N-SAT-110(エヌサット-ワンテン)とは東経110度赤道(=東南アジアボルネオ島)付近上空の対地静止軌道を周回していた日本人工衛星静止衛星通信衛星)である。機体メーカはロッキード・マーティンで、同社A2100-AX衛星バスをもとに製作されている。保有者はスカパーJSATで、日本国内相互間の通信及び放送の中継を行っていた。

N-SAT-110
SUPERBIRD-D、JCSAT-110)
所属 スカパーJSAT
(旧宇宙通信JSAT
主製造業者 ロッキード・マーティン
国際標識番号 2000-060A
カタログ番号 26559
状態 運用終了(デオービット済)
目的 通信(放送を含む)
設計寿命 15年
打上げ機 アリアン42L
打上げ日時 2000年10月7日
物理的特長
衛星バス A2100AX
最大寸法 全幅26.4m(含ソーラーセール及び太陽電池パネル)
質量 2,100kg
発生電力 7,200W
姿勢制御方式 三軸制御
軌道要素
周回対象 地球
軌道 静止軌道
静止経度 東経110度
高度 (h) 35,786km
軌道傾斜角 (i) 0.0度
軌道周期 (P) 23時間56分04秒
搭載機器
中継器 Kuバンド 36MHz×24(右旋円偏波12,左旋円偏波12)、出力120W
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2008年10月に宇宙通信及びJSATがスカイパーフェクト・コミュニケーションズと合併しスカパーJSATとなったが、それ以前は衛星の軌道・姿勢制御といった管制業務を宇宙通信が、中継業務は両者がそれぞれ行っており、衛星全体の名称はN-SAT-110であるが、宇宙通信においてはSUPERBIRD D(スーパーバード ディー、調達呼称SUPERBIRD-5)、JSATにおいてはJCSAT-110(ジェイシーサットひゃくじゅう、調達呼称JCSAT-7)の別名を使用しており、各社管理部分を区分して指す場合にもその別名が用いられる。

沿革 編集

東経110度CS放送 編集

詳細については、日本における衛星放送を参照。また当該放送事業者の一覧については、スカパー! (東経110度BS・CSデジタル放送)#衛星基幹放送事業者一覧を参照。

右旋円偏波トランスポンダ12本は、東経110度CS放送に用いられている。スカパーJSATが放送法に基づく基幹放送局提供事業者となり、同社プラットフォームの「スカパー!」と提携する23社の衛星基幹放送事業者デジタル放送ISDB-S方式)を行っている。

衛星基幹放送局の免許は東経110度CS国内基幹放送の用途で関東総合通信局より以下の計6局(12波)が免許されている。

衛星名称 基幹放送提供事業者
(衛星呼称)
コールサイン 物理チャンネル 空中線電力
N-SAT-110 旧 宇宙通信
SUPERBIRD D)
JO81-CS-HDTV
JO81-CS-TV
JO81-CS-DAT
ND2,8,10 114.5W
ND16,18,24 104.7W
旧 JSAT
JCSAT-110)
JO82-CS-HDTV
JO82-CS-TV
JO82-CS-DAT
ND2,8,10 114.5W
ND16,18,24 104.7W
HDTV-高精細度テレビジョン放送、TV-標準テレビジョン放送、DAT-データ放送

通信 編集

左旋円偏波のトランスポンダ12本は映像通信、IPその他のデータ通信などに用いられる。

提供サービス 編集

東経144度通信衛星のSUPERBIRD C2とともに、ケーブルテレビ局向けデジタル配信に利用している。

予備衛星 編集

2011年8月6日(※日本時間8月7日)に打ち上げたBS現用・東経110度CS予備ハイブリッド衛星となるBSAT-3c/JCSAT-110R放送衛星システムとの共同調達機)の運用開始までの間、東経110度通信衛星事業を行うことができる衛星は、既に設計寿命の大半を経過している本機1機のみの体制が約11年続いていた。

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ スカパーJSAT (2019年2月7日). “スカパーJSATグループ2018年度 第3四半期決算説明会”. 2022年8月22日閲覧。

外部リンク 編集