ドモナラズ日本競走馬。馬名は「どうにもならず」、丹後弁で「どうにもならない腕白者」の意[1][2]。馬主は珍名馬を数多く所有することで知られる小田切有一

ドモナラズ
欧字表記 Domonarazu
品種 サラブレッド
性別
毛色 栗毛
生誕 2005年1月9日
死没 不明
登録日 2007年9月20日
抹消日 2012年1月4日 (JRA)
2012年6月18日 (NAR)
アフリート
アンプルカット
母の父 ナリタハヤブサ
生国 日本の旗 日本 北海道門別町(現日高町
生産者 下河辺牧場
馬主 小田切有一
調教師 音無秀孝栗東
新井清重船橋
競走成績
生涯成績 50戦6勝
獲得賞金 1億1821万8000円
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戦績 編集

2007年10月21日、京都競馬場第4レースの新馬戦(ダート1400メートル)に岩田康誠騎乗でデビューした。デビュー戦は2番人気ダンツヘイローに5馬身差をつけて逃げ切られ[3]、ドモナラズは2着だった。その後もダートの短距離戦を使われていたが、2009年2月21日に初芝となった500万下平場戦を勝ち上がってからは芝の中距離レースへと主戦場を変えた。

1000万下条件を勝利するまでの下級条件時は全4勝を通過順位6番手以内の先行脚質で、2009年4月4日の明石特別(1000万下)勝利時に騎乗した北村友一が「いい具合で並ばれる形になったので、馬が頑張ってくた。2番手から上手なレースをしてくれた」[4]、2010年2月14日の飛鳥ステークス(1600万下)勝利時に騎乗した池添謙一も「並んでしぶとい面を出す競馬をしたい」[5]と言ったように、先行して粘る競馬を身上としていた。

オープンへ昇級後はなかなか結果がついて来ずに、「オープンのカベを感じている」(東田助手[6]状態だったが、柴田善臣が騎乗した2010年7月11日の七夕賞GIII)では、これまでの先行策から一転して後方につけ、4角最後方から大外に進路を取り、残り数十メートルの地点で差し切って重賞初勝利を飾った[7]。柴田は以前に騎乗した際に引っ掛かりながら意図しない場面で先頭に出てしまったことが印象に残っており、それを踏まえた上で後方からのレースを考えていたという[8]。なお、アフリート産駒のJRA芝重賞制覇は2001年のCBC賞(GII)[注 1]リキアイタイカンが勝利して以来、9年振りのことであった。

続く8月1日の小倉記念では、出走18頭中12-14番手を追走するも11着に敗れた[9]。前が詰まる場面もあったが直線では伸びきれず、調教師の音無秀孝は敗因を暑さでのバテに求めた[10]。鞍上の柴田は当日が小倉競馬場での初騎乗となり、レース前には報道陣を前に「ドウモナラナイネ?」とおどけて見せていたが[11]、発言通りの結果となってしまった。サマー2000シリーズ優勝を狙い[12]出走した8月29日の新潟記念では、最後方でレースを進めるも2戦続けて11着と大敗した。レース前の音無は「コンスタントに使っているが、体調は維持できている」と体調面に自信を見せていたが[13]、鞍上の柴田はレースを振り返り「夏負けかも。すぐ止まろうとする感じだった」とコメントした[14]。サマー2000シリーズも勝ち馬ナリタクリスタルに1ポイント及ばず、2位タイでシリーズを終えた[15]。暫くの休養後、12月11日の中日新聞杯へ出走。好位を追走するも直線伸びきれず7着に敗れた。続く12月26日の2010ファイナルステークスでは3番手追走も11着に敗れた。

明けて6歳緒戦の日経新春杯では後方でレースを進めるも11着、続く小倉大賞典でも12着と大敗。洛陽ステークスでは後方から鋭伸したが6着、中京記念では7着と惨敗。暫くの休養後、6月26日の夏至ステークスへ出走。中位を追走するも直線伸びきれず9着に敗れた。連覇をかけて挑んだ七夕賞では後方から追い上げてくるものの5着、続く7月31日の小倉記念では中団を追走するも12着、小倉日経オープンでは後方追走のまま7着、京成杯オータムハンデキャップでは10着、ポートアイランドステークスでは6着、富士ステークスでは16着、連闘で臨んだカシオペアステークスは13着、福島記念では中団を追走するも伸びず12着、中日新聞杯では後方追走のまま14着、2011ファイナルステークスでは13着に敗れた。

