田澤廉

日本の長距離走選手

田澤 廉(たざわ れん、2000年平成12年〉11月11日 - )は、日本陸上競技選手。青森県八戸市出身。トヨタ自動車陸上長距離部所属。専門種目は長距離走

田澤 廉
TAZAWA Ren
Portal:陸上競技
第106回 日本陸上競技選手権大会
10000m決勝
(2022年5月7日、国立競技場)
選手情報
フルネーム 田澤 廉
ラテン文字 Ren Tazawa
国籍 日本の旗 日本
競技 陸上競技
種目 長距離走
大学 駒澤大学経済学部
生年月日 (2000-11-11) 2000年11月11日(23歳)
出身地 青森県の旗青森県八戸市
身長 180cm
体重 61kg
自己ベスト
5000m 13分22秒60(2022年)
10000m 27分22秒31(2023年)
獲得メダル
日本の旗 日本
陸上競技
アジア選手権
2023 バンコク 10000m
アジアジュニア選手権
2018 岐阜 5000m
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経歴

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八戸市立是川中学校青森山田高等学校[1]駒澤大学経済学部卒業。

中学時代

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3年次に3000m全国中学校体育大会に出場し、決勝に進出するも、最下位の18位であった。

高校時代

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3年連続で全国高等学校駅伝の1区に出走した。1年次は30分58秒で区間27位、2年次は29分42秒で区間4位、3年次は30分13秒で区間15位であった。

2年次に、12月3日の日体大長距離記録会5000mで自身初の13分台となる、13分53秒61を記録した。

3年次に、5000mで第18回アジアジュニア陸上競技選手権大会に出場し、銀メダルを獲得した。

大学時代

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大学1年次

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2019年9月の日体大記録会で当時の5000mU20日本歴代10位の13分41秒82を記録した。出雲駅伝では3区に出走。区間2位の走りで1位に押し上げた。駒澤大は5区までトップを走っていたが、6区の残り700mで國學院大に逆転され、8秒差の2位で惜しくも優勝を逃した。全日本大学駅伝では7区に出走。8位で襷を受けると4人を抜き4位に浮上し、区間賞を獲得した(駒澤大は3位)。11月23日八王子ロングで、当時の10000mU20日本歴代5位の28分13秒21を記録した。第96回箱根駅伝では3区に出走。2区・山下一貴から13位で襷を受けると従来の区間記録を1秒更新する走り(日本人2位、区間3位)で7人を抜き、6位に浮上させた[2](駒澤大は総合8位)。全国都道府県対抗男子駅伝では3区を走り、区間4位。

大学2年次

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出雲駅伝の中止により[3]、三大駅伝初戦となった全日本大学駅伝では8区を走り、東海大・名取燎太と共に41秒前にいた1位の青学大・𠮷田圭太を追い抜く。そして残り1.2kmで名取も引き離し23秒差をつけ、6年ぶり13回目の優勝に貢献。田澤自身も区間賞と大会MVPを獲得した。また、日本選手権で日本人学生歴代4位の27分46秒09を記録し、8位入賞を果たした。第97回箱根駅伝では2区に出走し、1区・白鳥哲汰から15位で襷を受ける。田澤は区間7位ながらも7人を抜き8位まで押し上げた[4]。なお、駒澤大は13年ぶりの優勝を果たした。また、箱根駅伝終了後には2年生ながら次期主将となった。

大学3年次

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5月に開催された日本選手権で日本人学生歴代2位の27分39秒21を記録し、2位に入った。また、6月に開催されたデンカチャレンジでは、27分52秒52で2位に30秒以上の大差をつけ、1位でゴールした。

出雲駅伝では6区を走り、日本人トップとなる区間2位、3人抜きの好走で8位から5位まで押し上げた[5]

全日本大学駅伝では7区に出走。同時にスタートした青学大・近藤幸太郎としばらく並走状態が続いたが、6km過ぎに引き離す。そして13.4kmで東京国際大をとらえトップに浮上させた。田澤は神林勇太の日本人最速記録を41秒上回り3年連続となる区間賞を獲得し、2位の青学大に18秒の差をつけた[6]。駒澤大は8区の花尾恭輔が青学大・飯田貴之とのアンカー勝負を制し2連覇を達成。田澤も2年連続で大会MVPを獲得した[7]

12月の日体大記録会では、10000m日本歴代2位、日本人学生新記録となる27分23秒44を記録した[8]

