グリッケンハウス・007 LMH (SCG 007 LMH) は、スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスル・マン・ハイパーカー(LMH)規定に基づきFIA 世界耐久選手権(WEC)への参戦用に開発したプロトタイプレーシングカー

グリッケンハウス・007 LMH
2021年 ル・マン24時間レース
カテゴリー LMH
コンストラクター アメリカ合衆国の旗 スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス
主要諸元
シャシー カーボンファイバー アルミニウム ハニカム モノコック
サスペンション(前) 独立懸架 ダブルウィッシュボーン プッシュロッド
サスペンション(後) 独立懸架 ダブルウィッシュボーン プッシュロッド
全長 4,991 mm
全高 1,224 mm
ホイールベース 非公表
エンジン ピポ・モチュール P21 3.5 L V8 ツインターボ ミッドシップ, 縦置き
トランスミッション エクストラック 7速 シーケンシャルセミオートマチック
重量 1100 kg
燃料 モービル
タイヤ ミシュラン ラジアル
主要成績
チーム アメリカ合衆国の旗 グリッケンハウス・レーシング
ドライバー
初戦 2021年ポルティマオ8時間レース
最終戦 2023年モンツァ6時間レース
出走優勝表彰台ポールFラップ
120221
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概要

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ニュルブルクリンク24時間レースに独自開発のマシンで参戦していた、元映画監督のジェームズ・グリッケンハウス率いるグリッケンハウス・レーシングが開発したル・マン・ハイパーカーである。同社のニュルブルクリンク24時間レース向けのマシン (SCG・004) と同じく、本拠地の米国コネチカット州ダンベリーで開発が行われている[1]。LMH規格に則って製作された車両としては、トヨタ・GR010 HYBRIDに次ぐ2台目となる[2]

エンジンは当初はアルファロメオ製V6ツインターボの予定であったが、2019年の規定改訂で出力が引き上げられたため、ヒュンダイ・i20 WRCフォード・フォーカスWRC用エンジンの実績があるピポ・モチュール社がチューニングするラリークロス用の直4ターボをアッセンブルしたV8ツインターボに変更している[3]。結局この出力は2020年のLMDh規定発表後に引き下げられてしまうが、そのまま同社製エンジンを用いることとなった[4]

フロント部分の造形については、1960年代の耐久レースで活躍したローラ・T70英語版にインスパイアされている[5]。駆動形式はMRで、ハイブリッドシステム四輪駆動は採用していない。

リアウィング上には6枚の垂直フィンが並んでいる。これはシャークフィンと同じく水平方向の安定(ヨーコントロール)を高めるためのデザインである[5]

レース活動

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2021年のFIA 世界耐久選手権への参戦を表明していたが、開発の遅れから開幕戦は欠場し、第2戦・ポルティマオにて1台目がデビュー[6]。第3戦・モンツァにて2台が出揃った。なお、WECでのチームオペレーションは、SCG 003から車両設計にも関わっているポディウム・アドバンスド・テクノロジーズが担当している他、名門ヨースト・レーシングの協力も得ている[7]

同年ル・マン24時間レースは初めて出場する24時間レースながら4-5位で完走し、巷のレースファンを驚かせた[8]バーレーンで行われる最終2連戦はエントリーを見送っている。

2022年ル・マンは2台ともトラブルに見舞われながらもアルピーヌを上回り、初の総合表彰台(3位)を獲得。米国籍チームとしては2005年にアウディを駆ったチャンピオン・レーシング以来となった。3年ぶりの開催となったWEC富士には参加せず、本年の以降のイベントもキャンセルした。本来ならハイパーカークラスのチームはフル参戦が義務付けられているが、メーカーの完全撤退を避けたいFIAの思惑もあって柔軟に判断され、認められた形となった[9]

2023年よりLMH車両の参戦が可能になる、母国のウェザーテック・スポーツカー選手権については、長時間レースとなる「ノース・アメリカン・エンデュランス・カップ(NAEC)」についての参戦」を検討しているとしていたが[10]、参戦は実現していない。

2023年も参戦は第5戦のモンツァまでとなり、終盤2戦を欠場。さらに同年10月には、2024年以降のWECには参戦しない方針を明らかにし、007でのレース活動を完全に終了することになった[11]

