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捜神記』(そうじんき 繁体字: 搜神記; 簡体字: 搜神记; ピン音: Sōushénjì)は、4世紀に中国東晋干宝が著した志怪小説集。『隋書』「経籍志」などによると、もとは30巻あったといわれるが散逸し現存する20巻本は、後の人が蒐集、再編して万暦年間に『干宝撰捜神記』と題して刊行したもの。

原書は、著者の干宝が、先立つ書より収録したものと、自身の見聞とを併せたものであるとされる。本書を著述するようになった機縁は、干宝の父の婢が埋葬ののち10数年後に蘇ったことに感じ入って、本書を著すようになったという。

現行20巻本は、神仙・方士・徴応・感応・再生・魑魅・妖怪・人間や動植物の怪異などに関係する470余の説話を、説話の型で巻ごとに分類して収録している。中には後世の作も混入しており、仏教的な説話も含まれている。

後の書にも『捜神記』からの引用とする説話が多くあり、『太平広記』では80数条が収録されている。

構成 編集

捜神記原序

『捜神記』は、以下の20巻から構成されている。

・巻一 神仙に関する説話

・巻二 方士に関する説話

・巻三 占卜・医術の名人に関する説話

・巻四 風神・雷神・水神に関する説話

・巻五 土地神・祠に関する説話

・巻六 吉兆の話

・巻七 吉兆の話

・巻八 天子が天命を受ける前兆の説話

・巻九 吉兆・凶兆に関する説話

・巻十 夢兆の説話

・巻十一 孝子・烈女に関する説話

・巻十二 異物・妖怪に関する説話

・巻十三 山川・水陸および動植物の妖怪に関する説話

・巻十四 異婚・異産、その他動物と人間との交渉に関する説話

・巻十五 再生に関する説話

・巻十六 幽鬼に関する説話

・巻十七 幽鬼に関する説話

・巻十八 妖怪に関する説話

・巻十九 妖怪に関する説話

・巻二十 動物の報恩・報仇に関する説話

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  1. ^ 干宝『捜神記』訳・竹田晃、東洋文庫 10 (平凡社) 2009年、396頁より引用

