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試合前編集

ジネディーヌ・ジダンを擁し、決勝で延長ゴールデンゴール方式により劇的な逆転勝利を収めた2000年大会以来4大会ぶり3度目の優勝を狙う開催国フランスと、開催国として出場し準優勝に終わった2004年大会以来2度目となる決勝進出を果たしたポルトガルのマッチアップになった。両者は過去24回対戦したことがあり、通算成績はフランスの18勝1分け5敗である。

決勝までの道のり編集

開催国フランスはグループAで開幕2連勝を飾り、早々と決勝トーナメント進出を決めた。決勝トーナメントはドイツイタリアスペインイングランドといった強豪国がひしめく「死の山」だったが、イングランドがアイスランドに敗れる波乱、イタリア・スペイン・ドイツによる潰しあい[注 1]もあり、強豪国との対戦は準決勝のドイツ戦のみ。その準決勝はエースのアントワーヌ・グリーズマンの2ゴールによって2-0で勝利するなど難なく勝ち進み、満を持して決勝に駒を進めた。

一方のポルトガルはグループステージから苦戦。格下とみられていたアイスランド、オーストリアを相手に引き分けて、負ければグループステージ敗退となる最終節のハンガリー戦で3度リードを許したがエースのクリスティアーノ・ロナウドの2ゴール1アシストの活躍で3度追いつき3-3の引き分け。3分けでグループF3位となり、各組3位チーム同士の比較が3位[注 2]でなんとか決勝トーナメント進出を決めた。さらにラウンド16のクロアチア戦は相手に倍のシュートを打たれるも延長後半14分のリカルド・クアレズマのゴールで勝利。続くポーランド戦はPK戦の末勝利。続く準決勝のウェールズ戦こそ2-0で完勝したものの90分で勝利した試合はこの1試合のみ、6試合およそ600分を戦って相手をリードしていた時間はわずか62分[注 3]という状況で決勝に進出した。

ポルトガル 試合 フランス
対戦相手 結果 グループステージ 対戦相手 結果
  アイスランド 1 - 1 第1節   ルーマニア 2 - 1
  オーストリア 0 - 0 第2節   アルバニア 2 - 0
  ハンガリー 3 - 3 第3節   スイス 0 - 0
グループF 3位
チーム
  ハンガリー 3 1 2 0 6 4 +2 5
  アイスランド 3 1 2 0 4 3 +1 5
  ポルトガル 3 0 3 0 4 4 0 3
  オーストリア 3 0 1 2 1 4 −3 1
順位表
グループA 1位
チーム
  フランス 3 2 1 0 4 1 +3 7
  スイス 3 1 2 0 2 1 +1 5
  アルバニア 3 1 0 2 1 3 -2 3
  ルーマニア 3 0 1 2 2 4 -2 1
対戦相手 結果 決勝トーナメント 対戦相手 結果
  クロアチア 1 - 0 (延長) ラウンド16   アイルランド 2 - 1
  ポーランド 1 - 1 (延長) (5–3 PK) 準々決勝   アイスランド 5 - 2
  ウェールズ 2 - 0 準決勝   ドイツ 2 - 0

試合編集

詳細編集

 
 
 
 
 
 
 
 
 
ポルトガル
 
 
 
 
 
 
 
 
 
フランス
GK 1 ルイ・パトリシオ   120+3分
RB 21 セドリック・ソアレス   34分
CB 3 ペペ
CB 4 ジョゼ・フォンテ   119分
LB 5 ラファエル・ゲレイロ   95分
DM 14 ウィリアム・カルヴァーリョ   98分
RW 16 レナト・サンチェス   79分
AM 23 アドリエン・シウバ   66分
LW 10 ジョアン・マリオ   62分
CF 17 ナニ
CF 7 クリスティアーノ・ロナウド     25分
控え
FW 20 リカルド・クアレスマ   25分
MF 8 ジョアン・モウティーニョ   66分
FW 9 エデル   79分
監督:
フェルナンド・サントス
 
