スティーヴ・ミラー・バンド

アメリカ合衆国のロックバンド

スティーヴ・ミラー・バンドSteve Miller Band)はアメリカ合衆国出身のブルース・ロックバンド。創始者スティーヴ・ミラーを中心に結成。1970年代には、アルバムが全米チャート1位を獲得するなど最盛を迎え、活動は50年以上に及ぶ。2016年ロックの殿堂』入り。

スティーヴ・ミラー・バンド
2007年のライブ
基本情報
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 カリフォルニア州サンフランシスコ
ジャンル
活動期間 1966年 -
レーベル
公式サイト www.stevemillerband.com
メンバー
旧メンバー 別記参照

来歴 編集

 
活動初期のグループショット (1969年)

1960年代 黎明期 編集

1966年サンフランシスコで活動を始めたスティーヴ・ミラーの呼びかけにより、ティム・ディヴィス(ドラムス)、ロニー・ターナー(ベースヴォーカル)、ジェイムズ・カーリー・クック(ギター)によって「スティーヴ・ミラー・ブルース・バンド」として結成。

1967年1月にバディ・ガイの前座でアヴァロンに出演、4月にフィルモアと云ったクラブに出演して人気を評す。6月のモントレー・ポップ・フェスティバルに出演してサンフランシスコのバンドに注目していたレコード業界の注目を受けクイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスとともにキャピトル・レコードと契約。同年秋にインドなど海外でバックパッカーとして放浪していたボズ・スキャッグスがグループに参加してレコーディングに入る。

録音技師のグリン・ジョンズロンドンで録音した、スティーヴ・ミラー・バンド名義によるデビュー・アルバム『未来の子供達』はBillboard 200では134位に終わったが[5]、アンダーグラウンド・ラジオで評判を呼び、再びグリン・ジョンズとロスアンジェルスで録音した次作『セイラー』が24位を記録した[5]マーティン・ルーサー・キングロバート・ケネディが暗殺された後にリリースしたシングル「Living in U.S.A.」が国内でヒットとなる。

1969年、ボズ・スキャッグスがグループを抜けて3人になったバンドはベン・シドランを迎えて3rdアルバム『すばらしき新世界』を録音する。マスター・テープをグリン・ジョンズのいるロンドンに持ち運んだ日、オリンピック・スタジオでビートルズのメンバーに出会う。ポール・マッカートニージョン・レノンがアルバム『ゲット・バック』のヴォーカルのダビングをしていて、翌日再び訪れた際にポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスンとセッションを行う。ハリスンが帰宅した後マッカートニーがドラム、ベース、ヴォーカルを担当した「My Dark Hour」を録音する。

同年にはニッキー・ホプキンスとともに4thアルバム『ユア・セイヴィング・グレイス』をリリースするほか、後述の1986年のアルバム『Living in the 20th Century』にはポールがゲスト参加するなど、友好関係を築く。

1970年代 最盛期 編集

 
スティーヴ・ミラー(G) 1977年

グレイトフル・デッドジミ・ヘンドリックスらとのツアーやレコーディングを繰り返し、1970年のリー・マイケルズやナッシュビルのエリア・コード615、チャーリー・マッコイなど実験的なセッション・レコーディングの5thアルバム『ナンバー5』をリリース。この頃にはミラー以外のメンバーはすべて変わってしまう。またスティーヴ・ミラーは、1971年に起こした自動車事故により首を痛めてしまい長期間休養に入る。

1972年の後半にスティーヴ・ミラー、ジャック・キング(ドラムス)、ジェラルド・ジョンソン(ベース)、ディッキー・トンプソン(キーボード)で活動を再開。フリートウッド・マックらとツアーを行い、翌1973年に8thアルバム『ジョーカー』をリリースする。アルバムは100万枚を超えるプラチナ・ヒット作となり、翌年初頭にシングルカットされた「ジョーカー」は全米チャート1位を獲得した[5]

1976年に旧知のロニー・ターナー、ドラマーのゲイリー・マラバーとともに9thアルバム『鷲の爪』をリリース。400万枚を超えるプラチナを記録した。先行シングルの「テイク・ザ・マネー・アンド・ラン」は全米11位、シングルカットされた「フライ・ライク・アン・イーグル」は全米2位を記録し[5]、スティーヴ・ミラー・バンドのキャリアで最盛期を迎える。次作『ペガサスの祈り』(1978年)の頃には、アリーナやスタジアム級のライブを展開していたが、このツアー終了後に一度活動を休止する。

1980年代以降 - 現在 編集

 
US.バージニアビーチ公演 (2014年6月)

活動再開後、アルバム『ABRACADABRA』(1982年)のヒットで2度目の最盛を迎える。1986年にはブルースを交えたアルバム『Living in the 20th Century』を発表するが、ライヴは表立って行わなかった。また次作『Born 2 B Blue』を最後に、長年所属したレーベル「キャピトル・レコード」を離れる。

1993年にアルバム『Wide River』をリリース。それ以降長い沈黙を守ってきたが、2010年アンディ・ジョーンズとの共同プロデュースアルバム『Bingo!』を17年振りに発表。翌2011年にも全曲ブルーズのカバー集『Let Your Hair Down』をリリースしている。

