マルダー歩兵戦闘車

ドイツ連邦軍の歩兵戦闘車

マルダー歩兵戦闘車ドイツ語: Schützenpanzer Marder)は、ドイツ連邦軍陸軍が装備する歩兵戦闘車である。「マルダー」は、ドイツ語で「テン(貂)」を意味する。

マルダー歩兵戦闘車
基礎データ
全長 6.880m
全幅 3.380m
全高 3.015m
重量 33.5t
乗員数 3名+兵員6名
装甲・武装
主武装 MK.20 Rh202 20mm機関砲
副武装 ミラン対戦車ミサイル発射機
MELLS対戦車ミサイル(1A5A1)
MG3 7.62mm機関銃
機動力
速度 66km/h
エンジン MTU MB 833 Ea-500
4ストロークV型6気筒液冷ターボチャージドディーゼル
600ps(441kw
懸架・駆動 トーションバー方式
行動距離 500km
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概要 編集

 
マルダー1のガンポート。A3以降では上から装甲が追加され、廃止された。
  • [1] - マルダー1の試作車

1971年より西ドイツ陸軍での運用を開始[注 1]し、この2年後から就役し始めたフランス陸軍AMX-10P歩兵戦闘車とともに、中口径機関砲を主武装とする最初の歩兵戦闘車となった。このコンセプトは、歩兵戦闘車BMP-1を配備したソビエト連邦軍にも導入された。

 
対戦車ミサイルは射手が車上へ身を乗り出さなければならない

マルダー1A1やマルダー1A2といった改良型が存在したが、現在配備されているのは更に改良が施されたマルダー1A3とマルダー1A5であり、2011年時点での最新型はマルダー1A5A1である。

派生型として、操縦士訓練用車両や、マルダーの車体にローランド地対空ミサイル発射機を装備する砲塔を搭載した対空車両がある。

マルダーの車体に自動装填装置付きの無人オーバーヘッド砲塔を搭載したVTS-1という車両も存在し、スウェーデンにもUDES 19という同様の研究車両が存在した。

マルダーの後継として当初、マルダー2ドイツ語版[注 2]が開発されていたが計画中止となり、プーマが開発された。しかし、ドイツ連邦軍に納入されたプーマが演習中に不具合を発生させたことから、2022年に調達中止が決定[1]。マルダーの置き換えスケジュールは不透明なものとなった。

採用国 編集

VTS-1 編集

VTS-1
 
基礎データ
全長 6.79m
全幅 3.24m
全高 3.05m
重量 28.4t
乗員数 3名(車長操縦士砲手
装甲・武装
主武装 L7A3 105mm戦車砲
機動力
速度 75km/h
エンジン MTU MB 833 Ea-500 V型6気筒ターボチャージドディーゼル
21.3ps/t
行動距離 520km
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VTSとは、"Versuchsträger Schützenpanzer"(技術実証型歩兵戦闘車)のこと。KPz.3(Kampf Panzer.3)開発計画の一環。Scheitellafette(頭上砲架)の技術検証用の試作車両

マルダーの車体にL7A3 105mm戦車砲を搭載。砲塔は限定旋回式で、旋回角は左右各60°で、仰俯角は+15°から-10°である。

1976年から研究開始。1978年ティッセン・ヘンシェル社で1両のみ製造。1978年夏から試験開始。

登場作品 編集

FUTURE WAR 198X年
ローランド地対空ミサイルを装備した型式が登場する。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 西ドイツ陸軍はこれに先立ちラングHS.30歩兵戦闘車を配備していた。
  2. ^ 既存のマルダーとは別物で、レオパルト2主力戦車とコンポーネントを共有する、後のプーマに近い規模の車両だった。

出典 編集

  1. ^ 独、最新鋭戦闘車に不具合 調達見合わせへ”. AFP (2022年12月20日). 2022年12月20日閲覧。
  2. ^ 2022年ロシアのウクライナ侵攻への抗戦のため、オラフ・ショルツ首相が2023年1月5日に供与表明。出典:「ウクライナ支援 独、歩兵戦闘車供与へ パトリオットも提供」『読売新聞』夕刊2023年1月9日3面(2023年1月9日閲覧)。

関連項目 編集

外部リンク 編集