版指定削除とは、ある特定のログの内容を一般ユーザーが閲覧不可能にする機能です。2010年5月18日に、ウィキメディア・プロジェクトにおける管理者機能の1つとして導入されました。ウィキペディア日本語版では、Wikipedia:井戸端/subj/Revision deletion機能の導入についてでの議論を経て、運用を実施しています。この機能の運用方針は、Wikipedia:版指定削除の方針に準じます。

版指定削除の概要 編集

あるページの特定のに対し、以下のいずれか、あるいはすべてを削除・復帰することができます。複数の版に対してまとめて操作を行うことが可能です。

また、特別:ログに記載された任意の操作記録に対して以下のものを削除・復帰することができます。

  • 操作を行った利用者名(移動を行った人、削除した人、ブロックを行った人など)
  • 操作の内容と対象(移動元と移動先のページ名、削除したページ名、ブロックされた利用者名など)
  • 操作を行ったときの要約

版指定削除の操作を行った場合、削除記録に版指定削除の操作の実施が記録されます。操作の記録は全ての利用者が閲覧可能です。

版指定削除のメリット 編集

指定した版を不可視化 編集

過去版に問題のある投稿が見つかった場合、従来は一旦全削除を行って特定版を復帰する方法を取っていました。この方法を用いた場合、履歴から特定の投稿が丸ごと取り除かれます。しかし、取り除かれた内容を以降の版が引き継いでいた場合、投稿者名が履歴から消えて投稿内容のみが残ることになってしまいます。これを防ぐため、削除対象となる版で追加された内容を後の版が引き継いだ場合、内容の良し悪しに関わらず引き継いだ版すべてを巻き添えで削除する必要がありました。

Wikipedia日本語版ではライセンス(CC BY-SA 4.0およびGFDL)の条件を満たすために改変履歴保存を求めており、投稿時刻や投稿者名の記録を必要としているためです。

版指定削除の操作を行った場合、履歴の投稿者や投稿時刻などを残したまま投稿内容のみを削除(不可視化)することができるため、問題がある投稿の本文内容のみを取り除いて巻き添え削除を防ぐことが可能です。

そのページでどの過去版が過去に削除(不可視化)されたかを調べる場合、「削除済みのみ」というチェックボックスにチェックを入れることで要約や投稿者名の削除された版を調べることができます。実際にどういった状態になるのかはテストケースを参照してください。

ログの不可視化 編集

版を削除するときと同じように、ログに対しても要約や利用者名を隠すことができます。「操作の内容と対象」を削除(不可視化)した場合、権限のない一般の利用者からはそのページに対する操作が行われなかったかのように見えます。いつ行われたどの操作が削除されたのかは、権限がないとわかりません。

これにより、従来は対応できなかった以下のような問題を処理することが可能です。

  • 悪質な移動荒らしの記録を隠すことができる(例:「○○」を「○○の住所は××市△△町」へ移動)
  • 不適切な名前のアカウントの存在をログから隠すことができる(例:「利用者:○○を殺す」)
    • ブロックされた利用者名を削除しても、ブロックされた利用者本人には通常と同じようにブロックされたことがわかります。
    • 版指定削除が行われても投稿ブロックの一覧からは通常通り利用者名が取得できます。
    • ブロック記録の削除ではアカウントの存在を完全に隠すことができないため、オーバーサイト依頼の利用も検討してみてください。
  • 削除の痕跡を残したくない場合(そのページが作成されたことを隠したい場合)。

オーバーサイトによる不可視化 編集

オーバーサイト権限を持つ利用者は管理者の版指定削除に加えて、管理者よりも上位の不可視化機能を利用することができます。不可視化の操作対象は管理者よりも広く、不可視化した内容は管理者からも秘匿されます。また、オーバーサイト権限で秘匿を行った場合、操作の記録はオーバーサイト権限を持つ利用者のみが閲覧できます。

プライバシーを侵害する記述などオーバーサイトの方針に定める特定の問題投稿に関しては、オーバーサイト依頼することも検討してください。

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