火と汐』(ひとしお)は松本清張推理小説。『オール讀物1967年11月号に掲載され(掲載時の挿絵は生沢朗)、1968年7月に中短編集『火と汐』収録の表題作として、文藝春秋(ポケット文春)から刊行された。

1996年2009年にそれぞれ単発でテレビドラマ化されている。

あらすじ 編集

目黒に住む33歳の劇作家・曾根晋吉は、芝村美弥子と、秘密で京都に宿泊していた。金属会社に勤める美弥子の夫は、神奈川県油壺三宅島を往復するヨットレースに参戦しており、8月17日の夫の油壺到着までに、美弥子は京都から油壺に戻る算段になっていた。8月16日の夜、晋吉は美弥子と、ホテルの屋上から、大文字焼を見物していたが、その最中、晋吉の気づかぬ間に、人混みの中で美弥子が消失する。彼女のスーツケースは部屋に残されたままであった。

秘密の旅行ゆえ、事情を告げるわけにもいかず、困惑したまま晋吉は東京へ戻った。8月18日の新聞記事に晋吉は驚く。美弥子の夫・芝村の乗るヨットが、油壺に帰着する途中、三浦半島沖合で、ワイルドジャイブを起こし、同乗者の上田伍郎が死亡したという。美弥子のことを言えぬまま、入院した芝村に見舞いの電話をかける晋吉。ところが、美弥子の死体が晋吉の自宅近くで発見され、芝村と顔見知りだった晋吉は、警察参考人として呼ばれてしまう。

テレビドラマ 編集

1996年版 編集

松本清張スペシャル
火と汐
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『火と汐』
企画 遠藤龍之介(フジテレビ)
脚本 金子成人
監督 松尾昭典
出演者 神田正輝ほか
製作
プロデューサー 名島徹(レオナ)
小坂一雄(レオナ)
林悦子(霧企画)
制作 フジテレビ
放送
放送国・地域  日本
放送期間1996年9月13日
放送時間21:00 - 22:52
放送枠金曜エンタテイメント
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松本清張スペシャル・火と汐』のタイトルで、1996年9月13日フジテレビ系列の「金曜エンタテイメント」枠にて放映された。視聴率19.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

キャスト
スタッフ
フジテレビ系列 金曜エンタテイメント
前番組 番組名 次番組
怖い女シリーズ4
愛という名の牢獄
(1996.8.23)
松本清張スペシャル
火と汐
(1996.9.13)

2009年版 編集

松本清張生誕100年記念スペシャルドラマ
火と汐
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『火と汐』
脚本 田中晶子
演出 竹之下寛次
出演者 寺尾聰
渡部篤郎ほか
製作
プロデューサー 浅野敦也(ドリマックス・テレビジョン)
制作 TBS
放送
放送国・地域  日本
放送期間2009年12月21日
放送時間21:00 - 23:04
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松本清張生誕100年記念スペシャルドラマ・火と汐』のタイトルで、2009年12月21日(松本清張の生誕日)にTBS系列にて放映された。視聴率は15.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。原作と異なり、前半から、刑事側の視点を中心としたストーリー構成となっている。

キャスト
スタッフ

外部リンク 編集