ルノー・R27 (Renault R27) はルノーF12007年のF1世界選手権に投入したフォーミュラ1カーボブ・ベル(テクニカルディレクター)、ティム・デンシャム(チーフデザイナー)、ディノ・トソ(チーフエアロダイナミシスト)によって設計され、2007年の開幕戦から最終戦まで実戦投入された。

ルノー R27
シルバーストンでデモランを行うR27 ロマン・グロージャンがドライブ
シルバーストンでデモランを行うR27
ロマン・グロージャンがドライブ
カテゴリー F1
コンストラクター ルノー
デザイナー ボブ・ベル
ティム・デンシャム
ディノ・トソ
先代 ルノー・R26
後継 ルノー・R28
主要諸元
エンジン ルノーRS27
燃料 エルフ
タイヤ ブリヂストン
主要成績
チーム INGルノーF1チーム
ドライバー イタリアの旗 ジャンカルロ・フィジケラ
フィンランドの旗 ヘイキ・コバライネン
出走時期 2007年
通算獲得ポイント 51
初戦 2007年オーストラリアGP
最終戦 2007年ブラジルGP
出走優勝表彰台ポールFラップ
170100
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2006年にダブルタイトルを獲得したルノーR26の進化型。フロントサスペンションは独自のVキールを踏襲し、前から見たときのアームの角度はほぼ地面と平行である。

サイドポンツーンの前端下部は過激に絞り込まれ、側面の整流板(ボーダウィング)はそのまま後輪前のフィン・小ウィングに続いて一体化している。バックミラーはボーダウィングと一体型で[1]フェラーリ248F1をさらに過激にしたようになった。

カラーリングはタイトルスポンサーがマイルドセブンからINGに変わったため、前身のベネトン時代から見慣れた水色に代わり、白とオレンジを基調にしたカラーリングになった。

また、IGCと呼ばれるシームレスシフトをルノーとしては初めて実戦投入した。このギアボックスはシフトチェンジに要する時間が限りなくゼロに近くなるよう設計されている[2]

前年限りでミシュランタイヤが撤退したため、R27はブリヂストンタイヤを装着することになったが、シーズンを通してマッチングに苦しんだ。ルノーのマシンはミシュランの特性に合わせて重量配分を後ろ寄りにしていたが、ブリヂストンの場合は前方寄りにする方が正解だった[3]。また、ブレーキング時のフロントタイヤのたわみによる空力的影響も課題となった[3]

2007年シーズン

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エースドライバーのフェルナンド・アロンソマクラーレンへ移籍したため、ジャンカルロ・フィジケラがエースに昇格し、ルーキーのヘイキ・コバライネンとコンビを組んだ。

2年連続チャンピオンチームにもかかわらずシーズン序盤から苦戦を強いられ、コバライネンに対してはフラビオ・ブリアトーレすら苦言を呈するほどであった。フィジケラは序盤こそ着実にポイントを稼いだものの、後半戦では1度の入賞にとどまり、獲得ポイントでもコバライネンの後塵を拝する結果となった。

シーズン最高位はコバライネンが日本GPで記録した2位の1回のみ。結局チームとしては1度も優勝ポールポジションファステストラップを獲得することはできず、フェラーリやマクラーレンはおろか、この年好調だったBMWザウバーにすら遠く及ばない51ポイントを獲得するに留まった。しかし、マクラーレンがスパイゲートにより全レースのポイントを剥奪されたため、最終的にコンストラクターズランキングは3位となった。

スペック

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2007年イギリスGPヘイキ・コバライネンがドライブするR27
 
RS27エンジン

シャーシ

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  • シャーシ名 R27
  • 全長 4,800 mm
  • 全幅 1,800 mm
  • 全高 950 mm
  • ホイルベース 3,100 mm
  • 前トレッド 1,450 mm
  • 後トレッド 1,400 mm
  • 重量 605kg
  • ブレーキキャリパー AP
  • ブレーキディスク・パッド ヒトコ
  • ホイール OZ
  • タイヤ ブリヂストン
  • ギヤボックス 7速セミオートマチック/チタン製ケーシング/IGC

エンジン

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  • エンジン名 RS27
  • 気筒数・角度 V型8気筒・90度
  • 排気量 2,400cc
  • エンジン重量 95kg
  • スパークプラグ チャンピオン
  • 燃料・潤滑油 エルフ
  • イグニッション マニエッティ・マレリ
  • インジェクション マニエッティ・マレリ

記録

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No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 ポイント ランキング
AUS
 
MAL
 
BHR
 
ESP
 
MON
 
CAN
 
USA
 
FRA
 
GBR
 
EUR
 
HUN
 
TUR
 
ITA
 
BEL
 
JPN
 
CHN
 
BRA
 
2007 3  ジャンカルロ・フィジケラ 5 6 8 9 4 DSQ 9 6 8 10 12 9 12 Ret 5 11 Ret 51 3位
4  ヘイキ・コバライネン 10 8 9 7 13 4 5 15 7 8 8 6 7 8 2 9 Ret
  • ドライバーズランキング
    • ジャンカルロ・フィジケラ 8位(21ポイント)
    • ヘイキ・コバライネン 7位(30ポイント)

脚注

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  1. ^ Renault R27 - rear view mirror pillars Formula1.com. (2007-03-16) 2010-04-30 閲覧
  2. ^ Renault R27 - quick-shift gearbox Formula1.com. (2007-01-30) 2010-04-30 閲覧
  3. ^ a b 小倉茂徳 (2008年2月3日). “黄金時代再現ねらい、基本設計一新”. OCNスポーツ ESPORTE モータースポーツ. http://www.ocn.ne.jp/sports/motorsports/magazine/0763.html 2011年11月23日閲覧。