ハマボウフウ

セリ科ハマボウフウ属の植物

ハマボウフウ(浜防風、学名:Glehnia littoralis)とは、被子植物セリ科ハマボウフウ属の一種。 海岸の砂地に自生する海岸性の多年草山菜として食用にするほか、漢方薬・民間療法薬として利用される。八百屋防風と呼ばれることもある[8]。名称の由来は中国産の防風と根の効用が似ており、浜辺に自生することからであり、海岸防風林とは関係がない。

ハマボウフウ
Glehnia littoralis.jpg
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : キキョウ類 campanulids
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: ハマボウフウ属 Glehnia [1][2]
: ハマボウフウ G. littoralis [3]
学名
Glehnia littoralis
F.Schmidt ex Miq. (1867) [3][4]
シノニム

Phellopterus littoralis [5]

和名
ハマボウフウ
英名
American Silvertop[6][7]

形態編集

は1-2回3出複葉で、小葉は楕円形。葉の表面にはクチクラ層が発達しており、肉厚でつやがある。花期以外は葉はあまり高く伸びず、丈が低い。はゴボウに似て非常に長く、地中深く伸びる。これらの特徴は海浜植物に共通のものである。花期は5-7月ごろで、南方ほど早い。花茎は立ち上がり、大きいものは50cmを越えることもあるが、より背の低いことが多い。白色の毛が多数生える。花序は肉質・白色で、カリフラワーに似る。種子の側面には6-7本のひだがある。

分布編集

海岸地帯に自生し、カムチャツカ半島以南、日本では北海道から南西諸島にかけて分布。

かつては各地の海岸で知られていたが、海浜侵食河川護岸川砂採取などによるの供給量減少が原因と見られている)等で、近年自生地が著しく減少している。福島県ではレッドデータブックに記載されている(福島県における評価は絶滅危惧II類)。原因としては、海岸線が開発されて分布できなくなった、食用・薬用として採取し尽された、などが考えられる。後者については、民間療法薬としてもてはやされ、糖尿病に効果があるなど、様々な俗説が広まってしまい、乱獲に拍車をかけている可能性がある。

利用編集

食用編集

食用としては、新芽が、酢味噌和え(ほんの軽く茹でるのみ)、天麩羅、生食、主に刺身のつま等に利用されてきた[* 1]。基本的には野草だが、野菜として認識している人もいるほどで、人々にとっては馴染み深い植物であるようだ。食用とするために海岸などで栽培される。また、畑での栽培も可能であるという。

薬用編集

ハマボウフウの根は、漢方では「北沙参」と呼ばれ、去痰、解熱、鎮咳薬などとして利用される[10]。 日本では、生薬の一種、防風の代用品として利用される。効能は防風と同じか、それより劣るとされている。ハマボウフウの根や根茎などにはクマリン配糖体が含まれ、発汗解熱鎮痛などに用いられる。また、民間療法では婦人病の薬とされるうえ、最近では糖尿病に効能を示すともいわれている。しかし、糖尿病については俗説の域をでておらず、効能があるかは定かでない。

ギャラリー編集

脚注編集

注釈編集

  1. ^ 砂糖菓子としての利用もあった[9]

出典編集

  1. ^ 米倉浩司『高等植物分類表』北隆館、2010年、重版。ISBN 978-4-8326-0838-2
  2. ^ 大場秀章(編著)『植物分類表』アボック社、2010年、第2刷。ISBN 978-4-900358-61-4
  3. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Glehnia littoralis F.Schmidt ex Miq.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2012年8月12日閲覧。
  4. ^ "'Glehnia littoralis F. Schmidt ex Miq.". Tropicos. Missouri Botanical Garden. 1700797. 2012年8月12日閲覧
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Phellopterus littoralis Benth.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2012年8月12日閲覧。
  6. ^ Glehnia littoralis in Encyclopedia of Life
  7. ^ Glehnia littoralis F. Schmidt ex Miq. in ITIS
  8. ^ やおやぼうふう【八百屋防風】の意味 - 国語辞書 - goo辞書(デジタル大辞泉)
  9. ^ ハマボウフウ(浜防風)”. NPO法人ゆい. 2012年9月8日閲覧。
  10. ^ 江蘇新医学院 編 (1977). 中葯大辞典. 上海: 上海科学技術出版社. pp. 644 

参考文献編集

  • 中西弘樹『海から来た植物:黒潮が運んだ花たち』八坂書房、2008年。
  • 『山野草写真大百花』3 低地・海岸の花、月刊さつき研究社、1988年。

外部リンク編集