坂本直足

坂本直足（さかもとなおたり、寛政9年（1797年）- 安政2年12月4日（1856年 1月11日））は、江戸時代末期の土佐藩郷士。坂本家第3代当主。通称は常八郎、のち長兵衛。隠居後に八平（はちへい）と称したため、坂本八平の呼称でも知られる。坂本龍馬の父である。

略歴編集

寛政9年（1797年）、土佐郡潮江村（高知市潮江（うしおえ）地区）の白札郷士、山本家当主・山本信固の次男として生まれた。幼少期から槍に秀で、後年は免許皆伝の腕前を誇った。16歳を数えた頃、郷士坂本家の婿養子として入籍、坂本直澄の娘・坂本幸の夫となって、郷士坂本家の3代当主となった。

ほどなく長男の直方が誕生した。このとき直足18歳といわれる。その後、龍馬に至るまで2男3女が誕生した。

人物編集

弓や槍などの武芸に優れていたといわれるが、書や和歌、学問にも精通し、「人となり純直、躯幹長大、弓・槍術をよくし、能書にて和歌に長ぜり」と評された。また、城下においても富を築き、「城下公方」と呼ばれるほどの経営手腕を見せた。龍馬に対しては、幼少期から厳しかったといわれ、幸の亡き後、気弱な龍馬に対して憂いたという。

後年、龍馬が江戸に剣術留学のため出立するさいには、忠孝を忘れることなく修行に励み、金銭を費やさない、色情に心を移し国家の大事を疎かにすることのないように、という意味からなる三箇条をうたった『修行中心得大意』を送った。

家族編集

祖父：山本信敬
- 父：山本信固
  - 本人：坂本直足（八平）
  - 先妻：坂本幸（坂本直澄の娘）
  - 後妻：北代伊予（きただいいよ、文化元年（1804年） – 慶応元年10月21日（1865年12月8日））（北代重治（平助）の娘。母は中居勘平の娘・寿加）当初は山内容堂の屋敷で奥女中たちに薙刀などを教えていた。直足に嫁ぐ前に一度結婚するも夫と死別し、2度目の夫・川島貞次郎との間に一子・弥太郎を儲けるもこれとも死別している。容姿端麗であったと伝わる。
    - 長男：坂本直方（権平）
    - 次男：坂本直柔（龍馬）
    - 長女：坂本千鶴（ちづ、文化14年（1817年） – 文久元年12月25日（1862年 1月24日））母は幸。土佐藩郷士・高松順蔵の妻。天保頃に高松順蔵に嫁いだという。子の太郎は弟の龍馬の嗣子となっている。
    - 次女：栄（えい、生没年不詳）母は幸。土佐藩士・柴田作左衛門の妻。後に夫と離縁され、最期は自害したという。
    - 三女：坂本乙女母は幸。

親族編集

沢辺琢磨（天保5年1月5日（1834年 2月13日） – 大正2年（1913年）6月25日））
甥の子。坂本直足の実兄・山本信年（1780年 - 1863年、新四郎）の子である山本信道（1805年 - 1858年、代七）の子にあたる。元剣術師範代・宮司で、日本ハリストス正教会初の正教徒・日本人司祭。