京都殺人案内』(きょうとさつじんあんない)は、和久峻三の推理小説『京都殺人案内シリーズ』を原作とし、その推理小説に登場する音川音次郎を主人公に据えた実写映像化作品シリーズ。

藤田まこと版 編集

京都殺人案内
ジャンル 刑事ドラマ
原作 山村美紗
和久峻三
脚本 保利吉紀
吉田剛
監督 山根成之
松尾昭典
田中徳三
出演者 藤田まこと
萬田久子
遠藤太津朗
オープニング 歴代オープニングを参照
エンディング 歴代エンディングテーマを参照
製作
プロデューサー 山内久司
奥田哲雄(朝日放送)
西村大介
依田正和
制作 朝日放送
松竹
放送
音声形式ステレオ放送
放送国・地域  日本
放送期間1979年4月21日 - 2010年2月27日
放送時間放送時間の変遷を参照
放送枠土曜ワイド劇場
回数32
土曜ワイド劇場
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1979年から2010年までテレビ朝日系「土曜ワイド劇場」で放送された刑事ドラマシリーズ。全32回。制作は朝日放送(ABC、現・朝日放送テレビ〈ABC TV〉)と松竹(京都映画撮影所、現・松竹撮影所[1])。主演は藤田まこと

第1作は山村美紗の原作で、藤田まことが狩矢警部を演じた。第2作からは和久峻三原作のシリーズになった。

京都市内で起こった難解な殺人事件を京都府警察本部捜査一課係長・音川音次郎警部補が解決するというものである。

藤田の死去に伴い、第32作で終了となった。

ドラマの内容 編集

主に京都市内の名所で起こった難解な殺人事件を音川音次郎が解決していくものであるが、その容疑者はおおむね芸術家や学者、実業家といった、京都の財界や政界に有力なコネを持つ社会的な地位の高い人物であり、音川は容疑者の警察上層部を通じての圧力を排しながら、地道な捜査をもとに事件を解決していく。

また、容疑者は行動範囲が広いことが多く、音川は日本全国を巡って容疑者および事件に関する捜査を行う。そのため京都府警の管轄地域内で事件が解決したことはなく、音川は上司の秋山虎五郎課長から毎回、

「音やん、おまはん、たまには京都の事件は京都で片付けなはれ。どんだけ出張したら気ぃ済むんや。」
「行財政改革の折、無駄使いは許されまへんのやわ」

などと小言を喰らいながらも、出張先の名産を土産に持ち帰ることを条件に出張の許可を貰い、捜査を行ってゆく。ちなみに、土産に関しては、秋山の期待したもの(例:北海道ならば)を音川が持ち帰ることはなく、秋山はほぼ毎回予想外の土産(例:沖縄県ならブタのお面、石川県なら絵ろうそく)に腰を抜かしているが、音川の説明に納得して、これを嘉納している。この一連のやり取りは一種の名物と化している。

平安神宮大覚寺琵琶湖疏水祇園鴨川嵐山、上賀茂など京都市内にある観光名所でもロケを行い、セット撮影では再現の難しい歴史の古い古都ならではの佇まいを美しい映像でドラマの背景として織り込んでいるのが映像面での特徴。そして、ドラマのエンディングは、クロード・チアリ演奏の『夜霧のシルエット』[2]の、せつないギターの音色が哀しさを盛り上げ、無常感を引き締めていく(1996年7月から「土曜ワイド劇場」固定のエンディングテーマソングが登場した関係で2000年の第23作からすべて流れず、エンドロール時に切り替わってしまう)。

