セリバシオガマ(芹葉塩釜、学名Pedicularis keiskei Franch. et Sav.[1])は、ハマウツボ科シオガマギク属分類される半寄生[2]多年草の1[3]。種小名(keiskei )は、伊藤圭介への献名[4][5]和名のセリバ(芹葉)は、葉の形態がセリに似ていることに由来する[6]

セリバシオガマ
花を付けたセリバシオガマ、木曽山脈の木曽駒ヶ岳の亜高山帯(長野県木曽郡木曽町)にて、2016年8月10日撮影
花を付けたセリバシオガマ、2016年8月
木曽山脈木曽駒ヶ岳長野県木曽郡木曽町)の亜高山帯
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : 真正キク類I euasterids I
: シソ目 Lamiales
: ハマウツボ科 Orobanchaceae
: シオガマギク属 Pedicularis
: セリバシオガマ P. keiskei
学名
Pedicularis keiskei Franch. et Sav.[1]
和名
セリバシオガマ

特徴 編集

は根元で枝分かれして[7]、高さは30-50 cm[4]、無毛でとともに軟弱[8]。葉は長さ4-8 cm、幅2-4 cmの卵状長楕円形で羽状に全開し、上部まで[9]対生する[10]。葉の裂片はさらに羽状に中裂する[10]葉柄は長さ0.4-1 cm[10]小葉はまばらにつく[3]。上茎葉は小形となり、すべて対生し、花期に根出葉はない[4]。上部の葉腋に白いを1個ずつ付け[10]、枝の頭部にも3-5対まばらに総状に花を付ける[4]花冠は左右非相称[3]、長さ約2 cmで、筒部は薄緑色[10]。上唇は先がくちばし状に細長く尖る[10]。下唇葉浅く3裂し、中裂片はごく小さい[10]雄蕊は4本、雌蕊は1本[4]は無毛[2]、卵状の筒形で長さ約4 mm[4]。花期は8-9月[3][7]蒴果は3角状狭披針形で、先が尖り、長さ12 mm、幅3 mmで、萼の約3倍[8]種子は紡すい形で突起が付く[4]

分布と生育環境 編集

日本固有種[10]本州中部地方[7]秩父山地金峰山飛騨山脈南部、八ヶ岳木曽山脈赤石山脈)のやや狭い範囲に[4]分布する[3][10]基準標本御嶽山のもの[3][10]ヒマラヤから中国西部にかけて分布する同の種(Pedicularis gracilis)と類縁であると見られていて、古くに日本に渡来して分化した種である[8]

 
深山の亜高山帯針葉樹林の林下に生育するセリバシオガマ

[7]亜高山帯針葉樹林の林下に生育する[10]

種の保全状況評価 編集

日本では以下の都道府県レッドリストの指定を受けている。

脚注 編集

参考文献 編集

  • 小野幹雄、林弥栄(監修) 編『原色高山植物大図鑑』北隆館、1987年3月30日。ISBN 4832600079 
  • 久保田修『高山の花―イラストでちがいがわかる名前がわかる』学習研究社、2007年6月。ISBN 978-4054029033 
  • 清水建美、門田裕一、木原浩『高山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑8〉、2014年3月22日。ISBN 978-4635070300 
  • 豊国秀夫『日本の高山植物』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1988年9月。ISBN 4-635-09019-1 
  • 名古屋大学付属図書館錦窠図譜の世界 -幕末・明治に博物誌-』名古屋大学付属図書館、2003年10月15日https://www.nul.nagoya-u.ac.jp/event/tenji/2003ito/kinka.pdf 
  • 佐竹義輔大井次三郎北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本Ⅲ合弁花類』平凡社、1981年10月。ISBN 4582535038 
  • 前沢秋彦『高山植物』保育社〈標準原色図鑑全集 11〉、1970年1月。ISBN 4586320117 
  • 林弥栄『日本の野草』〈山溪カラー名鑑〉2009年10月。ISBN 9784635090421 

関連項目 編集

外部リンク 編集