第99回東京箱根間往復大学駅伝競走
第99回東京箱根間往復大学駅伝競走(だい99かいとうきょうはこねかんおうふくだいがくえきでんきょうそう)は、2023年(令和5年)1月2日から1月3日まで開催された99回目の東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)である。
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試合日程 | 2023年1月2日 - 1月3日 |
出場校 | 20校 + 関東学生連合チーム(オープン参加) |
総合優勝校 | 駒澤大学(2年ぶり 8回目) |
往路優勝校 | 駒澤大学(19年ぶり 4回目) |
復路優勝校 | 駒澤大学(10年ぶり 10回目) |
金栗四三杯 | イェゴン・ヴィンセント(東京国際大学) |
< 20222024 > |
沿道での応援が3年ぶりに解禁された。
実施日程編集
区間編集
総距離 217.1 km | 中継所 | 中継所 繰り上げ時間 | ||||
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往路 (107.5 km) |
(スタート)大手町・読売新聞ビル前 | 大手町 | 8時00分 往路スタート | |||
第1区 | 大手町 - 鶴見 | 21.3 km | - | |||
鶴見中継所 | 先頭通過から10分後 | |||||
第2区 | 鶴見 - 戸塚 | 23.1 km | ||||
戸塚中継所 | 先頭通過から10分後 | |||||
第3区 | 戸塚 - 平塚 | 21.4 km | ||||
平塚中継所 | 先頭通過から15分後 | |||||
第4区 | 平塚 - 小田原 | 20.9 km | ||||
小田原中継所 | 先頭通過から15分後 | |||||
第5区 | 小田原 - 箱根町 | 20.8 km | ||||
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(往路ゴール/復路スタート) 箱根町・芦ノ湖駐車場入口 |
箱根町 | 8時00分 復路スタート (8時10分 一斉スタート) | ||||
復路 (109.6 km) |
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第6区 | 箱根町 - 小田原 | 20.8 km | - | |||
小田原中継所 | 先頭通過から20分後 | |||||
第7区 | 小田原 - 平塚 | 21.3 km | ||||
平塚中継所 | 先頭通過から20分後 | |||||
第8区 | 平塚 - 戸塚 | 21.4 km | ||||
戸塚中継所 | 先頭通過から20分後 | |||||
第9区 | 戸塚 - 鶴見 | 23.1 km | ||||
鶴見中継所 | 先頭通過から20分後 | |||||
第10区 | 鶴見 - (日本橋) - 大手町 | 23.0 km | ||||
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大手町(ゴール) |
往路 | 復路 |
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参加大学編集
第98回大会の上位10校(シード校)と予選会通過校10校、これにオープン参加の関東学生連合チームを合わせた全21チームが参加。大東文化大学が4年ぶり、城西大学が2年ぶり、立教大学が55年ぶりに出場する。一方前回出場校では神奈川大学が13年ぶり、中央学院大学と駿河台大学が2年ぶりに予選会で敗退した。
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※ナンバーカードの数字はNo.1 - No.10が前年順位、No.11 - No.20は予選会順位の順。
出場選手編集
No. / 大学名 | 区間エントリー選手(No. / 選手名,学年,年齢) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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1 | 青山学院大学 |
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2 | 順天堂大学 |
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3 | 駒澤大学 |
