崔 善姫(チェ・ソニ[1]、チェ・ソンヒ、朝鮮語: 최선희[2]1964年8月10日 - )は、朝鮮民主主義人民共和国外交官政治家朝鮮労働党中央委員会委員、最高人民会議外交委員会委員、外務相

崔善姫
최선희
2018年6月
朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国
外務大臣
就任
2022年6月9日
首相金徳訓内閣
前任者李善権
朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国
第一外務次官
任期
2019年4月 – 2022年6月
前任者金桂冠
個人情報
生誕 (1964-08-10) 1964年8月10日(60歳)
政党朝鮮労働党
崔永林
職業外交官
崔善姫
各種表記
チョソングル 최선희
漢字 崔善姬
発音 チェ・ソンヒ
チェ・ソニ
日本語読み: さい・ぜんき
英語表記: Choe Son-Hui
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略歴

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政務院総理を務めた崔永林の長女(養女という説あり)。オーストリアマルタ中華人民共和国などに留学した後、1980年代半ばに北朝鮮外務省入り。2009年8月にアメリカビル・クリントン元大統領が平壌を訪問した際に通訳を担当して表舞台に立った。2010年10月に外務省米州局副局長に就任。

2016年には6カ国協議に関連して北朝鮮次席代表として中国を訪問した[3]。同年北朝鮮外務省の北米局長に昇格した[4][5]

2017年1月にドナルド・トランプが大統領に就任したことを受け、元アメリカ政府の当局者らなどと意見交換するためにニューヨークを訪れるべく調整が進められていたが、2月13日に金正男マレーシアで殺害される事件が発生。最終的にアメリカがビザの発給を却下し、初訪米はならなかった[6]。しかし同年5月8日から9日にノルウェーオスロを訪問し、現地でアメリカ元政府高官らと非公式の接触を行っている[7]

2017年9月、北朝鮮核問題に関し国際連合総会の演説を通じてアメリカと北朝鮮が批難合戦を行っている中[8]ロシアからの招請を受けてモスクワを訪問した[9]。同年10月にもモスクワを訪れ、アメリカのウェンディ・ルース・シャーマン国務次官(政治担当)金杉憲治外務省アジア大洋州局長らとともに核不拡散に関する国際会議に出席[10]。日朝局長協議はなされないとされたものの、金杉局長と複数回接触し、メッセージを伝えられたとする[11][12]。2017年11月のトランプ大統領訪中からは中国の仲介でトランプ政権と米朝協議を行ったとされる[13][14]

2018年3月、降格されたアメリカ担当の韓成烈次官の後任ないし対米交渉に詳しい金桂官第1次官の体調不良に対応するための人事として、外務次官に昇格したことが正式に発表された[15]

2018年5月、中国の大連習近平総書記と会談した金正恩朝鮮労働党委員長の訪中に同行した。同年3月の北京への金正恩委員長の初訪中の際は同行してなかったため、2018年米朝首脳会談前の準備調整ともされる[16]。また同月24日、アメリカのマイク・ペンス副大統領が北朝鮮の行方について「リビアの二の舞」と発言したことに対し「許容できない」として反論したが[17]、タイミング的に翌25日にアメリカ側から発表された米朝会談中止の判断材料の一つとなった[18]

2019年2月27日から28日にベトナムにて行われた米朝首脳会談に同行。両首脳の合意無き会談が終了後、アメリカ側の代表団が引き揚げる直前まで調整役を務めた[19]。また李容浩外相とともに終了後の記者会見に臨み、北朝鮮側が行った提案と要求について、アメリカ側の発表内容についての反論を交えながら説明を行った[20]

金正恩に近い存在とされ、米朝交渉のキーマンとして報道されることがある[21]

2019年4月10日の党中央委員会総会で党中央委員会委員に選出され[22]、翌11日の第14期最高人民会議第1回会議で、朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員と最高人民会議外交委員会委員に選出された[23][24]。また外務次官から第一外務次官に昇格した[25]

2021年9月29日に開催された最高人民会議第14期第5回会議にて、朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員から召還された[26]

2022年6月8-10日に開催された朝鮮労働党中央委員会拡大総会にて外務相への就任が決定し、11日に朝鮮中央通信が伝えた[27][28]

