BMW 6シリーズドイツ自動車メーカー・BMWが製造・販売している乗用車である。クーペカブリオレハッチバックのボディ形式を持つ。

M6(F13)

前身モデルは3.0CSである。

初代(1977年 - 1989年)E24 編集

BMW・6シリーズ
E24
 
635CSi
 
635CSi
 
インテリア
概要
販売期間 1977年 - 1989年
ボディ
乗車定員 4名
ボディタイプ 2ドアクーペ
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン M30B32型 3.2L 直6
M30B34型 3.4L 直6
M88/3型 3.5L 直6
変速機 3速AT/4速AT/4速MT/5速MT
車両寸法
ホイールベース 2,625mm
全長 4,755mm
全幅 1,725mm
全高 1,365mm
車両重量 1,445kg - 1,610kg
系譜
後継 8シリーズ(E31)
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初代6シリーズは、1976年のジュネーヴモーターショーにて630CSと633CSiが発表された。当時のBMWのフラッグシップクーペであり、『世界一美しいクーペ』と評された。コードネームはE24

1978年、635CSiが発表された。専用の3.5Lエンジンを搭載し、トランスミッションは5速MTが採用された。エクステリアではフロントスポイラーやリアスポイラー、サイドストライプが標準装備された。

1979年、小変更を行い、キャブレター仕様の630CSがインジェクター仕様の628CSiに置き換えられた。エンジンは528iからの流用。

1982年、初の大規模マイナーチェンジが行われた。これはベースモデルの5シリーズがフルモデルチェンジを行った為で、サスペンションなどが一新された。また、635CSiについてはエンジンが一新された。内装では5シリーズに準じたドライバーに定期点検を促すSI(サービスインターバル)メーターや、瞬間燃費計が追加された。5シリーズのモデルチェンジと同様、エクステリアに大きな変化は見られなかった。

1987年に最後のマイナーチェンジを行い、新型735i(E32)で採用された第3世代DME(デジタル・モーター・エレクトロニクス)制御のビッグシックスエンジンを採用した。これに伴い、主にアメリカと日本向けの触媒付き仕様の出力が大幅に向上した(185hpから211hpに)。さらに、衝撃吸収バンパーの装着(アメリカ仕様では発売当初から装備)とエアロの標準装備によりエクステリアが大きく変化した。ただし、このいわゆる後期型の635CSiAには賛否両論があり、それゆえ1987年以前の中期型はアイアンバンパーと呼ばれ、6シリーズの本来の美しさを持つ最後のモデルとして好む人も多い。

1989年、生産終了。同年に開催されたフランクフルトモーターショーで事実上の後継モデルとなる8シリーズ(E31)が発表された。

日本仕様車は当時厳重化されていた排出ガス規制により、ほぼ全年式にわたってアメリカ仕様車をベースとしていた。ただし、全グレードでMTが選択できたアメリカと違い、日本仕様車はM6を除いて全車ATを搭載していた点が大きく異なる。

日本での販売 編集

グレード 販売期間 エンジン 排気量 最高出力 備考
633CSiA 1977年 - 1984年 直列6気筒SOHC 3,210cc 180hp 日本仕様は3速ATのみ設定。日本での価格は969万円。1984年、エクステリアにサイドストライプ、リアスポイラー、Mエンブレムを装着したM633CSiAが追加されたが、これはモデル末期の日本向け最終仕様であり、同価格で発売された。
635CSiA 1985年 - 1989年 直列6気筒SOHC 3,430cc 185hp(1988年のマイナーチェンジ以降、211hpとなる) 4速ATを装備(1986年以降プログラムセレクタ付きに進化)。特別仕様の635CSiA エクスクルーシブを設定。日本での価格は968万円(標準仕様)~1,058万円(エクスクルーシブ仕様)。
M6 1986年 - 1989年 直列6気筒DOHC 3,453cc 265hp アメリカと日本での排ガス規制に準じるためにデチューン版エンジンに換装されたモデル。本国であるドイツをはじめその他の国では存在しない。日本での価格は1,298万円。

