ウラルカリ(Uralkali)は、ロシア肥料メーカー。

概要 編集

ウラルカリは、ロシア最大のカリ肥料製造会社。ソビエト連邦が崩壊した後の1993年に民営化され発展を続けてきた。 2005年に隣国のベラルーシ唯一かつ最大のカリ肥料製造会社であるベラルーシカリと共同販売会社を設立、販売会社は肥料価格の高騰もあり急成長し、高い利益を得ることとなった。 さらに2011年にロシアの同業会社であるシリビニト社を吸収合併、世界2位の肥料メーカーに成長した[1]が、ベラルーシカリとの間でビジネス上の不和が生じ始めた。

2012年、ウラルカリのバウムゲルトネル社長はベラルーシとのビジネス解消を協議するためベラルーシを訪問したが、社長は訪問先でベラルーシ当局により職権乱用の容疑で逮捕された。ベラルーシ側はビジネスの解消と社長の解放条件に、ウラルカリのオーナーが所有株を売却することを条件として提示したとされ、2013年12月にはオルガルヒの一員であるドミトリー・マゼピンが売却された株を入手し、ウラルカリを引き継ぐ形となった[2]

2022年3月9日、会長のドミトリー・マゼピンはロシアによるウクライナ侵攻に伴い、欧州連合の制裁対象者となった。「ロシア連邦政府の大きな収入源となる、経済部門での活動に従事している」ことが理由とされている[3]

モータースポーツのスポンサーとして 編集

2013年、ウラルカリの会長に収まったドミトリー・マゼピンは、ウラルカリを息子のニキータ・マゼピンが出場するモータースポーツへのスポンサーとしても活用した。ニキータ・マゼピンは、下位クラスのレースから順調にステップアップを果たし、2019年にはフォーミュラ22021年にはオープンホイールレースの最高峰の「フォーミュラ1」に出走。所属するハースF1チームの車体に貼られたウラルカリのステッカーは注目を集めた。

2022年もニキータ・マゼピンはウラルカリのバックアップの下、ハースF1チームから出走する予定であったが、同年2月24日にロシアによるウクライナ侵攻が始まった。合同テストに出走していたチームは、侵攻翌日にはウラルカリのステッカーを車体から外し[4]、3月5日までにウラルカリとのスポンサー契約、ニキータ・マゼピンとのドライバー契約を解除した[5]

脚注 編集

  1. ^ ロシア肥料大手ウラルカリ、同業に買収提案”. 日本経済新聞 (2010年12月21日). 2022年3月14日閲覧。
  2. ^ ロシア・ベラルーシ肥料産業の残酷物語 カルテル崩壊で起きた値崩れ”. 朝日新聞グローバルプラス (2020年7月14日). 2022年3月14日閲覧。
  3. ^ 解雇のロシア人F1ドライバー、EUの制裁対象に 実業家の父親も”. AFP (2022年3月10日). 2022年3月14日閲覧。
  4. ^ ハースF1、ロシア・ウラルカリのロゴを車体から外す…カラーリングも変更 ウクライナ侵攻受けた措置”. 中日スポーツ (2022年2月25日). 2022年3月14日閲覧。
  5. ^ F1ハース、ロシア人ドライバーのニキータ・マゼピン解雇 ウラルカリとの契約も打ち切り”. 中日スポーツ (2022年3月5日). 2022年3月14日閲覧。

関連項目 編集