第98回箱根駅伝では2年連続で花の2区に出走した。1区の唐澤拓海から先頭と39秒差の2位で襷を受け取ると、7km過ぎに先頭を走っていた中央大を追い抜き首位に浮上した。後方から区間記録保持者の東京国際・イェゴン・ヴィンセントらが追いかけるも逆に突き放し、1時間06分13秒の好タイムで区間賞を獲得した。駒澤大の2区区間賞は大八木弘明以来36年ぶり。2位・青学大に1分02秒差をつけた[9][10]。ただ、駒澤大は3区以降振るわず総合3位(往路3位、復路9位)に終わる[11]

大学4年次

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2022年5月に開催された日本選手権では、既に世界選手権の参加標準記録を切っていたこともあり3位以内に入れば無条件で内定という状況で挑んだが、10位(28分06秒34)に終わり即内定とはならず[12]。ただ、その後田澤以外の標準記録突破者は現れず内定が決まった[13]

そして迎えた7月17日の世界選手権だったが、5000m過ぎに差し込みが来た影響もあり20位に沈んだ(28分24秒25)[14]

10月10日の第34回出雲駅伝では3区に出走。1週間前に胃腸炎を患い万全な状態ではなかったが、区間2位の力走で先頭をキープした。駒澤大は9年ぶり4回目の優勝を果たし、青学大の大会記録を33秒上回り大会新記録も樹立した(2時間08分32秒)[15][16]

11月6日の第54回全日本大学駅伝では7区に出走。6区・安原太陽から1位で襷を受ける。この時点で2位とは1分58秒もの大差がついており独走状態であったが、序盤からハイペースで突っ込む。最終的には49分38秒と区間記録を43秒更新し、4年連続となる区間賞を達成[17]。その後、8区の花尾も57分30秒の快走で区間賞を獲得。従来の大会記録を4分以上更新し(5時間06分47秒)、3連覇を果たした。田澤自身も3年連続でMVPを獲得した[18][19][20][21]

第99回箱根駅伝では3年連続で2区に出走。 序盤で中央大・吉居大和に追い抜かれ3位に下がったものの中盤以降はペースを上げ、吉居を再逆転しトップに立つ。しかし青学大・近藤が吉居に追いつき並走する展開になると、差が再び詰まり始める。残り100mで吉居にかわされたが、近藤は1秒差で振り切り2位を死守。12月上旬に新型コロナウイルスに感染し出雲同様万全な状態ではなかったものの、1時間06分34秒の区間3位と粘りの走りを見せた[22][23]。箱根駅伝の2区で複数回1時間06分台を記録したのは、渡辺康幸(早稲田大学)、メクボ・ジョブ・モグス(山梨学院大学)、ライモイ・ヴィンセント(国士館大学)に次ぐ史上4人目の快挙となった。 駒澤大は4区で先頭に立つとそのまま逃げ切り、19年ぶり4回目の往路優勝を果たす[24][25]。翌日の復路でも5人が堅実な走りを見せ2年ぶり8回目の総合優勝(完全優勝)、及び大学駅伝三冠を達成した[26][27]

3月4日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで行われた「The TEN」に出場。ブダペスト世界選手権の参加標準記録(27分10秒00)には20秒近く及ばなかったが、27分28秒04のセカンドベストを記録した[28]

大学卒業後はトヨタ自動車で競技を続けるが、4月以降も駒澤大学を拠点に総監督に就任した大八木の指導を継続して受けることとなる。[29][30]

実業団時代

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7月にブダペストで開催された世界選手権の日本代表として10000mに出場。28分25秒85で15位に入り、前回大会から5つ順位を上げた[31]。12月の第107回日本陸上競技選手権大会の10000mで27分22秒31を記録し、自己ベストを2年ぶりに更新したが4位だった[32][33]

2024年元日のニューイヤー駅伝では3区を走り、区間6位ながらも先頭を守り8年ぶりの優勝に貢献した[34]


人物

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2学年下に田澤駿という弟がいる(青森山田高等学校卒業)。好きな食べ物はわさび。血液型はO型である。2023年1月4日放送のZIP!によると、身長は実測では179.7cmだが、四捨五入して公称を180cmとしている。

遠縁の親戚に女子レスリングの吉田沙保里がいる[35]

大学駅伝では区間賞を逃した事もあるが、第99回箱根駅伝で吉居大和に抜かれるまでは、1度も後方のランナーに抜かれた事が無かった。なお、順位を落とした事は1度も無かった。サッポロビールが2024年1月2日に公開した第100回箱根駅伝オリジナルCMでは、第98回箱根駅伝の1シーンが使用され、本人も駒澤大学在籍時と同じ藤色の襷に近い色のネクタイを着用して出演している[36]

