FLASH PAPA』(フラッシュ・パパ)は、日本のテクノユニットである電気グルーヴのメジャーレーベルでのファースト・アルバム。

FLASH PAPA
電気グルーヴスタジオ・アルバム
リリース
ジャンル マッドチェスター
エレクトロニック
ヒップホップ
ポップス
ハウス
テクノ
時間
レーベル Sony Records/トレフォート
プロデュース Tim Oliver
Tony Martin
Simon Crompton
Darrin Tidsey
Andy Birkinshow
Mark Hall
チャート最高順位
電気グルーヴ アルバム 年表
662 BPM BY DG
1990年
FLASH PAPA
1991年
UFO
(1991年)
EANコード
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後に至るまで演奏されている「ウィー・アー」、「カフェ・ド・鬼」、「電気ビリビリ」などの他、人生 (ZIN-SÄY!) 時代の曲「生ゴミOH2」も収録されている。

帯のキャッチコピーは「マンチェスターの本物野郎を手玉にとった、これが噂のハウス・ラップ・ユニット(ニセ物野郎)」。ちなみに、帯の裏には「はずれ」と印刷されている。

オリコンチャートでは最高位33位となっている。

背景編集

電気グルーヴ結成後、同グループは新宿ロフトなどを中心にライブ活動を行っていたが、4回目のライブ後にSony Recordsから声が掛かり、メジャーデビューへの道へと進む事となった[1]。当時は第二次バンドブームの最中であったが、それに対し懐疑的に見ていたピエール瀧は「あんなのより電気の方がいい」と考え、メジャーデビューには前向きに検討していた[2]

その後インディーズレーベルにてアルバム『662 BPM BY DG』(1990年)をリリース、ほぼ同時期にメンバーの若王子耳夫高橋嵐が脱退するも、新メンバーとしてCMJKが加入した[3]。また同時期にラジオで「電気ビリビリ」を聴いたTMN木根尚登が歌詞に小室哲哉の名が使用されている事に関心を持ち[4]、それを知ったオールナイトニッポンのプロデューサーの仲介により小室から曲のリミックスを依頼される事となった[5]。同グループは、TMNのシングル「RHYTHM RED BEAT BLACK (Version 2.0)」(1991年)のカップリング曲「RHYTHM RED BEAT BLACK Version 300000000000」にてメジャーデビューを果たす事となった[3]

録音編集

プロデューサーにトニー・マーティン(ヒプノトーン)らを迎えマンチェスターでレコーディングされた。このアルバムにおける制作過程は、のちのメンバーの楽曲制作の手法に多大な影響を与えた。また、当初は808ステイトのグラハム・マッセイがプロデューサーを担当する予定であったという(808ステイトのQuadrastate、NewBuildのような作風にしたかったのだと思われる)[1]

現地でのレコーディングに関して石野は「向こうとこっちで決定的に違うのはリズムのグルーヴ感」、「打ち込みに対する姿勢が違う」、「音楽に対する考えも広くなった」など強い影響を受ける事になったと語っている[1]

先述の「RHYTHM RED BEAT BLACK Version 300000000000」の歌詞はこの時に作成された[4]

本作からシングルカットが1枚もなかった事に関して、石野は「この頃の音楽産業は景気がよかったから結構イレギュラーなものが許されるというか、むしろ逆にイレギュラーなものこそ知恵を絞ってやるみたいな、そういう時代だった」と語り、瀧はメジャー資本に入った事で様々な部署のスタッフと親交が深まっていった事で「アイデアもいっぱい出てきて、今なら取捨選択できるようなものであっても当時はとにかく『バカバカしいからそれやっちゃおう』っていうノリで、会社側にもそういう体力があったし、それでカタチになっていった」と述べている[6]。また、この当時にレーベルの代表から「瀧、おもしろいから演歌出せよ」と言われた事から瀧勝としてシングル「人生」が製作される事になった[6]

アルバムタイトルは当初『ヘンタイ夫婦』なども候補に挙がっていたが、採用されなかった[6]

リリース編集

1991年4月10日Sony Records/トレフォートよりリリースされた。

発売から2年後、1993年5月21日には本作のリミックスアルバム『FLASH PAPA MENTHOL』がリリースされている。

アートワーク編集

ジャケットは本来、渋い中年を起用する予定だったが、撮影当日に現れたのは、何を勘違いしたのか“裸の大将”風の若者だったので、仕方なくこのジャケットになったという[7]。発売当日は取材で銀座のCDショップを訪れたが、本作はその店に置かれていなかった。

また、本作のジャケットに関して、メンバーは「背中を向けたオッサンがいてピカーッて光ってる」というニュー・ウェイヴを意識したイメージを伝えたが、実際に出来上がってきたものはメンバーのイメージとは大きく異なるものであったという[6]。しかし、メジャーデビュー後まもなくの右も左も分からない状態であったメンバーは修正させる方法が分からず、そのままジャケットとして採用される事となった[6]

また、ジャケットに本人達の写真が一切使用されていない事について、周囲からは写真を載せるように要求されたが、石野はデペッシュ・モードのインタビュー中にあった「何年か経って若かった頃の自分達の写真なんか見たくないだろう」という発言に感化されていたため頑なに拒否したという[6]

さらに、人生時代とは打って変わり一切ノーメイクで露出した事に関しては、「ある種の仮面みたいなもので自分が守れるかと思ったら、時間が経つにつれて逆に重荷になってくることってあるじゃない。だったらはじめから自然体で出てったほうが楽」と語り、瀧は「着飾って出ていくとやがては着飾ったものを脱ぐか、エスカレートしてさらに着飾っていくしかないから。そんな気持ち悪いことになるなら最初っから素っ裸のほうがいい」と語っている[6]

