エッセイ漫画(エッセイまんが)とは、漫画作者の身の回りで起きた出来事やその感想をつづった漫画作品。コミックエッセイとも称される。実録漫画の一種。

概要編集

文学における随筆(エッセイ)になぞらえられるところから名づけられた。メディアファクトリー(現・KADOKAWA)の「コミックエッセイ劇場」では「フツーの漫画と違う『作者の体験をベースにしたコミック』と言えばいいでしょうか?」と定義している[1]。キャラクターや演出よりも読みやすさとテーマ性を重視することから、簡素で砕けた絵柄で描かれる傾向が強い。

作品の内容は基本的にノンフィクションであるが、エッセイ漫画の体裁を用いたフィクションである作品(例:野原広子『離婚してもいいですか?』)や、基本はノンフィクションだが創作を織り交ぜて虚実を曖昧にして描かれる作品(例:桜玉吉『漫玉日記シリーズ』、みずしな孝之いい電子』)も少なくない。

古くから漫画家は近況や実体験を綴ったおまけ漫画を単行本に描き下ろすことがあったが、1980年代からそういった漫画が独立した作品として成立しはじめた。漫画研究者の竹内美帆は、少女漫画雑誌『りぼん』に1986年から連載されたさくらももこちびまる子ちゃん』が、シンプルで単純化されたコマ割りと描線により、エッセイ漫画を少女読者の枠を超えた広い層へ浸透させたと指摘する[2]南信長は、80年代後半に登場した絵日記風の漫画(例:赤星たみこ『コロッケ通信』、まついなつき『みりん星通信』、もん『ザ・カリフラワーズトーク』)をエッセイ漫画の先駆けとみなしており、エッセイとギャグ漫画を融合させたという点ではとり・みき愛のさかあがり』を嚆矢としている[3]

1990年代前半に、主に育児雑誌に連載された育児コミック(例:田島みるくあたし天使あなた悪魔』、青沼貴子ママはぽよぽよザウルスがお好き』、石坂啓赤ちゃんが来た』)からジャンルとして定着[4]。また、大田垣晴子ミニコミ誌「話の特集」にてイラストと文章を組み合わせた「イラスト・エッセイ」を発表して日常観察漫画を切り開き、西原理恵子ルポ漫画(『恨ミシュラン』『鳥頭紀行』など)が無頼派という新機軸を切り開く。

2000年代以降、メディアファクトリー(現・KADOKAWA)の雑誌『ダ・ヴィンチ』が前述の大田垣などを起用して「コミックエッセイ」という呼称を浸透させる。その中でも小栗左多里ダーリンは外国人』(2002年)は国際結婚という特殊な体験と日常を描いて大ヒットし、「コミックエッセイ」の作風の基盤となった。その後はウェブ上で発表していた漫画から出版化されるケースなども増えた。最近では、『ダ・ヴィンチ』との連携で開催する『コミックエッセイプチ大賞』など、エッセイ漫画に対象を限定した漫画賞も現れている。

代表的な作品編集

自伝漫画編集

漫画家の自伝回想録的な作品。

日記漫画編集

漫画家が身辺の日常を描いた作品。

レポート漫画編集

漫画家が実際に取材してその感想を綴ったり、自らの特殊な経験を紹介したりする漫画。ルポ漫画ともいう。紀行ものや闘病記も含む。レポート漫画を参照。

育児漫画編集

育児を題材とした漫画。育児コミックを参照。

ペット漫画編集

ペット(まれに野生動物)の観察を題材とした動物漫画。日記漫画の一種。

グルメ漫画編集

料理・グルメ漫画のうち、作者自身が登場するもの。レポート漫画の一種。

時事漫画編集

作者自身が作品の中に登場し、時事問題に対して自身の見解を描く漫画。

脚注編集

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  1. ^ コミックエッセイとは? アーカイブ 2012年3月5日 - ウェイバックマシン - コミックエッセイ劇場
  2. ^ エッセイマンガというジャンルとさくらももこ――『漫画版ひとりずもう』から――
  3. ^ 南信長『現代マンガの冒険者たち』222p。
  4. ^ コミックエッセイの刊行続々と
  5. ^ ただし途中まで。
  6. ^ 旧題は「かんもく少女が同人BL漫画を描いて人生救われる話」。
  7. ^ マンガ図書館Z』など電子書籍サイトでの作品解説では「随筆漫画と称して文章と漫画を組み合わせた(中略)エッセイ・コミックの先駆けともいえる画期的な作品」と紹介している。
  8. ^ 旧題は「実話だよ!! メンヘラ彼女」。