リトル・リチャード > ルシール (曲)
ビートルズ > 曲名リスト > ルシール (曲)

ルシール」(Lucille)は、リトル・リチャードがオリジナルを録音した、1957年のロックンロールの楽曲。ロックのスタンダード曲となり、数多くのアーティストたちによってカバーされている。作者はアルバート・コリンズ(Albert Collins)とリトル・リチャードだが、このアルバート・コリンズは、同名のブルース・ギタリストとは別人である。スペシャルティが最初にプレスした78回転盤では、コリンズの名だけが作者としてクレジットされていた。リチャードは、コリンズがルイジアナ州立刑務所英語版(通称「アンゴラ」)で服役していたときに、この曲の権利の半分を買い取った。

「ルシール」
リトル・リチャードシングル
初出アルバム『リトル・リチャード英語版
B面 愛しておくれ
リリース
規格 7インチシングル
ジャンル ロックンロール
時間
レーベル スペシャルティ・レコード
作詞・作曲
  • アルバート・コリンズ
  • リトル・リチャード
プロデュース ロバート・ブラックウェル
リトル・リチャード シングル 年表
  • ルシール
  • (1957年)
リトル・リチャード英語版 収録曲
女はそれを我慢できない
(B-5)
ルシール
(B-6)
テンプレートを表示

この曲は、デイヴ・マーシュ英語版が選んだ「史上最も偉大なシングル1001 (The 1001 Greatest Singles Ever Made)」において第670位とされた[1]

日本語では、「ルシア」、「ルシヤ」、「ルシル」などの表記で言及されることがある。

リトル・リチャードのオリジナル

編集

1957年2月にスペシャルティ・レコードから発売されたシングルは、『ビルボード』誌のR&Bチャートの首位、ポップ・チャートの第21位に達し[2]全英シングルチャートでも第10位まで上昇した。

この曲には、ヘビーなベースライン英語版、ややスローなテンポ、バンド全体が奏でる強烈なロック・ビートブルースに似たヴァース‐コーラス形式など、1960年代ロック音楽のリズム感を予感させる要素がいろいろ盛り込まれている。場面を区切るところでは、ストップ・タイム英語版ブレイク英語版が用いられてハーモニーは変化せず、また、ほとんどの楽器が低い音域を用いているため、全体的にややダークなサウンドとなっている[3]

おもなカバー

編集

ロックのスタンダード曲となっているこの曲は、スタジオ録音でもライブ録音でも、数多くアーティストたちによってカバーが制作されており、おもな例だけでも、AC/DCステイタス・クォーウイングスビートルズシャ・ナ・ナマッド英語版, ホリーズアニマルズポール・マッカートニーヴァン・ヘイレンウェイロン・ジェニングスジョニー・ウィンターフライング・ブリトー・ブラザーズピーター&ゴードンクイーンディープ・パープルイアン・ギラン・バンドエヴァリー・ブラザースビル・ヘイリー& ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツオーティス・レディングソニックス英語版ザ・フージョン・エントウィッスルデトロイトロケッツ英語版などがある。ステイタス・クォーは、メドレー作品「The Anniversary Waltz」のパート1にも、この曲を組み込んでいる。ジョン・レノンポール・マッカートニーは、1974年のジャム・セッションで、この曲を一緒に歌い、その様子は海賊盤ア・トゥート・アンド・ア・スノア・イン・'74』で聴くことができるが、これはビートルズの解散後、かつて一緒に楽曲づくりをしたふたりが一緒に演奏したことを記録した、存在が知られている唯一の音源である。

ビートルズによるカバー

編集

ビートルズは、ラジオ放送のための収録として行なわれたBBCにおけるライブでこの曲を2回取り上げており、1963年9月3日に録音、9月17日に放送された、『Pop Go The Beatles』第14回のものと、1963年9月7日に録音、10月5日に放送された、『Saturday Club』5周年特番 (5th Birthday Edition) のものがある。これらはそれぞれ、『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC』と『オン・エア〜ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2』に収録されている[4]

パーソネル

編集

ウェイロン・ジェニングスによるカバー

編集
「Lucille (You Won't Do Daddy's Will)」
ウェイロン・ジェニングスシングル
初出アルバム『It's Only Rock & Roll
リリース
ジャンル カントリー
レーベル RCA
プロデュース ウェイロン・ジェニングス
ウェイロン・ジェニングス シングル 年表
(Sittin On) The Dock of the Bay
(1983)
Lucille (You Won't Do Your Daddy's Will)
(1983)
Leave Them Boys Alone
(1983)
テンプレートを表示

1983年ウェイロン・ジェニングスは、この曲のカバーを録音した。このバージョンは、ジェニングスにとって12枚目のカントリー・チャート首位曲となった[5]

チャート

編集
チャート(1983年) 最高位
  アメリカ合衆国 Billboard Hot Country Singles 1
  カナダ RPM Country Tracks 4
先代
"You Take Me for Granted"
マール・ハガード英語版
Billboard ホット・カントリー・シングル英語版
第1位シングル

1983年6月4日 ウェイロン・ジェニングス
次代
"Our Love Is on the Faultline"
クリスタル・ゲイル

日本への紹介と曲名の日本語表記

編集

オリジナルのリトル・リチャード盤は、日本盤も発売されたが、当初の曲名は「ルシヤ」とされており、後には「ルシル」と改められた。

平尾昌晃(当時は「平尾昌章」)は1958年に、音羽たかし名義の日本語詞による歌唱でこの曲をカバーしているが、その曲名は「ルシア」とされた[6]

ザ・ゴールデン・カップス1969年にシングルA面曲として、英語の歌詞でこの曲をカバーした際には、曲名は「ルシール」とされた[7]

近年では、この曲は、もっぱら「ルシール」として言及される[8]

脚注

編集
  1. ^ Dave Marsh, The Heart of Rock & Soul: The 1001 Greatest Singles Ever Made (Da Capo Press, 1999), 431.
  2. ^ Jay Warner, On this Day in Black Music History (Hal Leonard Corporation, 2006), 84.
  3. ^ Michael Campbell & James Brody (2007), Rock and Roll: An Introduction, page 117
  4. ^ <プレスリリース>ザ・ビートルズ半世紀後の最新アルバム『オン・エア〜 ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2』11月11日(月)世界同時発売” (2013年9月12日). 2015年7月24日閲覧。
  5. ^ Whitburn, Joel (2004). The Billboard Book Of Top 40 Country Hits: 1944-2006, Second edition. Record Research. p. 175 
  6. ^ リトル・R・オノ (2003年10月28日). “ポップス少年 Rock黄金(狂)時代 第3回 肝心のロックンロールが伝わらなかった日本…1957年”. まぼろしチャンネル. 2015年7月24日閲覧。
  7. ^ ルイズルイス加部. “気ままに生きる 第5章 気がついたら64歳~気ままに生きる おまけ…ディスコグラフィー”. Berry's Cafe/スターツ出版. 2015年7月24日閲覧。
  8. ^ 新聞記事における言及例:柴田勝章 (2001年9月7日). “鈴木やすし「ジェニ・ジェニ」(ビバ!ポップス)”. 朝日新聞・夕刊: p. 13. "50年代にチャック・ベリーとともに代表的なロックンローラーとして人気を博したリトル・リチャード。「のっぽのサリー」や「ルシール」、そして「ジェニ・ジェニ」など多くのヒット曲を持つ。"  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧

外部リンク

編集