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4 | 東洋大学 |
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5 | 東京国際大学 |
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6 | 中央大学 |
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7 | 創価大学 |
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8 | 國學院大學 |
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9 | 帝京大学 |
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10 | 法政大学 |
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11 | 大東文化大学 |
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12 | 明治大学 |
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13 | 城西大学 |
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14 | 早稲田大学 |
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15 | 日本体育大学 |
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16 | 立教大学 |
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17 | 山梨学院大学 |
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18 | 専修大学 |
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19 | 東海大学 |
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20 | 国士舘大学 |
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21 | 関東学生連合 |
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概要編集
本年度の出雲・全日本を制し史上5校目の大学駅伝三冠に王手を掛けた駒大と、前回大会を総合・復路新記録で制した青学大による優勝争いが展開されると予想されていた。また、出雲・全日本ともに準優勝の國學院大、前回大会準優勝の順大、出雲3位の中大、前々回大会準優勝校で出雲6位・全日本5位と総合力を増しつつある創価大も上位候補に挙げられた[1]。
往路編集
1区編集
スタートして間もなく、関東学生連合の主将・新田颯(育英大)が1人飛び出すと後続をぐんぐんと引き離し、新八ツ山橋の定点では1分19秒の差をつける。だが1km3分を超えるペースだった後続の集団も、8kmを過ぎてペースを上げ始める。
先頭を走っていた新田は徐々にペースを落とし集団との差が一気に縮まると、抜け出した明大・富田峻平が残り1kmで新田をかわし先頭に立ち、そのまま鶴見中継所をトップでタスキリレー。明大の1区区間賞は第86回大会以来13年ぶり。9秒差の2位に駒大・円健介が続き、新田は15秒差の3番手で続いた。連覇を狙う青学大は、今シーズンの3大駅伝全てで1区を任された目片将大が20秒差の7位でタスキを繋いだ。
前回まで17年連続シード権を獲得している東洋大は、3年連続の1区となった児玉悠輔が富田と56秒差の17位と出遅れる。
なお、1位明大から最下位専大までのタイム差が1分45秒差となり、第84回大会以来15年ぶりとなる2分以内の差で全チームのタスキリレーが完了した。
2区編集
区間賞最有力と目された駒大・田澤廉は大会前に新型コロナウイルスに感染、完治して間もない状態での2区となった。