2代目(2003年 - 2011年)E63/E64 編集

BMW・6シリーズ
E63/E64
 
クーペ(E63)
 
カブリオレ(E64)
 
インテリア
概要
販売期間 2003年 - 2011年
ボディ
乗車定員 4名
ボディタイプ 2ドアクーペ
2ドアカブリオレ
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン N62型 4.8L V8
N52型 3.0L 直6
S85型 5.0L V10
変速機 6速AT/6速セミAT/7速セミAT
車両寸法
ホイールベース 2,780mm
全長 4,830mm - 4,870mm
全幅 1,855mm
全高 1,360mm - 1,375mm
車両重量 1,590kg - 2,010kg
系譜
先代 8シリーズ(E31)
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2003年9月9日、フランクフルトモーターショー8シリーズ(E31)の事実上の後継モデルとして6シリーズがおよそ14年ぶりの復活を遂げ、ロー&ワイドなフォルムを演出するグラマラスなフェンダーライン、全体としても曲線を基調とした流麗なスタイルへと大胆な変身を遂げた。コードネームはクーペがE63、カブリオレがE64

特別に用意されたボディカラーやインテリア素材でオーダーメイド可能なプログラム、BMWインディビデュアルが初めて導入された。

日本での販売 編集

  • 645Ci(2003年10月 - 2005年9月):1,063万円
N62型V型8気筒DOHCエンジン、総排気量:4,398cc、バルブトロニック採用。
最高出力:333PS(245kW)/6,100rpm、最大トルク:45.9kgm(450Nm)/3,600rpm、燃費(10/15モード):7.7km/L。
トランスミッションはマニュアルモード付6速ATとシーケンシャル式6速セミATのSMGを選択可能。
ステアリングは左/右ともに選択可能。
  • 645Ciカブリオレ(2004年2月 - 2005年9月):1,136万円
基本スペックはクーペに準ずる。
  • 630i(2004年10月 - ):930万円
N52型直列6気筒DOHCエンジン、総排気量:2,996cc、バルブトロニック採用。
最高出力:272PS(200kW)/6,650rpm、最大トルク:32.1kgm(315Nm)/2,750rpm、燃費(10/15モード):9.9km/L。
2005年10月にこれまでカブリオレのみであったセキュリティシステムを付加するなど年次改訂が行われる。
トランスミッションはマニュアルモード付6速ATのみ。
ステアリングは右のみ。
BMW伝統のシルキーシックスを搭載。
  • 650i(2005年10月 - ):1,180万円
N62型V型8気筒DOHCエンジン、総排気量:4,798cc、バルブトロニック採用。
最高出力:367PS(270kW)/6,300rpm、最大トルク:50.0kgm(490Nm)/3,400rpm、燃費(10/15モード):7.6km/L。
トランスミッションはマニュアルモード付6速ATとシーケンシャル式6速セミATのSMGを選択可能。
ステアリングは左/右ともに選択可能。
2005年10月の年次改訂にあわせ排気量を拡大するなど、実質的には645Ciのマイナーチェンジ版。
  • 650iカブリオレ(2005年10月 - ):1,260万円
基本スペックは650iに準ずる。

M6 編集

BMW Mチューニングした高性能スポーツモデル。2003年12月17日、BMWはドイツ公共放送連盟の記者会見で、「正式なM6の呼称はE63/E64から制定する」との見解を発表した。
  • クーペ(2005年9月 - ):1,640万円
S85型V型10気筒DOHCエンジン、総排気量:4,999cc。
最高出力:507PS(373kW)/7,750rpm、最大トルク:53.0kgm(520Nm)/6,100rpm。
トランスミッションはパドルシフト付シーケンシャル7速セミATであるSMG-Drivelogicを採用
ステアリングは左/右ともに選択可能。
  • カブリオレ(2006年9月 - ):1,700万円
基本スペックはクーペに準ずる。
モデル 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 2
 クーペ(E63)  645Ci 650i
630i
M6
 カブリオレ(E64)  645Ci 650i
M6

3代目(2011年 - 2019年)F12/F13/F06 編集

BMW・6シリーズ
F12/F13/F06
 
クーペ(F13)
 
