栄光への脱出
『エクソダス 栄光への脱出』(エクソダス えいこうへのだっしゅつ、英語: Exodus)は、レオン・ユリスの執筆した1958年発表のアメリカ合衆国のベストセラー小説(日本語訳は犬養道子訳、1961年出版)。
1947年にホロコースト生存者らを乗せてフランスからイギリス委任統治領パレスチナに向かおうとしてイギリス軍に制圧された不法移民船エクソダス号(SS_Exodus)をモデルとした物語である。Exodusは「大挙した脱出」という意味だが、「出エジプト記」になぞらえてもいる。
1960年に映画化された(邦題『栄光への脱出』)。
映画編集
栄光への脱出 | |
---|---|
Exodus | |
監督 | オットー・プレミンジャー |
脚本 | ダルトン・トランボ |
原作 | レオン・ユーリス |
製作 | オットー・プレミンジャー |
出演者 |
ポール・ニューマン エヴァ・マリー・セイント |
音楽 | アーネスト・ゴールド |
撮影 | サム・リーヴィット |
編集 | ルイス・ローフラー |
配給 | ユナイテッド・アーティスツ |
公開 |
1960年9月15日 1961年6月22日 |
上映時間 | 208分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $4,000,000 (概算) |
興行収入 | $21,750,000 (全世界) |
配給収入 | 1億6077万円[1] |
『栄光への脱出』(英語: Exodus)は、1960年のアメリカ映画である。ユナイテッド・アーティスツ配給。監督はウィーン出身のユダヤ人、オットー・プレミンジャー、音楽はやはりウィーン出身のユダヤ系作曲家アーネスト・ゴールド、脚本はダルトン・トランボ、撮影はサム・リーヴィット。
主題歌の「Exodus」(フェランテ&タイシャー、Ferrante & Teicher)。邦題は「栄光への脱出のテーマ」)もインストゥルメンタル曲としては、大ヒットとなった。1961年ビルボード誌の週間ランキングでは、1月23日に最高位の第2位を獲得。同誌1961年の年間ランキングでは第2位を記録した。また、後にパット・ブーンが「This land is mine...」で始まる歌詞を付けて、彼自身でも歌っている。
イスラエルの建国を叙事詩的に描いた映画であり、原作小説にある反イギリス・反アラブ描写は抑えられているものの、イスラエル独立にあたっての内戦やユダヤ人・アラブ人双方の描き方に対して多くの論争がある。またアメリカにおけるイスラエル支持の世論形成にも多くの影響を与えた。
あらすじ編集
ホロコーストを生き延びたヨーロッパのユダヤ人多数がパレスチナへ移民しようとしたが、そのほとんどはイギリスが設けた移民枠を超過した不法移民で、多くがイギリス軍に捕まりキプロス島の難民キャンプに送られていた。難民キャンプで看護婦として働いていたアメリカ人のヒロインの前に、エクソダスと名付けた貨物船を手に入れて彼らを極秘のうちにパレスチナへ送ろうとするユダヤ人で元兵士の主人公が登場する。
船に乗り込んだ移民たちはイギリス軍との緊迫した駆け引きの末にパレスチナへとたどり着くが、イスラエル建国への道のりは厳しく、次から次へと困難な状況が訪れる。果たして彼らは「栄光への脱出」を実現できるだろうか。
登場人物・キャスト編集
- アリ・ベン・カナン(Ari Ben Canaan)
- 演 - ポール・ニューマン(吹替:川合伸旺)
- 軍事組織ハガナーのメンバー。キプロスの収容所に入れられたユダヤ人の脱出作戦を指揮する。
- キティ・フレモン(Kitty Fremont)
- 演 - エヴァ・マリー・セイント(吹替:野口ふみえ)
- アメリカ人。看護婦。夫は戦場写真家だったがパレスチナでの撮影中に死亡。当初はユダヤ人問題に対して冷淡だったが、美しい少女カレン・ハンセンに出会い、彼女に同情を覚えたことで考えが変わる。
- サザーランド将軍(General Sutherland)
- 演 - ラルフ・リチャードソン(吹替:吉沢久嘉)
- イギリス人。キプロスのユダヤ人収容所の管理を任される。ユダヤ人に同情的なので、彼自身もユダヤ人ではないかという噂がある。
- コールドウェル(Caldwell)
- 演 - ピーター・ローフォード(吹替:緑川稔)
- サザーランド将軍の副官。将軍がユダヤ人ではないかと思っている。
- バラク・ベン・カナン(Barak Ben Canaan)
- 演 - リー・J・コッブ(吹替:富田耕生)
- 入植者。アリ・ベン・カナンの父。キブツ「ガン・ダフナ」の村長。パレスチナ人への徹底抗戦を叫ぶ弟アキヴァとは違い、パレスチナ人との宥和を目指す穏健派。
- ドヴ・ランダウ(Dov Landau)
- 演 - サル・ミネオ(吹替:関根信昭)
- 大戦中、ナチスの強制収容所で過酷な体験をした少年。ユダヤ人過激派組織イルグンに身を投じる。
- マンドリア(Mandria)
- 演 - ヒュー・グリフィス
- キプロスの実業家。ユダヤ人の境遇に同情的で、アリ・ベン・カナンの脱出計画に協力する。
- カレン・ハンセン(Karen Hansen(Clement))
- 演 - ジル・ハワース(吹替:上田みゆき)
- 生き別れになった父と出会うためにパレスチナに一人で移住してきた少女。ハンセンは養父母の姓。ランダウと婚約する。
- オーデンハイム医師(Dr. Odenheim)
- 演 - マーティン・ミラー
- 医師。エクソダス号船上で死去。
- タハ(Taha)
- 演 - ジョン・デレク(吹替:家弓家正)
- アラブ人の地主。ユダヤ人に融和的であったために裏切り者として同胞から殺される。
- アキヴァ・ベン・カナン(Akiva Ben Canaan)
- 演 - デヴィッド・オパトッシュ(吹替:松村彦次郎)
- アリの叔父(バラクの弟)。イルグンのリーダー。アラブ人への徹底抗戦を主張し過激な活動でアリやバラクと仲違いする。テロの首謀者としてパレスチナを委任統治中のイギリス軍に捕まり処刑されることになるが脱走するも結局は銃殺される。
- ジョダナ・ベン・カナン(Jodana Ben Canaan)
- 演 - アレクサンドラ・スチュワルト
- アリの妹。
- リーバーマン医師(Dr. Leiberman)
- 演 - フェリックス・アイルマー
- イルグンが拠点としている村の医師。武器を大量に隠し持ってたことでイギリス軍に逮捕される。
- フォン・シュトルヒ(Von Storch)
- 演 - マリウス・ゴーリング
- 元ナチスの将校。ユダヤ人への憎悪からアラブ人にユダヤ人殲滅を扇動する。
※日本語吹替版:初回放送1972年1月2日『日曜洋画劇場』[2]
撮影地編集
キプロス、エルサレム、ハイファ、アッコ、カイサリア、クファール・カナ、アトリット
テーマ曲編集
- 栄光への脱出テーマ曲がピアニストマキシムによってリメイクされている。