前回1区で区間記録を樹立した中大・吉居大和はトップと18秒差の4位でタスキを受けると、2.1kmで田澤をかわし、3.1km過ぎに明大の主将・小澤大輝に追いつき並走、7kmで小澤を引き離し単独トップに立つ。序盤やや抑えたペースだった田澤は、横浜駅通過後からペースを上げ始め吉居との差を徐々に詰めていく。さらに後方からは、青学大のエース・近藤幸太郎も追い上げる。
田澤は12.2kmで吉居を再逆転。しかし、近藤が14.3kmで吉居に追いつき2人で田澤を追う展開になると、再び差が縮まっていく。21km過ぎに吉居がスパートを掛けてからは激しい先頭争いが繰り広げられたが、最後は中継所手前100mで吉居が田澤を逆転し戸塚中継所をトップでタスキリレー。3秒差で田澤、4秒差で近藤が続いた。吉居は区間賞を獲得、近藤は区間2位、田澤はコンディション不良ながらも区間3位の力走であった。
1区19位と大きく出遅れた東海大は、故障から2年ぶりの箱根路となった石原翔太郎が区間4位の快走で9人を抜いて11位に浮上する。一方、小澤は吉居にかわされた後徐々に後退し、トップと2分03秒差の13位まで転落。その他、6位でタスキを受けた順大・三浦龍司は区間12位と今回も振るわず9位に後退、前回3区で日本人最高記録を樹立した東国大・丹所健も区間11位に終わり順位を上げられず10位、東洋大・石田洸介は区間19位とまさかの大ブレーキで、19位に後退。エース・松山和希の欠場が響き、シード権に黄色信号が灯り出す。
3区編集
トップの中大・中野翔太が、駒大・篠原倖太朗と青学大・横田俊吾との差を少しずつ広げる走りを見せる。
タスキを受けてから篠原と横田は併走を続けていたが、18km手前で篠原がスパートをかけ横田を引き離すと、中野との差を詰めていく。中野は追いかける篠原を振り切り平塚中継所をトップでタスキリレー。中野は区間賞を獲得したものの、2位・駒大との差は10秒とあまり広がらず。横田は36秒差の3位。
後方では、14位でタスキを受けた早大・井川龍人が篠原と並ぶ区間2位タイの好走で9人をごぼう抜きし、5位にジャンプアップ。明大も1年生・森下翔太の好走で13位から7位に浮上した。一方、山梨学大が4位から14位、国士大が8位から15位に急落し、激しい順位変動が起こった。
4区編集
トップの中大は、吉居大和の弟で1年生の吉居駿恭が箱根初出場。対する2位の駒大は、前回8区でブレーキに泣いた鈴木芽吹がエントリー。
吉居は区間新記録ペースで走っていたが、鈴木がそれをさらに上回るペースで追い上げると6.9kmで追いつき並走となる。しかし2人が牽制してペースが落ちたことによって3位の青学大・太田蒼生が後ろから迫ると、14.3kmで追いつき3人の先頭集団になる。
酒匂橋に入ったところで吉居が太田と鈴木から遅れ先頭争いは2人の一騎打ちとなったが、19.6kmで太田が仕掛け一時は3秒差をつける。しかし鈴木も粘り再び太田に追いつくと、互いに譲らず抜きつ抜かれつのデットヒートに。最後は鈴木がわずかながらも競り勝ち小田原中継所をトップでタスキリレー。1秒差で太田が続く。太田は区間記録にあと5秒と迫る快走を見せた。吉居は38秒差の3位。
今シーズンは肉離れにより出雲・全日本を欠場した東国大のイェゴン・ヴィンセントが3度目の区間新記録を狙い、当日変更でエントリー。12位でタスキを受けると、序盤から積極的に飛ばし4区史上最多タイに並ぶ8人のごぼう抜きを達成し4位に浮上。第96回大会で青学大・吉田祐也がマークした区間記録を30秒更新する1時間00分00秒の区間新記録を樹立した[注 1]。なお、異なる3区間での区間新記録は東海大・佐藤悠基以来で往路だけに限れば史上初、3度の区間新記録は東洋大・柏原竜二以来の記録となった。
一方、前回4区区間賞の創価大・嶋津雄大は過去に休学期間があった関係で「実質5年生」[2][注 2]として出場したが、チームの最終合宿中に負傷した[6]影響もあって区間8位と伸び悩み順位を1つ下げ、7位に後退した。
5区編集
駒大は、当日変更でエントリーされた1年生の山川拓馬が2km過ぎから青学大・脇田幸太朗を引き離していく。一方、本来出走予定だった前回区間3位の若林宏樹が前日に体調不良を訴え、2番手候補だった1年生の黒田朝日も直前の故障で交代を前提とした4区エントリーに回ったため、復路の当日変更で6区に出走予定ながら急遽5区にエントリーされた脇田であったが、序盤からペースが上がらず山川との差がみるみるうちに広がると、4.2km過ぎでは2年連続のエントリーとなった中大・阿部陽樹にも追い抜かれ3位に後退。
2位に浮上した阿部は、先頭を走る山川との差を徐々に縮め、小涌園前の定点では15秒差まで迫る。しかし山川はそれ以上差を詰めさせず、下りに入ると逆に阿部との差を広げていく。このまま山川が先頭でフィニッシュし、駒大は第80回大会以来19年ぶり4回目となる往路優勝を果たした。2位の中大との差は30秒。脇田は下りに入ってから持ち直し、1位の駒大と2分03秒差の3位でフィニッシュ。