戦績・記録

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大会 種目(区間) 順位 記録 備考
2016 全国高等学校駅伝競走大会 1区 区間27位 30分58秒
2017 全国高等学校駅伝競走大会 1区 区間4位 29分42秒
2018 全国高等学校駅伝競走大会 1区 区間15位 30分13秒
アジアジュニア陸上競技選手権大会 5000m 2位 14分17秒26
2019 八王子ロングディスタンス2019 10000m 組2位 28分13秒21 日本人学生1位
天皇盃全国都道府県対抗男子駅伝競走大会 3区 区間4位 24分00秒
2020 第104回日本陸上競技選手権大会 10000m 8位 27分46秒09 日本人学生歴代4位(当時)
2021 第105回日本陸上競技選手権大会 10000m 2位 27分39秒21 日本人学生歴代2位(当時)
第239回日本体育大学長距離競技会 10000m 3位 27分23秒44 日本人学生記録(当時)、日本歴代2位(当時)
2022 第106回日本陸上競技選手権大会 10000m 10位 28分06秒34
2022年世界陸上競技選手権大会 10000m 20位 28分24秒25
2023 2023年世界陸上競技選手権大会 10000m 15位 28分25秒85
第107回日本陸上競技選手権大会 10000m 4位 27分22秒31 日本歴代4位(当時)
2024 全日本実業団対抗駅伝競走大会 3区 区間6位 43分13秒 チームは優勝

大学三大駅伝戦績

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学年 出雲駅伝 全日本大学駅伝 箱根駅伝
1年生
(2019年度)
第31回
3区-区間2位
23分54秒
(区間新記録)
第51回
7区-区間賞
52分09秒
第96回
3区-区間3位
1時間01分25秒
(区間新記録)
2年生
(2020年度)
第32回
(開催中止)
第52回
8区-区間賞
57分34秒
第97回
2区-区間7位
1時間07分27秒
3年生
(2021年度)
第33回
6区-区間2位
29分42秒
第53回
7区-区間賞
50分36秒
第98回
2区-区間賞
1時間06分13秒
4年生
(2022年度)
第34回
3区-区間2位
23分50秒
第54回
7区-区間賞
49分38秒
区間新記録
第99回
2区-区間3位
1時間06分34秒

記録

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年次ベスト(太字は自己記録)

年度 5000m 10000m マラソン
2016 14分04秒92 - -
2017 13分53秒61 29分06秒55 -
2018 14分00秒27 29分41秒18 -
2019 13分41秒82 28分13秒21 -
2020 13分37秒28 27分46秒09 -
2021 13分29秒91 27分23秒44 -
2022 13分22秒60 27分28秒04 -
2023 - 27分22分31 -