カブリオレ(F12)
 
グランクーペ(F06)
概要
販売期間 2011年 - 2019年
ボディ
乗車定員 4名(F12/F13)
5名(F06)
ボディタイプ 2ドアカブリオレ
2ドアクーペ
4ドアクーペ
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン N63型 4.4L V8ツインターボ
N55型 3.0L 直6ターボ
S63型 4.4L V8ツインターボ
変速機 パドルシフト付8速AT
パドルシフト付7速DCT
車両寸法
ホイールベース 2,855mm(F12/F13)
2,970mm(F06)
全長 4,895mm - 4,905mm(F12/F13)
5,010mm - 5,015mm(F06)
全幅 1,895mm - 1,900mm
全高 1,365mm - 1,375mm(F12/F13)
1,390mm - 1,395mm(F06)
車両重量 1,800kg - 1,920kg(F13)
1,870kg - 2,000kg(F06)
1,940kg - 2,070kg(F12)
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インテリア

2010年9月30日、パリモーターショーで「コンセプト6シリーズクーペ」を発表。2011年1月10日にデトロイトモーターショーで新型6シリーズのカブリオレが発表され、同年3月1日のジュネーヴモーターショーにはクーペを発表。2012年3月6日のジュネーヴモーターショーでグランクーペ(4ドアクーペ)が発表された。コードネームはカブリオレがF12、クーペがF13、グランクーペがF06

特別に用意されたボディカラーやインテリア素材でオーダーメイド可能なプログラム、BMWインディビデュアルが導入された。

日本での販売 編集

2011年2月24日、6シリーズカブリオレが発売された。640iは最高出力320PS、最大トルク45.9kgmの直6ターボエンジンが搭載され、650iには最高出力407PS、最大トルク61.2kgmのV8ツインターボエンジン(N63B44A型)が搭載される。

2011年8月5日、6シリーズクーペが発売された。

2012年6月5日、6シリーズグランクーペが発売された。650iには最高出力450PS、最大トルク66.3kgmの新開発V8ツインターボエンジン(N63B44B型)が搭載される。新たにインテーク・バルブのリフト量を無段階に可変制御するバルブトロニックを採用した。

2012年8月23日、650iクーペと650iカブリオレに最高出力450PS、最大トルク66.3kgmの新開発V8ツインターボエンジン(N63B44B型)が搭載された。新たにインテーク・バルブのリフト量を無段階に可変制御するバルブトロニックを採用し、従来モデル(N63B44A型)と比較して動力性能が約10%向上した。また、停車中の燃料消費を削減するエンジン・オート・スタート/ストップ機能や「ECO PRO」モード付きのドライビングパフォーマンスコントロールなどを採用し、燃費が最大25%改善した。

グレード 発売 エンジン型式 エンジン 排気量 最高出力 最大トルク 変速機 ハンドル位置 ドア数 駆動方式 価格(M Sport)
650i カブリオレ 2011年2月 N63B44B型 V型8気筒DOHCツインターボ 4,394cc 450PS/5,500rpm 66.3kgm/2,000-4,500rpm 8速AT 左/右 2 FR 15,620,000円
640i カブリオレ N55B30A型 直列6気筒DOHCターボ 2,979cc 320PS/5,800rpm 45.9kgm/1,300-4,500rpm 12,800,000円
650i クーペ 2011年8月 N63B44B型 V型8気筒DOHCツインターボ 4,394cc 450PS/5,500rpm 66.3kgm/2,000-4,500rpm 左/右 14,620,000円
640i クーペ N55B30A型 直列6気筒DOHCターボ 2,979cc 320PS/5,800rpm 45.9kgm/1,300-4,500rpm 11,810,000円
650i グランクーペ 2012年6月 N63B44B型 V型8気筒DOHCツインターボ 4,394cc 450PS/5,500rpm 66.3kgm/2,000-4,500rpm 左/右 4 14,850,000円
640i グランクーペ N55B30A型 直列6気筒DOHCターボ 2,979cc 320PS/5,800rpm 45.9kgm/1,300-4,500rpm 12,160,000円

