アイアンモンガーIron Monger)は、マーベル・コミックが出版するコミック作品に登場するスーパーヴィランの別名である。

Iron Monger
出版の情報
出版者マーベル・コミック
初登場オバディア・ステインとして:
アイアンマン』第163号
(1982年10月)
アイアンモンガーとして:
『アイアンマン』第200号
(1985年11月)
クリエイターデニス・オニール
ルーク・マクドネル
作中の情報
本名オバディア・ステイン
種族人間
出身地アース616
所属チームチェスマン
スターク・インターナショナル
スターク・インダストリーズ
パートナーマダム・マスク
著名な別名アイアンマン
能力天才レベルの知性
経験豊富なビジネスマン
優れた戦略家
パワードスーツの機能:
超人的な馬力
超人的な耐久性
フライト機能
リパルサー
チェストレーザー
コンピューター制御

発行履歴 編集

デニス・オニールルーク・マクドネルに創造されたオバディア・ステインObadiah Stane) は、1982年10月の『アイアンマン』第163号でデビューし[1]、アイアンモンガーのパワードスーツは、1985年11月の『アイアンマン』第200号に初登場した。

キャラクター経歴 編集

その他のバージョン 編集

MCU版 編集

マーベル・シネマティック・ユニバース』(MCU)の『アイアンマン』では、オバディア・“オビー”・ステイン / アイアンモンガーObadiah "Obie" Stane / Iron Monger)をジェフ・ブリッジスが演じた。『ホワット・イフ...?』シーズン1第6話にも登場するが、キッフ・バンデンホイベルが声をあてている。日本語吹替は下記を参照。

キャラクター像 編集

スターク・インダストリーズ”の重鎮にしてNo.2。ハワード・スタークの盟友で、スターク社の創設期から経営に尽力し、ハワードの死後は暫定的に同社のCEOを引き継いだ。トニー・スタークにCEOの座を譲渡してからは取締役会の一員にして、トニーの片腕兼指導者となり、彼を支えてきた[2][3]

気さくで豪快に振る舞い、トニーがスターク社の軍需産業撤退を決定した際も前言撤回を捲し立てるなど、トニーにとって良き相談相手であり後見人でもある。ピアノ演奏の腕もなかなかのもの。しかしその本性は、若くして自分以上に会社の業績を上げることでアメリカに貢献して世間の注目の的になったトニーに嫉妬心を抱え、彼を追い落としてスターク社を完全に掌握しようと密かに狙う野心家である[2][3]

『ホワット・イフ...?』版 編集

現在のところ、“アース32938”におけるオバディアの“変異体”。基本的なキャラクター像は正史のオバディアと同等だが、後述の経緯からアイアンモンガーを製造・入手はしていない。

武装 編集

ソニック・テイザー(Sonic Taser)
スターク社が軍事用に試作した音速ショック装置[2][3]。自動車のスマートキーのような形状で、相手の耳元へ装置を近づけて、起動スイッチを押すことにより発する音波神経麻痺を誘発する。音波を受けた者は、15分間だけ耳元から首筋にかけて幾何学模様が浮かび上がり、身動きが全く取れず、発声もできなくなるほどのダメージを受けてしまう。また使用者は、自身の安全を考慮して、装置を起動する際には耳栓を着ける。
政府から違法扱いと見做され認可されず、商品として採用されなかったが、オバディアは密かに装置を持ち出し、ラザ・ハミドゥミ・アル=ワザールの殺害時とトニーから“チェスト・ピース(小型アーク・リアクター)”を強奪する際にこの装置を使用する。
アイアンモンガー(Iron Monger)
オバディアがウィリアム・ギンター・リヴァをはじめとするスターク社内の腕利きのエンジニアを集めて作らせた自分専用のパワードスーツ。モデルとなった“アイアンマン・アーマー マーク1”を大型化させたようなシルエットをしており、「装着する」と言うより「内部に搭乗し手動操縦する」形に近い方法で運用する。“マーク2”以降のアイアンマン・アーマーと同じく頭部の内側は多機能ディスプレイとなっており、インジケーターはで、衛星電話音声変換機能も組み込まれている[3]。アーマーの各所には動力シリンダーが見られ、両肩と頭部が胴体の装具に合わせて回転する[2][3]。両手足は大規模な自動制御油圧でコントロールできるため、戦闘ではその大きさにもかかわらず機敏な動作が可能で、両腕で最大6804kgの物を持ち上げて投げ飛ばし[2][3]、“マーク3”のヘルメットを指4本の指圧で握りつぶすなど、アイアンマンを上回るほどの圧倒的なパワーで肉弾戦を行う[注釈 1]。最小限のナビゲーションシステムしか搭載されていない代わりに、高性能の武器と標的設定センサーに重点が置かれ[2][3]、右前腕部に6砲身ガトリング砲、左前腕部に回転弾倉式7連ロケットランチャーをそれぞれ搭載し、左肩部には大型バスを爆発炎上させる程の威力を持つレーザーサイト付きのミサイル発射機を格納している。更に両脚部からのジェット噴射で長距離飛行も可能だが、飛行の際に大量のを吐いて飛行する点はトニーが制作した時から改良されていないものと思われる。又、マーク1のデータを元にしているため低温と圧力の負荷に弱く[2][3]成層圏付近まで上昇した際に氷結し、全機能が一時停止し落下した。しかしその装甲は、スターク社で独占所有している“オムニウム製”であるため[2]、落下の衝撃を受けてもアーマーの原型を保ち、内部のオバディア共々無事な程頑丈である
トニーがアフガンの砂漠に残したマーク1の残骸は、“テン・リングス”が全て回収しアジトに残された設計図を元に復元されたもので、オバディアはラザから奪い取る形で入手した。そしてスターク社研究所の巨大アーク・リアクターの地下にセクター16を秘密裏に設立し、データは機密扱いで開発させるが、動力源であるアーク・リアクターをウィリアムたちでは小型化できなかったため、オバディアがトニーを神経麻痺させて彼のチェスト・ピースを奪取、装着することで本機は稼働できるようになった。

