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サンクタカリス (Sanctacaris) は、カンブリア紀中期のバージェス頁岩から発見され、基盤的な鋏角類と考えられる化石節足動物の1である[4][2][5]Sanctacaris uncata 1種のみによって知られる。

サンクタカリス
生息年代: 505 Ma[1]
20191019 Sanctacaris uncata.png
保全状況評価
絶滅(化石
地質時代
カンブリア紀
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 鋏角亜門 Chelicerata
: ハベリア目 Habeliida[2]
: サンクタカリス科 Sanctacarididae
: サンクタカリス属 Sanctacaris[3]
学名
Sanctacaris
Briggs & Collins, 1988
タイプ種
Sanctacaris uncata
Briggs & Collins, 1988
サンクタカリスの化石、背側

学名はラテン語の「聖なる爪」を意味する「sanctus」と「エビ」を意味する「caris」の合成である[3][1]

形態編集

全長最大10cm。ほぼ半球形の頭部(前体)は後方左右が鰭状に広がり、両側に一対のがある。頭部の前端には三角形の上唇ハイポストーマ[2]、下面には糸状の外肢と捕脚状の内肢からなる5対のニ叉型付属肢があり、後方ほど発達している[4]。直後は剛毛をもった付属肢の一部が見られ、全貌は不明だが、おそらくハベリアにおける第7対の付属肢に見られるような、鰭状の外肢であったと考えられる[2]

近縁であるハベリアの前方には鋏角類鋏角に相同と思われる小さな付属肢が見られるのに対して、サンクタカリスの化石からはこのような付属肢は発見できなかった。その原因は、化石の形成過程でこの付属肢は保存されず、もしくは元から二次的に退化していたと思われる[6][2]。また、ハベリアにおける5対の二叉型付属肢に強大な顎基が見られるが、サンクタカリスの化石からはこのような構造は未だに確認されていない。しかし内肢は同様にかなり前方に集約していることから、おそらくサンクタカリスも先端付近に内肢を備わった顎基をもち、これは化石の頭部に覆われて観察できなかっただけと考えられる[2]

胴部[2](後体、または腹部[4])は長く11節からなり、最終の1節を除いてそれぞれ鰭状の外肢をもつ付属肢があり、内肢は退化的であったと考えられる[4][7]尾節は扁平でジュゴンの尾びれのような形になっている[4]

生態編集

サンクタカリスは、胴部の付属肢を用いて遊泳をし、頭部の付属肢で獲物を捕獲する底生性の肉食動物であったと考えられる[3]。頭部付属肢の糸状の外肢は、触角のように感覚の役を果たしていたと考えられる[3][1]

系統関係編集

サンクタカリスは UtahcarisWisangocaris などと共にサンクタカリス科Sanctacarididae)に分類され、これは更にハベリアを含んだハベリア科と共にハベリア目Habeliida)としてまとめられる[2]。この類は体制によって基盤的な鋏角類と考えられる[2][7][5]。例えばサンクタカリスにおける頭部の5対の付属肢は、現生鋏角類の前体における5対の歩脚型付属肢(触肢と歩脚)に相同であると思われる[4][2][7]

サンクタカリスは1988年の記載当初から既に基盤的な鋏角類と考えられてきた[3]。しかし21世紀初期前後では、鋏角類との直接な関係性が一時的に否定され[8][9]Megacheira類の近縁と見なされた[10][1]。後に2014年で行われる本属への再検証と2017でのハベリアの再記述によって、本属の鋏角類的形質が再び支持が得られているようになった[4][2]


関連項目編集

参考文献編集

  • 福田芳生『古生態図集・海の無脊椎動物』川島書店、1996年。ISBN 4761005963
  1. ^ a b c d Sanctacaris - Fossil Gallery - The Burgess Shale”. 2018年11月18日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k Aria, Cédric; Caron, Jean-Bernard (2017-12). “Mandibulate convergence in an armoured Cambrian stem chelicerate” (英語). BMC Evolutionary Biology 17 (1). doi:10.1186/s12862-017-1088-7. ISSN 1471-2148. https://bmcevolbiol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12862-017-1088-7. 
  3. ^ a b c d e BRIGGS, D. E. G., COLLINS, D. 1988. A Middle Cambrian chelicerate from Mount Stephen, British Columbia. Palaeontology, 31, 3, 779–798.
  4. ^ a b c d e f g Legg, David A. (2014-12). “Sanctacaris uncata: the oldest chelicerate (Arthropoda)” (英語). Naturwissenschaften 101 (12): 1065–1073. doi:10.1007/s00114-014-1245-4. ISSN 0028-1042. https://www.researchgate.net/publication/266683582_Sanctacaris_uncata_the_oldest_chelicerate_Arthropoda. 
  5. ^ a b Aria, Cédric; Caron, Jean-Bernard (2019-09). “A middle Cambrian arthropod with chelicerae and proto-book gills” (英語). Nature 573 (7775): 586–589. doi:10.1038/s41586-019-1525-4. ISSN 1476-4687. https://www.nature.com/articles/s41586-019-1525-4. 
  6. ^ (PDF) Sanctacaris uncata: the oldest chelicerate (Arthropoda)” (英語). ResearchGate. 2018年11月17日閲覧。
  7. ^ a b c A., Dunlop, Jason; C., Lamsdell, James. “Segmentation and tagmosis in Chelicerata” (英語). Arthropod Structure & Development 46 (3). ISSN 1467-8039. https://www.academia.edu/28212892/Segmentation_and_tagmosis_in_Chelicerata. 
  8. ^ Dunlop, J. A.; Selden, P. A. (1998). Fortey, R. A.; Thomas, R. H.. eds (英語). Arthropod Relationships. Dordrecht: Springer Netherlands. pp. 221–235. doi:10.1007/978-94-011-4904-4_17. ISBN 9789401149044. https://doi.org/10.1007/978-94-011-4904-4_17. 
  9. ^ Wills, M. A.; Briggs, D. E. G.; Fortey, R. A.; Wilkinson, M.; Sneath, P. H. A. (1998). “An arthropod phylogeny based on fossil and recent taxa” (English). Arthropod fossils and phylogeny: 33–105. https://research-information.bristol.ac.uk/en/publications/an-arthropod-phylogeny-based-on-fossil-and-recent-taxa(772cb7cf-3172-43c9-8d23-23b4a86f3e94).html. 
  10. ^ Sutton, Mark D.; Briggs, Derek E. G.; Siveter, David J.; Siveter, Derek J.; Orr, Patrick J. (2002-06-22). “The arthropod Offacolus kingi (Chelicerata) from the Silurian of Herefordshire, England: computer based morphological reconstructions and phylogenetic affinities” (英語). Proceedings of the Royal Society of London. Series B: Biological Sciences 269 (1497): 1195–1203. doi:10.1098/rspb.2002.1986. ISSN 0962-8452. PMC: PMC1691018. PMID 12065034. https://www.researchgate.net/publication/11309576_The_arthropod_Offacolus_kingi_Chelicerata_from_the_Silurian_of_Herefordshire_England_computer_based_morphological_reconstructions_and_phylogenetic_affinities.