イカモニュメント (能登町)

イカモニュメントとは、石川県鳳珠郡能登町にある記念碑である。愛称はイカキング

イカの駅つくモールの建物前に設置されたイカモニュメント(イカキング)

概要 編集

2021年、観光物産施設「のと九十九湾観光交流センター」(愛称は「イカの駅つくモール」)屋外に設置されたイカの巨大モニュメントである。新型コロナウイルス対策の臨時交付金(新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金)のうち2,500万円を充てて製作されたもので、ウイルス感染終息後の観光対策を考慮したものである[1]。同年6月16日に公募により愛称をイカキングと命名、同年6月20日に案内板が設置された[2]。新型コロナウイルス対策と無関係ではないかとの声[3]、町は再塗装代として5年おきに1回150万円かかると示す[4]などを受け「税金の無駄遣い」との批判があったが、同年8月29日には町が調査結果を発表、建設費の22倍である約6億400万円の経済効果があったとされる[5]

モニュメントの大きさは全長13メートル、高さ4メートル。繊維強化プラスチック(FRP)製[6]。主な目的は観光誘客であるが[7]日本海大和堆でのイカ漁は不漁が続き、地元漁師を励ます意味も込められている[8]。町によると国が示した交付金活用事例のうち、「経済活動の回復」の中の「地域の魅力磨き上げ事業」に該当する事業として[9]プロポーザル方式(企画提案方式)で募集し実施した。賛否両論ではあるがメディアに取り上げられることによって人気の写真スポット化した[7]

交付金の使途の是非についてイギリスのBBCなど海外メディアに記事を引用された中日新聞社説にて「行政側の交付金の使途は適切との主張は無理がある」「予算案は本会議でも質疑がなく可決。町執行部と議会のなれ合いではないか」「コロナ禍の最中で感染防止や医療体制の整備など手厚くすべき政策等も考えられたはず」「自治体の力量が問われている」と行政と議会のいい加減さを批判している[8]

NPO法人Tansaが新型コロナウイルス臨時交付金が使われた約6万5000事業、3兆円分を徹底調査し、データベース化している。その中で税金の無駄遣いと考えられるもののうち目立つものを100事業選び「全国の無駄遣いワースト100事業」として公表していて、イカモニュメントも含まれている[9][10]

同じくイカの三大漁港がある函館市では、函館港青函連絡船桟橋跡(若松ふ頭)にイカモニュメントがあるが、国の交付金「ふるさと創生事業(1億円)」が使われたことで批判された[11]

2024年1月1日に発生した能登半島地震によって同地は津波も発生したが、イカモニュメントに目立った損傷はなかった。イカの駅つくモールは同日から休業を余儀なくされていたが4月8日、3か月ぶりに再開した[12]

交通 編集

 
地図

かつては鉄道のと鉄道能登線九十九湾小木駅)があったが、モニュメント設置前の2005年4月1日に廃止されている。イカの駅つくモールによると自動車、路線バスの利用が案内されている[13]

脚注 編集

  1. ^ 能登町、新型ウイルス対策の交付金で「巨大イカ」設置”. BBC JAPAN (2021年5月5日). 2021年5月5日閲覧。
  2. ^ 「命名 イカキング 能登町のモニュメントに愛称」『中日新聞』2021年6月22日、2023年12月13日閲覧
  3. ^ "スルメイカ漁が再開 地震であの「イカキング」は… 能登町" NHK NEWS WEB 2024年1月29日18時55分更新 2024年2月20日更新
  4. ^ "話題のオブジェ『イカキング』5年おきに約150万円かけお色直しへ 総工費の大半がコロナ交付金" 石川テレビ公式YouTube説明文 石川テレビ 2021年12月15日投稿 2024年1月8日閲覧
  5. ^ 「『イカキング』の経済効果6億円、建設費の22倍…コロナ交付金『無駄遣い』の批判も」『読売新聞』2022年8月30日、2023年12月20日閲覧
  6. ^ 批判にめげず 「イカキング」を大化けさせた製作者の意地とプライド ITmediaビジネスオンライン、2022年10月8日、2023年12月20日閲覧
  7. ^ a b "令和2年度 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 事業実績(総括)" 能登町
  8. ^ a b "巨大イカ像 自治力が問われている" 中日新聞 2021年6月26日5時1分更新 2023年1月5日閲覧
  9. ^ a b "巨大イカに2695万円…コロナ交付金による“地方創生”の実態" 女性自身 光文社 2022年6月16日6:00更新 2024年1月16日閲覧
  10. ^ "虚構の地方創生『結婚すればエステや指輪割引、披露宴に5万円給付/全国ワースト100事業 中部・近畿編(3)』" NPO法人Tansa 2022年3月30日20時30分更新 2024年1月16日閲覧
  11. ^ 『函館市史 通説編 第4巻』函館市、2002年、pp.698 - 702
  12. ^ 津波に勝った”イカキング” 能登町の交流施設が3か月ぶりに営業再開”. テレビ金沢 (2024年4月9日). 2024年4月12日閲覧。
  13. ^ アクセス イカの駅つくモール 2024年1月17日閲覧

関連項目 編集

外部リンク 編集