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2005年世界陸上競技選手権大会における男子20kmの競技模様

競歩(きょうほ)は、トラックあるいは道路上で決められた距離を歩く速さを競う陸上競技種目である。競技会では50kmWのように最後にW (walk) を付けて表記する。

概要編集

 
1964年東京オリンピック競歩50km折り返し碑(府中市 (東京都)

陸上競技種目で唯一の判定種目である。後述のルールに沿った歩形(フォーム)を維持しながら歩かなければならず、順位やタイムだけでなくルール(失格)との戦いがある。競歩のルールは幾度か改正がされている。

現在、男子20km・男子50km・女子20kmがオリンピックの競技種目で実施されている。男子50km陸上競技種目の中で最長種目である。オリンピックでは1906年アテネ中間大会での男子トラック競技として始まり、1932年ロサンゼルス大会から道路競技となった(50km)。戦後、1948年ロンドン大会と1952年ヘルシンキ大会は50㎞とトラック10000mが行なわれ、1956年メルボルン大会で10000mは道路の20kmとなり、それ以降は1976年モントリオール大会で50㎞が行なわれなかったのを除き、男子は50㎞と20㎞が実施されている。女子種目は1992年バルセロナ大会から10kmが実施され、2000年シドニー大会から20kmに延長された。1964年東京オリンピックでは20㎞と50km競技が実施となり、50㎞でアブドン・パミッチが2大会連続でメダルを獲得している。

歩く競技とはいえ、世界大会レベルとなるとその速度は走っているものにも劣らない。2014年現在、男子50kmの世界記録は3時間32分33秒であり、これをマラソンの距離である42.195kmに換算すると2時間59分20秒である。この換算タイムはいわゆるサブスリーと呼ばれ、マラソンのセミプロランナーレベルである。また、体力の消耗が激しい場合、マラソンならば速度を落として「歩きだす」といった光景が見られるが、競歩の場合は(スピードは速いが)競技自体が歩いている状態であるうえ、日常生活における普通の歩行法を行うと「ベント・ニー」の反則(後述)と判定され失格になる可能性もあるため、バテてしまうと歩行すら困難になってしまい完歩すら出来なくなるなど、イメージとは裏腹にかなり過酷なスポーツである。近年日本男子勢が強化策の一環としてサロマ湖100キロウルトラマラソンを完歩するという過酷なチャレンジをしている。国際陸連は非公認であるが、2時間などの一定時間で歩いた距離を競う競技や、欧米では100km競歩の競技会も行なわれ、世界記録も存在する。

道路で実施する競技会の場合、マラソンなどと比べて周回コースで行なわれることが多いため応援がしやすく、国際大会ともなると時間とともに多くの観衆でコース周辺が埋め尽くされる(マラソンと同様、コース上での観戦は入場料はかからない)。競歩だけの国際大会も盛んで、2年に一度開催されるIAAFワールドカップ競歩はまさに世界最大の競歩競技会である。

全国高等学校総合体育大会には2001年熊本大会から導入された。それまでは普及度の関係で混成競技等と共に別日程(3週間遅れくらい)で全国高校選手権として実施されていた。導入後も普及・競技人口の関係で競歩と混成競技は各地区上位4名まで(2009年までは3名)が全国高等学校総合体育大会へ出場となる(他種目は上位6名まで)。

2019年2月6日、国際陸連は、五輪や世界選手権などの競歩の実施種目を、現行の50キロと20キロから30キロ10キロに短縮する案を3月の理事会に諮ると発表した。合わせて、歩型違反を判定する靴底の電子チップ導入も提案される。承認されれば、2021年1月1日から実施し移行期間も設ける[1]