内容 編集

巻一 1 「神農」 2 「雨神」 3 「繳父」 4 「寧封子」 5 「ふしぎな松の実」 6 「彭祖」 7 「師門」 8 「木彫りの羊」 9 「王子喬」 10 「冠先」 11 「琴高」 12 「陶安公」 13 「石を穿って仙道に入る」 14 「魯少千」 15 「八人の老人」 16 「冥土の父母」 17 「ふしぎな鴨」 18 「薊子訓」 19 「乞食小僧」 20 「平常生」 21 「左慈」 22 「于吉の復讐」 23 「変幻自在」 24 「徐光」 25 「変化の術」 26 「神符の秘法」 27 「ふしぎな蚕」 28 「董永とその妻」 29 「鉤弋夫人」 30 「杜蘭香」 31 「成公智瓊」 巻二 32 「にせの化物を退治した話」 33 「成都の大火」 34 「術くらべ」 35 「趙昞の祠」 36 「徐登と趙昞」 37 「東海君」 38 「流血の惨事」 39 「失せた神通力」 40 「謝糺」 41 「奇術」 42 「扶南王」 43 「宮中の行事」 44 「招魂」 45 「死んだ妻をたずねた話」 46 「試された男」 47 「巫女の観察」 48 「夏侯弘」 巻三 49 「七個の璧」 50 「霊妙な膏薬」 51 「許季山の易断」 52 「出世の予言」 53 「家つきの妖怪」 54 「北斗星と南斗星」 55 「二人の死骸」 56 「井戸のなかの亡者」 57 「淳于智の鼠退治」 58 「桑の木に掛けた鞭」 59 「狐が鳴いた時」 60 「ふしぎな猿」 61 「小豆の精」 62 「生き返った馬」 63 「妖蛇のたたり」 64 「白牛現わる」 65 「三つの予言」 66 「亡夫の明察」 67 「ふしぎな皮袋」 68 「ぶち犬の効験」 69 「足にはいりこんでいた蛇」 70 「のどにつまっていた蛇」 巻四 71 「風神・雨神」 72 「渭水の女」 73 「泰山神の娘」 74 「泰山府君」 75 「河伯」 76 「河伯の娘と結婚した男」 77 「華山神の使者」 78 「盧山の神」 79 「盧山神の娘」 80 「孤石廟」 81 「宮亭廟」 82 「驢鼠」 83 「清洪君」 84 「黄石公」 85 「樊道基」 86 「降って来た神」 87 「火事の予告」 88 「竈の神」 89 「膏糜」 90 「ふしぎな石」 91 「神になった男」 巻五 92 「神になった蒋子文」 93 「蒋侯神のお召し」 94 「蒋侯廟の神像」 95 「神に愛された女」 96 「神助」 97 「嫁の神様」 98 「赤い筆」 99 「冥土の使者」 100 「李の種子」 101 「湧き出した井戸」 巻六 102 「ものの変化と吉兆・凶兆」 103 「山が動けば」 104 「亀に毛が、兎に角が生えれば」 105 「馬が狐に化ければ」 106 「いさごむしの襲来」 107 「土地の異変」 108 「多産」 109 「竜の誕生」 110 「公子の亡霊」 111 「蛇が喧嘩をすれば」 112 「竜が喧嘩をすれば」 113 「柱にまきついた蛇」 114 「馬の怪異」 115 「女が男に変れば」 116 「五本足の牛」 117 「十二人の大男」 118 「井戸のなかの竜(その一)」 119 「馬に角が生えれば」 120 「犬に角が生えれば」 121 「人間に角が生えれば」 122 「犬が豚と交われば」 123 「烏と鵲が喧嘩をすれば」 124 「奇形の牛(その一)」 125 「城外の蛇と城内の蛇」 126 「鼠が踊れば」 127 「大石が立てば(その一)」 128 「木の葉に現われた文字」 129 「冠をかぶった犬」 130 「鶏の怪異」 131 「人事のうらにひそむもの」 132 「木の葉の怪異」 133 「倒れた木がふたたび立てば」 134 「鼠が木に巣をかければ」 135 「犬の怪異」 136 「鳥が巣を焼けば」 137 「大魚が現われれば」 138 「木の枝の怪異」 139 「宮中の馬に角が生えれば」 140 「燕が雀を生めば」 141 「三本足の馬」 142 「木が蘇生すれば」 143 「泣いた胎児」 144 「西王母の祭り」 145 「男が女に変れば(その一)」 146 「死者が蘇生すれば(その一)」 147 「奇形が象徴するもの」 148 「三本足の烏」 149 「宮中に蛇が現われれば」 150 「肉が空から降れば」 151 「亡国の装い(その一)」 152 「牛から生まれた鶏」 153 「霊帝の園遊」 154 「長い上衣と短い袴」 155 「妻が夫を食えば」 156 「壁のなかの人」 157 「木の怪異」 158 「おんどりに変っためんどり」 159 「頭が二つ(その一)」 160 「白衣の大男」 161 「草の怪異」 162 「頭が二つ(その二)」 163 「雀の首」 164 「魁櫑と挽歌」 165 「北邙山」 166 「死者が蘇生すれば(その二)」 167 「男が女に変れば(その二)」 168 「娘の予言」 169 「木が血を流せば」 170 「鵲巣鳩居」 171 「ふしぎな馬」 172 「巨大な雛」 173 「大木が折れれば」 174 「大嵐が吹けば」 175 「五穀の変種」 176 「大石が立てば(その二)」 177 「死者が墓から出て来れば」 178 「上厚下薄」 巻七 179 「馬の紋様の石」 180 「亡国の装い(その二)」 181 「胡の料理」 182 「鼠に変った蟹」 183 「井戸のなかの竜(その二)」 184 「二本足の虎」 185 「もの言う死牛」 186 「屋根の上の鯉」 187 「靴の型」 188 「縛り髻(その一)」 189 「晉世寧」 190 「毛織物の服」 191 「折楊柳」 192 「馬に角が生えれば(その二)」 193 「婦人の装飾品」 194 「涙を流した鐘」 195 「一人両性」 196 「男に変った娘」 197 「子を背負う大蛇」 198 「町に血が流れれば」 199 「霊神の怒り」 200 「杖の流行」 201 「乱痴気騒ぎ」 202 「石の襲来」 203 「宮中に現われた男」 204 「牛がものを言えば」 205 「ふしぎな草履」 206 「光りを放つ戟」 207 「妾の子」 208 「人間が異種の子を生めば」 209 「犬がものを言えば」 210 「蝘鼠」 211 「異様な木」 212 「豚が人の子を生めば」 213 「生箋のひとえ物」 214 「無顔」 215 「奇形の双生児」 216 「冤罪に陥れたたたり」 217 「奇形の牛(その二)」 218 「天変地異」 219 「奇形の牛(その三)」 220 「奇形の馬」 221 「異様な女」 222 「ふしぎな火事」 223 「縛り髻(その二)」 224 「儀杖に花が咲けば」 225 「羽扇」 226 「木のうろの蛇」 巻八 227 「舜帝」 228 「湯王の雨乞い」 229 「太公望」 230 「武王の威光」 231 「劉邦興る(その一)」 232 「劉邦興る(その二)」 233 「陳宝祠」 234 「四百年後の予言」 235 「火星人の少年」 236 「神の予言」 [干宝『捜神記』訳・竹田晃、東洋文庫 10 (平凡社) 2009年、396頁より引用]

