群 (軍事)

軍隊における編制の一つ
護衛隊群から転送)

(ぐん、英語:group)は、近代陸軍の編制の単位の一つ。軍種によって規模、構成等は様々である。

アメリカ合衆国軍でのgroupとは、

  1. 複数の大隊から成る戦闘部隊または支援部隊。
  2. 特定の任務を命ぜられた部隊内の一組織、複数の航空機または艦船をもって構成。

とアメリカ国防総省用語[1]で定義されている。

陸上自衛隊 編集

 
群旗、群に授与。帽章に3本の線が入っており、一般的には群だけでなく人員規模が小隊規模の隊編成であっても指揮官が1佐であれば授与される

陸上自衛隊では、連隊より小さく、大隊より大きい単位である。一般に、複数個大隊または中隊からなり、連隊が固定的な編成であるのに対し、群は要求に応じて部隊規模が膨張・縮小出来る融通性に富む編成となっている。群が複数集まってを構成する(システム通信団の前身が「固定通信群」だった)。指揮官である群長は1等陸佐が充てられる。

また、自衛隊イラク派遣でイラク領内に派遣された陸上部隊は防衛庁長官(当時)の直轄部隊であったが規模が複数の中隊を保有し1佐が指揮官である点、直轄部隊であり連隊に準じた編成を持つことなどからイラク復興支援と称した。

基本的に陸上総隊司令官直轄部隊、若しくは方面総監直轄部隊として運用されている(但し、有事の際は隷下部隊が必要に応じて師団旅団)長若しくは師団等隷下部隊長の指揮下で運用される場合もあるほか、災害派遣時は派遣先の当該師団(旅団)長の指揮下で運用される場合もある)[注 1]

陸上自衛隊の群(2024年3月現在)
名称 隷下部隊編制 備考
第1特科群[注 2] 2個特科大隊 第1特科団隷下
高射特科群[注 3] 2~4個高射中隊 各方面隊に1~2個
施設群 3~4個施設中隊
水際障害中隊・坑道中隊[注 4]
施設団隷下
第1輸送ヘリコプター群 4個飛行隊[注 5] 第1ヘリコプター団隷下
システム通信群 1個基地システム通信大隊
1個指揮所通信大隊
1個中枢交換通信(中)隊
各方面隊隷下
中央野外通信群 1個搬送通信大隊
1個通信運用中隊
システム通信団隷下
特殊作戦群 3個中隊 陸上総隊隷下

(※)第1戦車群は2014年3月26日付で廃止。

海上自衛隊 編集

海上自衛隊における群は、艦隊[注 6]より小さく、より大きい単位であり、FlotillaやCommandに相当する。一般に、いくつかの隊 - Divisionからなり、群が複数集まって艦隊または集団を構成する。陸上自衛隊や航空自衛隊のに相当し、指揮官である群司令は海将補または1等海佐が充てられる。

例として、護衛艦隊は4個護衛隊群等からなり、各護衛隊群は2個護衛隊からなる。

海上自衛隊における群には、以下のようなものがある。

航空自衛隊 編集

航空自衛隊では、より小さく、より大きい単位である。一般にいくつかの隊からなり、群が複数集まって団を構成する。指揮官である群司令(陸自と違って「長」ではない)は1等空佐又は2等空佐が充てられる。

例として、航空団は飛行群や整備補給群等からなり、飛行群は2個飛行隊等からなる。なお、航空自衛隊の場合、航空教育隊(2個教育群等からなる。)など、名称は隊だが団と同等の編成もある。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 旅団隷下の普通科戦闘団編成時は、施設群隷下の施設(中)隊が隷属される他に、災害派遣時においても特定の警備区を持たないことから主として増援部隊として派遣先の部隊長指揮系統に組み込まれる例が多い
  2. ^ 東北方面隊の第2特科群・西部方面隊の第3特科群は方面特科隊に改編、第4特科群は2024年3月廃止。
  3. ^ 第15旅団第6高射特科群は2014年3月26日付で高射特科連隊に改編
  4. ^ 編制されない場合がある。
  5. ^ 1個飛行隊あたりCH-47J/JAを8機装備
  6. ^ ただし名称上は艦隊であるが実質は Squadron である練習艦隊は除く。

出典 編集

  1. ^ 高井三郎『現代軍事用語』アリアドネ企画、2006年

関連項目 編集