2012年1月4日付けでJRA競走馬登録を抹消、船橋競馬に移籍[16]。船橋競馬移籍緒戦の隅田川オープンでは11着、連闘で臨んだ房の国オープンは4着。5月2日のかしわ記念では中団を追走するも直線伸びず11着に敗れた。大井記念は16着と殿負けに終わった。6月18日付で地方競馬登録を抹消された。重賞レースを勝っているにもかかわらず功労馬繋養展示事業の対象馬になっておらず、その後の消息は分かっていない。

競走成績 編集

年月日 競馬場 競走名 頭数 オッズ
(人気)
着順 騎手 斤量 距離(馬場) タイム
(上り3F)
タイム
勝ち馬/(2着馬)
2007 10. 21 京都 2歳新馬 10 13.0 (5人) 2着 岩田康誠 55 ダ1400m(稍) 1:28.0 (38.5) 0.9 ダンツヘイロー
2008 1. 26 京都 3歳未勝利 14 17.7 (5人) 8着 C.ルメール 56 ダ1800m(稍) 1:57.0 (38.3) 1.0 エーシンダボーブイ
2. 3 京都 3歳未勝利 12 3.5 (2人) 4着 C.ルメール 56 ダ1200m(重) 1:13.9 (37.8) 0.7 ケンモンスター
2. 23 京都 3歳未勝利 16 6.2 (4人) 1着 荻野琢真 53 ダ1200m(良) 1:15.1 (37.0) -0.1 (ファンドリハンター)
6. 22 阪神 3歳上500万下 16 43.8 (11人) 10着 川田将雅 54 ダ1200m(不) 1:11.3 (35.6) 1.1 メガリス
9. 6 小倉 唐津特別 500万下 16 122.1 (14人) 14着 角田晃一 54 ダ1700m(良) 1:48.8 (39.8) 3.8 コオリナストーン
2009 1. 10 京都 4歳上500万下 16 37.1 (10人) 10着 高田潤 56 ダ1400m(稍) 1:26.7 (37.8) 1.4 マサヤマト
2. 7 京都 4歳上500万下 16 103.6 (13人) 12着 高田潤 57 ダ1400m(良) 1:26.9 (38.5) 1.2 フミノパシフィック
2. 21 小倉 4歳上500万下 16 18.1 (7人) 1着 北村友一 56 芝1800m(良) 1:47.6 (36.4) 0.0 (タニオブゴールド)
3. 22 中京 瀬戸特別 1000万下 11 35.9 (12人) 5着 北村友一 57 芝2000m(稍) 2:04.1 (38.2) 0.1 シゲルエスペレ
4. 4 阪神 明石特別 1000万下 10 9.9 (4人) 1着 北村友一 57 芝2000m(良) 2:02.1 (34.8) 0.0 (タガノファントム)
4. 25 京都 メルボルンT 1600万下 16 19.9 (5人) 7着 川田将雅 57 芝2000m(不) 2:04.8 (37.0) 0.8 ホワイトピルグリム
7. 25 新潟 佐渡特別 1000万下 12 8.8 (5人) 5着 内田博幸 57 芝2200m(良) 2:12.8 (36.1) 0.9 テンシノゴールド
8. 8 新潟 信濃川特別 1000万下 17 15.1 (4人) 11着 後藤浩輝 57 芝2000m(良) 1:59.4 (35.5) 1.1 セイクリッドバレー
9. 5 小倉 不知火特別 1000万下 11 4.8 (3人) 1着 太宰啓介 57 芝1800m(良) 1:47.1 (34.9) -0.2 (ゴールデンガッツ)
9. 21 阪神 西宮S 1600万下 18 56.4 (10人) 13着 池添謙一 55 芝1800m(良) 1:46.6 (36.4) 1.8 ナムラクレセント
10. 10 京都 大原S 1600万下 16 134.1 (14人) 7着 池添謙一 57 芝2000m(良) 1:59.2 (35.6) 1.2 アーネストリー
10. 25 東京 テレビ静岡賞 1600万下 18 30.7 (10人) 11着 柴山雄一 54 芝1800m(稍) 1:48.6 (35.0) 1.0 ゴールデンダリア
2010 1. 24 中京 名鉄杯 1600万下 16 130.8 (15人) 11着 生野賢一 54 芝1800m(良) 1:48.3 (37.4) 1.1 エアシャトゥーシュ
2. 7 東京 早春S 1600万下 12 83.3 (10人) 12着 柴田善臣 57 芝1800m(良) 1:48.1 (35.1) 1.0 コロンバスサークル
2. 14 京都 飛鳥S 1600万下 11 73.1 (10人) 1着 池添謙一 57 芝1800m(良) 1:47.3 (34.7) 0.0 (スカイリュウホー)
3. 13 中京 中京記念 GIII 18 68.2 (14人) 17着 北村友一 53 芝2000m(良) 2:03.1 (36.1) 1.1 シャドウゲイト
4. 4 中山 ダービー卿CT GIII 16 90.6 (14人) 12着 戸崎圭太 53 芝1600m(良) 1:35.1 (34.2) 0.8 ショウワモダン