捜神後記編集

本書を後補するものとして、『捜神後記』(そうじんこうき)10巻が存在する。「中国,六朝時代の文語志怪小説集。陶淵明の著といわれる。干宝の『捜神記』のあとを継ぐ意味で書かれ,神怪,動植物などの異聞,説話 116条を記す。『隋書』経籍志に陶潜の著と記され,また巻一に『桃花源記』があるので,久しく陶淵明が著者とされてきたが,その死後の年号を記す話が含まれ,偽作とも考えられる。唐,宋代には各書目にも記録されなかったが,明代,毛晋の汲古閣で翻刻され,『津逮 (しんたい) 秘書』に収められた。『続捜神記』とも呼ばれる。

中国怪奇小説集の一部  第二の男は語る。「次へ出まして、わたくしは『捜神後記』のお話をいたします。これは標題の示す通り、かの『捜神記』の後編ともいうべきもので、昔から東晋とうしんの陶淵明とうえんめい先生の撰ということになって居りますが、その作者については種々の議論がありまして、『捜神記』の干宝よりも、この陶淵明は更に一層疑わしいといわれて居ります。しかしそれが偽作であるにもせよ、無いにもせよ、その内容は『捜神記』に劣らないものでありまして、『後記』と銘を打つだけの価値はあるように思われます。これも『捜神記』に伴って、早く我が国に輸入されまして、わが文学上に直接間接の影響をあたうること多大であったのは、次の話をお聴きくだされば、大抵お判りになるだろうかと思います」

参考文献編集

  • 干宝『捜神記』竹田晃訳、平凡社東洋文庫10〉、1963年。ISBN 4-582-80010-6
  • 多賀浪砂『干宝「捜神記」の研究』近代文芸社、1994年5月。ISBN 4-7733-2556-9
  • 干宝『捜神記』竹田晃訳、平凡社平凡社ライブラリー322〉、2000年1月。ISBN 4-582-76322-7 - 東洋文庫版の新版。
  • 『捜神記』干宝編纂、先坊幸子森野繁夫編訳、白帝社、2004年6月。ISBN 4-89174-693-9 - 詳細な大著。
  • 岡本綺堂『中国怪奇小説集 怪談コレクション』光文社光文社文庫〉、2006年8月、新装版。ISBN 4-334-74115-0
  • 『捜神記・幽明録・異苑 他』佐野誠子編、明治書院中国古典小説選2(六朝Ⅰ)〉、2006年11月。ISBN 4-625-66343-1 - 原文・書き下ろし入りで所収。
  • 魯迅『中国小説史略』中島長文訳注、平凡社〈東洋文庫618〉、1997年6月、1。ISBN 4-582-80618-X
  • 魯迅『中国小説史略』中島長文訳注、平凡社〈東洋文庫619〉、1997年7月、2。ISBN 4-582-80619-8
  • 魯迅『中国小説史略』今村与志雄訳、筑摩書房ちくま学芸文庫〉、1997年8月、上。ISBN 4-480-08369-3
  • 魯迅『中国小説史略』今村与志雄訳、筑摩書房ちくま学芸文庫〉、1997年8月、下。ISBN 4-480-08370-7

外部リンク編集