小田原中継所を13位でスタートした城西大・山本唯翔は、第96回大会で東洋大・宮下隼人がマークした区間記録を21秒更新する1時間10分04秒のタイムで区間新記録を樹立し、4人を抜いて9位まで浮上。また、順大・四釜峻佑も宮下の区間記録を6秒上回る区間新記録のタイムで区間2位の快走を見せ、11位から6位に浮上した。一時は総合19位だった東洋大も、主将の前田義弘が区間5位の好走を見せ、往路を11位で終えた。
シード権争いでは、8位法大から12位明大までの差が2分36秒にひしめく混戦となった。55年ぶりの出場となった立大は、トップの駒大から15分41秒差の20位で往路を終えた。
15位の国士大以降、学生連合を含めた7チームが芦ノ湖一斉スタートとなった。
復路編集
6区編集
トップでスタートする駒大は、5区の山川に続き1年生の伊藤蒼唯を当日変更で起用。30秒差の2位でスタートする中大は、4年連続の山下りとなる主将・若林陽大を起用。共に快調に下っていたものの、伊藤が少しずつ差を広げていきそのまま小田原中継所をトップでタスキリレー。伊藤は1年生歴代最速となる58分22秒の好タイムで区間賞を獲得。若林は大平台の定点で51秒差をつけられたものの、それ以降は差をわずかに詰め47秒差でタスキリレー。若林も区間2位の好走であった。
一方3位でスタートした青学大は、6区へ出走予定だった脇田が5区に急遽起用されたため当初のエントリー通り西川魁星が出走。だが序盤から前との差を大きく広げられると、下りに入ってもペースが全く上がらず終盤の平地ではさらに失速。西川は区間最下位(青学大としては第85回大会以来)の大ブレーキとなり、早大・國學院大・法大・創価大に抜かれ駒大と7分04秒差の7位に転落。この時点で連覇及び復路優勝は絶望的となった。
シード権争いでは、往路7位だった東国大・吉住颯が区間18位と苦しみ、総合9位へ転落しシード争いへ巻き込まれることに。9位東国大から13位東海大まで1分48秒差と、さらに混戦模様になる。
7区編集
トップの駒大は、前回3区16位からのリベンジに燃える安原太陽がエントリー。二宮の定点で安原は中大・千守倫央との差を1分03秒差まで広げたが、後半ペースダウン。すると逆に千守が差を詰めていき大磯の定点では41秒差に。しかし安原も粘りの走りを見せ、平塚中継所をトップでタスキリレー。2位・中大との差は44秒。
創価大は葛西潤が区間賞の快走で6位から5位に浮上。一方、7位・青学大は前回8区2位の佐藤一世を起用したものの区間7位と伸びず、順大・浅井皓貴にかわされ順位を1つ落とす。
シード権争いでは12位でタスキを受け取った明大・杉彩文海が葛西と同タイムで区間賞を獲得し、シード圏内の10位に浮上する。一方13位・東海大は明大から3分以上離されシード権争いから脱落。9位城西大から12位東洋大までの差は1分52秒と予断を許さない状況が続く。
8区編集
駒大は、エース格の1人である花尾恭輔に代わり、当日変更でエントリーに入った赤星雄斗が箱根初出場。一方の中大は、前回8区3位の実績をもつ中澤雄大が2年連続でエントリーされた。
前半は赤星・中澤共に区間新記録ペースの走りであったが、中澤がさらにハイペースで追い上げ差を徐々に縮めていく。だが最後まで安定したペースを刻んだ赤星に対し、中澤は終盤失速。赤星がトップを守って戸塚中継所をトップでタスキリレー。中大との差は1分05秒に広がった。
後方では、3位・國學院大から8位・青学大が戸塚中継所の時点で57秒という僅差にひしめき合う展開に。シード権争いでは、明大が9位に浮上、城西大が10位に後退。東洋大は、前回4区でブレーキに泣いた木本大地が法大・宗像直輝と同タイムの区間賞を獲得する快走で11位に浮上。10位の城西大との差を33秒に縮め、シード権獲得に望みを繋ぐ。東国大は城西大と1分18秒差の12位に後退。
戸塚中継所では、関東学生連合が19秒間に合わず繰り上げスタートとなった。
9区編集
トップの駒大は3年連続の9区となる主将・山野力がエントリー。2位の中大は、前回山野を上回り区間3位の好走を見せた湯浅仁が2年連続でエントリー。
山野が序盤から区間記録に迫るハイペースで突っ込み、権太坂の定点では1分31秒差まで広げる。だがここからハイペースを維持することはできず、湯浅との差は中々広がらない。それでも山野は区間3位の力走で鶴見中継所をトップでタスキリレー。湯浅も区間6位と粘り駒大と1分33秒差でタスキを繋ぎ、勝負の行方は最終10区に委ねる形となった。
