AK-47

ミハイル・カラシニコフが設計し、1949年にソビエト連邦軍が正式採用した自動小銃

AK-47ロシア語: Автомат Калашникова образца 1947 года(アフトマートカラシニコヴァソーラクスェーミ)Avtomat Kalashnikova-47)とは、ミハイル・カラシニコフが設計し、1949年ソビエト連邦軍制式採用した自動小銃である。

AK-47
AK-47 assault rifle.jpg
AK-47
概要
種類 軍用小銃
製造国 ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦(開発国)
設計・製造 設計 ミハイル・カラシニコフ
製造 イジェフスク造兵廠トゥーラ造兵廠など
性能
口径 7.62 mm
銃身長 416 mm[1]
ライフリング 4条右回り[1]
使用弾薬 7.62x39mm弾[1]
装弾数 30発
作動方式 ロングストローク ガス・ピストン式
回転ボルト閉鎖
セミ/フルオート切替射撃
全長 870 mm[1]
重量
  • 3,900 g(マガジン無し、III型)
  • 4,400 g(マガジン付、III型)
発射速度 600発/分[1]
銃口初速 730 m/s
有効射程 300 m(推定)
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実戦の苛酷な使用環境や、戦時下の劣悪な生産施設での生産可能性を考慮し、部品の公差が大きく取られ、卓越した信頼性と耐久性、および高い生産性を実現した。

この特性から、本銃とその派生型はソビエト連邦のみならず、全世界に普及した。基本設計から半世紀以上を経た今日においても、本銃とその派生型は、砂漠ジャングル、極地などあらゆる世界の地帯における軍隊や武装勢力の兵士にとって最も信頼される基本装備になり、『世界で最も多く使われた軍用銃』としてギネス世界記録に登録されている[2]。 本記事では、AK-47の生産効率と重量の問題を解決したAKM、その他7.62x39mm弾を用いるシリーズ製品、および各国で生産された派生モデルについても記述する。

開発編集

元々赤軍戦車兵だったミハイル・カラシニコフは、負傷入院中に銃器設計への関心を強め、1942年から小火器設計に関わる。

1940年代中頃、カラシニコフを含む複数の設計者は、火薬量を抑え反動を軽減した中間弾薬の一種である新型弾薬7.62x39mm弾を用いるセミオートマチック・カービンの設計に着手。最終的にセルゲイ・シモノフの設計案が支持され、後にSKSカービンとして採用された。この時、ソ連当局では並行しナチス・ドイツ独ソ戦において投入したStG44と同種の「アサルトライフル」開発を計画していた。最有力候補は、短機関銃の設計者として著名なアレクセイ・スダエフが手がけたAS-44ロシア語版突撃銃だったが、スダエフの死去により頓挫。ほかにもさまざまな設計案が出たが、終戦後の1946年、カラシニコフが手がけたAK-46設計案が最初の審査に合格。さらに1年を費やし改良を進め、1948年に最優秀設計案として限定先行量産が決定。そして軍での試験運用を経て、1949年ついにソビエト連邦軍の主力小銃として制式採用された[3]

戦車兵下士官だったカラシニコフは設計の専門教育を受けていなかったため、AK-47設計の際も正しい設計図面を描けなかった。彼に代わって図面を描いたのは、後に妻となる女性技師エカチェリーナ・ヴィクトロヴナ・モイセーエワ(Ekaterina Viktorovna Moiseyeva)であった[4][5]。 当初の制式名称は「7.62mm アフトマート・カラシニコバ」であり、「AK-47」の呼称は、後にいくつもの改良型が登場したため、それらと区別するためであった[6]

構造編集

 
56式自動歩槍(中国製AK-47)の断面図。ガスピストン・ボルトキャリア、ボルト、撃鉄が黄緑色で描写されている。

閉鎖・撃発機構には米国M1カービンなどからの影響[注 1]を受けつつも、その基本構造は独自のものである。

AK系ライフルはロングストロークガスピストン方式を用い、銃身上にガスピストンを位置させた設計を継承し、長いバナナ弾倉と、ピストルグリップを持つ共通した設計で構成されている。

AK-47は、7.62x39mm弾を使用し、実包バナナ型といわれることもある30発入りの箱型弾倉、または75発入りのドラム型弾倉に収められている。弾を込めて発射すると、発射時に発生する高圧ガスを銃口手前から引き込んで、重いピストン・ボルトキャリアーを後方に押し下げ、再び前進する際に次の弾を薬室へ押し出し、自動的に再装填するようになっている。この射撃と送弾を連続的に行うことにより連射が可能となり、AK-47は一分間に600発以上の速度で射撃ができる。

ボルトを開放/後退させるボルトキャリアは、ガスピストンと一体化したデザインであり、ボルトと一緒に前後動する総重量の大きさは命中精度には不利となるが、他方でその慣性力とあいまって泥汚れなどにも耐える確実な作動性を実現している。さらに、銃身と薬室の内部、ガスピストン、ガスシリンダー内部には耐腐食性・耐摩耗性に優れたクロムメッキされ、腐食[注 2]や摩耗を抑えている。

ボルトは、ボルトキャリア内側のカム溝によって、その前後動とともに約35度回転させられ、ボルト先端の突起が銃身基部の切り欠きと嵌合/解除する事で、薬室の閉鎖/解除を行う。ボルトキャリアを前進させるリコイルスプリングは後方に位置し、分解時に飛び出して紛失する事を防ぐため、ワイヤーを折り曲げたストッパーを内蔵させて一定の長さ以上に伸びないよう工夫されている。リコイルスプリングユニットはレシーバーカバーの留め具を兼ねている[7]。レシーバーカバーは銃の機能には関わらない部品であるため、取り外された状態でも射撃は可能である。

撃発機構は大きく余裕を持ったレシーバー(機関部)内の空間に位置し、泥が侵入しても動作に支障が起き難いよう設計されている。ハンマー(撃鉄)などを動作させるスプリングは、極寒の北極圏から灼熱の砂漠地帯まで、変化に富んだソ連全域で使用できるよう、MG42を参考に2本のピアノ線を捻ったものが使用されている。

レシーバー右側面にはダストカバーを兼ねた大型のセーフティレバー兼セレクターがあり[8]、カバーを閉じた状態は安全位置となり[9]、引き鉄がロックされ発射できなくなる他、ボルトも不完全な位置までしか後退できなくなる。セーフティの解除には右手をグリップから離して、指を使って押し下げる操作が必要であり[10]、解除の次は全自動位置となり、さらに押し下げると半自動位置となる[7]。グリップから手を離さずに全ての操作が可能な欧米諸国のアサルトライフルに比べて、人為的な暴発の危険性が下がる反面で、セーフティ解除から発射まで時間がかかり、操作の際に大きな金属音が出る弱点がある。AKから派生したイスラエル製のガリルは、AKと同様の大型セレクターに加えて、同じ軸に連結した小型レバーをレシーバー左側面にも設けている。

