日本の地方議会議員
日本の地方議会議員(にほんのちほうぎかいぎいん)とは、日本の地方議会を組織し、その議決に加わる資格を有する者。地方選挙によって選出される。
地方公共団体では、原則として地方議会を置くものとされ、その議会は当該地方公共団体の住民の公選した議員で構成される。地方公共団体の議員には、国会議員と異なり不逮捕特権及び免責特権は与えられていない。
- 地方自治法は、以下で条数のみ記載する。
日本の地方議会議員の歴史編集
選挙権編集
以下の要件をすべて満たしている者は、地方公共団体の議会の議員の選挙権を有する(18条)。
2015年6月に改正公職選挙法が成立し、2016年6月から選挙権年齢は20歳以上から18歳以上に引き下げられた(18歳選挙権)[1]。
被選挙権編集
選挙制度編集
定数編集
任期編集
議員の任期は原則として4年である(93条)。補欠選挙、増員選挙で選出された議員の場合には、一般選挙選出の議員の任期と合わせ、短くなる。
だが、1991年(平成3年)4月の選挙で選出された兵庫県議会議員、神戸市議会議員、西宮市議会議員、芦屋市議会議員は、1995年(平成7年)1月17日の阪神・淡路大震災の被害が甚大だった影響を考慮して同年4月に実施されるはずだった統一地方選挙の実施より復興を優先するため、特例法により選挙が6月に延期されて議員の任期も2ヶ月延長したことで、議員任期が4年2ヶ月になった例がある。
兼職禁止規定編集
普通地方公共団体の議会の議員は、衆議院議員又は参議院議員と兼ねることができない(92条1項)。
普通地方公共団体の議会の議員は、地方公共団体の議会の議員及び常勤の職員等と兼ねることができない(92条2項)。
兼業禁止規定編集
普通地方公共団体の議会の議員は、
たることができない(92条の2)。
- ここでいう請負とは、民法上の請負のみならず、広く営業としてなされている経済的・営利的取引であって、一定期間にわたる継続的な取引関係に立つものを含むものと解される。
これは、地方公共団体の事務の客観的公平さを担保することを目的としている。
なお、請負が禁止されるのは、議員個人のみであり、その家族は含まれない。
議員が兼業禁止に該当するか否かの決定は、議会が行う。 この場合において、出席議員の三分の二以上の多数によりこれを決定する(127条)。
除斥編集
普通地方公共団体の議会の議長及び議員は、
- 自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は
- 自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件
については、その議事に参与することができない。 但し、議会の同意があつたときは、会議に出席し、発言することができる(117条)。
懲罰編集
普通地方公共団体の議会は、この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科することができる(134条)。 懲罰に関し必要な事項は、会議規則中にこれを定めなければならない(134条2項)。
懲罰には次のものがある(135条)。
- 公開の議場における戒告
- 将来を諫める旨を申し渡す。
- 公開の議場における陳謝
- 公開の議場で議会の定める謝罪文を朗読させる。
- 一定期間の出席停止
- 一定期間、議会への出席を禁止する。同一会期中に限られ、後会にわたらない。
- 除名
- 議員の身分を剥奪する。
懲罰の動議を議題とするに当っては、議員の定数の8分の1以上の者の発議によらなければならない(135条2項)。 除名については、当該普通地方公共団体の議会の議員の3分の2以上の者が出席し、その4分の3以上の者の同意がなければならない(135条3項)。
懲罰議決に対する取消訴訟編集
最高裁判所は、地方議会議員に対する3日間の出席停止の懲罰議決の効力が争われた事件で、「自律的な法規範を持つ社会ないし団体に在っては、当該規範の実現を内部規律の問題として自治的措置に任せ、必ずしも、裁判にまつを適当としないものがある」として、この出席停止の懲罰はこれにあたると解した。ただし、除名処分は「議員の身分の喪失に関する重大事項で、単なる内部規律の問題にとどまら」ず、市民法秩序につながる問題であるから、司法審査が及ぶとした[2]。
なお、国会議員の場合は、各議院に憲法上高度の自律権が保障されていることから、除名についても司法権は及ばず、議院の判断が最終的なものとなると解されている。
終身議員待遇者(議員待遇者)編集
多くの市町村(特別区を含む。以下、同じ。)においては複数回当選し議員の職責を果たした者に対して、落選または引退により議員の身分を失った場合に、一定の要件(市町村により異なるが、在職期間8年から12年程度)を満たしていることを条件として、議員待遇者の資格を付与する。議員待遇者の特典は市町村により異なるが、感謝状、記念章或いは議員待遇者記章、名誉議員の称号授与、市町村の行なう式典への招待、死亡の際における相当の礼をもってする弔慰、その他市町村長が必要と認める事項などの待遇が定められている(※複数の事例をまとめて例示)。
議員報酬編集
議員数編集
2018年12月31日現在[3]
都道府県議会議員定数2,609人(内女性議員262人)
市区町村議会議員定数29,839(内女性議員3,997)
- 公明党2,729人
- 日本共産党2,611人
- 自由民主党2,041人
- 社会民主党239人
- 日本維新の会55人
- 国民民主党45人
- 立憲民主党34人
- 自由党4人
- 諸派1123人
- 無所属20,958人
種類 | |
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種類 | |
構成 | |
院内勢力 |
Japanese Communist Party: 2611 seats Social Democratic Party: 239 seats Constitutional Democratic Party of Japan: 34 seats Democratic Party for the People: 45 seats Liberal Party: 4 seats Minor Parties: 1123 seats Independent: 20958 seats Komeito: 2729 seats Liberal Democratic Party: 2041 seats Japan Restoration Party: 55 seats |
ちなみに1987年4月頃では都道府県と市区町村の議会議員の定数は69028人であった。[4]
記録編集
脚注編集
- ^ “選挙権年齢「18歳以上」に 改正公選法が成立”. 47NEWS. (2015年6月17日). オリジナルの2015年6月17日時点によるアーカイブ。 2015年6月18日閲覧。
- ^ 昭和35年10月19日最高裁判所大法廷判決
- ^ “地方公共団体の議会の議員及び長の所属党派別人員調等(平成30年12月31日現在)”. 2019年3月29日閲覧。
- ^ 「なるほど!ザ・ワールド」1987年4月14日放送分より