後方では、國學院大・早大・法大・順大・創価大の5チームによる3位集団が形成された中、後方から青学大・岸本大紀が8.3km過ぎにその集団を一気に追い抜き単独3位に浮上。岸本は同じ青学大の中村唯翔が持つ区間記録にあと12秒に迫る歴代2位のタイムを叩き出し区間賞を獲得。4位集団となった5チームからは、創価大の主将・緒方貴典が抜け出し4位でタスキリレー。以降、法大・早大・國學院大・順大の順にタスキを繋いだ。
シード権争いは、東洋大・梅崎蓮が区間4位の力走で順位を2つ押し上げ9位に浮上。東洋大は今大会初めてシード圏内に入った。10位城西大と1分14秒差の11位に東国大が浮上。戸塚中継所の時点では9位だった明大は下條乃將が区間17位と失速し、12位に後退。9位東洋大から12位明大までの差は1分22秒とこちらも混戦模様でアンカーに繋いだ。
鶴見中継所では、専大・国士大・関東学生連合が繰り上げスタートとなった。専大はわずか12秒間に合わず、10区のランナーが見える中で繰り上げスタートを目の当たりにした。一方、山梨学大が7年ぶりに、大東大が6年ぶりに中継所での繰り上げを回避したほか、55年ぶり出場となった立大も中継所での繰り上げ無しで1本のタスキを最後まで繋ぎ切った。
10区編集
2年連続でアンカーを託された駒大・青柿響は、序盤から区間記録を上回るペースで突っ込む。2位で追う中大・助川拓海も青柿と同じくハイペースで入ったが、差は縮まらず徐々に広がっていく。
青柿は後半ややペースを落としたものの、区間2位の好走でそのままトップでフィニッシュし、駒大が2年ぶり8回目の総合優勝。そして、今シーズンの大学駅伝三冠を達成した。また、駒大は往路・復路・総合の全てを制する完全優勝も果たした。
総合2位でフィニッシュした中大は、第77回大会以来22年ぶりとなる表彰台入りを果たした。青学大は、10区の区間記録保持者である中倉啓敦を3年連続で起用。序盤は区間新記録ペースで入ったが中盤以降失速し、最終的に区間7位。前回自身が樹立した区間記録からは2分09秒遅いタイムとなった。青学大は総合3位(往路3位、復路9位)に終わり、初優勝となった第91回大会以降往路・復路・総合のうち必ず1つは優勝していたが、駒大の完全優勝により今大会で途切れることに。また、2013年度以来9年ぶりの無冠[注 3]に終わった。
3位の青学大以降は、1分30秒の間に6チームが続々とフィニッシュ。佐藤快成が3人抜きと力走した國學院大が総合4位、主将・西澤侑真が区間賞を獲得する快走を見せた順大が総合5位。総合6位の早大は2年ぶりのシード権獲得。総合7位の法大は駒大・中大に次ぐ復路3位と健闘した。創価大は1年生の石丸惇那を投入して逃げ切りを図るも最終盤で4つ順位を下げ総合8位となった。ただ、創価大は9区までの追い上げが奏功し、準優勝を果たした第97回大会の復路5位を上回る復路4位の好成績を収め、4年連続でシード権を獲得。前回大会よりも総合タイムを35秒縮めた。
シード権争いは、12位の明大・漆畑瑠人が11位の東国大・堀畑佳吾に追いつき2人で前を追ったものの、漆畑は新八ツ山橋を前に失速し、シード権争いから脱落。堀畑も9位で競り合う東洋大・城西大と新八ツ山橋の定点で39秒差まで詰めながらその後は差が開いていき、最終的に城西大が9位、東洋大が10位でフィニッシュ。城西大は第94回大会以来5年ぶりに、往路から苦戦した東洋大も18年連続でそれぞれシード権を獲得。10位・東洋大と11位・東国大の差は1分32秒だった。東国大は第95回大会以来4年ぶり、13位の帝京大は第93回大会以来6年ぶりのシード落ち。立大は、駒大と23分27秒差の総合18位で55年ぶりの箱根路を走り切った。専大は、前回1区区間4位で予選会では日本人トップの成績を収めた木村暁仁ら複数の主力を欠く苦しいチーム状況が影響し、3年連続の最下位に終わった。
成績編集
大会成績 | 第98回大会までの最高記録 | ||
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総合優勝 (217.1km) |
駒澤大学 (2年ぶり8回目) |
10時間47分11秒 |
10時間43分42秒 青山学院大学 (第98回、2022年) |
往路優勝 (107.5 km) |
駒澤大学 (19年ぶり4回目) |
5時間23分10秒 | 青山学院大学 (第96回、2020年) | 5時間21分16秒
復路優勝 (109.6 km) |
駒澤大学 (10年ぶり10回目) |
青山学院大学 (第98回、2022年) | 5時間21分36秒
- 駒澤大学は総合成績、往路成績、復路成績すべて1位の完全優勝を達成。
