片貝川

富山県を流れる河川

片貝川(かたかいがわ)は、富山県の主に魚津市を流れる二級河川。片貝川水系の本流である。水力発電灌漑上水道などに利用されている。

片貝川
片貝川
片貝川と毛勝山、天神橋より
水系 二級水系 片貝川
種別 二級河川
延長 27 km[1]
指定区間長 20 km
流域面積 169[1] km²
水源 猫又山魚津市
水源の標高 2,414 m
河口・合流先 富山湾(魚津市)
流域 富山県
テンプレートを表示

名前は「片峡」、つまり片側だけの峡谷という意味からなると言われる[2]

地理 編集

富山県魚津市の南東にある毛勝三山の猫又山に源を発する[3]。東又谷、南又谷、別又谷の水を集め北西に流れ、下流で 布施川と合流して[4]富山湾へ注ぐ。河口は魚津市と黒部市の境界となっている。 水源となる2,000m級の山々からわずか27kmほどで海に流れ込む日本屈指の急流(平均勾配8.5%[1])の一つである。

富山県の七大河川(黒部川、片貝川、早月川常願寺川神通川庄川小矢部川)の一。

支流 編集

河川施設 編集

発電所 編集

  • 北陸電力 片貝谷水力発電所(富山県魚津市島尻(しまじり))
  • 同第一水力発電所(平沢(ひらそ))
  • 同第二水力発電所(奥平沢(おくびらそ))
  • 同第三水力発電所(東又谷)
  • 同第四水力発電所(南又谷)
  • 同第五水力発電所(東又谷)

歴史 編集

万葉集に「片貝の 川の瀬清く 行く水の 絶ゆることなく あり通ひ見む」(巻十七 4002)とある。(天平20年(748年大伴家持) 

流路は古くから洪水の度に変えてきた。現在の流路になったのは、1328年嘉歴3年)に発生した大洪水によって独立河川だった布施川と河口付近で合流する流路になってからである[1][5]

かつて片貝川上流に県営の片貝川ダム(堤高146.0m、有効貯水容量23,100m2)の建設計画が片貝川総合開発計画の一環として存在し、1979年昭和54年)から予備調査[6][7]1986年(昭和61年)より事業採択され[8]実施計画調査が実施されていたが[6][7]1997年8月6日までに建設省(現・国土交通省)が休工を発表したことで[8]、最終的には着工には至らなかった[6][7]

名所・観光 編集

蛇石(龍石)
上流には、蛇石という石がある。大きな岩が川の中にあり、蛇のような模様が見られる。これは昔、川で暴れていた大蛇が狩人に退治されて石に巻きついて息絶えたものと伝えられている。現在、片貝川に豊富な水量をもたらす神[9]として、祀られている。
洞杉
上流へ案内に従って林道を進むと毛勝三山が目前にせまり岩と急流と残雪のある南又谷に出て、そこに洞杉がある。「立山杉」の巨木(ウラスギ)で、杉とは思えない奇観である。横に広がり幹が分かれて上に伸び、多くは根元に大岩を抱え込んでいる。最大の物は、幹周りが11mで環境省によれば、日本3位である。案内板を見逃すと違う谷に入る。
魚津埋没林
魚津埋没林博物館に展示されている埋没林は、この川の氾濫が林を埋め、海面上昇によって、海中に残っでできたものである。

主な橋梁 編集

出典→[10]

ギャラリー 編集

 
合流地点から片貝川河口、富山湾

脚注 編集

  1. ^ a b c d 『魚津の水循環 "水の恵み"を守り 育み 活かすために』(2012年3月、魚津市民生部環境安全課発行)8ページ。
  2. ^ 片貝川/魚津市観光協会公式サイト 魚津たびナビ/情報検索 魚津ライブラリー”. uozu-kanko.jp. 2019年9月6日閲覧。
  3. ^ 毛勝三山の北西斜面の他、僧ヶ岳、駒ヶ岳や大猫山などからの水が流れ込む。国土地理院 地図閲覧システム 2万5千分1地形図名:毛勝山
  4. ^ 左岸魚津市経田、右岸黒部市石田付近。
  5. ^ 『とやまの河川』(建設省北陸地方建設局富山工事事務所、黒部工事事務所、立山砂防工事事務所、富山県監修、1988年9月改訂発行)21頁。
  6. ^ a b c 『ダム年鑑 1996』pp.142-143
  7. ^ a b c 『片貝郷土史』(1997年7月、魚津市立片貝公民館発行)364頁『5 片貝川ダムの目的』より。
  8. ^ a b 『北日本新聞』1997年8月7日付朝刊5面『県内3ダム「休工」に 片貝川など財政難で 事務経費は計上 建設省』
  9. ^ 片貝川は源流域が小さく水が枯れやすいため雨乞いの神である。
  10. ^ FR16:川を渡る橋・富山県(2022年5月29日閲覧)

外部リンク 編集