各作品における描写 編集

アイアンマン
日本語吹替 - 土師孝也(劇場公開版)、壤晴彦テレビ朝日版)
本作でMCU初登場。物語の前半では、トニーが登壇する予定だった“アポジー賞”の授賞式に代理のスピーチを即座に行ったり、“ジェリコ”のデモンストレーションを行ったトニーに電話してその結果を尋ねるなど彼をサポートしていたが、この時点で内通していたテン・リングスへトニーの殺害を依頼し、スターク社製兵器の横流しを行なっていた。
しかしトニーが生還した後は取締役会を裏で操り、彼が会社の兵器開発停止を決心すると「一時的に公的な場所に出るな」と言い渡して経営から除外し、事実上スターク社の全権を得て、慈善イベント会場にトニーを招待すらしないなど彼に対して向こうを張る姿勢も表し始めた。また、ラザたちを掃討した後、彼らが回収したマーク1の残骸と設計図を元にアイアンモンガーを製造させていた。
だがその企みをペッパー・ポッツに察知されたことを機に、トニーからチェスト・ピースを奪ってアイアンモンガーを完成。自身の逮捕にやってきたフィル・コールソンたち“S.H.I.E.L.D.”のエージェント数人や、ペッパーにアイアンモンガーで襲いかかるが、そこに現れたトニーと交戦。アイアンモンガーの圧倒的なパワーやリアクターの性能差で攻め立てて追い詰めるも、トニーがアイアンモンガーの首部の後ろの回線を引きちぎった事でディスプレイの視界が0になってしまい、視界確保のためにアイアンモンガーの胸部から頭部にかけての装甲を展開するもこれが仇となり、トニーの指示を受けたペッパーにオーバーロードされた大型アーク・リアクターから発せられたエネルギー波を浴びて気絶。最期はそのまま大型アーク・リアクターへ転落し、大爆発に呑み込まれる。
彼の死は、後日の記者会見で“休暇中の小型航空機の事故”と発表することが決定する。
ホワット・イフ...?』シーズン1第6話
日本語吹替 - 土師孝也
本作では、アース32938におけるオバディアが物語の前半にのみ登場。正史のオバディアと同様に、“テン・リングス”にトニー・スタークの抹殺を裏で依頼していたが、アフガンでそれが実行されたところに駆け付けたエリック・キルモンガーによって阻止された。その後、アメリカに生還したトニーの記者会見の場に参加したキルモンガーに自らの謀略を裏付けるいくつもの証拠を提示されてしまったことで、トニーたちの失望を買ってしまい、見苦しく白々しい態度をとったり身柄を抑えようとした警備員たちに抵抗したりと足掻いたものの、ハッピー・ホーガン(アース32938)から鉄拳制裁された挙句に「前から嫌いだった」と吐き捨てられて、あえなく逮捕となる。

その他のメディア 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ この時のトニー・スターク/アイアンマンが装備していた“アーク・リアクター”は旧式だった為、正確には比較不可能。

参考 編集

  1. ^ DeFalco, Tom; Sanderson, Peter; Brevoort, Tom; Teitelbaum, Michael; Wallace, Daniel; Darling, Andrew; Forbeck, Matt; Cowsill, Alan et al. (2019). The Marvel Encyclopedia. DK Publishing. p. 352. ISBN 978-1-4654-7890-0 
  2. ^ a b c d e f g h ビジュアル・ディクショナリー 2019, p. 54 - 55
  3. ^ a b c d e f g h キャラクター事典 2020, p. 14 - 15

参考文献 編集

  • 『マーベル・スタジオ キャラクター事典』株式会社うさぎ出版、2020年。ISBN 978-4-418-19429-2