弾倉の装着はM16や多くのサブマシンガン、ハンドガンにみられるような挿入口にまっすぐ差し込む形式ではなく、弾倉の前方上部(銃口側)にある溝ないし突起を銃本体下面の開口部の前方に引っ掛け、そこを支点に弾倉を手前に向かって回転させるように引き込むと、弾倉後方上部にある突起が銃本体側の固定レバー(トリガーガードの前方にあり、リリーススイッチを兼ねている)を押しのけて溝にはまり固定される。この際、カチンという金属音がする。差し込み式に比べると弾倉の装着にコツがいるが、差し込み不十分による発射不良のトラブルが少ない。また挿入口にゴミが溜まるトラブルも少ない。弾倉を取り外す際には、固定レバーを押しながら弾倉を銃口に向かって回転させるように押し出す。

銃身と銃身基部の接合は、後のAKM以降のモデルとは異なり、AK-47ではネジ込み固定とされている。

銃身途中にはガスポートが穿たれ、ガスシリンダーを取り外すと肉眼で目視できるため、作戦行動中にガスポートが詰まってしまっても、兵士が自力で対処することが可能である。

上記の各作動部品は、互いにぴったり密着するのではなく、隙間があるように設計されている。こうした設計は射撃時の微振動につながるため命中精度には不利となる一方で、塵芥などの異物が侵入しても、作動不良に至る可能性が低くなっている。

リアサイト(照門)は、ボルトアクション式小銃と同様のタンジェントサイトと呼ばれる種類である[7]。横方向への修正は専用工具でフロントサイト(照星)を調節して行う。M16などの上下左右に微調整できるピープサイトに比べて照準時の精度は低く、使用時の微調整が困難だが、視界が広く、素早く照準を合わせられる利点がある。射程は800mまで対応している[7]

銃床内に、メンテナンス器具が収納可、バットプレート中央に蓋が付いている。

AK-47専用銃剣として、6kh2が採用された。SVT-40に使われていたM1940銃剣の改良型である。銃本体には銃剣取り付け用のラグが無いため、マズルプロテクターの段差と、バレルを利用して固定する。

カラシニコフは設計にあたって、開発当時、専門教育・高等教育を受けていない新兵達にも取り扱いが容易な様に、彼らの気持ちになって様々な工夫をしたと述べている[6]

AK-47は当初、機密扱いの武器であったため、兵士は覆いを被せて持ち運んでいた。

運用編集

AK系ライフルは基本設計が優れていたため、改良されながら50年以上、世界の紛争地域で使われ続けている。7.62x39mm弾の対人威力が非常に大きいことから、AK-47系列(AK-47、AKM)は特に接近戦の多い市街戦などで現役で多用されている。また、東側各国ライセンス生産模造品の生産が行われ、種類は多岐に渡る。報道等ではいずれも区別せずAK-47やAKと総称されることも多い。

AK-47のバリエーションと派生型編集

西側ではAK-47を生産時期と特徴から、I型からIII型までの3種に分類している。

I型
最初期のI型では、StG44と同様にレシーバー(機関部)をプレス加工で製造し、強度が必要な箇所にはスチールパーツがリベット打ちで取り付けられていた[9]。しかし、当時のソ連にはプレス加工とリベット加工に必要な技術力が不足していた為、強度不足による不具合が多発した。また、生産コストの削減を目的としたプレス加工も、技術不足により従来の切削加工以上のコストが掛かったという。I型には着剣装置は設けられていなかった。1949年 - 1953年に、50万丁 - 100万丁ほどが量産されたとされる[11]
II型
1951年に設計されたII型では、I型の反省からレシーバーの製造法が旧来の切削加工に変更された[9]。十分な強度が確保されたことで、レシーバー側面のリベットが無くなった。レシーバー両側の弾倉口近くに設けられた長方形の窪みは、軽量化に加え、暗闇など手元が見えない場合にも弾倉口の位置を示すことを目的としている。そのほか、銃床の取り付け方法やピストルグリップの形状などが変更されている[12]。弾倉もI型はリブが2本付いた表面が滑らかなものだったが、II型では強度確保の為にリブの数が増やされた[13][14]
III型
1953年末には、II型をさらに改良したIII型が発表された[9]。III型では、銃床の取付け方式が再び変更され[15]、レシーバーの間のスチールブロック部分が廃止されたほか、後部スリングスイベルが銃床下部からレシーバー左側面へ、前部スリングスイベルがフォアエンド左前からガスブロック部へ移されるなど、細部の改良が施された。III型では切削工程が増えた為、生産コストは安くなかったとされる。弾倉の形状ついては概ねII型と同じだが、下部のリブが横2本から、前部に2本・後部に3本と変更されている。以後1959年の生産終了までこのモデルが製造された。東側諸国を中心に普及が始まったのはIII型になってからで、AK-47と言えば専らこのIII型を指す[16]

銃本体の重量は各型によって異なり、I型が4,085 g、II型が4,125 g、III型が3,900 gとなっている[17][1]

当初の製造はイジェフスク造兵廠のみであったが、軍の要請に応じトゥーラ造兵廠など、生産工場を拡大する。しかし、生産ライン拡大につれて、II型以降のレシーバーの生産性の悪さが問題となった。レシーバーの切削加工は、2.7 kgの鉄板を使い[18][出典無効]、120工程を経て製造され非常に手間がかかっていた[19]。そのため、更なる改良が行われ、AKMに発展する。

AKS-47編集

AKS-47は、AK-47銃床を金属製折り畳み式に変更し、携帯性を高めた。名称にある「S」とは、「Skladnoy」の略で、「折り畳みの」の意。この銃床は、レシーバー後端の支点を中心に下方へ回転させて折り畳む方式で、ナチス・ドイツMP38/40のものと似ているが、バットプレート形状が弾倉に当たらないよう考慮されている(多くの折り畳み式自動小銃のバットプレートは楕円形をしているが、AKSでは弾倉に当たらないようにU字型をしている)。銃床を折り畳んでも射撃可能だが、その状態では銃側面のセレクターレバーを操作しづらいなどの欠点があった。

