2011年のオーストラリアグランプリ (ロードレース)

2011年のオーストラリアグランプリは、ロードレース世界選手権2011年シーズン第16戦として、10月14日から16日までオーストラリアフィリップ・アイランド・サーキットで開催された。この年のレースでは、最高峰MotoGPクラスでチャンピオンが決定した。

オーストラリアの旗   2011年のオーストラリアグランプリ
レース詳細
2011年のロードレース世界選手権 全18戦中第16戦
決勝日 2011年10月16日
開催地 フィリップアイランド・サーキット
開催コース 常設サーキット
4.445km
MotoGP
ポールポジション ファステストラップ
オーストラリアの旗 ケーシー・ストーナー オーストラリアの旗 ケーシー・ストーナー
1:29.975 1:30.629
表彰台
1. オーストラリアの旗 ケーシー・ストーナー
2. イタリアの旗 マルコ・シモンチェリ 3. イタリアの旗 アンドレア・ドヴィツィオーゾ


Moto2
ポールポジション ファステストラップ
サンマリノの旗 アレックス・デ・アンジェリス サンマリノの旗 アレックス・デ・アンジェリス
1:34.574 1:34.549
表彰台
1. サンマリノの旗 アレックス・デ・アンジェリス
2. ドイツの旗 ステファン・ブラドル 3. スペインの旗 マルク・マルケス


125 cc
ポールポジション ファステストラップ
フランスの旗 ヨハン・ザルコ ドイツの旗 サンドロ・コルテセ
1:39.207 1:40.276
表彰台
1. ドイツの旗 サンドロ・コルテセ
2. スペインの旗 ルイス・サロム 3. フランスの旗 ヨハン・ザルコ


概要

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125ccクラス

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125ccクラス予選では、ポイントランキング2位のヨハン・ザルコが2戦連続・シーズン4度目のポールポジションを獲得した。以下フロントロウにはサンドロ・コルテセジョナス・フォルガーが並び、ポイントリーダーのニコラス・テロルは4番グリッドからのスタートになった[1]

日曜日の決勝はスタート直前に雨が降り、ウェットレースが宣言された。レインタイヤを選択したアドリアン・マルティンがピットスタートながらトップで1周目を終える圧倒的な速さを見せたが、やがて路面が乾いていくと急速に順位を落とした。代わって6周目にトップに立ったコルテセがその後独走、21周目にニクラス・アジョの転倒に伴い赤旗が掲示され、23周の予定だったレースは20周終了時点で成立、コルテセの2勝目となった。

2位にはルイス・サロムが入り自身2度目の表彰台を獲得、3位にはザルコが入った。テロルは序盤にペースが上がらず2周目には18位にまで沈んでいたが、最後は6位にまで順位を挽回した。この結果チャンピオン争いでは、テロルに対しザルコが25ポイントに差を詰めて終盤2戦に臨むこととなった[2]

Moto2クラス

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Moto2クラスでは金曜朝のフリー走行で、セッション終了のチェッカーフラッグが振られた後にスロー走行していたラタパー・ウィライローに、ポイントリーダーのマルク・マルケスが高速で衝突した。左脚・背中・首を強打したウィライローのダメージは大きく、今回を含めて2戦を欠場することとなった。左眉を1針縫う怪我を負った[3]マルケスには、「ウィライローに危険を与えた不責任な行為」として予選タイムに60秒を加算するペナルティが課せられた[4]

土曜日の予選では、前年のオーストラリアGPを制したアレックス・デ・アンジェリスがシーズン初のポールポジションを獲得した。2番手はマイク・ディ・メッリオが入り、クラス自己ベストグリッドを更新した。3番手には高橋裕紀が続いた。ポイントランキング2位のステファン・ブラドルは8番グリッド、マルケスは13番手のタイムを出したが、前日のペナルティにより最後尾38番グリッドからのスタートになった[5]

決勝レースでは中盤以降デ・アンジェリスとブラドルのマッチレースが展開された。決着はファイナルラップ、1コーナーでトップを奪われたブラドルは次のコーナーで挽回しようとするがデ・アンジェリスのリアに接触。ブラドルが大きくタイムロスし、デ・アンジェリスがオーストラリアGP二連覇となるシーズン初優勝を遂げた。

マルケスは好スタートを決め、22台を1周目に抜いて16位に浮上。終盤にはクラウディオ・コルティとの3位争いを制し、見事35台抜きを遂げて表彰台を獲得した。この結果ポイントランキングではブラドルが首位を奪還したものの、マルケスとのギャップは僅か3ポイントに留まった[6]

MotoGPクラス

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MotoGPクラスでは今回、ポイントリーダーのケーシー・ストーナーがランキング2位のホルヘ・ロレンソに対し40ポイントのアドバンテージを持って地元GPに臨んでおり、10ポイント以上リードを広げることがストーナーのタイトル獲得条件となっていた。

