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台湾の学者、鉄道研究家
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洪 致文 (こう ちぶん、1970年12月21日 - )は台湾台北市出身の鉄道作家地理学者気象学者中華民国鉄道文化協会会員(元理事)として鉄道文化関連の書籍を多数執筆している。

洪 致文
プロフィール
出生: 1970年12月21日
出身地: 台湾台北市
職業: 気象学者地理学者作家鉄道研究家
各種表記
繁体字 洪致文
拼音 hóng zhì wén
ラテン字 Hung Chih-wen
和名表記: こう ちぶん
発音転記: ホン・ヂーウェン
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専攻分野においては、中国文化大学大気科学系(気象科学部)と国立台湾師範大学地理学系(地理学部)で教鞭を執っている。 研究分野は台湾の鉄道史、鉄道文化、台湾の航空史、戦争遺跡、アジア・オーストラリアモンスーンシステム、気候変動、台湾の気候、 気象史、古蹟研究など幅広い分野にわたっている。文章や著作では批判的思考による論調が多いとされている。そのため代表作の「台灣鐵道印象」で扱った1990年代の台湾鉄路管理局についての記述が賛否両論を巻き起こした。国立台湾大学の鉄道研究サークルおよびNGO/NPO団体の中華民国鉄道文化協会[1]創設時メンバーであり、協会発行の定期鉄道雑誌「鐵道情報」で総編集長繁体字中国語: 總編輯)も歴任し、ライターとしても寄稿している。

家系

清朝統治時代の大陸出身の実業家洪騰雲(1819 - 1899)の望族家系[2]

騰雲の孫で曾祖父の洪以南中国語版(1871年 - 1927年)[3]は弁務署(地方行政単位)の参事台北庁参事、淡水街街長(1920-1924年、現在の淡水区長に相当)などを歴任した実業家詩人

祖父の洪長庚中国語版(1893年 - 1966年)[3]日本統治時代医師、学生時代は台湾総督府国語学校岡本要八郎に師事、 その後医学生として15歳時に日本へ留学、京都に住み込みながら府立大阪医科大学(現在の大阪大学医学部)を卒業、東京帝国大学で講師を務め、眼科学博士課程を修了。 台湾に戻ってからは淡水地区で戦前戦後にわたって大稲埕付近に達観眼科を開業、淡水区に住居として達観楼(現在の淡水紅楼中国語版)を構え、戦後は台北市医師公会理事なども歴任していた。 当時発見された北投石の保有者でもあった[4][5]。 北投公園内に建てられていた恩師岡本の石碑「岡本翁頌德碑」が戦後行方不明になり、再発見された際は診療所内で一時保管していた。診療所の改築に伴い北投善光寺に正式に移設することになり1963年3月29日にて除幕式を迎えた[6][7]

父の達雄は私立大同大学電機工程系(電気工学部)教授[3]

このような家柄のため、代々受け継いできた台北周辺の歴史的資料も多数保有している。「台北好好看」という容積率緩和政策を通じて緑地化と老朽マンションの淘汰を図っていた台北市政府に対しても[8]、「建築は文化保存と原型保存に立脚すべき」との鉄道趣味によって培われた持論を以って批判的だった[9][10]

生い立ちと鉄道趣味

[11]

祖先の騰雲と同じ名を冠した、台湾初となる清朝時代の鉄道車両騰雲号二二八和平公園に展示され、 曾祖父の以南は1908年縦貫線全通に立ち会ったということ、父の長庚もカメラ愛好家だったことで幼くして自然と鉄道に興味を抱くようになった。 5歳時には切符の収集を始め、10歳時にはその数が1,000に達したという。また、祖父は幼少時に日本の長崎から東京に至る鉄道旅行をしたという話を父から度々聞かされていた[3]。中学時代には勉学に息詰まるとストレス解消とばかりに台北駅に出向いて列車を眺めていたという。