AKS-47は、空挺部隊スキー部隊などの特殊部隊に支給、車両部隊やヘリコプターの装備火器としても利用された。さらに、国境警備のKGB部隊にも支給。

AKM編集

AKM
 
AKM(弾倉は従来のAK-47と同じ金属製を装着している)
概要
種類 軍用小銃
製造国   ソビエト連邦(開発国)
設計・製造 設計 ミハイル・カラシニコフ
製造 イジェフスク造兵廠トゥーラ造兵廠など
性能
口径 7.62mm
銃身長 436mm[1]
ライフリング 4条右回り[1]
使用弾薬 7.62x39mm弾[1]
装弾数 30発
作動方式 長ガス・ピストン式
回転ボルト閉鎖
セミ/フルオート切替射撃
全長 898mm[1]
重量 3,290g[1]マガジン無し)
発射速度 600発/分[1]
銃口初速 730m/s
有効射程 600m
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AKM: Автомат Калашникова Модернизированный(アフトマート・カラーシュニコヴァ・モデルニジーロヴァンヌイ[20])、ロシア語ラテン翻字: AK Modernizirovannyj、「近代化カラシニコフ自動小銃」の意)は、生産効率と重量に問題を抱えたAK-47の生産を代替する目的で開発され、1959年に制式化され製造開始されたモデルである[21]

開発・構造編集

AK-47では技術不足からプレス加工の採用が生産途中で取り止められたが、1954年には十分に技術が成熟したとしてプレス加工のレシーバーを用いる新型アサルトライフルの開発が始まった。この際にも複数の設計局から様々な設計案が提出されたが、最終的にソ連軍が選んだのはカラシニコフの設計案だった[22]1957年に試作型がソ連軍に提出され、トライアルの結果、1959年に制式化され[23][24]、AKMの制式名称が与えられた。それまでAK-47を独占的に製造していたイズマッシュ工廠に加えツーラ造兵廠でも製造が開始された[25]

基本構造はAK-47と同様だが、主に以下の点が変更されている。

  • レシーバー(機関部)がプレス加工切削加工部品をリベット接合する方式で製造され、生産性大幅向上と同時に、重量3,290 gと軽量化にも成功。プレス加工の弱点を補い強度を確保するため、レシーバー各所にリブを追加している[23]。弾倉口近くに設けられた長方形の窪みは、小型化したうえで横長の楕円形に変更された。
  • 連射速度安定化のため、レートリデューサーをシア部分に内蔵。
  • 銃口(マズル)について、試作型ではAK-47と同形状であったが、量産型では銃口(マズル)部分に、発砲時の燃焼ガスが斜め右上に逃げるよう竹槍状に切り落とした形状のマズルブレーキを増設し、発射時の反動で銃口が上を向かないよう改良された[26]。これは、カラシニコフが前線視察に行った際、兵士の意見を参考に取り入れたものである[23]。これによって全長が898 mm、銃身長436 mmとAK-47より若干伸びた[26]。AK-47の銃口保護リングとAKMのマズルブレーキには互換性があり、無改造で入れ替えることもできる。
  • 銃身と銃身基部の接合は、AK-47ではネジ込み固定とされていたが、AKMでは銃身を圧入した後に一本のピンで固定する方法に改められ、中国製の56式自動歩槍などでは、ほとんど全てがAKMと同じ固定方法を用いている。
  • AK-47では、銃剣取り付け用のラグがなかったため、不自然な方法で取り付けられていたが、AKMでは銃剣用ラグが設けられて容易に取り付け可能になった。この銃剣ラグには、のちに開発されたGP-25などのグレネードランチャーも取り付け可能となっている。
  • AKM用銃剣として採用された6kh3は、多機能銃剣のはしりと言えるモデルで、バックソーや鞘と組み合わせて使用するワイヤーカッターを持つ。更にこのモデルを改良した6kh4が登場し、後にAK-74用の銃剣としても採用された。
  • 初期は、AK-47と同じ合板製グリップと金属製弾倉であったが、後に赤茶色のベークライト製グリップと、オレンジ色のベークライト製弾倉を採用した。グリップにはチェッカリングが付けられ、表面が滑らかだった合板製よりも握り易くなっている。これらの部品は、AK-47のものと共用可能。
  • 生産性や使用環境を考慮し、銃床とハンドガードは従来と同じ合板製を採用。ただし、改良されており、AK-47では若干傾斜していた銃床を、銃身軸線の延長線上に銃床が位置する直銃床として、フルオート射撃時のリコイルによる銃身の跳ね上がりを抑制している。AK-47 III型と同様に銃床はレシーバーとの接点にあったスチールブロック部分を廃止し、直接レシーバーと接合している。下部ハンドガードについては、リブを追加してホールドし易くしている。
  • リアサイト(照門)に刻まれている射程の目盛りは、AK-47の800 mから、1,000 mまで増やされた。
  • ガスシステムのガス排出孔が、AK-47ではガスチューブ側面に一列に開けられていたのに対し、ガスブロックとガスチューブの結合部外周に変更された。
  • 後部スリングスイベルをAK-47 III型のレシーバー左側面から、銃床下面に移動。1970年代に入って生産されたものは、銃床左側面の下部に変更され、これは後に生産されたAK-74でも踏襲されている。
  • レシーバーカバーにも補強用のリブが追加された。

上記の変更点はあくまでソ連製のものであり、他国でライセンス生産されたAKMについては、必ずしも踏襲していない。

運用編集

プレス加工のレシーバーの採用は、生産効率の向上、生産コストとライフル重量の軽減につながり、冷戦のために需要が増大していたAK-47系列のアサルトライフルの増産を容易とした。このAKMが、最も多数生産され、その後に世界中に広まったAKシリーズの中核となった[25]

現在、ロシア連邦軍ではAK-74など小口径5.45x39mm弾を使用する小銃が一線級部隊の主流であるが、地方配置されている二線級部隊ではRPK軽機関銃と共に使用されている。むしろ、一部の部隊では大口径の威力を求め、あえてAKMを使用する例もある[23]

AKMの派生型編集

AKMN編集

AKMNは、暗視装置を装着するためのマウントプレートがレシーバー左側面に付属した、AKMの夜間戦闘型。AKMLは、AKMNに、消音効果を高めるため、専用のサプレッサーを装着した型。

AKMS編集

AKMSは、AKM銃床を折りたたみ式にしたものである。1960年より生産が開始された[27]。銃床の折り畳み方はAKS-47と同じであるが、AKMと同様にフルオート射撃時の制御を容易にするため、展開時の角度がより水平に近くなっている。AKS-47同様、空挺部隊戦車兵などが用いる。

東ドイツでは、折畳時にもセレクターの操作を邪魔しないように形状を工夫した右側面折畳式銃床を設計し、AKMSに相当するモデルであるMPi-KMS-72で初めて実装させた。後にルーマニアポーランドが同一形状銃床装備の派生型を生産したほか、エジプトハンガリーでも多少形状の違う右側面折り畳み式銃床装備の派生形を生産している。