- 駒澤大学としては第80回大会<2004年>以来19年ぶり3度目の「完全優勝」
- 大会としては第98回大会<2022年=青山学院大学>に続き2年連続22度目の「完全優勝」
- 2016年度<=青山学院大学>以来史上5度目、駒澤大学としては初の「大学駅伝3冠」
総合成績編集
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往路成績編集
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復路成績編集
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区間賞編集
区間記録 | 第98回大会までの最高記録 | ||||
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往路 | 第1区 (21.3 km) |
富田峻平 (明治大学) |
1時間02分44秒 | 1時間00分40秒 (第98回、2022年) |
吉居大和 (中央大学) |
第2区 (23.1 km) |
吉居大和 (中央大学) |
1時間06分22秒 | 1時間05分49秒 (第97回、2021年) |
イェゴン・ヴィンセント (東京国際大学) | |
第3区 (21.4 km) |
中野翔太 (中央大学) |
1時間01分51秒 | 59分25秒 (第96回、2020年) |
イェゴン・ヴィンセント (東京国際大学) | |
第4区 (20.9 km) |
イェゴン・ヴィンセント (東京国際大学) |
1時間00分00秒 [区間新記録] |
1時間00分30秒 (第96回、2020年) |
吉田祐也 (青山学院大学) | |
第5区 (20.8 km) |
山本唯翔 (城西大学) |
1時間10分04秒 [区間新記録] |
1時間10分25秒 (第96回、2020年) |
宮下隼人 (東洋大学) | |
復路 | 第6区 (20.8 km) |
伊藤蒼唯 (駒澤大学) |
58分22秒 | 57分17秒 (第96回、2020年) |
館澤亨次 (東海大学) |
第7区 (21.3 km) |
葛西潤 (創価大学) 杉彩文海 (明治大学) |
1時間02分43秒 | 1時間01分40秒 (第96回、2020年) |
阿部弘輝 (明治大学) | |
第8区 (21.4 km) |
宗像直輝 (法政大学) 木本大地 (東洋大学) |
1時間04分16秒 | 1時間03分49秒 (第95回、2019年) |
小松陽平 (東海大学) | |
第9区 (23.1 km) |
岸本大紀 (青山学院大学) |
1時間07分27秒 | 1時間07分15秒 (第98回、2022年) |
中村唯翔 (青山学院大学) | |
第10区 (23.0 km) |
西澤侑真 (順天堂大学) |
1時間08分42秒 | 1時間07分50秒 (第98回、2022年) |
中倉啓敦 (青山学院大学) |
区間成績編集
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資料編集
予選会編集
予選会エントリー校編集
予選会は前回より2校多い43校が出場した[8]。前回出場校のうち上智大学は不出場となった一方、埼玉大学が2年ぶり、成蹊大学が第86回大会以来13年ぶりに出場。また、清和大学が初出場した。
予選会競走成績編集
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予選会 参加資格編集
- 2022年度関東学生陸上競技連盟男子登録者で、本予選会並びに箱根駅伝本大会出場回数が通算4回未満である者に限る。なお、出場とはエントリーした時点で出場とする。ただし、別個加盟の大学院の競技者は、学部での出場回数に関係なく新たに4回まで出場できる。
- 1校1チームとする。ただし、エントリーは10名以上14名以下とし、出場人数は10名以上12名以下とする。
- 2021年1月1日より申込期日前日(2022年10月2日)までに各校エントリー者全員が10000m34分以内のトラックでの公認記録を有していること。
予選会における変更点編集
- 資格記録の期間が前回大会より1年短く、1年9か月間となっている。
メディアによる中継・配信編集
予選会
- テレビ
- インターネット
- TVer、スタートから予選通過校発表までライブ配信を実施。
本大会
- テレビ
- ラジオ
- インターネット
脚注編集
注釈編集
- ^ 速報値は59分59秒。
