5
- O'Dell, Chris; Ketcham, Katherine (2009). Miss O'Dell: My Hard Days and Long Nights with The Beatles, The Stones, Bob Dylan, Eric Clapton, and the Women They Loved. Touchstone. ISBN 1-4165-9093-5
- Winn, John C. (2009). That Magic Feeling: The Beatles' Recorded Legacy, Volume Two, 1966-1970. New York: Three Rivers Press. ISBN 978-0-307-45239-9
- Womack, Kenneth (2016). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. Greenwood
外部リンク
編集- She Came in Through the Bathroom Window - The Beatles