2016年、『ロックの殿堂』入りを果たす[6]

メンバー 編集

 
2009年のグループショット
 
スティーヴ・ミラー(G) 2009年

現ラインナップ 編集

  • スティーヴ・ミラー Steve Miller - ギター/ボーカル (1966- )
  • ジェイコブ・ピーターソン Jacob Peterson - ギター (2011- )
  • ケニー・リー・ルイス Kenny Lee Lewis - ベース (1982-1987, 1993- )
  • ゴーディ・ヌードストン Gordy Knudston - ドラムス (1987- )
  • ジョゼフ・ウッテン Joseph Wooten - キーボード (1993- )

旧メンバー 編集

  • ロニー・ターナー Lonnie Turner - ベース (1966-1970, 1973-1978)
  • ボズ・スキャッグス Boz Scaggs - ギター/ボーカル (1967-1968)
  • ジム・ピーターマン Jim Peterman - キーボード (1966-1968)
  • ティム・デイヴィス Tim Davis - ドラムス (1966-1970) R.I.P.1988
  • ジェームス・クック James "Curley" Cooke - ギター (1967) R.I.P.2011
  • ベン・シドラン Ben Sidran - キーボード (1968-1970, 1972, 1987-1991)
  • ニッキー・ホプキンス Nicky Hopkins - キーボード (1969, 1970)
  • ボビー・ウィンケルマン Bobby Winkelman - ベース (1969-1970)
  • ロス・ヴァロリー Ross Valory - ベース (1970-1971)
  • ロジャー・アラン・クラーク Roger Alan Clark - ドラムス (1972)
  • ジャック・キング Jack King - ドラムス (1970-1973)
  • ディック・トンプソン Dick Thompson - キーボード (1972-1974)
  • ゲイリー・マラバー Gary Mallaber - ドラムス (1976-1987)
  • ジェラルド・ジョンソン Gerald Johnson - ベース (1972-1973, 1981-1983)
  • ジョン・キング John King - ドラムス (1973-1974) R.I.P.2010
  • レス・デューデック Les Dudek - ギター (1975)
  • ダグ・クリフォード Doug Clifford - ドラムス (1975)
  • グレッグ・ダグラス Greg Douglas - ギター (1976-1978)
  • デヴィッド・デニー David Denny - ギター (1976-1978)
  • バイロン・オールレッド Byron Allred - キーボード (1976-1987, 1990)
  • ジョン・マサロ John Massaro - ギター (1982-1983)
  • ノートン・バッファロー Norton Buffalo - ハーモニカ/ギター (1976-1978, 1982-1987, 1989-2009) R.I.P.2009
  • ビリー・ピーターソン Billy Peterson - ベース (1987-2011)
  • ボブ・マラク Bob Mallach - サクソフォーン (1987-1996)
  • ポール・ピーターソン Paul Peterson - ギター (1988, 1991-1992)
  • リッキー・ピーターソン Ricky Peterson - キーボード (1988, 1991)
  • キース・アレン Keith Allen - ギター (1989-1990)
  • ソニー・チャールズ Sonny Charles - ボーカル (2008-2011)

ディスコグラフィー 編集

スタジオ・アルバム
  • Children of the Future - 未来の子供達 (1968)
  • Sailor - セイラー (1968)
  • Brave New World - すばらしき新世界 (1969)
  • Your Saving Grace - ユア・セイヴィング・グレイス (1969)
  • Number 5 - ナンバー5 (1970)
  • Rock Love (1971)
  • Recall the Beginning...A Journey from Eden (1972)
  • The Joker - ジョーカー (1973)
  • Fly Like an Eagle - 鷲の爪 (1976)
  • Book of Dreams - ペガサスの祈り (1977)
  • Circle of Love (1981)
  • Abracadabra - アブラカダブラ (1982)
  • Italian X Rays (1984)
  • Living in the 20th Century (1986)
  • Born 2 B Blue (1988)
  • Wide River (1993)
  • BINGO! - ビンゴ! (2010)
  • Let Your Hair Down (2011)
ライブ・アルバム
  • Steve Miller Band Live! (1983)
  • King Biscuit Flour Hour Presents The Steve Miller Band (2002)
  • Extended Versions (2003)

出典 編集

  1. ^ Steve Miller Band – Artist Details - オールミュージック. 2023年4月7日閲覧。
  2. ^ a b Huey, Steve. Steve Miller Band Biography, Songs, & Albums - オールミュージック. 2023年4月7日閲覧。
  3. ^ Hoffmann, Frank (2016) [1995]. Chronology of American Popular Music, 1900-2000. Oxfordshire: Taylor & Francis. p. 281. ISBN 978-1-135-86885-7 
  4. ^ Kreps, Daniel (2019年8月30日). “1960s: 20 Albums Rolling Stone Loved But That You’ve Never Heard”. Rolling Stone. 2023年4月7日閲覧。
  5. ^ a b c d Steve Miller - Awards”. AllMusic. 2016年7月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月23日閲覧。
  6. ^ スティーヴ・ミラー、ロックの殿堂入りを果たすもロックの殿堂を大批判 - NME JAPAN

参考文献 編集

外部リンク 編集