AKMSN編集

AKMSNは、暗視装置装着用マウントプレートがレシーバー左側面に付属した、AKMSの夜間戦闘型。AKMSLは、AKMSNに、消音効果を高めるため、専用のサプレッサーを装着した型。

AKMSU編集

 
銃床を折り畳んだ状態のAKMSU

AKMSUは、パキスタンカイバル峠で製造されたカービン銃である。

銃身を270mmにまで短縮化、それに合わせフォアエンドぎりぎりまでガスピストンとシリンダーを短縮化させたことに伴い、以下の改良が施された。

  • 照準線の長さを確保するため、ヒンジ式にして固定を強化したレシーバーカバー上面に、固定式照門を装着。
  • ガス圧作動機構の動作を安定させると共に、発射炎で射手の眼が眩まないように、銃口部分に大型のフラッシュハイダー装備。
  • コントロールを容易にするため、フォアエンドに下部折畳式銃床に干渉しないように形状を工夫した垂直グリップ装備。

AKMSU自体はソビエト連邦で生産されておらず、非正規の派生型であるため存在もあまり知られていないが、その設計は後述のモデルに共通部分が多い。

また、ユーゴスラビアセルビア製のツァスタバ M92ブルガリア製のアーセナル AR-SFおよびアーセナル AR-M4SFのように、7.62x39mm弾を使用しつつもフォアエンドの形状以外はAKMSUに類似した派生型も生産されている[注 3]

その他の派生型編集

RPK(軽機関銃)
 
75連装ドラム型弾倉を装着したRPK軽機関銃
RPKは、RPD(軽機関銃)の後継分隊支援火器として1961年に制式採用。AKMから派生した。
PK(軽機関銃)
PKは、AKの発展型としてミハイル・カラシニコフが開発した汎用機関銃で、7.62x54mmR弾を使用する。1961年にソ連軍に制式採用された。
AK-74
AK-74は、AKMの後継となった小口径高速弾を用いるアサルトライフルである。
VEPR
VEPRは、RPKを製造しているモロト社がRPKのレシーバーを使用し、製造したライフルである。このVEPRには大きく分けて2種類存在する。軍などの法執行機関向けのVEPR-12セミオートショットガン、そして民間市場向けのVEPR猟銃である。
サイガ
 
サイガ308口径
AKのレシーバーを使ってイズマッシュ社が製造した小銃。VEPR同様、散弾銃とライフルの2種類が存在する。
OTs-14 Groza
AKのレシーバーをストックとする、ブルパップ方式特殊部隊向けアサルトライフル。"Groza"は、ロシア語で「雷雨」の意。7.62x39mm弾9x39mm弾を使用する。
BERKUT
KBP社製のAKをベースに開発されたライフル。
VSS
隠密潜入作戦やゲリラ作戦用に従事する特殊部隊向けに開発された、特殊消音狙撃銃
AS Val
VSS狙撃銃と同一設計のアサルトライフル
SR-3
AS Valを元に開発されたアサルトライフル。
AK-103、AK-104
AK-103、AK-104は、AK-100シリーズのうち7.62x39mm弾を使用するモデルである。AK-100シリーズは、輸出向けに造られたAK-74Mの口径変更型および短銃身型である[28]AK-104は、AK-103(銃身長415mmmm)のカービンモデル(銃身長314mm)に相当する。
AK-203、AK-204
AK-203、AK-204は、AK-200シリーズのうち7.62x39mm弾を使用するモデルである。AK-200シリーズは、輸出向けに造られたAK-100シリーズの近代化改修モデルである。AK-204は、AK-203銃身長415mmmm)のカービンモデル(銃身長314mm)に相当する。
AK-15
AK-15は、7.62x39mm弾を使用するAK-12の派生型である。

各国で生産されたAK編集

AK-47だけでなく、AKMRPKAK-74を基に開発されたものも含む。ただし、SVDPKMのコピーは含めない。RPKについて詳しくは各国で生産されたRPKを参照のこと。