キャスト 編集

狩矢荘助
演 - 藤田まこと(第1作)
京都府警捜査一課 係長。階級は警部。
音川音次郎
演 - 藤田まこと(第2作 - 第32作)
京都府警捜査一課 係長。第2作は、上京警察署捜査一課係長(秋山課長ほかレギュラーメンバーも所属)階級は警部補 → 警部。
叩き上げの刑事。秋山課長からは「音やん」と呼ばれる。
音川洋子
演 - 初代・小林かおり(第2作 - 第5作)、二代・荒木由美子(第6作)、三代・萬田久子(第8作 - 第32作)
音川の娘。
秋山虎五郎(1985年3月23日放送、シリーズ第10話『からたちの花は死んだよ』では、 "秋山啓介" とある)
演 - 遠藤太津朗(第2作 - 第32作)
京都府警捜査一課長。階級は警部 → 警視。

スタッフ 編集

放送日程 編集

  • 第32作は、当初『天才刑事・野呂盆六5』を放映する予定だったが、藤田の急逝を受けて急遽本作を優先して放映されることになった。
  • 第22作まではフィルム撮影、第23作から第27作まではVTR撮影、第28作以降はハイビジョン撮影。
  • 第32作が藤田の遺作となる。
話数 放送日 サブタイトル 原作・原案 出張先 課長への土産 脚本 監督 視聴率
1 1979年04月21日 花の棺 山村美紗
花の棺
北海道札幌市 國弘威雄 工藤栄一 18.2%
2 1980年02月02日 呪われた婚約 保利吉紀 山根成之 20.5%
3 6月21日 嫁ぎ先の謎 和久峻三
『悪人のごとく葬れ』
長崎県長崎市、福岡県博多 松尾昭典 22.4%
4 1981年01月24日 亡き妻に捧げる犯人 和久峻三
『盗まれた一族』
広島県尾道市 田中徳三 23.4%
5 5月23日 母恋桜が散った 和久峻三
『龍馬の遺産』
高知県高知市、桂浜 吉田剛 松野宏軌 19.5%
6 1982年02月27日 男女の水死体はどこから来たか!? 和久峻三
『血の償い』
北海道苫小牧市 保利吉紀 工藤栄一 16.0%
7 1983年01月22日 麻薬にけがされた修学旅行女子高生 鹿児島県 かるかん 八木美津雄 19.7%
8 10月22日 刑事の娘を襲った悪徳サラ金 和久峻三
『復讐の時間割』
前田陽一 15.3%
9 1984年03月24日 歌謡界の裏を暴け 水川淳三 18.7%
10 1985年03月23日 からたちの花は死んだよ 福岡県柳川市 田中徳三 23.5%
11 10月19日 美人社長誘拐さる! 石川県金沢市 松尾昭典 23.5%
12 1986年04月19日 撮影所の女をさぐれ! 静岡県伊豆市 原田雄一 19.4%
13 1987年12月12日 現代忠臣蔵事件 岐阜県 田上雄 山根成之 19.2%
14 1988年04月16日 音次郎、女を張り込む 和歌山県那智勝浦町 保利吉紀 松野宏軌 17.6%
15 1989年03月11日 音川、完全犯罪に挑む! 原田雄一 21.7%
16 1990年04月21日 復讐の逆転法廷 岡屋龍一 22.0%
17 1991年03月16日 美人画商の黒いワナ 三重県鳥羽市 21.7%
18 1992年03月21日 20時18分の死神!?
花嫁の父 音川 美貌の未亡人と対決!
和久峻三
『20時18分の死神』
20.7%
19 1993年03月20日 みちのく泣き地蔵の秘密
雨ニモマケズ 風ニモマケズ…
23.0%
20 1994年03月19日 雪降る北の港町 小樽の海に泣く女
「なぜ結婚しないの」
北海道小樽市 ガラスランプ 17.2%
21 1995年03月18日 みちのく母恋吹雪
盗撮された美女と羽黒山・国宝五重塔の謎
山形県 絵ろうそく 20.2%
22 1996年04月20日 高千穂から消えた美女と夜神楽の謎
阿蘇中岳火口のカメラは見た!
宮崎県高千穂町 神楽面
(手力雄命)
11.8%
23 2000年04月15日 みちのく津軽 こぎん刺しの女
五所川原ネプタと花嫁の秘密
リンゴジュース 18.3%
24 2001年04月21日 松江・宍道湖
夕陽に消えた殺人者!
音川刑事が歩く宿命の旅路
島根県松江、出雲 しじみ 田村惠 16.2%
25 2002年04月20日 根室・納沙布、慟哭の海!
北限に響くハーモニカ
北海道根室 17.3%
26 2003年02月15日 殺しを告げる女!
16年目の償い
広島県宮島 しゃもじ
(阪神タイガース優勝祈願)
17.5%
27 2004年11月27日 望郷岡山県頭島
故郷の母に誓う報復の銃弾!
岡山県日生、頭島 京都駅の近くで買った500円の湯呑み
(備前焼と言って渡す)
15.9%
28 2005年12月17日 涙そうそう沖縄
音川刑事の一番長い日!
沖縄県 チラガー 佐藤茂 15.1%
29 2006年11月18日 北陸能登金剛〜和倉温泉
赤い殺意の炎と美人秘書の秘密
絵蝋燭 平林幸恵 12.5%
30 2007年12月15日 第30回スペシャル
音川刑事 玄界灘を渡る!
京都 有田・伊万里 韓国プサン
妻に捧げる1200キロの逃避行!
想い出が消える前に!
佐賀県有田、韓国釜山 田村惠 12.6%
31 2008年07月19日 夢の祇園・花暦の殺意!
だらりの帯が涙に濡れた
幻の舞妓16年目の恩讐の夜!
香川県小豆島 15.3%
32 2010年02月27日 京友禅に染め込む殺意の紅!
密会!貴船隠れ宿
鞍馬火祭りの夜に燃えた最後の恋
田上雄 17.5%

