クロスファイア (小説)

宮部みゆきの小説

クロスファイア』は、宮部みゆきミステリーファンタジー小説光文社から単行本が出版された。

2000年に金子修介監督によって映画化された。

この小説の前日譚が、『鳩笛草 燔祭/朽ちてゆくまで』所収の中編「燔祭」で描かれている。

ストーリー 編集

念力放火能力(パイロキネシス)という超能力を持って生まれた女性、青木淳子(あおき じゅんこ)は、力を「ガス抜き」のために放出しに向かった廃工場で、瀕死の男性を運んできた4人の若者を目撃する。淳子は男性を救うため力を解放して、次々と若者を燃やしていくが、そのうちの1人、「アサバ」を逃してしまう。

瀕死の男性から若者達に恋人の「ナツコ」が連れ去られた事を聞いた淳子は、「ナツコ」を助けるため、わずかな手がかりを元に「アサバ」を探し出す。一方、放火捜査班の石津ちか子刑事はこの事件に、昔起きた不可解な焼殺事件と同じ匂いを感じ、それを起こした犯人が再び現れた事を悟る。

書籍 編集

映画 編集

クロスファイア
監督 金子修介
脚本 山田耕大
横谷昌宏
金子修介
製作 瀬田一彦
本間英行
濱名一哉
田上節朗
製作総指揮 柴田徹
原田俊明
出演者 矢田亜希子
伊藤英明
吉沢悠
長澤まさみ
音楽 大谷幸
主題歌 Every Little Thing
The One Thing
撮影 高間賢治
編集 冨田功
製作会社 東宝映画
配給 東宝
公開   2000年6月10日
上映時間 115分
製作国   日本
言語 日本語
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金子修介を監督として、2000年6月10日東宝系にて公開された。矢田亜希子はこの映画で初主演を務め、長澤まさみはこの映画でデビューする。前日譚にあたる中編「燔祭」(『鳩笛草』収録)も使い、オリジナル・ストーリーも加えた脚色となっている。

クライマックスで遊園地が炎上するシーンでは、1/5スケールのミニチュアをスタジオで爆破している[1]

ストーリー 編集

青木淳子(矢田亜希子)は、パイロキネシスを使う能力者の家系であり、母親から「あなたは怒ってはいけない、お友達の側に寄っちゃ駄目、その力を使っては駄目なの」と言われ続けて育った。そのため社会人になってからも他人と関わる事が出来ず、同僚からも陰口を言われる女性となってしまった。そんなとき、同僚の多田一樹(伊藤英明)と出会い、親交を深めていく。

しかし、彼女が得た束の間の幸せは、ゲーム感覚の女子高生轢殺事件を繰り返す不良少年グループに一樹の妹雪江が殺害されてから終わりを迎える。彼らは殺人を犯したにも拘らず、リーダー格の小暮昌樹(徳山秀典)の父親のコネと、証拠不十分だということで無罪放免となっていた。怒れる一樹は包丁を持って小暮を襲うが、淳子が制止し「小暮達は私が殺す」と宣言する。彼女は、面白半分で人を殺し、自らを「時代の英雄」とうそぶく小暮達に対して激しい「怒り」を覚えていたのだ。

やがて、淳子は自らに近づく対犯罪組織「ガーディアン」のメンバー木戸浩一(吉沢悠)の助けによって、犯人グループの少年達に容赦なき制裁を加える。生き残った小暮を追う淳子を、女子高生轢殺事件を捜査していた石津ちか子(桃井かおり)と牧原康明(原田龍二)が追う。少年時代に弟をパイロキネシス能力者の少女に殺された康明は、犯人がパイロキネシス能力の保持者であると見る。やがて「ガーディアン」の暗部が露呈され、事件は意外な結末へと収束していく。

キャスト 編集

主な登場人物 編集

  • 青木淳子:矢田亜希子 - 主人公。念力放火能力(パイロキネシス)を持つ異能者。普段はOLとしてひっそり暮らしている。
  • 多田一樹:伊藤英明 - 淳子の同僚。淳子に好意を持つ。
  • 石津ちか子:桃井かおり - 寺町東署の刑事。部下の牧原と共に女子高生連続殺人事件と焼死事件の謎を追う。
  • 牧原康明:原田龍二 - 寺町東署の刑事。幼い頃の淳子に弟(母親の連れ子)を殺された過去を持つ。
  • 倉田かおり:長澤まさみ - パイロキネシスやサイコメトリー、念写能力を併せ持つ異能者。養護施設で暮らしている。
  • 木戸浩一:吉沢悠 - 相手に触れて意志を自在に支配する「押す」力を持つ。同じ異能者として淳子に接触を図る。
  • 小暮昌樹:徳山秀典 - 未成年犯罪者グループの首謀者。人を殺すことが趣味の極悪人で、マスコミの前でも大口を叩く。
  • 長谷川芳裕:永島敏行 - 警視庁刑事部部長。
  • 野坂永治:石橋蓮司 - 寺町東署の署長。
  • 小暮泰三:本田博太郎 - 昌樹の父で、高名な社会評論家。息子の本性に気づいていない。
  • 多田雪江:浜丘麻矢 - 一樹の妹。淳子と親しくなるが、小暮グループに惨殺される。
  • 青木美幸:筒井真理子 - 淳子の母で故人。淳子を戒めながら育てた。
  • 浅羽利光:螢雪次朗 - 光文社で働く週刊誌記者。小暮グループの取材を行っていた。
  • 高田一郎:宮地謙典 - 未成年犯罪者グループの一員。
  • 高田二郎:森本英樹 - 未成年犯罪者グループの一員。
  • 叶仁志:大川知英 - 未成年犯罪者グループの一員。
  • 上杉:TOMO - 未成年犯罪者グループの一員。
  • 三田奈津子:日下部留美 - 浅羽の助手。
  • 神崎:水木薫 - かおりを育て上げた養護施設の職員。
  • 藤木裕太朗:谷原章介 - 野坂の部下で右腕的存在。

その他の登場人物 編集

スタッフ 編集

デジタルコミック 編集

コナミが運営する携帯向けデジタルコミックサイト週刊コナミにおいて漫画化された。アドベンチャーゲームの要素も備えており、「第1部」の途中に現れる選択肢によって物語が「第2部」、「第2部アナザーストーリー」へと分岐する。テーマソング「NΦ CRIME」は3パターンが用意されており、本編以外にも以下の音楽ゲームに収録されている。

  • NΦ CRIME(日本語版/英語版) - beatmaniaIIDX16 EMPRESS
  • NO CRIME(SHANADOO歌唱版・日本語) - DanceDanceRevolution フルフル♪パーティー

関連作品 編集

脚注 編集

  1. ^ 『宇宙船YEAR BOOK 2001』朝日ソノラマ宇宙船別冊〉、2001年4月30日、91頁。雑誌コード:01844-04。 

外部リンク 編集