男たちの挽歌
『男たちの挽歌』(おとこたちのばんか、中国語: 英雄本色、英題:A Better Tomorrow)は、1986年制作の香港映画。監督はジョン・ウー、主演のチョウ・ユンファはこの作品が出世作となった。
男たちの挽歌 | |
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英雄本色 | |
監督 | ジョン・ウー |
脚本 | ジョン・ウー |
製作 | ウォン・カーマン |
製作総指揮 | ツイ・ハーク |
出演者 |
チョウ・ユンファ ティ・ロン レスリー・チャン エミリー・チュウ レイ・チーホン ケネス・ツァン |
音楽 | ジョセフ・クー |
撮影 | ウォン・ウィンハン |
公開 |
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上映時間 | 95分 |
製作国 |
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言語 | 広東語 |
次作 | 男たちの挽歌 II |
インド、韓国、中国などでリメイクされている。
概要編集
それまでコメディ映画やカンフー映画が主流だった香港映画界に、香港ノワール(英雄式血灑)とも呼ばれる新しい流れを作った記念碑的な作品である。かつて「映画の黄金時代」と言われた時期に日本で量産された娯楽映画(とりわけ、昭和30年代を中心に一世を風靡した日活のアクション映画、および昭和40年代から50年代にかけて一時代を築いた東映のヤクザ映画)を彷彿とさせる内容、激しいガンアクションや火薬を大量に用いた爆発シーンは話題を呼び、香港のみならずアジア各国でも大ヒットした。また、スローモーションを多用した銃撃戦は、サム・ペキンパーの『ワイルドバンチ』の影響を強く受けたと言われている。さらにセルジオ・レオーネや深作欣二からも多大な影響を受けていることは有名である。逆にこの作品が後世の映像作家に与えた影響も大きく、『マトリックス』シリーズのウォシャウスキー兄弟も「日本のアニメとジョン・ウーのファンだ」と公言している。
この人気により、『男たちの挽歌 II』『アゲイン/明日への誓い』とシリーズは計3本製作された。他にも『狼 男たちの挽歌・最終章』『ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌』といった作品もあるが、これらは監督と主演が同じだけでシリーズとは関連性がなく、日本で独自に同じタイトルがつけられたものである。しかし、ツイ・ハーク、ジョン・ウーの2人とも「男たちの…」という邦題を気に入っているという。
制作へのきっかけ編集
香港映画界で独自の路線を貫き通したことでジョン・ウーとティ・ロンが台湾に追われることになり、不遇の生活を送っていたところ、友人であるツイ・ハークが「もう一度、香港で映画を作ろう」と台湾に出向いて香港映画界に復活させたことが本作の制作のきっかけとなった(そのエピソードは、冒頭の出所したホーを警部が迎えに行く場面に引用されている)。なお、当時ジョン・ウーが在籍していたのはゴールデン・ハーベスト社で、『ソルジャー・ドッグス』の暴力描写が問題となり干されることになったという。
ストーリー編集
三合会の幹部、ホーは闘病中の父と学生である弟キットの面倒を見ていたが、弟が警官になる希望を持っていることで病床の父から足を洗うよう頼まれる。了解したホーは、次回の台湾への贋札の取り引きを最後に、闇社会から足を洗おうと決意する。しかし、取り引きは密告によって警察に知られており、同行した後輩シンを逃し、ホーは自首することになる。その間、香港では父が陰謀によって殺され、そのことでキットは尊敬する兄が三合会の組員と知る。一方、ホーの親友マークは報復のために乗り込んだレストランで敵を皆殺しにしたものの、足を負傷するというアクシデントに見舞われる。
数年後、ホーは出所するが、今では警察官になり結婚もしているキットから、父親の死の責任とマフィアの兄を持つことから出世の出来ない不満をぶつけられた上に追い出され、親友マークは怪我で自由の利かない体になったことから雑用以下の扱いを受けるほど落ちぶれていた。そして元は後輩だったシンが三合会で権力を握るようになっていた。
ホーは弟と和解するためにも堅気となり、穏やかに暮らそうとするが、周りはそんな彼を放ってはおかなかった。男として失った誇りを取り戻したいマークは旧友に協力を求め、シンも自分に力を貸すよう強要する。しかしシンは自分の敵となる人物たちの粛清を始め、その手始めに組長のユーが殺された。現状を知ったホーは弟との絆、親友との友情のためにマークと共に銃を手に取る。
キャスト編集
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | ||
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新ソフト版 | 旧ソフト版 | TBS版 | ||
マーク(李馬克) | チョウ・ユンファ | 磯部勉 | 相沢まさき | 玄田哲章 |
ホー(宋子豪) | ティ・ロン | 堀勝之祐 | 大滝進矢 | 堀勝之祐 |
キット(宋子杰) | レスリー・チャン | 井上和彦 | 高木渉 | 関俊彦 |
ジャッキー | エミリー・チュウ | 中原麻衣 | 増田ゆき | 玉川砂記子 |