国名 名称 相当品、備考
  中国 56式自動歩槍 AK-47 III型コピー。スパイクバヨネット装着。
56-1式自動歩槍 AKS-47。
56-2式自動歩槍 AKS-47。オリジナルの側面折畳銃床
56-3式自動歩槍 AKMコピー。小改良が施されている。
56-C式自動歩槍 56-2式がベースのカービン
56-S式自動歩槍 民間向け輸出用。セミオートのみ。
56-SS式自動歩槍 AKMSの銃床を取り外し、さらに短銃身化したモデル。
56S-1式自動歩槍 56-1式の民間向け輸出用。セミオートのみ。
56S-7式班用機槍 56式がベースのRPK。
74式軽機槍 56S-7式をベースに独自開発した軽機関銃
84式自動歩槍 56式を5.56mm NATO弾仕様にしたモデル。
84-2式自動歩槍 側面折畳銃床。5.56mm NATO弾を使用。
84-S式自動歩槍 民間向け56-S式の派生形。5.56mm NATO弾を使用。
84SS-1式自動歩槍 民間向けAKMS カービン。5.56mm NATO弾を使用。
86S式自動歩槍 AK-74コピー。セミオートのみ。
88-S式自動歩槍 56式をブルパップ方式に変更したモデル。
  北朝鮮 58式小銃 AK-47 III型。
68式小銃 AKM。
88式小銃 AK-74。金属製弾倉を使用。
98式小銃 88式のプラスチック部品を金属製に換装したモデル。
  韓国 茶山 DAK-47 AK-47 III型。
  フィリピン S.A.M. センチネル 84式。5.56mm NATO弾を使用。
  ミャンマー Emerk-3 ガリル AR。固定銃床。
MA-1 ガリル AR。
  ベトナム AKN AK-47。
STL-1A AKM。
STV-215・380 ガリルエース31・32。
STV-410・416 AK-15・AK-103。
  東ドイツ MPi-K AK-47 III型。
MPi-KMS AKS-47。側面折畳銃床。
MPi-KM AKM。
MPi-KMS-72 AKMS。側面折畳銃床。
MPi-AK-74N AK-74。
MPi-AKS-74N AKS-74。側面折畳銃床。
MPi-AKS-74NK AKS-74U。側面折畳銃床。
Wieger STG941 5.56mm NATO弾仕様。
Wieger STG942 STG941の側面折畳銃床モデル。
Wieger STG943 STG942のカービンモデル。
Wieger K500 RPK-74。
KK-MPi-69 訓練用。.22LR弾仕様。
  アルバニア ASh-78 tip1 AK-47。正式には56式のコピー。
ASh-78 tip2 RPK。
ASh-78 tip3 AKM。
ASh-82 AKS-47。
  ポーランド Kbk AK(PMK) AK-47。
Kbk AKS(PMKS) AKS-47。
Kbk AKM(PMKM) AKM。
Kbk AKMS(PMKMS) AKMS。
Kbkg wz. 1960(PMK-PGN-60) AK-47。ライフルグレネード発射可能モデル。
WG-GS-4 ライアット・コントロール AKの機関部を利用したネット発射器。
Kbk wz. 1988 タンタル AKS-74。
Skbk wz. 1989 オニキス AKS-74U。
Kbs wz. 1996 ベリル AKS-74の近代化モデル。5.56mm NATO弾仕様。
Kbk wz. 1996 ミニベリル wz. 1996の短縮型。5.56mm NATO弾仕様。
Kbk wz. 1997 ボゾ wz. 1996のブルパップ仕様。5.56mm NATO弾仕様。
Kbk wz. 2002 ビン wz. 1997のブルパップ仕様。5.56mm NATO弾仕様。
Kbs wz. 2004 ベリル wz. 1996の近代化モデル。5.56mm NATO弾仕様。
Kbk wz.2005 ジャンター wz.2002のブルパップ仕様。5.56mm NATO弾仕様。
ツァスタバ M70 AK-47・AKM。
ツァスタバ M70A AKS-47・AKMS。
ツァスタバ M72 RPK。
ツァスタバ M76 M70狙撃銃。7.92x57mm弾仕様。
ツァスタバ M77 M70狙撃銃。7.62mm NATO弾仕様。
ツァスタバ M80 M70狙撃銃。5.56mm NATO弾仕様。
ツァスタバ M90A M70A狙撃銃。5.56mm NATO弾仕様。
ツァスタバ M85 AKS-74U。5.56mm NATO弾仕様。
ツァスタバ M92 AKS-74U。7.62x39mm弾仕様。
ツァスタバ M21 M70の近代化カービン。側面折畳銃床。5.56mm NATO弾仕様。
ツァスタバ マスターFLG AKベースのサブマシンガン9x19mmパラベラム弾仕様。
ツァスタバ マスターFLG-K マスターFLGを小型化したもの。
  ルーマニア PM md.63(AIM AKM。フォアグリップ付属。
PM md.65(AIMS) AKMS。フォアグリップ付属。下面折畳銃床。
PA md.86(AI-74) AK-74。フォアグリップ付属。
PA md.86(AIMS-74 AKS-74。フォアグリップ付属。側面折畳銃床。
PM md.90(AIMS) AKMS。フォアグリップ付属。側面折畳銃床。
PM md.90 カービン(AIMR) PM md.90のカービンモデル。側面折畳銃床。
PM md.97 AKS-74。5.56mm NATO弾仕様。側面折畳銃床。
WASR AK-100。木製部品を使用している。
FPK(PSL 狙撃銃7.62x54mmR弾仕様。
  ハンガリー AK-55 AK-47。
AKM-63 AKM。フォアグリップ付属。
AMD-65 AKMS カービン。フォアグリップ付属。側面折畳銃床。
AMP-69 AMD-65の簡易型。側面折畳銃床。
FEG-NGM AKM。5.56mm NATO弾仕様。
  ブルガリア アーセナル AR AK-47。切削加工レシーバー。
アーセナル AR-F AKS-47。切削加工レシーバー。
アーセナル AR-1 AK-47。フラッシュサプレッサー装備。切削加工レシーバー。
アーセナル AR-1F AKS-47。フラッシュサプレッサー装備。切削加工レシーバー。
アーセナル AR-M1 AK-74。切削加工レシーバー。
アーセナル AR-M1F AKS-74。下面折畳銃床。切削加工レシーバー。
アーセナル AR-M2F AK-102・AK-104。下面折畳銃床。切削加工レシーバー。
アーセナル AR-M4SF AKS-74U。5.56mm NATO弾と7.62x39mm弾仕様がある。側面折畳銃床。切削加工レシーバー。
アーセナル AR-SF AKS-74U。5.56mm NATO弾と7.62x39mm弾仕様がある。下面折畳銃床。切削加工レシーバー。
アーセナル AR-M7F AK-101・AK-103。切削加工レシーバー。
アーセナル M9 AK-74。5.56mm NATO弾仕様。切削加工レシーバー。
アーセナル M9F AKS-74・5.56mm NATO弾仕様、側面折畳銃床。切削加工レシーバー。
アーセナル SLR-100シリーズ AK-100シリーズに相当。
  ウクライナ Vepr AK-74のブルパップ仕様。5.45x39mm弾仕様。
  イスラエル カラシニコフ試作小銃 ガリルの試作品の1つ。5.56mm NATO弾仕様。外観はAK。
ガリル ARM 5.56mm NATO弾仕様。側面折畳銃床。ガリルは、フィンランドのバルメをベースにしたオリジナル。
ガリル AR ARMの簡易型。側面折畳銃床。
ガリル SAR ARのカービン型。側面折畳銃床。
ガリル MAR ARの短縮型。側面折畳銃床。
ガリル ARM 308 ARM。7.62mm NATO弾仕様。側面折畳銃床。
ガリル AR 308 AR。7.62mm NATO弾仕様。側面折畳銃床。
ガリル SAR 308 SAR。7.62mm NATO弾仕様。側面折畳銃床。
ガリル・スナイパー(ガラッツ) 狙撃銃。7.62mm NATO弾仕様。側面折畳銃床。
Sardius M26 ガリルベースの狙撃銃。
ガリル・エース21・22・23 5.56mm NATO弾仕様の改良型MAR・SAR・AR
ガリル・エース31・32 7.62x39mm弾仕様の改良型MAR・AR。
ガリル・エース52・53 7.62mm NATO弾仕様の改良型SAR・AR。
CAA AKアルファ 独自改良を施したAK。複数口径に対応。
  トルコ SAR-308 AKM。
  イラン KL-7.62mm AKM・AKMS。
  イラク タブク M70B1(AKM)・M70AB1(AKMS)。型式番号による区別無し。
タブク狙撃銃 M70狙撃銃。7.62x39mm弾仕様。
  エジプト MPi-KMS-72 東ドイツ製エジプト向け輸出仕様。側面折畳銃床。
MISR AKMの近代化モデル。
  インド INSAS AK-47ベース。5.56mm NATO弾仕様。
  フィンランド バルメ Rk 62 固定銃床。
バルメ Rk 76 側面折畳銃床。
バルメ M82 ブルパップ仕様。5.56mm NATO弾仕様。
バルメ M90 近代化モデル。
バルメ Rk 95 TP M90の改良型。
  南アフリカ R4 ガリル AR。ベクター社のライセンス生産
R5 ガリル SAR。ベクター社のライセンス生産。
R6 ガリル MAR。ベクター社のライセンス生産。
ベクター CR21 強化樹脂外装。ブルパップ仕様。5.56mm NATO弾仕様。
ツルベロ ラプター R4ベース。ツルベロ社設計。
  イタリア イエーガーAP80 AK-47 III型。.22LR弾仕様。
イエーガーAP84 ガリル AR。外観の異なる.22LR弾仕様。
ベルナルデリVB-STD M16の弾倉を使用できるようにしたガリル AR。
ベルナルデリVB-SR M16の弾倉を使用できるようにしたガリル SAR。
  スウェーデン FFV-890C ガリル AR。ハンドガード変更。
  オランダ NM-1 ガリル ARM。
D.NM-1・M2 NM-1をベースに開発したオリジナル。
  ドイツ GSG-AK47 AKMの外見を模倣したプリンキングガン。.22LR弾仕様。
  アメリカ合衆国 インターオーディナンス AK47 ポーランド製PMKの民間向けコピー。セミオートのみ。
BHI SOPMOD AK 軍事インストラクター会社による自社ブランド銃。
センチュリオン AK39 民間向け。セミオートのみ。
KCI KTR-08 民間向け。セミオートのみ。
K-VAR AKU94 ブルパップ仕様。セミオートのみ。
カラシニコフ KR103 民間向け。セミオートのみ。