5. 22 東京 メイS OP 16 127.1 (14人) 10着 田中勝春 56 芝1800m(良) 1:46.9 (35.4) 1.2 ショウワモダン
6. 13 東京 エプソムC GIII 18 215.4 (17人) 11着 丸田恭介 56 芝1800m(良) 1:46.8 (35.5) 0.7 セイウンワンダー
6. 27 福島 福島テレビOP OP 16 15.5 (7人) 4着 田中勝春 56 芝1800m(稍) 1:48.6 (36.5) 0.9 バトルバニヤン
7. 11 福島 七夕賞 GIII 16 19.8 (11人) 1着 柴田善臣 52 芝2000m(良) 2:00.4 (34.7) 0.0 アルコセニョーラ
8. 1 小倉 小倉記念 GIII 17 15.7 (7人) 11着 柴田善臣 55 芝2000m(良) 1:58.7 (35.0) 0.8 ニホンピロレガーロ
8. 29 新潟 新潟記念 GIII 17 58.8 (16人) 11着 柴田善臣 55 芝2000m(良) 1:59.0 (33.2) 0.6 ナリタクリスタル
12. 11 小倉 中日新聞杯 GIII 18 112.3 (16人) 7着 北村友一 54 芝2000m(良) 1:59.9 (34.7) 1.2 トゥザグローリー
12. 26 阪神 ファイナルS OP 14 49.7 (10人) 11着 安部幸夫 54 芝1600m(良) 1:35.5 (35.4) 1.4 シルポート
2011 1. 16 京都 日経新春杯 GII 13 212.1 (10人) 11着 北村友一 54 芝2400m(良) 2:27.1 (35.9) 2.5 ルーラーシップ
2. 5 小倉 小倉大賞典 GIII 16 60.3 (12人) 12着 北村友一 54 芝1800m(良) 1:46.4 (35.3) 1.1 サンライズベガ
2. 20 京都 洛陽S OP 16 108.6 (12人) 6着 太宰啓介 53 芝1600m(稍) 1:35.8 (36.3) 1.2 キングストリート
3. 20 小倉 中京記念 GIII 16 45.5 (14人) 7着 太宰啓介 53 芝2000m(稍) 2:01.4 (36.7) 1.4 ナリタクリスタル
6. 26 中山 夏至S OP 14 61.1 (9人) 9着 柴田善臣 57 芝1800m(良) 1:47.9 (35.0) 1.1 フィフスペトル
7. 10 中山 七夕賞 GIII 17 98.6 (14人) 5着 柴田大知 53 芝2000m(良) 2:01.0 (35.1) 0.5 イタリアンレッド
7. 31 小倉 小倉記念 GIII 18 39.2 (14人) 12着 北村友一 53 芝2000m(良) 1:58.5 (36.8) 1.2 イタリアンレッド
8. 21 小倉 小倉日経OP OP 10 27.9 (8人) 7着 北村友一 57 芝1800m(重) 1:48.3 (35.6) 0.6 ガンダーラ
9. 11 中山 京成杯AH GIII 14 130.7 (13人) 10着 嶋田純次 53 芝1600m(良) 1:32.8 (34.6) 0.9 フィフスペトル
10. 2 阪神 ポートアイランドS OP 15 175.2 (14人) 6着 国分優作 57 芝1600m(良) 1:34.7 (35.1) 0.3 ショウリュウムーン
10. 22 東京 富士S GIII 17 205.4 (17人) 16着 柴田大知 56 芝1600m(不) 1:36.1 (36.0) 1.1 エイシンアポロン
10. 30 京都 カシオペアS OP 18 77.3 (14人) 13着 国分優作 53 芝1800m(良) 1:47.2 (34.9) 1.0 ダイワファルコン
11. 20 新潟 福島記念 GIII 18 96.4 (13人) 12着 村田一誠 56 芝2000m(重) 2:01.0 (36.2) 1.9 アドマイヤコスモス
12. 10 小倉 中日新聞杯 GIII 18 276.6 (18人) 14着 国分優作 52 芝2000m(稍) 2:00.7 (36.1) 1.1 コスモファントム
12. 25 阪神 2011ファイナルS OP 18 87.0 (13人) 13着 高倉稜 51 芝1600m(良) 1:35.2 (35.6) 1.0 コスモセンサー
2012 3. 29 大井 隅田川OP 13 36.3 (8人) 11着 本橋孝太 57 ダ1800m(良) 1:54.6 (38.2) 3.0 コロナグラフ
4. 5 船橋 房の国OP 12 26.4 (6人) 4着 繁田健一 58 ダ1600m(稍) 1:42.5 (39.9) 1.1 クリーン
5. 2 船橋 かしわ記念 JpnI 13 207.2 (10人) 11着 森泰斗 57 ダ1600m(重) 1:41.3 (40.2) 4.8 エスポワールシチー
5. 23 大井 大井記念 SII 16 59.8 (10人) 16着 本橋孝太 58 ダ2600m(重) 3:00.1 (48.9) 12.0 トーセンルーチェ