映像ソフト化 編集

ベストフィールドよりデジタルリマスター版のDVD-BOXが発売。なお、著作権表記は「ABC TV[3]/松竹」となっている。

  • 第1巻(第1作、第3作〜第7作収録[4]) - 2021年11月26日発売
  • 第2巻(第8作~第13作収録)- 2021年12月24日発売
  • 第3巻(第14作~第19作収録) - 2022年1月28日発売
  • 第4巻(第20作~第24作収録) - 2022年2月25日発売

橋爪功版 編集

新 京都殺人案内
ジャンル 刑事ドラマ
原作 和久峻三
企画 渡辺恒也
脚本 佐伯俊道
監督 石原興
出演者 橋爪功
エンディング 菅原紗由理「いつの日も」
製作
プロデューサー 佐々木淳一(松竹)
嶋村希保(松竹)
制作 フジテレビ
放送
音声形式ステレオ放送
放送国・地域  日本
放送期間2018年2月9日
放送時間金曜 19:57 - 21:49
放送枠金曜プレミアム
放送分112分
回数1
金曜プレミアム
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藤田まことが2010年に死去した後、長らく制作されなかった本作であったが、フジテレビへ移籍する形で、フジテレビと松竹の制作で『ミステリードラマスペシャル 新 京都殺人案内』と題し、橋爪功が主役の音川音次郎を演じるなど、装いも新たにする形で2018年2月9日に『金曜プレミアム』枠(19:57 - 21:49)で放送された[5]2016年に死去した声優、肝付兼太の遺作となった。

キャスト 編集

京都府警捜査一課 秋山班
その他

スタッフ 編集

脚注 編集

  1. ^ 製作実績”. 松竹撮影所. 2016年1月16日閲覧。
  2. ^ 日本映画・TVドラマ主題曲集”. mora. 2016年1月16日閲覧。
  3. ^ 放送当時は朝日放送(ABC)だったが、発売時には同局の放送持株会社化に伴い朝日放送テレビ(ABC TV)に分社化済み。
  4. ^ 第2作はフィルム素材が所在不明のため未収録。
  5. ^ 金曜プレミアム・ミステリードラマスペシャル 新 京都殺人案内 フジテレビ
  6. ^ 朴璐美 - Twitter 2018年2月10日

関連項目 編集

外部リンク 編集