戦績

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チーム クラス No. ドライバー Rds. 1 2 3 4 5 6 7 Pts. Pos.
2021   グリッケンハウス・レーシング LMH 708   ピポ・デラーニ 3-4 SPA POR MNZ
Ret
LMS
4
BHR BHR 37 3位
  オリヴィエ・プラ 3-4
  グスタヴォ・メネゼス 3
  フランク・マイルー 4
709   ロマン・デュマ 2-4 SPA POR
29
MNZ
4
LMS
5
BHR BHR
  リチャード・ウェストブルック 2-4
  ライアン・ブリスコー 2,4
  フランク・マイルー 3
2022   グリッケンハウス・レーシング LMH 708   ロマン・デュマ 1-4 SEB
3
SPA
9
LMS
4
MNZ
Ret
FUJ BHR 70 3位
  オリヴィエ・プラ 1-4
  ライアン・ブリスコー 1
  ピポ・デラーニ 2-4
709   ライアン・ブリスコー 3 SEB SPA LMS
3
MNZ FUJ BHR
  リチャード・ウェストブルック 3
  フランク・マイルー 3
2023   グリッケンハウス・レーシング ハイパーカー 708   ロマン・デュマ 1-5 SEB
Ret
POR
8
SPA
13
LMS
6
MNZ
8
FUJ BHR 36 6位
  オリヴィエ・プラ 1-5
  ライアン・ブリスコー 1-2,4
  フランク・マイルー 3
  ナタナエル・ベルトン英語版 5
709   ナタナエル・ベルトン英語版 4 SEB POR SPA LMS
7
MNZ FUJ BHR
  エステバン・グティエレス 4
  フランク・マイルー 4

脚注

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  1. ^ [1]
  2. ^ アルピーヌは特例により旧LMP1マシンを流用して参戦
  3. ^ “Le nouveau défi de Pipo Moteurs avec Glickenhaus”. AUTO hebdo. https://www.autohebdo.fr/actualites/endurance/wec/le-nouveau-defi-de-pipo-moteurs-avec-glickenhaus-210615.html 
  4. ^ “WEC:ル・マン・ハイパーカーの出力低下決定も、グリッケンハウスはピポ・モチュール使用を継続”. AUTOSPORTS Web. https://www.as-web.jp/sports-car/587509?all 
  5. ^ a b “グリッケンハウス、007 LMHのフロント部は「ローラT70からのインスパイア」と明かす。ウイング上のフィンも説明”. AUTOSPORTS Web. https://www.as-web.jp/sports-car/671825?all 
  6. ^ “LMHデビューのグリッケンハウス「いまはコンサバティブにやっている」【WEC第2戦金曜Topics】”. オートスポーツ. (2021年6月12日). https://www.as-web.jp/sports-car/707733?all 
  7. ^ “WEC:ヨースト・レーシング、グリッケンハウスLMHへのサポートで「モチベーションにあふれている」”. オートスポーツ. (2021年1月7日). https://www.as-web.jp/sports-car/660047?all 
  8. ^ “ル・マン初参戦で4、5位入賞のグリッケンハウス。短いFCYが「表彰台のチャンスを潰した」とデラーニ”. AUTOSPORTS Web. https://www.as-web.jp/sports-car/731008 
  9. ^ “グリッケンハウス、一足早くシーズン終了? WEC最終戦バーレーンのエントリーリストに名前なし”. https://jp.motorsport.com/wec/news/glickenhaus-absent-from-bahrain-wec-entry-list/10369428/ 
  10. ^ “ル・マン・ハイパーカーでのIMSA参戦を「当然、検討する」とトヨタ。フェラーリとグリッケンハウスの考えは?”. オートスポーツ. (2021年7月24日). https://www.as-web.jp/sports-car/721726?all 
  11. ^ “グリッケンハウス、2024年シーズンへの復帰を断念「大企業の餌食になるだけ。続ける意味がない」”. オートスポーツ. (2023年10月18日). https://www.as-web.jp/sports-car/1003134?all 

関連項目

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外部リンク

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  • SCG 007 - Scuderia Cameron Glickenhaus