レーニン勲章

ウラジーミル・レーニンにちなんで名付けられたソビエト連邦の勲章

レーニン勲章 (レーニンくんしょう、ロシア語: Орден Ленина[1])は、 十月革命の指導者のウラジーミル・レーニンにちなんで名付けられ、1930年4月6日にソビエト連邦中央執行委員会によって設立されたソビエト連邦の勲章。以下の条件を満たした者に授与された:

  • 国家への優れた奉仕
  • 軍隊での模範的な功績
  • 人民間での友好と連帯の推進によって平和を強固にした者
  • ソビエト国家と社会への称賛に値する功労者
レーニン勲章
3代目のレーニン勲章
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦による賞
種別単種勲章
受章資格ソ連市民・外国人・機関・企業・集団
受章条件
  • 国家への優れた奉仕
  • 軍隊での模範的な功績
  • 人民間での友好と連帯の推進によって平和を強固にした者
  • ソビエト国家と社会への称賛に値する功労者
状態廃止
歴史・統計
創設1930年4月6日
初授与1930年5月23日
最新(最後)
の授与
1991年12月21日
総授与数43万1418
序列
上位ソビエト連邦英雄
下位十月革命勲章

レーニン勲章の略綬

1944年から1957年には、特定の期間だけ軍務を行っていた者に対し勲章を記章扱いして授与させることが多くなり、レーニン勲章も例に漏れず軍務が25年に達した者への褒章として使用されていた。

ソビエト連邦英雄」と「社会主義労働英雄」の受章者には同時に授与された。また、都市、企業、工場、地域、軍部隊や船舶にも授与された。これら勲章を授与された様々な、会社、工場、教育機関、軍部隊などは正式名称にレーニン勲章の名を付与させていた。

日本では「社会主義のノーベル賞」と呼ばれていた[要出典]が、実際は上記のとおり人物以外にも授与されていた。

デザイン 編集

最初のレーニン勲章のデザインはイヴァーン・ドゥバーソフ英語版のスケッチを元に、ピョートル・タョーズヌィ英語版イヴァーン・シャドル英語版が彫刻した。これはゴズナク英語版造幣局によって、銀にいくつかの軽い金メッキがあるものが作られた。この型は丸いバッジで中央の円盤にはウラジーミル・レーニンの横顔があり、周りに煙突、トラクター、建物、おそらく発電所が配置されていた。薄赤エナメルの縁と円状の小麦の穂が中央の円盤を取り囲んでいた。上部には金メッキの「鎌と槌」のエンブレムがあり、下部にはキリル文字でソ連のイニシャルである「СССР」が赤いエナメルで施されていた。このデザインのレーニン勲章はわずかに約800個しか鋳造されず、1930年から1932年の間にのみ授与された。[2]

2代目のデザインの物は1934年から1936年に授与された。これはエナメルの円盤にレーニンの肖像画が施されていた、硬い金バッジだった。円盤の周りには2本の色の小麦の穂と、キリル文字で「レーニン」(ЛЕНИН)と書かれた赤旗が配置されている。勲章の左には赤い星があり、下には「鎌と槌」のエンブレムが赤いエナメルで配置されている。

3代目のデザインの物は1936年から1943年に授与された。

4代目のデザインの物は1943年からソ連の最後まで授与された。

バッジは当初リボンなしで左胸に着用した。後に縁が黄色い縞模様の一対の赤いリボンで、メダルのように吊り下げられて着用されていた(下の画像を参照)。略綬も同じデザインである。 レーニンの肖像画の部分は元々リベットの品だった。しばらく、それは一片の金バッジに取り込まれていたが、1991年のソ連の崩壊までの別々のプラチナ部分として、ようやく戻った。

受章者 編集

レーニン勲章の最初の受章は、1930年5月23日に新聞紙の「コムソモリスカヤ・プラウダ」に対して授与された。また最初の10個の受章者は、5個が事業会社、3個がパイロット、そしてザカフカース社会主義連邦ソビエト共和国の中央執行委員会議長にもなるアーヴェリ・エヌキージェ英語版だった。1936年にパイロットのヴァレリー・チカロフが最初に二度受章した人物になった。1939年にはパイロットのウラジーミル・コキナキ英語版が最初に三度受章した人物となった。

最初に五度受章した人物は、1931年から1934年にソ連の工業と農業の復興に貢献した外国人のドイツ人と5人のアメリカ人(アメリカ人の内の一人は1932年5月17日に授章したフランク・ブルーノ・ハニー[3])だった[4]

1991年12月21日までに、勲章は合計43万1418個が授与された。

人物の最授与者 編集

レーニン勲章の最多受賞記録は長年に渡って外国貿易大臣を務めていたニコライ・パトーリチェフ英語版が保持しており、12回受章した(11回説もある)。その他、多数の受賞者は以下のとおり。

著名な組織や地域 編集

著名な受章者 編集

架空の受章者 編集

ジェームズ・ボンドは映画「007 美しき獲物たち」内でレーニン勲章を授与されており、作中の設定では最初の外国人受章者とされている。なお実際の最初の外国人受章者はルイージ・ロンゴ英語版である。

IPC出版物のバトル・ピクチャー・ウィークリーのキャラクター「ジョニー・レッド」は、ドイツのエース・パイロットに狙われた政治委員を助け出しレーニン勲章を授与された。

映画「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」では、インディの宿敵イリーナ・スパルコ大佐はレーニン勲章を3回授与されている。

ゲーム「シンギュラリティ」ではヴィクトール・バリソフが架空の成分であるエレメント99の調査をした働きによりレーニン勲章を授与されている。

2004年に発売されたコンピュータゲームメタルギアソリッド3」に登場する兵器開発者のアレクサンドル・レオノヴィッチ・グラーニンは、R-17の発射台部分などの開発を含めた多様な発明により、レーニン勲章が授与された。なお、グラーニンは後にメタルギアとなる二足歩行戦車の原案を考案している。

このほか、映画「レッド・オクトーバーを追え!」内で、艦長のマルコ・ラミウス大佐(ショーン・コネリー)が潜水艦を自沈させると告げた際、軍医のエフゲニー・ペトロフ(ティム・カリー)が「あなたにはレーニン勲章が贈られるでしょう」と返すシーンがあるが、劇中では実際に授与されたかは定かではない。

出典 編集

  1. ^ ラテン文字表記の例:Orden Lenina
  2. ^ McDaniel & Schmitt, The Comprehensive Guide to Soviet Orders and Medals.
  3. ^ "One American, Frank Bruno Honey, received the Order of Lenin for his work." Dana G. Dalrymple, "The American Tractor Comes to Soviet Agriculture: The Transfer of a Technology", Technology and Culture, Vol. 5, No. 2 (Spring, 1964), pp. 191–214 [1]
  4. ^ (ロシア語) Order of Lenin - history of establishment, evolution and varieties by Valery Durov
  5. ^ Tito's Home Page - With world leaders Archived 2005年6月25日, at the Wayback Machine.

関連項目 編集

東欧圏、旧社会主義国の一部ではソ連のレーニン勲章を模した以下のような勲章が制定されていた。

外部リンク 編集