ホーランエンヤ (島根県)

ホーランエンヤは、島根県松江市で10年に1度開催される城山稲荷神社式年神幸祭(式年祭)の祭事。漢字では「宝来遠弥」あるいは「豊来栄弥」の字をあてる。城山稲荷神社の御神体を載せた船団が大橋川から意宇川を通って阿太加夜神社に渡る渡御祭、阿太加夜神社において櫂伝馬奉納などが行われる中日祭、再び御神体を載せた船団が城山稲荷神社に還る還御祭の三つの祭礼から構成される。櫂伝馬船での「櫂伝馬踊り」は松江市指定無形民俗文化財に指定されている。大阪天満宮(大阪市)の天神祭、厳島神社(広島県廿日市市)の管絃祭とともに日本三大船神事のひとつとされる。
歴史編集
慶安元年(1648年)出雲国で大規模な凶作となったことを受けて、当時の松江藩主の松平直政が城山稲荷神社の御神体を船に載せて阿太加夜神社まで運び、五穀豊穣を祈願する祭礼を行ったのが起源とされる。当初は10年周期で行われ、途中で12年周期(ただし、数えで12年の為、正しくは11年毎)に変わったが、不況や戦争などで周期通りに執り行われないことも多く、正確な回数は不明である[2]。
2009年に行われたホーランエンヤは、2007年から2011年にかけて松江市で開催された「松江開府400年祭」のメインイベントの一つとなっていた。
2010年に関係者が協議し、開催周期を当初の10年周期に戻すことを決定した[3]。
2012年10月28日、松江ホーランエンヤ伝承館が開館。
開催リスト編集
※記録が残る明治以降
開催年 | 渡御祭 | 中日祭 | 還御祭 | 備考 |
---|---|---|---|---|
明治3年(1870年) | ||||
明治14年(1881年) | 4月24日 | 5月2日 | 11年ぶり | |
明治25年(1892年) | 5月14日 | 5月22日 | 11年ぶり | |
明治36年(1903年) | 5月15日 | 5月19日 | 5月23日 | 11年ぶり |
大正4年(1915年) | 5月18日 | 5月22日 | 5月26日 | 12年ぶり |
昭和4年(1929年) | 5月18日 | 5月22日 | 5月26日 | 14年ぶり |
昭和23年(1948年) | 5月16日 | 5月20日 | 5月24日 | 19年ぶり |
昭和33年(1958年) | 5月10日 | 5月14日 | 5月18日 | 10年ぶり |
昭和44年(1969年) | 5月10日 | 5月14日 | 5月18日 | 11年ぶり |
昭和60年(1985年) | 5月18日 | 5月22日 | 5月26日 | 16年ぶり |
平成9年(1997年) | 5月17日 | 5月21日 | 5月25日 | 12年ぶり |
平成21年(2009年) | 5月16日 | 5月20日 | 5月24日 | 12年ぶり |
令和元年(2019年) | 5月18日 | 5月22日 | 5月26日 | 10年ぶり |
日程編集
開催年の5月中旬頃から9日間で執り行われる。期間中には「渡御祭」、「中日祭」、「還御祭」の3つの祭礼が行われる。
- 渡御祭(とぎょさい)
- 城山稲荷神社で宮出しが行われ、御神体が神輿船に載せられた後に船の一団が出航し、大橋川を下降して阿太加夜神社へ向かう。豪華絢爛に飾られた櫂伝馬船の上では派手な衣装とメイクの踊り手が櫂伝馬踊りを披露する。
- 中日祭(ちゅうにちさい)
- 御神体が到着した翌日から7日間の祈祷が行われるが、その中日に阿太加夜神社の境内で櫂伝馬踊りが奉納される。
- 還御祭(かんぎょさい)
- 7日間の祈祷が終了した翌日に、渡御祭とは逆の経路で城山稲荷神社まで御神体が運ばれ、到着後に櫂伝馬踊りが奉納されたて祭礼の幕が下りる。
船団の構成編集
ホーランエンヤの櫂伝馬船には地区ごとに一番船から五番船までがある(これは船行列の順序とは異なる。神輿船に近い順番である)。
- 一番船(馬潟地区)
- 二番船(矢田地区)
- 三番船(大井地区)
- 四番船(福富地区)
- 五番船(大海崎地区)
このほかに神輿船をはじめ、複数の神器船・神能船・神楽船など、100隻以上の船が船団を構成する。
先頭から、大海崎-福富-大井-矢田-馬潟の順となっている。五番船の大海崎地区は「先頭船」の旗を掲げている。
関連番組編集
2019年編集
- NHK松江放送局
- 『さんいんスペシャル 見どころいっぱい!ホーランエンヤ』(5月17日、19:30~19:56)
- 『生中継!松江・ホーランエンヤ~10年に1度 大水上絵巻~』(5月18日、10:00~11:00)※渡御祭生中継
- 『小さな旅 ホーランエンヤ~島根県 松江市〜』(6月9日、8:00〜8:25〔初放送〕)
- NHK BS4K
- 『生中継!松江・ホーランエンヤ~10年に1度の大水上絵巻~』(5月18日、10:00~11:00)※渡御祭生中継
- 日本海テレビジョン放送
- 『ホーランエンヤ 水都を彩る時代絵巻』(5月26日、12:35~13:30)※還御祭生中継
- 山陰放送
- 『山陰放送開局65周年記念特別番組 令和元年 ホーランエンヤ』(5月26日、12:54~13:54)※還御祭生中継
- 山陰中央テレビジョン放送
- 『豪華絢爛!令和のホーランエンヤ』(5月26日、13:00~14:00)※還御祭生中継
- 『ダイドードリンコ日本の祭り 令和の小さな伝承者たち ~松江城山稲荷神社式年神幸祭ホーランエンヤ~』(6月22日、12:00~12:55)
2009年編集
- 山陰放送
- 『山陰放送開局55周年記念番組 - 生中継!伝統・ホーランエンヤ』(5月16日、10:00~11:00)※渡御祭生中継
- 『特集テレポート 祭りは12年刻みの暦 ~ホーランエンヤのふるさとで~』(5月30日、17:00~17:30)
- 日本海テレビジョン放送
- 『360年の伝承・ホーランエンヤ ~伝統を受け継ぐ人々~』(5月16日、10:05~11:20)※渡御祭生中継
- 山陰中央テレビジョン放送
- 『TSKスーパーニューススペシャル ~伝承ホーランエンヤ 芽生える伝統の息吹~』(3月28日、11:00~11:30)
- 『生中継!ホーランエンヤ還御祭 ~伝統をつむぐ水上絵巻~』(5月24日、13:00~13:55)※還御祭生中継
- 『ダイドードリンコスペシャル 日本の祭り2009 誇りを受け継ぐ若者達 ~水都に響くホーランエンヤ~』(6月13日、16:00~16:55)
- NHK松江放送局
- 『ふるさと発 守り、伝える~船神事・ホーランエンヤ~』(6月12日、19:30~19:55)
脚注編集
- ^ 山陰中央新報社|ホーランエンヤ 有終の舞 壮観 還御祭 18万人酔う(2019年5月27日付)
- ^ ダイドー祭りドットコム2009|今年応援する日本の祭り27|松江城山稲荷神社式年神幸祭ホーランエンヤ
- ^ 松江の船神事「ホーランエンヤ」 開催周期10年に短縮:日本経済新聞(2010年8月5日付)
参考文献編集
- 鈴木岩弓「松江のホーラエンヤ-都市における伝統的祭りの実態-」『山陰地域研究』第2号、山陰研究センター、1986年、 14頁。