高校時代には淡水線が廃線となり、6年間の大学進学・徴兵を経て台北に戻ったときには縦貫線が地下化され、 自身の愛した台北駅舎後站も無くなってしまった。消失を目の当たりにした衝撃は自身をさらに鉄道趣味に突き動かす契機となり、周囲が成長とともに鉄道趣味から離れていくなかでも、情熱は人一倍だった。台湾全土の旅客鉄道路線をくまなく乗り回し、趣のある古い駅舎を見ると都度下車したり、弁当の包装紙から紙コップ、時刻表に至るまでグッズの収集を続けた。 「撮り鉄」としても同様で、旅先で写真フィルムを使い切るほど撮影に没頭することが多く、やむなく駅で交換フィルムを調達していた。 台鉄が「1年1路線」と言わんばかりに廃止路線を連発していたときは、その抵抗心からフル装備で列車を追いかけ撮影するほどだった。

学歴

経歴

学界
鉄道界
  • 中華民国鉄道文化協会[12]
  • 鐵道情報》元総編集長總編輯)、ライター
  • 理事(第一、五次:1995-1998、2007-2011)
  • 同常務理事(第四次:2004-2007)
  • 同監事(第六次:2011-2014)
  • 台湾高鐵車内雜誌「T-PLUS」(2011年まで文化協会が発行) 編集顧問

著書一覧

18歳時に延平高中の校内誌「延平青年」第22期において自身最初となる鉄道関連作文「再見淡水線(さよなら淡水線)」を発表した。その後現在に至るまで10冊以上の鉄道専門書を上梓している。

鉄道関連

  1. 1992年:台湾鉄道伝奇(台灣鐵道傳奇) - 時報文化出版中国語版ISBN 9571305081[13]
  2. 1993年:台湾火車的故事(台灣火車的故事) - 時報文化出版、ISBN 9571306568
  3. 1994年:阿里山森林鉄路紀行(阿里山森林鐵路紀行) - 時報文化出版、ISBN 9789571309828
  4. 1996年:台湾鉄道趣味漫談(台灣鐵道趣味漫談) - 時報文化出版、ISBN 9789571321011
  5. 1998年:台湾鉄道印象(台灣鐵道印象)上・下巻 - 南天書局出版、ISBN 9789576384622(上巻)、ISBN 9789576384622(下巻)[14]
  6. 2000年:鉄道世界漫遊(鐵道世界漫遊) - 時報文化出版、ISBN 9789571331133
  7. 2001年:珍蔵世紀台湾鉄道.幹線鉄道編(珍藏世紀台灣鐵道.幹線鐵路篇) - 時報文化出版、ISBN 9789571332840
  8. 2001年:珍蔵世紀台湾鉄道.地方鉄道編(珍藏世紀台灣鐵道.地方鐵道篇) - 時報文化出版、ISBN 9789571332857
  9. 2001年:青春晃舞.日本鉄道紀行青春晃舞.日本鐵道紀行) - 時報文化出版、ISBN 9789571335469
  10. 2003年:鉄道電影院(鐵道電影院) - 時報文化出版、ISBN 9789571339757
  11. 2003年:台湾の美(台灣之美) - 未来書城、ISBN 9789867584090
  12. 2006年:鉄道時光(鐵道時光) - 玉山社出版、ISBN 9789867375827
  13. 2011年台湾鉄道文化志(台灣鐵道文化志) - 遠足文化出版、ISBN 9789866731716[15]

寄稿・共著

  1. 1996年:台湾古老火車站(台灣古老火車站 - 李欽賢との共著、玉山社出版、ISBN 9579361282
  2. 2016年:(推薦文寄稿)哈瑪星台湾鉄道館:台湾百年鉄道縮図(哈瑪星台灣鐵道館:台灣百年鐵道縮影 - 晨星出版、ISBN 9789864432042

鉄道文化協会刊行物

  1. 1995年:体験台鉄(體檢台鐵1988-1995 - 鄭銘彰、許乃懿らとの共著、中華民國鐵道文化協會出版、ISBN 9579933502
  2. 2014年:台鉄花車百年史[16]台鐵花車百年史) - 中華民国鉄道文化協会出版、ISBN 978-957-99335-5-1[17]

政府刊行物

  1. 2007年:沿著輕軌私遠足----烏來台車與台車博物館的故事 - 陳顏,李杰穎著[18]行政院農業委員会林務局新竹林区管理処出版、ISBN 9789860105131[19]
  2. 2015年:百年輪転。台湾鉄道(百年輪轉。臺灣鐵道) - 国立台湾博物館出版、ISBN 9789860467055[20]

