トゥルーマン・ショー
『トゥルーマン・ショー』(The Truman Show)は、1998年のアメリカ映画。
トゥルーマン・ショー | |
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The Truman Show | |
監督 | ピーター・ウィアー |
脚本 | アンドリュー・ニコル |
製作 |
スコット・ルーディン アンドリュー・ニコル エドワード・S・フェルドマン アダム・シュローダー |
製作総指揮 | リン・プレシェット |
出演者 |
ジム・キャリー ローラ・リニー ノア・エメリッヒ ナターシャ・マケルホーン ホランド・テイラー エド・ハリス |
音楽 |
ブルクハルト・ダルウィッツ フィリップ・グラス |
撮影 | ピーター・ビジウ |
編集 |
ウィリアム・M・アンダーソン リー・スミス |
製作会社 | スコット・ルーディン・プロダクションズ |
配給 |
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公開 |
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上映時間 | 103分 |
製作国 |
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言語 | 英語 |
製作費 | $60,000,000 |
興行収入 |
$264,118,201[1] ![]() |
配給収入 |
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あらすじ編集
離島・シーヘブンで保険会社に勤めるトゥルーマン・バーバンク(ジム・キャリー)は、「おはよう! そして会えない時のために、こんにちはとこんばんは!おやすみ!」が口癖の明るい青年である。彼は生まれてから1度も島から出たことがない。それは子供の頃、父と一緒にヨットに乗って海へ出ていた時に父の警告を無視して船を進め、父を亡くしたことで水恐怖症を患ってしまったことが原因だった。
ある日、彼がいつものように新聞を買った後、雑踏の中で1人のホームレスの老人が現れる。それは海に沈み亡くなったはずの父親だった。しかしその直後、老人は瞬く間に何者かに連れ去られてしまう。トゥルーマンはそのことを母に伝えるが、見間違えだと言って取り合ってもらえない。これをきっかけにトゥルーマンは周囲の様子を不審に感じ始める。
実はトゥルーマンは生まれた時から人生の全てを24時間撮影されており、そのままリアリティ番組『トゥルーマン・ショー』として世界220ヶ国で放送され続けていた。彼の住む“世界”は巨大なドーム状のセットで、太陽や月、星々も機械仕掛けの照明装置に過ぎず、雨や雷鳴などの気象も人為的な演出である。そして何より、トゥルーマン以外の人物は全て俳優であった。加えて、この番組ではCMは入らず、番組中で商品の宣伝(プロダクトプレイスメント)が行われており、親友マーロン(ノア・エメリッヒ)や妻メリル(ローラ・リニー)も日常の中でさりげなく宣伝を行っていた。
妻との乾いた生活の一方で、トゥルーマンは学生時代に出会ったローレンという女性のことが忘れられないでいた。かつて、ローレンに惹かれたトゥルーマンが彼女をデートに誘うと、ローレンは虚構の世界に生きる彼を不憫に思って砂浜に連れ出し、ローレンとは役名で本名はシルヴィアであること、“世界”の全ては偽りであることを伝えようする。しかしそこにシルヴィアの父を名乗る男が現れ、彼女を連れていってしまう。以降、トゥルーマンは彼女と会うことはなく、「島を出るのよ! 私を探して!」という言葉の通り、いつか島を出て彼女を探すことを夢見ていた。
そんな中で番組側のミスが重なり、周囲の異常さを確信したトゥルーマンは真実を知ろうと行動する。病院へ出勤した妻を追って手術の様子を覗き見ると、明らかに様子がおかしく素人にしか見えなった。すぐさま島から出ようとするが、不可解な理由やトラブルによりどうしても出発できない。自ら車を運転してなんとか町を出ても事故で通行止めになっていて先には進めない。一度は諦めようとするが、会ったこともない警官から「トゥルーマン」と呼ばれると、車から飛び出して通行止めを強行突破する。しかし、すぐに拘束されて家に連れ戻されてしまった。
落ち込むトゥルーマンをメリルは気遣うが、タイミング悪く不自然な宣伝をしたことでトゥルーマンに詰め寄られる。そこに訪ねてきたマーロンがトゥルーマンを連れ出し、指示された通りの台詞で彼を慰めると、実は生きていたという父と再会させる。感動の再会に世界中の視聴者は涙し、父と抱き合うトゥルーマンの姿に番組スタッフも安堵していた。