ツア-編集

アルバムのリリースと前後する形で、3月27日に大阪アムホール、28日には名古屋E.L.L.、4月1日に渋谷クラブクアトロの3か所を巡る「電気グループのキーセンツアー」を開催した。

批評編集

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
CDジャーナル肯定的[8]
TOWER RECORDS ONLINE肯定的[9]
  • 音楽情報サイト『CDジャーナル』では、「期待にたがわぬその出来栄えはメジャー・デビュー盤とはいえ、すでにインディーズ・シーンで輝かしい実績を残してきた彼らなれば当然のこと」と本作の完成度に関して肯定的な評価を下している[8]
  • 音楽情報サイト『TOWER RECORDS ONLINE』では、「当時のマンチェ・ブームに乗っかりマンチェスターでレコーディングを敢行」と当時の音楽シーンを考慮した上で、「POP WILL EAT ITSELF808STATEの影響濃厚な、当時のムーブメントを代表する一枚」と肯定的な評価を下している[9]

収録曲編集

#タイトル作詞作曲プロデュース時間
1.ウィー・アー(WE ARE)石野卓球ピエール瀧石野卓球ティム・オリバー
2.生ゴミOH2(NAMAGOMI OH2)石野卓球石野卓球ダーリン・ティドセイ、サイモン・クロンプトン、アンディ・バーキンショー
3.マイアミ天国(MIAMI PARADISE)電気グルーヴCMJKティム・オリバー、サイモン・クロンプトン
4.M.O.C.石野卓球CMJKトニー・マーティン、サイモン・クロンプトン
5.カフェ・ド・鬼(CAFE DE ONI)石野卓球石野卓球ティム・オリバー
6.ビコーズ(BECAUSE)石野卓球石野卓球ダーリン・ティドセイ、アンディ・バーキンショー
7.ラガモン~証城寺の狸ばやし(RAGGAMON)石野卓球、野口雨情石野卓球、中山晋平ダーリン・ティドセイ
8.CATV石野卓球石野卓球トニー・マーティン、サイモン・クロンプトン
9.Bingo!石野卓球石野卓球、CMJKダーリン・ティドセイ
10.電気ビリビリ(DENKI BIRIBIRI)石野卓球石野卓球マーク・ホール、ダーリン・ティドセイ、アンディ・バーキンショー
合計時間:

スタッフ・クレジット編集

電気グルーヴ編集

参加ミュージシャン編集

スタッフ編集

  • ティム・オリバー - プロデュース、エンジニア
  • トニー・マーティン - プロデュース、エンジニア
  • サイモン・クロンプトン - プロデュース、エンジニア
  • ダーリン・ティドセイ - プロデュース、エンジニア
  • アンディ・バーキンショー - プロデュース、エンジニア
  • マーク・ホール - プロデュース、エンジニア
  • 安部良一 - ディレクター
  • ジョン・ブレイケル - プロダクション・マネージメント(マンチェスター)
  • ピーター・ガルピン - コーディネーション(マンチェスター)
  • 笠井鉄平 - デジタル・マスタリング
  • Takatoshi Sakamoto - デジタル・エディット
  • 戸井田隆男 - マネージメント
  • 吉田孝 - デザイン
  • ブルース・オズボーン - 写真撮影
  • 原田真純 - ポラロイド写真
  • 川野晶子 - ヘアーメイク
  • 青柳光則 - ファットマンズ・スタイリスト
  • Yoshiko Sakazaki - プロモーション・スタッフ
  • 松井恒夫 - プロモーション・スタッフ
  • Mayumi Nakayama - プロモーション・スタッフ
  • Nobuhiro Hata - プロモーション・スタッフ
  • Takeshi Kaneko - プロモーション・スタッフ
  • Mitsunori Honda - プロモーション・スタッフ
  • Mariko Tanaka - プロモーション・スタッフ
  • Yoshinobu Tanizawa - プロモーション・スタッフ
  • 中山道彦 - プロモーション・スタッフ
  • 石井俊雄 - エグゼクティブ・プロデューサー

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c 「牙の章 石野卓球ロング・インタビュー」『電気グルーヴ 俺のカラダの筋肉はどれをとっても機械だぜ』JICC出版、1992年6月15日、27 - 60頁。ISBN 978-4796603461
  2. ^ 「炎の章 ピエール瀧ロング・インタビュー」『電気グルーヴ 俺のカラダの筋肉はどれをとっても機械だぜ』JICC出版、1992年6月15日、69 - 102頁。ISBN 978-4796603461
  3. ^ a b 石田靖博 (2008年4月3日). “電気グルーヴ(2)” (日本語). TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2019年4月30日閲覧。
  4. ^ a b 「Denki Groove, 662BPM BY DG」『アイデア特別編集 電気グルーヴ、石野卓球とその周辺。』誠文堂新光社、2013年3月22日、202頁。ISBN 9784416113165
  5. ^ 小室哲哉 「衝撃的だった」という電気グルーヴとの出会い”. livedoor ニュース. LINE (2017年7月24日). 2019年5月1日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g 「Denki Groove, FLASH PAPA」『アイデア特別編集 電気グルーヴ、石野卓球とその周辺。』誠文堂新光社、2013年3月22日、200頁。ISBN 9784416113165
  7. ^ アルバム『20』初回特典ブックレットより
  8. ^ a b 電気グルーヴ / フラッシュ・パパ [廃盤]” (日本語). CDジャーナル. 音楽出版. 2019年5月1日閲覧。
  9. ^ a b 電気グルーヴ/FLASH PAPA” (日本語). TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2019年5月1日閲覧。

外部リンク編集