脚注

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  1. ^ 日本放送協会 (2024年1月27日). “北朝鮮外相が中国外務次官と会談 緊密連携の姿勢強調 | NHK”. NHKニュース. 2024年9月9日閲覧。
  2. ^ 北최선희 "트럼프 정권과 여건되면 대화할 것" - 연합뉴스 (朝鮮語)
  3. ^ “北朝鮮の6カ国協議次席代表 中国を電撃訪問”. 聯合ニュース. (2016年9月7日). http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2016/09/07/0300000000AJP20160907003900882.HTML 2018年3月9日閲覧。 
  4. ^ 「崔善姫氏が外務次官昇格か 北朝鮮、米国や核問題担当」日本経済新聞2018/2/28 18:23
  5. ^ 北朝鮮の6カ国協議次席代表 中国を電撃訪問 聯合ニュース(2016年9月7日)2017年6月21日閲覧
  6. ^ 米、北朝鮮外務省高官のビザ発給認めず 正男氏殺害で 朝日新聞デジタル(2017年3月2日)2017年6月21日閲覧
  7. ^ 米朝、非公式接触を終了 オスロで2日間 日本経済新聞(2017年5月11日)2017年6月21日閲覧
  8. ^ 「奴らは遠からず姿消す」 トランプ氏、北朝鮮の李容浩外相の演説非難 産経新聞社(2017年9月24日)2017年9月27日閲覧
  9. ^ 北朝鮮の北米局長が訪ロ 時事通信社(2017年9月25日)2017年9月27日
  10. ^ 「北朝鮮局長、モスクワ入り=日米も参加の国際会議出席へ」時事通信2017年10月18日23時21分
  11. ^ 核の標的は「米国のみ」 訪露の北高官が対米牽制産経ニュース2017.10.20 23:43
  12. ^ 「外務省アジア大洋州局長、北朝鮮北米局長と複数回接触」日本経済新聞2017/10/21 20:08
  13. ^ “米朝、昨年秋から水面下で接触重ねる:独自”. 日本テレビ. (2018年3月9日). https://news.ntv.co.jp/category/international/387648 2018年3月10日閲覧。 
  14. ^ “米朝が極秘協議、12月に北京で 米の対北融和派巻き返しか? 1・16バンクーバー閣僚級会合は紛糾の恐れ”. 産経ニュース. (2018年1月4日). https://www.sankei.com/article/20180104-IHIQ7CQQOBN5LD56XY3G6BYHUE/ 2018年3月10日閲覧。 
  15. ^ “北朝鮮・崔善姫氏が外務次官に”. 日本経済新聞. (2018年3月9日). https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2786798008032018FF1000/ 2018年3月9日閲覧。 
  16. ^ “3月の訪中に含まれなかった金与正氏が同行…北の対米ラインが総出動”. 中央日報. (2018年5月9日). https://japanese.joins.com/JArticle/241220 2018年5月9日閲覧。 
  17. ^ 米朝会談中止「リビア方式」で解釈の違い”. 毎日新聞 (2018年5月25日). 2018年5月25日閲覧。
  18. ^ キム第1外務次官談話全文 機会逃すまいとする意向が”. NHK (2018年5月25日). 2018年5月26日閲覧。
  19. ^ 「トランプ大統領が去る時、北外務次官が金委員長のメッセージ持って駆けつけた」”. 中央日報 (2019年3月7日). 2019年3月11日閲覧。
  20. ^ 北副外相「金委員長、米国の反応に朝米取り引きへの意欲失ったのでは」”. 中央日報 (2019年3月1日). 2019年3月2日閲覧。
  21. ^ 正恩氏、命乞いか 米朝が非公式協議、鍵握る対米交渉キーマン「直結の女」 ZAKZAK(2017年5月10日)2017年6月21日閲覧
  22. ^ 金正恩氏「経済自立が生命線」北朝鮮が党中央委総会 日本経済新聞 2019年4月11日
  23. ^ 常任委員長に崔龍海、首相に金才龍氏…北朝鮮で最高人民会議 デイリーNK 2019年4月12日
  24. ^ “金正恩氏が再び国務委員長に 首相は金在龍氏に交代=北朝鮮”. 朝鮮日報. (2019年4月12日). オリジナルの2019年4月12日時点におけるアーカイブ。. https://megalodon.jp/2019-0412-0950-33/www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/04/12/2019041280016.html 2019年4月12日閲覧。 
  25. ^ 北朝鮮、幹部の世代交代進む 非核化交渉担う崔善姫氏抜てき 毎日新聞 2019年4月12日
  26. ^ 金与正氏、国務委員に選出…北朝鮮で最高人民会議 デイリーNK 2021年9月30日
  27. ^ "北朝鮮外相に崔善姫氏". 沖縄タイムス・プラス. 沖縄タイムス社. 11 June 2022. 2022年6月11日閲覧
  28. ^ “外相に米国通の崔善姫氏 金正恩氏、核実験への言及なし―北朝鮮党総会”. 時事ドットコム. 時事通信社. (2022年6月11日). https://web.archive.org/web/20220610214714/https://www.jiji.com/jc/article?k=2022061100184&g=int 2022年6月12日閲覧。 
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