画像編集

備品編集

銃剣編集

擲弾発射器編集

AKには、銃身の下に擲弾発射器(グレネードランチャー)を取り付ける事ができる。これは、アメリカベトナム戦争中に開発したM16用のM203のコンセプトを参考に開発された。

GP-25(BG-15)/GP-30
GP-25(BG-15、まれにGB-15)と、GP-30(イジェはGP-34)は、アメリカ製M203の対抗製品として開発したAK用のアンダーバレル式グレネードランチャー。
BS-1
BS-1(チシナー:静寂)は、AKS-74Uのために作られた口径30mmの発射器。専用の空砲を撃ち、その力で擲弾が飛び出す構造になっているため、発射音が小さい。
アルクス製擲弾発射器
ブルガリアのアルクス(ARCUS)では、40x46mm グレネード弾を使用するAK用の擲弾発射機を複数製造している。40A4 EGLMや40 UBGLなどがある[29]
UBGL-M6
UBGL-M6は、ブルガリアのアーセナル社が製造するM203タイプのグレネードランチャーである。40x46mm グレネード弾を使用する[30]
RGB-1
RGB-1は、クロアチアのHSプロダクト社が作った40x46mm グレネード弾を使用するグレネードランチャーである。
ZMT wz. 1974
wz. 1974 パラドは、ポーランドのZMT社が製造する。40x47mm グレネード弾を使用するグレネードランチャーである。
GPBO-40
GPBO-40は、ポーランドのデザメット(Dezamet)社が新たに設計した、40x46mm グレネード弾を使用するグレネードランチャーである。派生型として、単独使用を前提としたGSBO-40も存在する[31]
AG-40 Md80
AG-40 Md80は、ルーマニア製の40x47mm グレネード弾を使用するM203タイプのグレネードランチャーである。40x46mm グレネード弾を使用するタイプもある。

暗視装置編集

NSP-2
NSP-3

サプレッサー編集

PBS-1
AK-47用に1960年代に開発されたサプレッサー(サイレンサー)。AKMにも対応するが、AK-74には非対応である。

運用国編集

一例のみ紹介。紛争地帯などにおいては56式自動歩槍などの他国製と混合されているものや密造品も含まれている。

アメリカ合衆国での運用編集

アメリカ合衆国の軍隊では、敵地の武器に関する訓練や特殊作戦を中心にAK-47が使用される(イギリスやフランスなど西欧でもこれに準ずる)。

日本での運用編集

AK-47を研究用として、正規輸入品として防衛省内で運用されている。正規輸入価格は89式よりも高額だったといわれている。

特徴と逸話編集

AK系ライフルは信頼性が高く、扱いが多少乱暴でも確実に動作する。これは、ミハイル・カラシニコフが設計の段階で変化に富んだソ連の気候を想定し、部品同士のクリアランスを大きめに取り、多少の、高温または寒冷地における金属の変形、生産時の技術不足による部品精度低下が起きても、問題なく動作するよう考慮したためである。故に極寒地や砂漠地帯の兵士からも信頼が寄せられている。特に機関部は、内側に泥や砂などが入っても、軽く水洗いすれば射撃できるほどであった[32]。以下に特徴を挙げる。

ユニット化と故障の少なさ編集

内部の部品は極力ユニット化されており、野外で分解する際に部品を紛失したり、簡単に故障したりしないように工夫してある。このような銃の頑丈さや簡素化は同時に兵士の負担も減らす。銃を扱うのが初めての人間でも数時間から数日間の講習を受ければ、100メートル先の標的に命中させられるようになるという。

ただし、部品同士のクリアランスが大きいという事は、悪く言えば「組み合わせがタイトでない」ということの裏返しでもあり、同じく世界三大突撃銃に挙げられるG3M16系列と比較すると、弾丸の拡散率(MOA値)は高いと言わざるを得ない。

初期の曲銃床とマズルジャンプ編集

マズルジャンプとは、弾丸が銃口から飛び出した瞬間に銃口が跳ね上がる現象で、射撃時の反動から生じる。この現象は通常の銃であれば程度の差はあれ必ず生じるが、AK-47は曲銃床であったため、反動を直に受け止めにくく、マズルジャンプが起こりやすかった。同様の例はアメリカ軍に採用されたM14でも起き[33]、M14は後のM14A1で、AK系ライフルではAKMでいずれも直銃床に変更され、より反動を受け止めやすく、制御しやすい構造[注 4]に改良されている。

民族自決と革命の象徴編集

第二次世界大戦後、弾丸がAK-47系列(AK-47、AKM)と共通すること以外は独自設計のVz 58を採用したチェコスロバキアを除くワルシャワ条約機構加盟国や中国北朝鮮キューバなどで採用されて、東側諸国を代表する火器となった[注 5]

武力によって独立を勝ち取った国家や、政権を奪取した革命政府にとって、AKは戦乱を戦い抜いた頼もしい戦友であり、民族自決や自主独立の象徴でもある。このため、モザンビークジンバブエ東ティモールの国章にAKの図柄が組み込まれているほどである。特にモザンビークでは、国旗にもAKのデザインが取り入れられている。国家以外でもレバノンヒズボラコロンビアFARCなどが組織の旗にAKの図柄を取り入れている。