航空・気象学・地理学

  1. 1996年:鉄道ファンの航空世界(SkyTrain.鐵道迷的航空世界) - 雄飛社出版
  2. 2007年:台湾気象伝奇(台灣氣象傳奇) - 玉山社出版、ISBN 9789866789106
  3. 2010年:最新台湾気候図集(最新台灣氣候圖集) - 国立師範大学地理系出版、ISBN 9789577525871
  4. 2013年:台北帝国大学気象学講座物語(臺北帝大氣象學講座物語) - 師範大学地理系気候実験室室出版、ISBN 9789577528919
  5. 2015年:不沈空母:台湾島内飛行場百年発展史(不沈空母:台灣島內飛行場百年發展史 - 自費出版 ISBN 9789574325153[21][22]

その他

  1. 2010年:台湾漢詩人洪以南の現代文明旅行足跡(臺灣漢詩人洪以南的現代文明旅遊足跡) - 国立師範大学出版、ISBN 9789577525918
  2. 2016年:看見師大校園(主編) - 国立師範大学出版中心出版、ISBN 9789865624194
  3. 2016年:像我們這樣的文化恐怖分子:文化資產與城市記憶守護筆記 - 前衛出版社中国語版ISBN 9789578018051

参考文献

関連項目

脚注

  1. ^ この協会は国立交通大学の鉄道研究サークルが発起人であるが、交通大のサークルは校外学生の参加にも門戸を開いていた。
  2. ^ (繁体字中国語)台北建城130年展 學者砲轟膚淺、違背史實2014年9月1日,自由時報
  3. ^ a b c d (繁体字中国語)第一屆「祖父母節」有感--「阿祖」與我
  4. ^ 北投石の発見者・岡本翁の頌徳碑2005年9月28日,片倉佳史
  5. ^ 達観楼、洪祖仁さんを訪ねる2010年3月17日,片倉特捜百貨店/片倉佳史
  6. ^ (繁体字中国語)林明聖. “〈我所知道的岡本要八郎〉”. 《地質》第24卷4期(2005,台北県:経済部中央地質調查所). pp. 頁76-77. http://twgeoref.moeacgs.gov.tw/GipOpenWeb/imgAction?f=/2005/20050396/0073.pdf 2016年9月13日閲覧。 
  7. ^ (繁体字中国語)北投石與岡本要八郎2015年5月12日,国立台湾博物館
  8. ^ アジア景観デザイン学会 2014 台北研究大会2014年7月,アジア景観デザイン学会
  9. ^ (繁体字中国語)書評-火車 火車行對佗位去
  10. ^ (繁体字中国語)okapi.books.com.tw 洪致文,資深鐵道迷的20年愛忿2011年5月20日,okapi.books.com.tw
  11. ^ (繁体字中国語)追火車2006年4月24日, 台湾蘋果日報
  12. ^ (繁体字中国語)協會工作人員 - ウェイバックマシン(2017年3月1日アーカイブ分),
  13. ^ 1992年の聯合報読者選定「非文学部門最最良図書」、1993年中華民国文化部選定、図書総合類部門金鼎獎台湾の鉄道分野において民間で出版された初の書籍となった。
  14. ^ 1998年の聯合報読者選定「非文学部門最最良図書」、中華民国文化部選定、人文書部門金鼎獎 優良図書推薦。
  15. ^ (繁体字中国語)中廣氣象達人- 訪問台灣鐵道達人 洪致文教授2011年5月22日,Weatherrisk(天氣風險管理開發公司)
  16. ^ 花車とは日本の御料車に相当する。戦前は皇族が、戦後は蒋介石が使用していた。
  17. ^ 洪 致文さんの力作『台鐵花車百年史』を見る。2014年11月10日,鉄道ホビダス
  18. ^ 著者ではないが「日本時代台灣的輕便軌道與労資問題」を寄稿。
  19. ^ 烏來台車の決定版。2008年2月3日,鉄道ホビダス
  20. ^ 国立台湾博物館、鉄道テーマの書籍出版 誰にでもわかりやすく解説2016年3月8日,フォーカス台湾
  21. ^ 台湾の大学教授、飛行場の百年史まとめた書籍を自費出版2015年6月23日,フォーカス台湾
  22. ^ 二次大戦中の日本海軍気象観測所が歴史古蹟に2014年12月4日,中国国民党

外部リンク

  • 洪致文教授 台湾師範大学地理系講師紹介・論文一覧 (繁体字中国語)