桂 かい枝(かつら かいし、1969年5月7日 - )は兵庫県尼崎市出身の落語家。本名∶古瀬 浩雄。出囃子は「三枚弾き」。定紋は「結三柏」「三ツビリケン」。

かつら かい
桂(かつら) かい枝(し)
結三柏は、桂文枝一門の定紋である。
本名 古瀬ふるせ 浩雄ひろお
生年月日 (1969-05-07) 1969年5月7日(54歳)
出生地 日本の旗 日本兵庫県尼崎市
師匠 五代目桂文枝
出囃子 三枚弾き
活動期間 1994年 -
所属 吉本興業
公式サイト 桂かい枝 WEB
受賞歴
2001年大阪府舞台芸術奨励新人制度」奨励新人に指定

2002年大阪文化祭賞」奨励賞
2003年 「第40回なにわ芸術祭」落語部門最優秀新人賞、大阪府知事賞、大阪市長賞
2003年 「文化庁芸術祭賞」演芸部門新人賞
2003年 「咲くやこの花賞
2004年NHK新人演芸大賞」落語部門大賞
2007年 第5回東西若手落語家コンペティション優勝
2008年 第1回繁昌亭大賞爆笑賞
2010年 第5回繁昌亭大賞創作賞
2014年 エジンバラフェスティバルフリンジにおいて最高評価である五つ星を獲得(DEN ENTERTAINMENTの一員として)
2016年 第11回繁昌亭大賞奨励賞
2018年 第13回繁昌亭大賞

備考
上方落語協会会員

文化庁文化交流使(平成19年度)。吉本興業所属。上方落語協会会員。香港理工大学特別講師。名古屋大学非常勤講師。大阪樟蔭女子大学客員教授[1]

来歴・人物 編集

報徳学園中学校[1]から兵庫県立尼崎北高等学校に進学。高校在学時には水球インターハイに出場した経験を持つ。じゅんいちダビッドソンは同じ高校の水球部の後輩。

高崎市立高崎経済大学在学中、偶然見た5代目桂文枝の高座に惚れ込み、弟子入りを決意。大学を卒業後の1994年6月に5代目文枝に入門した。素人時代に落語の経験が全くなかったため、芸名を拝名するまで9カ月もの期間を要した。1995年3月初舞台。演目は「東の旅~煮売屋」。初舞台当日に師匠から「今日から噺家としてカイシや!」と「かい枝」の高座名をもらった。高座名の「かい枝」は、初舞台の2時間前に、今から「開始」との駄洒落で師匠がその場で付けたとされるが、事前に字画なども考えられたというのが真相である。

古典落語創作落語の他、1997年から英語落語にも取り組み、海外公演は1998年アメリカ公演を皮切りに、25か国、108都市、300公演以上に及ぶ。文化庁文化交流使に任命され、2008年4月から1年間、全米30都市以上をキャンピングカーで回って90公演以上を行う、全米RAKUGOツアーに挑戦。6月にはシカゴで「Chicago繁昌亭」と題して桂あさ吉内海英華が参加し、公演を行った。9月には前年に引き続き、2回目となる全編英語の寄席「New York繁昌亭」を開催し、桂三枝(現:六代桂文枝)も出演した。絵本『牛はどこでもモー!』(鈴木出版)の翻訳なども手掛けている。

1998年、同期入門の桂吉弥桂米紫桂文鹿桂三金と「ラクゴレンジャー」のユニットを結成。「落語の新しい可能性を見つける」べく、古典・新作・改作など様々なチャレンジ企画を通して、多くの観客を集めた(2003年に解散)。

上方らしい陽気で賑やかな高座が持ち味。

2001年に 「大阪府舞台芸術奨励新人制度」奨励新人に指定されてからは、翌2002年に「寝床」で 「大阪文化祭賞」奨励賞を受賞。2003年には「刻うどん」で 「第40回なにわ芸術祭」落語部門最優秀新人賞、大阪府知事賞、大阪市長賞を受賞。以来、「野ざらし」「どうらんの幸助」で 「文化庁芸術祭賞」演芸部門新人賞、自作の「ハル子とカズ子」で「NHK新人演芸大賞」落語部門大賞、「咲くやこの花賞」、「繁昌亭大賞」など、数々の権威ある賞を受賞。 「ハル子とカズ子」「丑三つタクシー」など自作の新作落語のほか、古典落語にも独自の目線から解釈やギャグを加え、笑いの多い噺を追求している。NHKテレビ「笑・神・降・臨」に上方落語家として唯一の出演を果たすなど、注目を集めている。 林家彦いち三遊亭兼好コント赤信号小宮孝泰らと二人会を開催している。落語家以外の古典芸能とのコラボレーション企画にも積極的に挑み、狂言文楽との共演も数多い。文楽の吉田玉翔竹本相子太夫鶴澤清丈らと、「古典芸能らくらくパック」というユニットを組み、子供対象の体験イベントなどを数多く行う。落語作家小佐田定雄くまざわあかね夫妻原作で、文楽人形の吉田一輔三味線の内海英華と共演した「落楽(らくらく)」も開催している。