また、アメリカ社会主義ライフル協会国際自由大隊のような、欧米反資本主義団体のエンブレムにも、AKが用いられる。

ベトナム戦争での活躍編集

 
写真左のNavy SEALs隊員が鹵獲した中国製AK(56式自動歩槍)をかかえている

ベトナム戦争では、ソビエト連邦や中国、北朝鮮などの東側諸国から、北ベトナム軍(NVA)や南ベトナム解放民族戦線(NLF, ベトコン)に向けて、大量のAKが送り込まれた。戦場は熱帯雨林沼地など過酷な環境でも、AKは確実に動作した。

アメリカ海軍特殊部隊Navy SEALs」でも、使い物にならなくなったM16自動小銃を棄て、鹵獲品を使用する例があった。

エア・アメリカでも入手経路は不明であるが、自衛用にAKを使用する例があった。

中東やアフリカでの流通編集

 
2011年、ヨルダン川西岸地区にてイスラエル警察が押収したAKS。細部を観察すると、複数の国で製造されたAKSが混在していることが分かる。

中東では、中国やアメリカのCIA1980年代イラン・イラク戦争アフガニスタンムジャーヒディーンに対して中国製AKを大量に供与し[34]、この地域に出回る結果となった。

現在でも、イラク戦争における北部クルド人勢力にはロシア製装備が供与されているほか、治安部隊の装備の大部分は安価な中国製小火器であり、イランなどがイラク各地のシーア派武装勢力に供給している兵器の多くも中国製である。

アフリカ諸国においては、1960年代の独立闘争の際、ソ連や中国の兵器供与を得たが、特にソマリアではバーレ政権崩壊で軍隊から大量の武器が武装勢力など民間に流れ、またリベリアシエラレオネなど西アフリカでは冷戦終結後の1990年代リビアの政略によりユーゴスラビアやルーマニアといった東欧諸国などから流入した兵器が親リビア勢力に供与された。これらのAKがあふれた状況は、内戦の終結を難しくしている一因となっている。

現在、アフガニスタンやイラクで活動している特殊部隊や民間軍事会社(PMSCs)の社員には、M16系ではなく7.62mm口径のAKを使う者も多い。これは、信頼性のみならず、7.62mm口径の高威力や、弾薬と部品補給が容易だからでもある。特にPMSCsは軍に比べ部品供給が遅いため、故障・破損しても即座に修理・代替できるAKの人気は高い。

大量破壊兵器の象徴編集

 
国際テロ組織アルカイダの指導者だったビン・ラーディン(左)の愛銃だったAK(AKS-74U)(2001年)

金属材料の質や熱処理、加工精度・表面処理が多少悪くても実戦で使用できる品質のものが製造できてしまうため、発展途上国においては海賊版が多数出回っており、アムネスティ・インターナショナルなどの団体による『コントロール・アームズ・キャンペーン』は、生産設備が拡散している為に、世界中で不正な武器商人や武装民兵、犯罪者がAK-47を容易に、大量破壊兵器として紛争や貧困を助長していると指摘している。コントロール・アームズが、2006年に発表した報告書『The AK-47: the world's favourite killing machineAK-47:世界最強の殺人マシーン)』によれば、世界中で 500万 - 700万丁ほどのAK系ライフルが流通している[35][36]。同報告書は、これらのAKが多数の武装勢力による紛争、テロリストに使用され、発展途上国で多大な被害をもたらしていると記載している。

ソビエト連邦は冷戦期、東側友好国に対して大量のAKを供与した。また、一部の国々に対してはライセンス生産も認めた。このため、7.62mm口径のAKは莫大な数が生産されており、世界で最も大量に生産された小銃となった。特に中華人民共和国では、ソ連から購入した生産ライセンスの期限が切れた後も製造を続け、第三国の軍隊に供与、或いは売却し、中国製のAK生産量はソ連製のAKを上回ることとなった[37]2004年に85歳の誕生日を前に、開発者ミハイル・カラシニコフは「中華人民共和国がライセンス切れにもかかわらず、AK製造を続けている。それが紛争地に出回り、AKの評価を落としているのは悲しいことだ」と、朝日新聞社の取材に述べている[38]

カラシニコフは、この様な使用は本意ではなく、「コントロール・アームズ」キャンペーンに寄せた声明の中で、「武器の売買に関する国際的な規制が欠如しているため、小型武器は容易に世界に拡散し、国防のためだけでなく、侵略者やテロリストなど、あらゆる犯罪者に使用されている。私は、テレビで犯罪者がカラシニコフを手にしているのを見る時、どうやって彼らはこの武器を手にしたのだろうかと、自らに問い続けている」と述べている[36]。カラシニコフはAK-47をあくまでも国防の為に設計したのであり、犯罪や紛争に使われている現状を、しばしば憂いていた[39]

模造品の氾濫編集

 
コロンビアで押収されたAK。その殆どが中国製である。写っているだけでも、手前から2~11挺目に中国製AKに特有なフロントサイトガードや折り畳みストックを確認できる。

テロリスト傭兵(非戦闘員)が使用しているのは、ほとんどがAK-47の非正規・コピー品である。中華人民共和国中国北方工業公司は、ライセンス切れのため、改造箇所を根拠に自社製品としてAK系を製造し続け、中には民間向けのスポーツ射撃用のものまである。

2006年の時点で、AKの製造ライセンスを持つのは、カラシニコフが籍を置く後述のイズマッシュ製のみだが、過去にAKのライセンス生産を行っていた国々の大半は製造を継続しており、輸出もしている。さらに、AKは構造が単純で、部品の誤差を許容する設計から密造品も多く、これら不正規品を含めたAKの総数は、1億丁を軽く超えるのではないかと推測されているが、正確な生産規模は把握されていない。

日本においても、オウム真理教が発展型であるAK-74を基に銃密造を企てた(自動小銃密造事件)ことが発覚したが、外観こそ模倣したものの、銃身内径を正確に切削できず、発射に危険が伴う水準のもので、警察の追及もあって量産には至らなかった。

イズマッシュのウラジミル・グロデツキーは、2006年の製品発表会で「ロシア製のAKは世界全体に流通しているうちの12%程度」と発言している。

パキスタン連邦直轄部族地域に在るダッラ村では、旋盤などの簡単な工作機械しか持たない「村の鍛冶屋」のような工房で製造されているが、正規品と異なる材質の鋼材を用い熱処理・表面処理も不充分なため、耐久性に難があり、連射で銃身が加熱すると、部材が溶けはじめる水準の製品である。元傭兵の高部正樹は、ルーマニア製AKM(AIM)は弾倉着脱に難があり、また何弾倉分か連射すると、銃身が曲がってくると酷評されていたことを語っている。

アメリカ合衆国における流通編集

信頼性の高さから、アメリカ合衆国でも根強い需要があり、広く流通している。

アメリカの民生市場での流通は、1980年代にエジプト製ARMが輸入されたのが最初とされ、その後は中国製、ユーゴスラビア製のAKが輸入された。やがてストックトン銃乱射事件の影響で中国製AK輸入は規制されたが、冷戦終結に伴い東欧製AKが大量に輸入され、以後はロシア製を含む、世界各国で製造されたAKが流通することとなった[40]