翌日、いつもと変わらぬ様子を見せるトゥルーマンだが、夜は地下室で寝るようになっていた。その違和感に気付いた番組プロデューサーのクリストフがマーロンを向かわせると地下室にトゥルーマンの姿はなく、番組の放送は一時中断される。やがて見つかったトゥルーマンはヨットに乗って島から出ていた。クリストフは嵐を発生させて引き返すように仕向けるが、トゥルーマンは諦めずヨットに体を縛り付けて抵抗する。彼の覚悟を知ったクリストフが嵐を止めさせると、やがてヨットは書割の空に激突した。
ついに“世界”の端へとたどり着き、出口の扉を開けたトゥルーマンに、放送室にいるクリストフはマイクを使って話しかける。トゥルーマンを我が子のように思っているクリストフは彼を説得するが、何も答えない彼に「何か言ってくれ!」と言う。するとトゥルーマンは突然カメラに向かって笑顔を見せ、いつもの調子で「会えない時のために、こんにちはとこんばんは!」と口癖を言い放つ。唖然とするクリストフを尻目に、トゥルーマンは扉を抜けてセットの外の世界へと踏み出し、画面から去っていく。視聴者は誰もがトゥルーマンの選択に沸き立つが、騒然とする番組スタッフは放送を中止する。
番組の終了を見届けた後、次に見る番組を探す視聴者がチャンネルを切り替えるシーンで物語は終わる。
キャスト編集
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |
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ソフト版 | フジテレビ制作版 | ||
トゥルーマン・バーバンク | ジム・キャリー | 堀内賢雄 | 宮本充 |
クリストフ | エド・ハリス | 納谷六朗 | 堀勝之祐 |
メリル・バーバンク / ハンナ・ジル | ローラ・リニー | 佐々木優子 | 高島雅羅 |
マーロン / ルイス・コルトラン | ノア・エメリッヒ | 中田和宏 | 山野井仁 |
ローレン・ガーランド / シルビア | ナターシャ・マケルホーン | 渡辺美佐 | 五十嵐麗 |
アンジェラ・バーバンク | ホランド・テイラー | 定岡小百合 | |
カーク・バーバンク | ブライアン・ディレイト | 稲葉実 | 田中正彦 |
過去のトゥルーマン | ブレア・スレイター | ||
ローレンス | ピーター・クラウス | 古田信幸 | |
ヴィヴィアン | ハイジ・シャンツ | ||
ロン | ロン・テイラー | ||
ドン | ドン・テイラー | ||
ディレクター | ポール・ジアマッティ | 大川透 | 桐本琢也 |
ディレクター | アダム・トメイ | ||
マイク・マイケルソン | ハリー・シェアラー | 田原アルノ | |
クロエ | ウナ・デーモン | 榎本智恵子 | |
ネットワーク・エグゼクティヴ | フィリップ・ベイカー・ホール | 長島雄一 | |
ネットワーク・エグゼクティヴ | ジョン・プレシェット | ||
キーボード・アーティスト | フィリップ・グラス | ||
バーのウェイトレス | オーラン・ジョーンズ | ||
日本人視聴者 | ユウジ・オクモト | 青山穣 |
受賞編集
- ゴールデングローブ賞(第56回 1998年度)
- 男優賞(ジム・キャリー)
- 助演男優賞(エド・ハリス)
- 音楽賞(フィリップ・グラス、ブルクハルト・ダルウィッツ)
- ヒューゴー賞(1999年)
- 最優秀映像作品賞
- サターン賞(1999年)
- 最優秀ファンタジー映画作品賞
- 脚本賞(アンドリュー・ニコル)
備考編集
当初は脚本を書いたアンドリュー・ニコルが監督する予定であった。しかし、1200万ドルという巨額のギャラのジム・キャリーが主演することになったため、当時まだ『ガタカ』1作しか監督経験がなかったニコルは外され、ピーター・ウィアーが監督として雇われた。
プロットは1959年のフィリップ・K・ディックの小説『時は乱れて』(Time Out of Joint)からいくつもアイデアを拝借しているという。またこの作品から、精神医学ではトゥルーマン・ショー妄想という概念が生まれた。
地上波放送について編集
当初は2003年3月8日にフジテレビ系列の『ゴールデンシアター』で地上波初放送となるはずだった。ところが、放送数日前にドキュメンタリー番組に急遽差し替えとなり、以後も放送されることはなかった。通常、映画番組で急遽放送を休止した場合は、後日振り替え放送を行うのが一般的であるが、本作はそれすらなかった。
その後、フジテレビは放映権を手放したのか、地上波初放送が実現したのは3年後の2006年8月10日、テレビ東京の『午後のロードショー』でのことだった[2]。
類似作品編集
参考文献編集
- ^ “The Truman Show (1998)” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2010年8月11日閲覧。
- ^ 音源はフジテレビ制作版を使用。
外部リンク編集
- トゥルーマン・ショー - allcinema
- トゥルーマン・ショー - KINENOTE
- The Truman Show - オールムービー(英語)
- The Truman Show - IMDb(英語)