アマチュアの弟子を取っており、自身の高座名に由来した「愉かい亭」という亭号を名乗らせている。門下にいちのせかつみ(愉かい亭マネー…生活経済ジャーナリスト)、水野晶子(愉かい亭びわこ…アナウンサー)など[2]

小佐田定雄、上方芸能史研究家の前田憲司と共に、江戸・明治・大正時代の歴史に埋もれた「古墳落語」を掘り起こし、現代に蘇らせる企画モノ落語会「発掘カイシ」に取り組み、三遊亭圓朝作品なども復活させている。

英語落語 編集

1997年、たまたま知り合った外国人に落語の面白さを上手く伝えられず、悔しい思いをしたことがきっかけで「落語で外国人が笑うのか試してみたい」と、英語落語を始めることを決意した。ネタ選びから始め、1年間かけて準備を重ね、1998年にアメリカ合衆国コロラド州にて英語落語を初公演を行った。演目は「CHIーRIーTOーTEーCHIN(ちりとてちん)」。以来、シンガポール・カナダ・マレーシア・イギリス・オーストラリア・インド・ジャマイカ・ブルネイダルサラーム・フィリピンなど25カ国100都市以上で公演を行う。英語落語で手がけた演目は、「ちりとてちん」「刻うどん」「お玉牛」「動物園」「いらち俥」「持参金」「猫の茶碗」「天狗裁き」「禁酒関所」「ハル子とカズ子」など、20以上。古典以外にも映像を使った新作英語落語「不思議な国、ニッポン」をニューヨークのブロードウェーで900人の観客を前に公演した。その活動が認められ、2007年に文化庁文化交流使に任命。2008年4月から半年間掛けて、アメリカ大陸を一周し、全米30都市以上をキャンピングカーで回って90公演以上を行う「全米RAKUGOツアー」に挑戦した。家族とともにアメリカ大陸を笑いで巡業する姿は、FOX・NBCなど数々の現地テレビメディアにも取り上げられ、アメリカのテレビ番組に数多く生出演した。6月にはシカゴで「Chicago繁昌亭」と題して桂あさ吉、内海英華が参加し、公演を行った。9月には前年に引き続き、2回目となる全編英語の寄席「New York繁昌亭」をプロデュースし、桂三枝(現:六代桂文枝)も出演。NHKドキュメンタリー番組「ブロードウエイを笑わせろ!」として放送された。2000年には国際交流基金の企画で、シドニーオペラハウスコンサートホールで落語会を開催した。世界最大のコメディフェスティバルであるカナダの「Just For Laughs」にも出演。2009年にはアメリカの国立劇場「ケネディセンター」に落語家として初めて出演した。 桂かい枝の英語落語の活動は、2012年春から全国で使われる中学3年生の英語の教科書「One World」(教育出版)、「New Horizon」(東京書籍)、2018年からは高等学校の英語教科書「ELEMENT」(啓林館)、「POLE STAR」(数研出版)にも活動が掲載されている。

「桂かい枝の英語落語絵本シリーズ」として、「まんじゅう怖い」「転失気」「猫の茶碗」(汐文社)、「英語DE落語シリーズ」として「動物園」(鈴木出版)を出版、英語の絵本を翻訳した「牛はどこでもモー!」(鈴木出版)は、小学校2年生の国語の教科書にも取り上げられている。

2007年から大阪樟蔭女子大学の非常勤講師を務め、英語落語の授業を担当。2016年4月1日付で客員教授に就任[1]

得意ネタ 編集

受賞歴 編集

出演番組 編集

出版 編集

  • 『桂かい枝の英語落語CDブック』(DHC出版
  • 『牛はどこでもモー!』(鈴木出版
  • 『桂かい枝の英語落語(1)猫の茶わん』(汐文社
  • 『桂かい枝の英語落語(2)転失気』(汐文社)
  • 『桂かい枝の英語落語(3)まんじゅうこわい』(汐文社)

DVD 編集

  • 『よしもと上方落語をよろしく!!青春さくら組』(㈱よしもとアール・アンド・シー)
    • ヨシモト∞ホール大阪で毎月開かれる「花花寄席」より若手落語家たちの寄席を集めた1枚に「野ざらし」収録。

出演舞台 編集

関連項目 編集

脚注 編集

外部リンク 編集