シン(譚成) | レイ・チーホン | 堀内賢雄 | 成田剣 | 大塚芳忠 |
キン(堅叔) | ケネス・ツァン | 野島昭生 | 青山穣 | 広瀬正志 |
ホーの父(宋景文) | ティエン・ファン | 藤本譲 | ||
ユー社長 | シー・イェンズ | 佐々木敏 | 山野井仁 | 村松康雄 |
シンの手下 | シン・フイオン | 山野井仁 | ||
偽札技師 | レウ・ミン | 田原アルノ | ||
香港警察・部長 | カム・ヒン・イン | 田中正彦 | 若本規夫 | |
台湾警察・警部 | ジョン・ウー | 森田順平 | 山野井仁 | 納谷六朗 |
音楽学院の審査員 | ツイ・ハーク | 野島昭生 | ||
台湾黒社会のボス | 王俠 | 飛田展男 | ||
日本語吹替演出 | 市来満 | 藤山房伸 | ||
日本語吹替翻訳 | 高橋結花 | 木原文子 |
- 新ソフト版:2013年パラマウント発売の日本語吹替収録版BD&DVDに収録
- 旧ソフト版:1999年カルチュア・パブリッシャーズ発売のDVDに収録
- TBS版:初回放送1989年2月21日『火曜ロードショー』
スタッフ編集
主題歌編集
挿入歌編集
リメイク編集
インド版編集
1994年に『Aatish: Feel the Fire』のタイトルで公開された。日本未公開。
韓国版編集
男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW | |
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무적자 | |
監督 | ソン・ヘソン |
脚本 |
キム・ヒョソク イ・テッキョン チェ・グンモ キム・ヘゴン |
製作総指揮 |
ジョン・ウー テレンス・チャン |
出演者 |
チュ・ジンモ ソン・スンホン チョ・ハンソン キム・ガンウ |
音楽 | イ・ジェジン |
撮影 | カン・スンギ |
製作会社 | Fingerprint Pictures=Hong Kong Fortunester Entertainment=Zuzac |
配給 | 東映 |
公開 |
2010年9月16日 2011年2月19日 |
上映時間 | 125分 |
製作国 | 韓国 |
言語 | 韓国語 |
『男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW』(原題:무적자)は、2010年の韓国映画。
基本的なストーリーはオリジナルとほぼ同じであるが、主要人物が朝鮮民主主義人民共和国からの脱北者である。オリジナル以上に悲劇的な結末などリメイク版独自の展開が追加されている。
日本公開は2011年2月19日で、キャッチコピーは「最期に賭けたものは、「明日」。」。
キャスト編集
中国版編集
男たちの挽歌 REBORN | |
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英雄本色2018 | |
監督 | ディン・シェン |
脚本 |
ディン・シェン ウー・ヤン |
製作 | チョウ・ミャオ |
出演者 |
ワン・カイ マー・ティエンユー ダレン・ワン |
撮影 | ディン・ユー |
配給 | ハーク(DVDリリース) |
公開 |
2018年1月18日 2020年5月20日(DVDリリース) |
上映時間 | 114分 |
製作国 | 中国 |
言語 | 普通話 |
『男たちの挽歌 REBORN』(原題:英雄本色2018)は、2018年の中国映画。
日本では劇場未公開で、2020年5月20日にDVDがリリースされた。
キャスト編集
脚注編集
関連項目編集
- 男たちのバッカ野郎(原題:精裝追女仔) - 1987年、バリー・ウォン(王晶)監督、チョウ・ユンファ、マギー・チャン主演。パロディ作品。
- 男たちの挽歌4(原題:新英雄本色) - 1994年、バリー・ウォン(王晶)監督、イーキン・チェン主演。新シリーズだが、内容的な関連はない。
- 男たちの挽歌 外伝(原題:廟街故事) - 1995年、アンドリュー・ラウ監督、イーキン・チェン主演。関連は邦題のみ。
- 男たちの挽歌・烈火之章(原題:新喋地雙雄) - 1996年、フォク・イウ・レン監督、ニッキー・ウー主演。関連は邦題のみ。
- 長江哀歌 - 2006年、賈樟柯(ジャ・ジャンク―)監督作品。劇中で本作のビデオを観る若者が登場する。
外部リンク編集
- 男たちの挽歌 - allcinema
- 男たちの挽歌 - KINENOTE
- A Better Tomorrow - オールムービー(英語)
- Ying hung boon sik - IMDb(英語)
- 男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW - allcinema
- 男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW - KINENOTE
- A Better Tomorrow - オールムービー(英語)
- Moo-jeok-ja - IMDb(英語)
- 男たちの挽歌 REBORN - allcinema
- 男たちの挽歌 REBORN - KINENOTE
- Ying xiong ben se 2018 - IMDb(英語)