血統表 編集

母アンプルカットはナリタハヤブサを父に持つ下河辺牧場の自家生産馬で、ナリタハヤブサの産駒の中でも数少ないJRAデビューを果たした馬であった[17]。また、ナリタハヤブサの産駒で繁殖入りした唯一の馬である。母、母父ともに強いダート適性を持っていたことから、交配相手にはダートに秀でたアフリートが選ばれ、2005年の初生産馬として出生した[17]

ドモナラズ血統ミスタープロスペクター系 / Nasrullah5×5=6.25%) (血統表の出典)

* アフリート
Afleet
1984 栗毛
父の父
Mr. Prospector
1970 鹿毛
Raise A Native Native Dancer
Raise You
Gold Digger Nashua
Sequence
父の母
Polite Lady
1977 鹿毛
Venetian Jester Tom Fool
Venice
Friendly Ways Green Ticket
Ways to Learn

アンプルカット
1997 鹿毛
ナリタハヤブサ
1987 鹿毛
*ナグルスキー
Nagurski
Nijinsky II
Deceit
フェアーカップ *ダイハード
健宝
母の母
*ギャラントミシー
Gallant Missy
1977 鹿毛
Raja Baba Bold Ruler
Missy Baba
Charger's Love Gallant Man
Charger's Lady F-No.2-s


脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 当時の格付け。2006年よりGIIIに格下げされて現在に至っている。

出典 編集

  1. ^ 馬名由来 5歳馬(2005年度産)” (PDF). JRA. 2010年8月30日閲覧。
  2. ^ 【七夕賞】伏兵V!ドモナラズ「どうにかなった」 Sponichi Annex 2010年7月12日付記事
  3. ^ 【新馬】(京都4R)?ダンツヘイロー 5馬身差でV - ラジオNIKKEI、2007年10月21日付記事。
  4. ^ 【明石特別】(阪神)?ドモナラズが2番手から抜け出す - ラジオNIKKEI、2009年4月4日付記事より引用。
  5. ^ 【飛鳥S】(京都)?伏兵ドモナラズ 追い比べ制す - ラジオNIKKEI、2010年2月14日付記事より引用。
  6. ^ 『東京11R エプソムカップ』、中京スポーツ16面、2010年5月21日付記事。
  7. ^ 【七夕賞】ドモナラズ初重賞制覇! 柴田善J3週連続V! KEIBA LAB 2010年7月11日付記事
  8. ^ 【七夕賞】善臣絶好調!ドモナラズが快勝 - サンケイスポーツ、2010年7月11日付記事。
  9. ^ 第46回農林水産省賞典 小倉記念(GIII) Yahoo!スポーツ 2010年8月1日閲覧
  10. ^ 【小倉記念】戦い終えて Sponichi Annex 2010年8月2日付記事
  11. ^ 善臣26年目初の小倉、ドモナラズで七夕賞再現だ、報知新聞、2010年7月30日付記事<より引用。
  12. ^ ドモナラズ5着以内でV狙う/新潟記念 日刊スポーツ 2010年8月24日付記事
  13. ^ ドモナラズもスマートギアも新潟は歓迎/新潟記念 - netkeiba.com 2010年8月23日付記事
  14. ^ 【新潟記念】戦い終えて - Sponichi Annex 2010年8月30日付記事
  15. ^ サマーシリーズ2010 - JRA 2010年8月30日閲覧
  16. ^ ドモナラズが船橋に移籍”. ラジオNIKKEI. 2022年7月31日閲覧。
  17. ^ a b 重賞ウイナーINFORMATION ドモナラズ JBBA 2010年9月15日閲覧

外部リンク 編集