脚注

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  1. ^ 【箱根への道】駒大・田沢廉の決意 2年生で新主将…「言葉」と「走り」で常勝軍団導く スポーツ報知(2021年1月16日)
  2. ^ 【箱根駅伝 3区】駒大・田沢 7人抜きの快走、好タイムも満足せず「まだ力不足」 スポニチ(2020年1月2日)
  3. ^ 出雲駅伝の開催中止決定:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2021年5月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月15日閲覧。
  4. ^ 【箱根駅伝2区】1万メートル日本人最速の駒大・田沢は区間7位、15→8位も「力が足りない」 スポニチ(2021年1月2日)
  5. ^ 出雲駅伝5位の駒澤大学 主将・田澤廉は「出し切った」全日本では必ず優勝を 4years(2021年10月11日)
  6. ^ これが王者のエース!7区で駒大・田澤廉が逆転で一気にトップに立つ 18秒差で青学大が追走 月陸Online(2021年11月7日)
  7. ^ 駒大が2連覇達成、2位青学とは8秒の僅差 全日本大学駅伝 朝日新聞デジタル(2021年11月7日)
  8. ^ 田澤廉が日本歴代2位の27分23秒44! 日体大長距離競技会で好記録ラッシュ 月陸Online(2021年12月5日)
  9. ^ 「ラスト1キロ本当にきつかった」駒大の田澤廉が2区区間賞の快走でトップに!三浦龍司は区間11位【箱根駅伝】 THE DIGEST(2022年1月2日)
  10. ^ 箱根駅伝、駒大・田澤廉が2区でトップに 「挫折」糧に飛躍”. 2023年4月16日閲覧。
  11. ^ 箱根駅伝総合3位の駒澤大 大八木弘明監督「残念です。私の采配ミスです」 4years(2022年1月5日)
  12. ^ 世界選手権代表入りを目指した田澤廉は10位 「大きな試合で力を発揮できなかった」 /日本選手権10000m 月陸Online(2022年5月7日)
  13. ^ 田澤廉、世界陸上代表内定!今夏駒大のエースが世界へ羽ばたく コマスポ(2022年7月2日)
  14. ^ 学生4人目の10000m出場を果たした田澤廉 ほろ苦さを味わうも「今後の人生にプラスとなる」/世界陸上 月陸Online(2022年7月18日)
  15. ^ 出雲駅伝は駒大が大会新記録で9年ぶり4度目の優勝…2区でスーパールーキー佐藤圭汰が順大・三浦龍司に競り勝ち区間新 スポーツ報知(2022年10月10日)
  16. ^ 【出雲駅伝】「監督、言っちゃったよ」駒大田沢廉「体調最悪。無理しました」エースの貫禄V導く 日刊スポーツ(2022年10月11日)
  17. ^ これが駒大のエース田澤廉!4年連続区間賞を圧巻区間新締め「焦らずに自分のペース」/全日本大学駅伝 月陸Online(2022年11月6日)
  18. ^ 【全日本大学駅伝】駒大田沢廉3年連続MVP!7区で青学大近藤幸太郎、創価大ムルワ抑え区間賞 日刊スポーツ(2022年11月6日)
  19. ^ 大会記録4分以上も更新、駒沢大が全日本大学駅伝3連覇…田沢廉「寄せつけない走り」で区間新 讀賣新聞オンライン(2022年11月7日)
  20. ^ 「駒澤大はエベレスト」とライバル校も脱帽…箱根優勝の本命“独走2冠”駒澤大は何が変わったのか? 田澤「これまでと違うところは、強固な団結力」 Number Web(2022年11月9日)
  21. ^ 【陸上】全日本大学駅伝:出雲駅伝を制した駒澤大学が3連覇…大学三大駅伝三冠に王手”. 2024年3月25日閲覧。
  22. ^ 【箱根駅伝2区】駒大・田沢は区間3位 1カ月前にコロナ感染「本当にやばい状態」から力走 スポニチ(2023年1月2日)
  23. ^ 【箱根駅伝】駒大エース田沢廉は2区区間3位 一時トップも終盤に中大・吉居大和に抜かれた 日刊スポーツ(2023年1月2日)
  24. ^ 3冠狙う駒沢大が19年ぶり往路優勝…2位中央大、王者・青山学院は2分3秒差3位 讀賣新聞オンライン(2023年1月2日)
  25. ^ 『区間賞なし往路優勝』は3年連続…駒大制覇に『これが駅伝の醍醐味』『やっぱり総合力』の声【箱根駅伝】 中日スポーツ(2023年1月2日)
  26. ^ 駒大 史上5校目の3冠達成!区間賞1人も総合力で8度目Vつかみ取る「最高の子供たち」令和の常勝軍団へ/箱根駅伝 月陸Online(2023年1月3日)
  27. ^ 箱根駅伝優勝には「2区は田澤じゃないといけないと感じていた」。駒澤大・大八木弘明監督が振り返る大学駅伝3冠への道 Web Sportiva(2023年1月18日)
  28. ^ 駒大・田澤廉が米国「The TEN」で27分28秒04!大学ラストレースでセカンドベスト!清水歓太、伊藤達彦も27分台/The TEN 月陸Online(2023年3月5日)
  29. ^ 2023年度 新人選手・新任スタッフ紹介”. 2023年4月16日閲覧。
  30. ^ 駒澤・田澤廉はトヨタ自動車 青学・近藤幸太郎はSGホールディングス 箱根駅伝を走った4年生の進路#1”. 2023年4月16日閲覧。
  31. ^ 10000m田澤廉は前回から5つ順位アップの15位「昨年よりは戦ったと言えるレースができた」/世界陸上”. 月陸Online. 2024年3月27日閲覧。
  32. ^ 4位田澤廉は意地の自己新27分22秒31!23年7本目の10000mレースを激走/日本選手権10000m”. 月陸Online. 2024年3月27日閲覧。
  33. ^ 4位田澤廉「じっくり練習する期間がなくて」それでも2年ぶりの自己新 米国でレースの意向/日本選手権10000m”. 月陸Online. 2024年3月27日閲覧。
  34. ^ 【ニューイヤー駅伝】トヨタ自動車・田澤廉、元日デビューは「きつかった」区間6位も2位との差を広げトップで4区にタスキ”. TBS NEWS DIG. 2024年3月27日閲覧。
  35. ^ 吉田沙保里が親戚・田沢廉との2ショットを公開「いつの間に私よりも大きくなって」 日刊スポーツ(2023年3月12日)
  36. ^ [1]

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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先代
大迫傑
10000m日本人学生記録
27分23秒44
次代
前田和摩
先代
P・M・ワンブィ
全日本大学駅伝7区区間記録
49分38秒
次代
(記録保持者)