M6 編集

BMW Mチューニングした高性能スポーツモデル。

2012年4月10日、M6クーペとM6カブリオレが発売された。最高出力560PS、最大トルク69.3kgmのV8ツインターボエンジンが搭載される。

2013年1月16日、M6グランクーペが発売された。

2015年7月2日、M6シリーズに最高出力575PS、最大トルク69.3kgmの「コンペティションパッケージ」が発売された。

2016年7月9日、M6シリーズに最高出力600PS、最大トルク71.3kgmの「セレブレーションエディション コンペティション」が発売された。

グレード 発売 エンジン型式 エンジン 排気量 最高出力 最大トルク 変速機 ハンドル位置 ドア数 駆動方式 価格
M6 クーペ 2012年4月 S63B44B型 V型8気筒DOHCツインターボ 4,394cc 560PS/6,000rpm 69.3kgm/1,500-5,750rpm 7速DCT 左/右 2 FR 18,910,000円
M6 カブリオレ 19,630,000円
M6 グランクーペ 2013年1月 4 19,290,000円

モータースポーツ 編集

M6 GT3 編集

 
Studie BMW M6 GT3

2016年、グループGT3仕様のM6 GT3は、Z4 GT3の後継機としてデビューした。その年のスパ24時間レースで総合優勝を収めた。日本のSUPER GTにも参戦し、世界中のシリーズで使用された。2022年から後継機、M4 GT3へ移行した。

M6 GTLM 編集

 
M6 GTLM(2017年)

M6 GTLMは、IMSA ウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦の為に製作された、M6のLM-GTE仕様で、Z4 GTEの後継機。2016 年にデビューし、チーム RLLによってエントリーされ、2017年シーズンに4度のクラス優勝をした。2018年に後継機、M8 GTEへ移行した。

4代目(2017年 - )G32 編集

BMW・6シリーズ
(G32)
 
グランツーリスモ(G32)
 
グランツーリスモ(G32)
概要
販売期間 2017年 -
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 5ドアファストバックセダン
駆動方式 FR,4WD
パワートレイン
エンジン B48型 2.0L 直4ガソリンターボ
B47型 2.0L 直4ディーゼルターボ
B58型 3.0L 直6ガソリンターボ
B57型 3.0L 直6ディーゼルターボ
変速機 8速AT
車両寸法
ホイールベース 3,070mm
全長 5,091mm
全幅 1,902mm
全高 1,538mm
車両重量 1,720 – 1,935kg
系譜
先代 5シリーズグランツーリスモ(F07)
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この代からファストバック5ドアサルーン)のみとなり、先代までの2ドアカブリオレ、2ドアクーペ、4ドアクーペ(グランクーペ)は8シリーズ(G14/G15/G16)に移行した。コードネームはG32

日本での販売 編集

2017年10月23日、5シリーズグランツーリスモ(F07)の後継モデルとして、6シリーズグランツーリスモ(G32)が発売された。

歴代6シリーズのインテリアは、5シリーズの上位モデルに相応しい専用デザインが奢られているが、6シリーズグランツーリスモ(G32)のインテリアは、5シリーズセダン(G30)/ツーリング(G31)と共通デザインが採用された。

グレード 発売 エンジン型式 エンジン 排気量 最高出力 最大トルク 変速機 ハンドル位置 ドア数 駆動方式 価格(M Sport)
640i xDrive グランツーリスモ 2017年10月 B58B30A 直列6気筒DOHCターボ 2,997cc 340PS/5,500rpm 45.9kgm/1,380-5,200rpm 8速AT 5 4WD 10,810,000円
630i グランツーリスモ 2018年8月 B48B20B型 直列4気筒DOHCターボ 1,998cc 258PS/5,000rpm 40.8kgm/1,550-4,400rpm FR 9,010,000円
623d グランツーリスモ 2019年7月 B47D20A型 直列4気筒DOHCディーゼルターボ 1,995cc 190PS/4,000rpm 40.8kgm/1,750-2,500rpm 8,290,000円

関連項目 編集

外部リンク 編集