土曜日の予選では、ストーナーが5戦連続シーズン11度目、地元GPで4年連続となるポールポジションを獲得した。2番手にロレンソ、3番手にマルコ・シモンチェリが続いた[7]。 日曜朝のウォームアップ走行、ロレンソは転倒した際に左手の薬指の先端部分を切断する重傷を負った[8]。またチームメイトのベン・スピーズも予選セッションで頭部を強打した影響で集中力を欠き、ヤマハワークスの2人は揃って決勝を欠場することとなった。これでストーナーのタイトル獲得条件は、6位以上でのフィニッシュとなった[9]

午後の決勝レースはドライ路面でスタートしたが、途中から雨が降って白旗が振られた[10]。レース終盤の雨は特に強く全ライダーが大きくタイムを落としたが、上位陣の多くはドライタイヤのまま走りきった。そんなコンディションの中、ストーナーが1周目から他を大きく引き離して独走でシーズン9勝目を挙げ、自身26歳の誕生日に地元グランプリで2007年以来2度目の世界チャンピオンに輝いた。またこの勝利により、ホンダ2006年以来となるコンストラクターズ部門制覇も確定した。

2位にはアンドレア・ドヴィツィオーゾとのバトルを制したマルコ・シモンチェリが入り、自身クラス最高位を更新した。4位にはダニ・ペドロサが入りホンダがトップ4を独占、続いて5番手には終盤まで3番グリッドからスタートしたアルバロ・バウティスタが走行していたが、雨に足をすくわれて2戦連続の転倒リタイヤに終わった[11]

ロレンソはメルボルン郊外の病院にヘリコプターで搬送され、指の靱帯と神経を修復する手術を受け無事に成功[12]。ただし回復には時間がかかり、シーズン残り2戦は欠場することとなった[13]

MotoGPクラス決勝結果

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順位 No. ライダー マニュファクチャラー 周回 タイム/リタイヤ グリッド ポイント
1 27   ケーシー・ストーナー ホンダ 27 42:02.425 1 25
2 58   マルコ・シモンチェリ ホンダ 27 +2.210 2 20
3 4   アンドレア・ドヴィツィオーゾ ホンダ 27 +2.454 4 16
4 26   ダニ・ペドロサ ホンダ 27 +13.160 6 13
5 5   コーリン・エドワーズ ヤマハ 27 +30.886 7 11
6 14   ランディ・ド・プニエ ドゥカティ 27 +48.800 9 10
7 69   ニッキー・ヘイデン ドゥカティ 27 +1:16.314 5 9
8 24   トニ・エリアス ホンダ 26 +1 lap 14 8
9 65   ロリス・カピロッシ ドゥカティ 26 +1 lap 8 7
10 17   カレル・アブラハム ドゥカティ 25 +2 laps 13 6
Ret 19   アルバロ・バウティスタ スズキ 23 アクシデント 3
Ret 7   青山博一 ホンダ 23 アクシデント 10
Ret 35   カル・クラッチロー ヤマハ 23 アクシデント 12
Ret 46   バレンティーノ・ロッシ ドゥカティ 13 アクシデント 11
DNS 1   ホルヘ・ロレンソ ヤマハ 負傷
DNS 11   ベン・スピーズ ヤマハ 負傷
DNS 6   ダミアン・カドリン ドゥカティ 負傷