- ^ 嶋津の登録学年は前回大会に続き「4年生」となっていたが、テレビ放送で嶋津の箱根駅伝での戦績をテロップ表示で紹介した際、第96回大会(2020年)で10区区間新記録(当時)を樹立した当時の学年を「1年生」としていたほか、3年生時の大会については欠場扱いにするなど、実際の学年(嶋津は2018年に創価大に入学)との間にずれが生じていた。これは嶋津が第95回大会(2019年)の予選会(創価大は予選会敗退)[3]・本戦にエントリー登録されておらず、「予選会を含めた通算の出場回数は4回まで」とする箱根駅伝の内規[4]で定められた出場回数の上限に達していなかったことに起因する[5]。
- ^ 箱根の往路、復路を含む。総合成績のみであれば2年ぶり
- ^ エントリー10人中、1名が10km以降途中棄権。
- ^ エントリー10人中、1名が15km地点オーバータイムにより失格。
- ^ ミヤギテレビ、福島中央テレビ、テレビ信州、テレビ新潟、テレビ金沢、山梨放送、静岡第一テレビ、南海放送でも同時ネット(山梨放送は9:30に飛び乗り)。また中京テレビや福岡放送など一部地域では、後日(放送日時は各局によって異なるが、主に12月下旬)55分間のダイジェスト版を放送。
- ^ 当日のレース映像に各出場校への取材VTRを加えて再構成した内容。
- ^ 別途、7:00 - 7:50に『まもなく箱根駅伝 往路』を生放送。
- ^ 別途、7:00 - 7:50に『まもなく箱根駅伝 復路』を、一部系列局を除き終了後引き続き15:00まで『続報!箱根駅伝』を生放送。
出典編集
- ^ “【展望】青学大の連覇か、駒大の3冠か、“2強”を4校が追う「2強+4」の構図か/第99回箱根駅伝”. 月陸Online (2022年12月31日). 2023年1月3日閲覧。
- ^ “【箱根駅伝4区】“5年目”の創価大・嶋津、区間8位も完全燃焼 「自伝執筆」の夢へ駆ける”. スポーツニッポン. (2023年1月2日) 2023年1月5日閲覧。
- ^ “箱根駅伝往路優勝、総合3位以内を狙う創価大の4年生・嶋津雄大は来年度も5年生として大学に残る予定”. スポーツ報知. (2021年12月20日) 2023年2月23日閲覧。
- ^ “東京箱根間往復大学駅伝競走に関する内規” (PDF). 関東学生陸上競技連盟. 2007年1月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月25日閲覧。 “2006年(平成18年)10月13日改定時点”[リンク切れ] ※現在はインターネットアーカイブ内に残存
- ^ 円谷美晶 (2023年1月2日). “大学5年目の創価大・嶋津雄大「残った意味を確かめる」 箱根駅伝”. 毎日新聞 2023年2月23日閲覧。
- ^ “【第99回箱根駅伝】「同じ4区は一度としてなかった」 創価大学・嶋津雄大選手、往路終了後コメント”. 文化放送 (2023年1月2日). 2023年1月4日閲覧。
- ^ 第99回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会要項 関東学生陸上競技連盟
- ^ “第99回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会 エントリー一覧” (PDF). 関東学生陸上競技連盟. 2022年10月15日閲覧。
- ^ “第99回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会” (PDF). 関東学生陸上競技連盟. 2022年10月15日閲覧。
- ^ “第99回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会” (PDF). 関東学生陸上競技連盟. 2022年10月15日閲覧。
- ^ “第99回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会 記録表” (PDF). 関東学生陸上競技連盟. 2022年10月15日閲覧。
- ^ “第99回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会 記録表” (PDF). 関東学生陸上競技連盟. 2022年10月15日閲覧。
- ^ “文化放送 箱根駅伝実況生中継”. 文化放送公式サイト. 2020年12月25日閲覧。
- ^ “ラジオ日本新春スポーツスペシャル 第99回東京箱根間往復大学駅伝競走実況中継”. ラジオ日本公式サイト. 2020年12月25日閲覧。
外部リンク編集
- 第99回大会(箱根駅伝公式サイト)