メインメニューを開く

座標: 北緯45度1分54.9秒 東経141度43分0.9秒

パンケ沼と利尻富士。サロベツ原野の湖沼は泥炭地から滲出した鉄分を含み、赤く濁っている
パンケ沼周辺の空中写真。1977年撮影の8枚を合成作成。
国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)を基に作成。

パンケ沼(パンケぬま、パンケトウ[1])は、北海道幌延町字下沼、サロベツ原野に位置する円形の塩沼汽水湖)。天塩川の下流域に位置する。水深は約1.8mほどで概して浅く、と名付けられているものの、面積は3.55km2[2]もある大きなものである。

名称の由来編集

サロベツ川の東側にある2つの沼を、アイヌ語でそれぞれ「パンケト(panke-to)」(下流側の・沼)、「ペンケト(penke-to)」(上流側の・沼、現在のペンケ沼)と呼んだことに由来する[3][4]

現在の所在地名である「下沼」は「パンケト」を意訳したものである[5][6][7]

地形編集

サロベツ原野の中にあるおおよそ円形の浅い沼である。パンケオンネベツ川が北から流入し、西にサロベツ川につながる短い川が流れ出る[8]。サロベツ川は原野を北から南に流れる幅数十メートルの中規模の川で、パンケ沼との接続点から11.8キロメートル南で本流の天塩川に合流する[8]。天塩川はそこから南に約12キロメートルで日本海に注ぐので、パンケ沼の出口は海から23.8キロメートル遡った地点ということになる[8]

天塩川とサロベツ川を経由して海水の影響を受ける。パンケ沼の年平均値は1から4PSU(実用塩分単位。海水は34)の範囲で変動する[9]。塩水の遡上は天塩川河口付近では潮汐にしたがって毎日起きているが、パンケ沼に塩水が入るのは一時的で、塩水が入らない状況が続くと淡水化がすすむ[9]。多いときには19PSUあるが、少ないときは1以下である[9]

生物編集

湖畔にはいわゆる原生花園という規模ではないがショウジョウバカマエゾミソハギエゾカンゾウヒメシャクナゲなどの植物が咲く。時期になるとハクチョウなど渡り鳥も観察できるため、散策路が整備され野鳥の観察舎や展望台が設置されている[10]

魚類フナテツギョなど、貝類ヤマトシジミが生息している。

漁業編集

沼内及び周辺河川は漁業と同資源保護の対象地となっているため、捕獲禁止の措置がとられている[11]

パンケ沼とサロベツ川ヤマトシジミの生息北限であり[12]、特にパンケ沼は道内ヤマトシジミの有力漁場であった[13]。しかし、1985年に500トンを越えた漁獲量は、2000年代に激減し[12]、2014年を最後に絶えた[8]

天塩川とサロベツ川の流量が増え、その結果パンケ沼の塩分量が低下したことが原因とされる。近年になって降雨が増え、両河川の流量が増えたため、夏の高温期、すなわちシジミの産卵期に逆流が起きなくなり、生息数が減った、と推定されている[14]

アクセス編集

脚注編集

[ヘルプ]
  1. ^ 日本歴史地名大系』。
  2. ^ 国土地理院 (2015年3月6日). “平成26年全国都道府県市区町村別面積調 湖沼面積 (PDF)”. 2015年3月7日閲覧。
  3. ^ アイヌ語地名リスト ノブト~ヒラキ P101-110”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2017年10月20日閲覧。
  4. ^ アイヌ語地名リスト ヒラタ~ホロナ P111-120”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2017年10月20日閲覧。
  5. ^ アイヌ語地名リスト シベ~セツ P61-70P”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2017年11月8日閲覧。
  6. ^ 書籍『北海道鉄道駅大図鑑』(著:本久公洋、北海道新聞社2008年8月発行)221ページより。
  7. ^ 書籍『北海道の駅878ものがたり 駅名のルーツ探究』(監修:太田幸夫、富士コンテム、2004年2月発行)125ページより。
  8. ^ a b c d 杉原幸樹・新目竜一「天塩川水系の塩水環境変化と対応策に関する研究」、2017年、3頁。
  9. ^ a b c 杉原幸樹・新目竜一「天塩川水系の塩水環境変化と対応策に関する研究」、2017年、5頁。
  10. ^ 北海道を楽しむ・パンケ沼北海道を刺激するネットマガジン・プチネット
  11. ^ 北海道の漁業図鑑-しじみがい漁業北海道水産業改良普及職員協議会ホームページ
  12. ^ a b 杉原幸樹・平井康幸「サロベツ川の水収支に基づくヤマトシジミ生息環境と流況変化の関係」、2015年、I-79頁。
  13. ^ 建設省他編『日本の川 自然と民俗』第1巻、1987年、24頁。
  14. ^ 杉原幸樹・平井康幸「[サロベツ川の水収支に基づくヤマトシジミ生息環境と流況変化の関係」、2015年。

参考文献編集

関連項目編集