Moto2クラス決勝結果

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順位 No ライダー マニュファクチャラー 周回 タイム/リタイヤ グリッド ポイント
1 15   アレックス・デ・アンジェリス モトビ 25 39:44.774 1 25
2 65   ステファン・ブラドル カレックス 25 +1.358 8 20
3 93   マルク・マルケス スッター 25 +6.362 38 16
4 71   クラウディオ・コルティ スッター 25 +6.475 20 13
5 44   ポル・エスパルガロ FTR 25 +14.815 6 11
6 54   ケナン・ソフォーグル スッター 25 +15.155 5 10
7 45   スコット・レディング スッター 25 +15.261 4 9
8 29   アンドレア・イアンノーネ スッター 25 +16.047 16 8
9 63   マイク・ディ・メッリオ テック3 25 +16.331 2 7
10 72   高橋裕紀 モリワキ 25 +20.337 3 6
11 12   トーマス・ルティ スッター 25 +22.081 9 5
12 77   ドミニク・エガーター スッター 25 +26.248 13 4
13 40   アレックス・エスパルガロ ポンス カレックス 25 +29.295 24 3
14 51   ミケーレ・ピロ モリワキ 25 +30.203 12 2
15 3   シモーネ・コルシ FTR 25 +30.745 22 1
16 36   ミカ・カリオ スッター 25 +30.776 15
17 88   リカルド・カルダス モリワキ 25 +30.784 27
18 38   ブラッドリー・スミス テック3 25 +43.520 7
19 80   アクセル・ポンス ポンス カレックス 25 +47.064 25
20 35   ラファエレ・デ・ロサ スッター 25 +50.357 19
21 4   ランディ・クルメナッハ カレックス 25 +50.364 33
22 9   ケニー・ノエス FTR 25 +1:04.747 26
23 6   ホアン・オリベ FTR 25 +1:04.907 30
24 68   ヨニー・エルナンデス FTR 25 +1:19.734 29
25 20   Iván Moreno スッター 24 +1 lap 31
26 64   サンティアゴ・エルナンデス FTR 24 +1 lap 34
27 56   ブレイク・レイ=スミス FTR 24 +1 lap 35
28 95   マシェル・アル・ナイミ モリワキ 24 +1 lap 37
Ret 39   ロベルティーノ・ピエトリ スッター 20 棄権 36
Ret 53   バレンティン・デビーズ FTR 19 棄権 28
Ret 43   Kris McLaren スッター 14 アクシデント 32
Ret 19   ザビエル・シメオン テック3 12 アクシデント 23
Ret 16   ジュール・クルーセル スッター 12 棄権 21
Ret 76   マックス・ノイキルヒナー MZ-RE ホンダ 1 アクシデント 11
Ret 75   マティア・パシーニ FTR 0 アクシデント 10
Ret 18   ジョルディ・トーレス スッター 0 アクシデント 14
Ret 34   エステベ・ラバト FTR 0 アクシデント 17
Ret 13   アンソニー・ウエスト MZ-RE ホンダ 0 アクシデント 18
DNS 14   ラタパー・ウィライロー FTR

125ccクラス決勝結果

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順位 No ライダー マニュファクチャラー 周回 タイム/リタイヤ グリッド ポイント
1 11   サンドロ・コルテセ アプリリア 20 34:49.670 2 25
2 39   ルイス・サロム アプリリア 20 +13.572 10 20
3 5   ヨハン・ザルコ デルビ 20 +14.311 1 16
4 7   エフレン・バスケス デルビ 20 +14.926 6 13
5 23   アルベルト・モンカヨ アプリリア 20 +22.328 8 11
6 18   ニコラス・テロル アプリリア 20 +26.689 4 10
7 55   エクトル・ファウベル アプリリア 20 +28.887 5 9
8 25   マーベリック・ビニャーレス アプリリア 20 +35.635 9 8
9 96   ルイ・ロッシ アプリリア 20 +36.553 12 7
10 99   ダニー・ウェブ マヒンドラ 20 +36.686 18 6
11 77   マルセル・シュロッター マヒンドラ 20 +38.608 19 5
12 3   ルイジ・モルシアーノ アプリリア 20 +41.697 11 4
13 84   ヤコブ・コーンフェール アプリリア 20 +43.349 13 3
14 10   アレクシ・マスボー KTM 20 +47.896 15 2
15 50   ストゥーラ・ファーガーハウグ アプリリア 20 +55.159 23 1
16 19   アレッサンドロ・トヌッチ アプリリア 20 +56.909 16
17 28   ジュゼップ・ロドリゲス アプリリア 20 +1:10.093 20
18 17   テイラー・マッケンジー アプリリア 20 +1:10.237 27
19 60   マヌエル・タタショア アプリリア 20 +1:10.802 21
20 63   ズルファミ・カイルディン デルビ 20 +1:10.844 26
21 14   ブラッド・ビンダー アプリリア 20 +1:27.965 24
22 52   ダニー・ケント アプリリア 20 +1:37.676 7
23 8   ジャック・ミラー KTM 20 +1:40.315 28
24 40   Marco Colandrea アプリリア 19 +1 lap 30
25 30   ジュリアン・ペドーネ アプリリア 19 +1 lap 23
26 46   Joshua Hook アプリリア 19 +1 lap 32
27 26   アドリアン・マルティン アプリリア 19 +1 lap 14
Ret 31   ニクラス・アジョ アプリリア 19 アクシデント 17
Ret 36   ホアン・ペレロ アプリリア 12 棄権 29
Ret 53   ジャスパー・イウェマ アプリリア 9 棄権 25
Ret 47   Nicky Diles アプリリア 6 棄権 31
DNS 94   ジョナス・フォルガー アプリリア 3
DNS 21   ハリー・スタフォード アプリリア
DNQ 48   Alexander Phillis アプリリア
DNQ 45   Tom Hatton ホンダ
DNQ 49   Avalon Biddle ホンダ

脚注

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参考文献

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前戦
2011年の日本グランプリ
ロードレース世界選手権
2011年シーズン
次戦
2011年のマレーシアグランプリ
前回開催
2010年のオーストラリアグランプリ
  オーストラリアグランプリ 次回開催
2012年のオーストラリアグランプリ