1995年には、アメリカ合衆国連邦政府がAKをアサルト・ウエポン規制法(殺傷能力の高い銃規制の時限立法)の対象とし、アメリカ国内において販売が禁止されたものの、2004年時限法が失効したため、再び販売が再開された(詳細は、アメリカ合衆国の銃規制を参照のこと)。

2010年フロリダ州自動車販売店では、トラック1台につきAK-47の引換券を付けて販売したところ、大きく売り上げを伸ばし話題となった[41]

2014年ウクライナ騒乱ロシアのクリミア侵攻に端を欲する対ロシア経済制裁では、カラシニコフ関連製品の輸入規制も含まれることとなったため、各地の銃砲店で駆け込み需要が生じて、AKの在庫が払底する騒ぎとなった[42]

2016年、米企業カラシニコフUSAがアメリカ国内でAK-47の製造を始めると報道された[43]。他にいくつのメーカーがそれを追従し、アメリカ製AK-47を製造し始めた。[44]

脚注編集

[脚注の使い方]

注釈編集

  1. ^ 開発者のカラシニコフは『アームズマガジン』の紙面で、アメリカからの援助兵器であるM1カービンから着想を得たと語っている。
  2. ^ ソ連を初めとする東側諸国では、過酷な環境下においても確実に銃弾を発射できるよう銃用雷管の点火薬に雷酸水銀を用いているが、雷酸水銀は燃焼時に強腐食性のガスを発生させる。
  3. ^ これらの3種類の銃には、5.56mm NATO弾仕様のモデルも存在する
  4. ^ AKMは銃口先端を斜めに切ったマズルブレーキで銃口の跳ね上がりを軽減している[26]
  5. ^ 旧東側に近いとされた非同盟諸国においても、リビアインドではFN FALが、ミャンマー(ビルマ)ではH&K G3が採用されるなど、AK-47系列を主力小銃としなかった国も少数ではあるが存在する。また、反政府ゲリラにおいても、ミャンマーのカレン民族解放軍、レバノンのレバノン軍団、フィリピンの新人民軍のようにM16を使用しているケースもある。これらはAK-47系列よりもM16の方が入手が容易である事が主な理由となっている

出典編集

  1. ^ a b c d e f g h i j k l Gun編集部 2004, p. 21.
  2. ^ 10 things you never knew about AK47 Kalashnikov rifle that has killed more people than any other gun”. デイリー・ミラー. 2016年9月29日閲覧。。"7. The Kalashnikov rifle is in the “Guinness Book of Records” as the most common weapon in the world. Currently, there are about 100 million AK. This means that 60 adult inhabitants of our planet have on one machine."
  3. ^ ホビージャパン 2014, p. 63-65.
  4. ^ ホビージャパン 2014, p. 66.
  5. ^ Biography”. M.T. Kalashnikov Museum and Exhibition Small Arms Complex. 2015年4月28日閲覧。
  6. ^ a b ホビージャパン 2007, p. 70.
  7. ^ a b c d Gun編集部 2004, p. 11.
  8. ^ Gun編集部 2004, pp. 10–11.
  9. ^ a b c d Gun編集部 2004, p. 10.
  10. ^ Gun編集部 2004, p. 16.
  11. ^ ホビージャパン 2014, p. 10-12.
  12. ^ Gun編集部 2004, pp. 12–13, 15.
  13. ^ Gun編集部 2004, p. 13.
  14. ^ ホビージャパン 2014, p. 12.
  15. ^ Gun編集部 2004, pp. 13, 15.
  16. ^ ホビージャパン 2014, p. 12-13.
  17. ^ ホビージャパン 2007, pp. 94–95.
  18. ^ 撃つためのデザイン「AK-47」(2005年ヒストリーチャンネル製作・放映、原題:Tales of the Gun)
  19. ^ 床井 2013, p. 207.
  20. ^ ホビージャパン 2007, p. 96.
  21. ^ 床井 2021, p. 28-33.
  22. ^ ホビージャパン 2014, p. 14-16.
  23. ^ a b c d ホビージャパン 2007, p. 10-11.
  24. ^ Gun編集部 2004, p. 12.
  25. ^ a b 床井 2021, p. 33.
  26. ^ a b c Gun編集部 2004, p. 20.
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  30. ^ 40x46mm ARSENAL Underbarrel Grenade Launcher - UBGL-M6”. 2015年4月8日閲覧。
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  32. ^ Gun編集部 2004, p. 15.
  33. ^ 津野瀬光男『幻の自動小銃―六四式小銃のすべて』光人社〈光人社NF文庫〉、2006年。ISBN 978-4769824909
  34. ^ Bobi Pirseyedi (1 January 2000). The Small Arms Problem in Central Asia: Features and Implications. United Nations Publications UNIDIR. p. 16. ISBN 978-92-9045-134-1.
  35. ^ The AK-47: the world's favourite killing machine (PDF)”. controlarms.org (2006年6月26日). 2011年10月12日閲覧。
  36. ^ a b AK-47:世界で最も野放しになっている武器” (2006年6月27日). 2015年4月8日閲覧。
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  38. ^ “「紛争地に自分の銃、悲しい」自動小銃AK47の開発者”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2004年11月21日). オリジナルの2004年11月23日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20041123033642/http://www.asahi.com/international/update/1121/002.html 2015年4月9日閲覧。 
  39. ^ “カラシニコフ氏が死去 自動小銃「AK47」を開発”. 朝日新聞 (朝日新聞社). http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312230324.html 2015年4月9日閲覧。 
  40. ^ ホビージャパン 2014, p. 28.
  41. ^ “車のおまけは自動小銃?米自動車店が仰天キャンペーン”. AFPBBNews (フランス通信社). (2010年11月16日). http://www.afpbb.com/articles/-/2775466?pid=6469878 2014年7月20日閲覧。 
  42. ^ “米国でAK-47の売り上げ増加、ロシア制裁で駆け込みか”. CNN (CNN). (2014年7月19日). http://www.cnn.co.jp/usa/35051118.html?tag=top;topStories 2014年7月20日閲覧。 
  43. ^ ロシア生まれのカラシニコフ、米フロリダ州で製造開始へ” (日本語). CNN.co.jp. 2020年2月17日閲覧。
  44. ^ American-Made AK-47 Rifles Compete - Gun Tests Article”. Gun Tests. 2020年2月17日閲覧。

参考文献編集

関連項目編集

AK-47の基本構造をもとにしたソ連・ロシア製の銃編集

外部リンク編集