主なルール編集

  • 常にどちらかの足が地面に接していること(両方の足が地面から離れると、ロス・オブ・コンタクトという反則をとられる。以前はリフティングという名称だった)。
  • 前脚は接地の瞬間から地面と垂直になるまで膝を伸ばすこと(曲がるとベント・ニーという反則をとられる)。
  • 競歩競技には上記2つのような定義が定められており、その定義に違反しているおそれがあると競歩審判員が判断したときに、競技者はイエローパドルを提示される(ロス・オブ・コンタクトの時は波型の書いてあるものを、ベント・ニーの時はくの字が書いてあるもの)。定義に明らかに違反している場合はレッドカードが発行される。ある競技者に対してのレッドカードが累積3枚になると、競技者は主任審判員より失格を宣告される。ただし、主催者などが「ペナルティゾーン」を採用した場合は、レッドカードが累積3枚になった競技者はペナルティゾーンにおいて所定の時間(20キロ競歩では2分、50キロ競歩では5分など、レース距離10キロに対して1分)待機し、レースに復帰することができる。この場合は4枚目のレッドカードで失格となる[2]
  • 競歩審判員は道路種目では主任を含め6名以上9名以内、トラック種目では主任を含め6名で審判にあたり、主任審判員はレッドカードのとりまとめや失格の宣告のみ行ない、特別な状況を除き、競技者の判定には加わらない。特別な状況とは、世界選手権、オリンピック、ワールドカップ、他に地域(日本はアジアに所属)レベル以上の競技会、国内では、日本陸連主催・共催競技会、男女混合レース等のラスト100mである。この特別な状況においては、主任審判員も判定を行い、累計レッドカード数に関係なく主任審判員が違反していると判定した競技者は失格になる。これは無茶苦茶なラストスパートを抑制する目的で定められたものである。
  • オリンピック世界陸上競技選手権のエントリースタンダード(参加標準)では、事前に国際陸上競技連盟 (IAAF) に届け出のある、3人以上の国際競歩審判員(IRWJ: International Race Walking Judge)が判定を行う競技会の記録のみが有効とされている。国際競技審判員には、IAAFレベルとエリアレベルがある。オリンピックや世界選手権では全員IAAFレベルの審判員、アジア大会やアジア選手権ではIAAFレベルまたはエリアレベルの審判員が判定を行う。
  • 日本陸上競技連盟主催および共催の競技会は、JRWJ・日本陸連競歩審判員 (Japan Race Walking Judges) =レベルIまたは日本陸上競技連盟が指名した競歩審判員が判定を行っている。
  • 競歩の場合、何度イエローパドルを提示されても失格には直接関係しない。一方で、一度もイエローパドルを提示されずにレッドカードが発行されて失格になるケースも稀だが発生することがある。
  • 1人の審判員は1人の競技者に対して、イエローパドルの提示はそれぞれの反則について1回ずつ、レッドカードはどちらかの反則について1回のみ出すことができる。つまり一人の審判員が何枚もレッドカードを発行することができず、主任審判員はレッドカードが3枚そろった時点でそれぞれのカードが異なる審判員のものであることの確認を行なう。また国際大会ではレッドカードがそれぞれの違う国籍の審判員のものでなければ失格にならない。
  • 競技中、どの審判員がレッドカードを出したかは競技者本人には知らされない。審判員はレッドカードを発行すると連絡員を通じて主任審判員に提出する。その内容が競歩掲示板に表示される(国際大会では、通信装置が併用される)。掲示板には競技者のナンバーと違反した反則の記号が表示される。
  • たとえフィニッシュした場合でもレッドカードが3枚そろえば失格となる。この場合、主任審判員は速やかに対象の競技者を探し、失格の宣告を行なう。そのため先着者が失格になってしまい下位でフィニッシュした競技者が繰り上げ入賞になる場面が度々見られる。1992年バルセロナオリンピックの女子10km、2000年シドニーオリンピックの男子20kmでは最初1着でフィニッシュした競技者がフィニッシュ後に失格となった。いずれもフィニッシュ前の競り合いで3枚目のレッドカードが発行されたものである。現在は、失格の告知の遅れを防ぐために主任補佐を配置することができるようになっている。国内競技会では、全国高校総体や国民体育大会において、ラストスパートの競り合い時等に歩型を乱し、フィニッシュ後の失格が度々起こっている。競技会では途中棄権よりも失格者の方が多いということもしばしばである(途中棄権が少ないのは失格によって順位が変動することもあるため、諦めずフィニッシュへ向かうためと言われている)。
  • 審判の判定は必ず各審判員の目視のみで判定する。ビデオ判定は行われていない。また、周りの言動や野次などに惑わされることなく、自分の意思で判定を行う。また、審判員の中には、個人で判定基準を設けていることがある(1.踵からしっかり着地できているか、2.蹴った後の後足の高さ(巻き足)、3.集団の中の上下動、4.左右の膝の高さなど)が、正しくは定義についての違反があるかどうかが判断の基準であり、1.から4.などは注視するための目安でしかない。競歩審判員を行うに当たり、前述のIRWJ及びJRWJを除き、特別な資格は要せず、国内競技会においては、日本陸連公認審判員であれば、S級・A級・B級のいずれであっても競技規則上の資格制限はない。
  • 各審判員のイエローパドル及びレッドカードの記録は集計用紙(サマリーシート)にまとめられる。そこには各審判員がどの競技者にイエローパドルやレッドカードと判断したのか、反則の種類、時刻が明記されている。集計用紙は、競技者・関係者は閲覧することができる。また判定に対して抗議がなされた場合は、これに基づいて説明が行なわれる。
  • 道路の場合は、日本陸上競技連盟主催および共催の競技会は1周最短2km - 最長2.5km、それ以外の競技会は1周最短1km - 最長2.5kmに設定しなければならない。コースレイアウトは周回コースでも直線折り返しコースでも構わない。
  • 途中計時のタイム(10km、15km、30kmなど)もその競技者がフィニッシュして記録が成立すれば、個人の記録として公認される。現在の男女10km・15kmの日本記録はいずれも各20km競歩の途中計時である。

種目編集

日本の大会編集

各競技会では一般の部のほかに、ジュニア(高校生、中学生)の部が開催されている。5月の日本ジュニア選手権競歩大会はトラックで行われる。

4月
5月
10月
11月

・ひろしま県央競歩大会

1月
2月
3月
過去

日本の競歩選手編集

国際大会編集

脚注編集

  1. ^ 競歩の距離短縮を提案へ 電子チップ導入も 国際陸連”. 産経ニュース. 産経新聞社 (2019年2月7日). 2019年2月7日閲覧。
  2. ^ 日本陸上競技連盟競技規則 第230条 競歩競技329頁7.(c)

関連項目編集