GK 1 ウーゴ・ロリス  
RB 19 バカリ・サニャ
CB 21 ローラン・コシールニー   107分
CB 22 サミュエル・ユムティティ   80分
LB 3 パトリス・エヴラ
RM 18 ムサ・シソコ   110分
CM 15 ポール・ポグバ   115分
CM 14 ブレーズ・マテュイディ   97分
LM 8 ディミトリ・パイェ   58分
SS 7 アントワーヌ・グリーズマン
CF 9 オリヴィエ・ジルー   78分
控え
MF 20 キングスレイ・コマン   58分
FW 10 アンドレ=ピエール・ジニャック   78分
FW 11 アントニー・マルシャル   110分
監督:
ディディエ・デシャン

MVP:
  ペペ
副審[1]:
  サイモン・ベック
  ジェイク・コリン
第4審判[1]:
  カッシャイ・ヴィクトル
追加副審[1]:
  アンソニー・テイラー
  アンドレ・マリナー
予備審判[1]:
  リング・ジョルジュ

試合展開編集

試合前

フランスは1975年以来ポルトガルとの試合は10連勝中であり、地元開催であること、EUROとW杯の決勝での勝率が75%であること、ポルトガルが未だ国際主要タイトルを獲得したことがないこと、さらに今大会の両者の戦いぶりから、大方の人がフランスの圧倒的有利と予想していた。

前半

ポルトガルは、準決勝を負傷欠場したぺぺ、出場停止だったウィリアム・カルバーリョが復帰。大黒柱のクリスティアーノ・ロナウドらが先発に名を連ねた。一方フランスは準決勝ドイツ戦からメンバー変わらず。ここまで6ゴールのエース、アントワーヌ・グリーズマンらが先発した。

試合は立ち上がりからフランスが積極性を見せて主導権を握り、ポルトガルは防戦一方で前線にボールを与えることができない。ようやく8分、中盤に下りてきたC・ロナウドがこの試合初のボールタッチ。ここにフランスのディミトリ・パイェが寄せに行くと、右足がロナウドの左ヒザに激突。重傷を負ったに見えたロナウドだが一旦ピッチの外で治療を受けると気丈にもすぐ復帰した。10分にはパイェのアーリークロスにグリーズマンが頭で合わせたが、枠の左上へ飛んだボールはGKルイ・パトリシオがファインセーブ。直後のCKでオリヴィエ・ジルーに決定機が訪れるがこれもパトリシオが防いだ。

17分、先ほどは復帰したロナウドだが足を引きずる姿が見られるなど負傷の深刻さが伺え、この時点で痛みに耐えきれずピッチ上に座り込んでしまった。それでも再びピッチの外に出て治療を受け、テーピングを巻いて20分に復帰、EURO決勝にかける想いの強さが垣間見られた。ところが走ることもままならず、25分に交代を指示された。ロナウドは悔しさのあまり号泣しながら、担架で運ばれて退場した。代わりにリカルド・クアレスマが投入された。

34分、エリア内左でパスを受けたムサ・シソコが絶妙なターンから右足シュート。これもパトリシオの好守に阻まれた。対するポルトガルもロナウド抜きで奮闘し、試合は一進一退のまま進み、スコアレスで前半は終了した。

後半

後半もフランスが主導権を握るが、ロナウドの想いを背負うポルトガルが守備で奮戦しゴールを許さない。攻勢に出たいフランスは58分、パイェに代えてキングスレイ・コマンを投入。すると66分、左サイドからコマンのクロスにグリーズマンがゴール前でフリーで合わせたが、惜しくも枠の右に外れた。75分には左サイドで2人かわしたコマンがスルーパスを送り、反応したジルーがエリア内左からシュートを打つがこれもパトリシオがセーブ。78分にはジルーを下げてアンドレ=ピエール・ジニャックが投入された。ポルトガルは直後にレナト・サンチェスを下げてエデルを投入し交代カードを使い切った。すると80分、ポルトガルに決定機。ナニのセンタリングがゴール方面へと逸れ、そのまま枠内へ飛ぶがGKウーゴ・ロリスが片手で弾き、こぼれ球に反応したクアレスマがバイシクルで狙ったが、ロリスの正面に飛んでしまった。84分、フランスはシソコがエリア手前からミドルシュートを放つがこれもパトリシオがファインセーブでゴールを許さない。終了間際の92分、ジニャックがエリア内でボールを受けると、ターンから切り返し一発でぺぺを剥がし、右足でシュート。ついにパトリシオの牙城を破ったかに見えたが、ボールは無情にも左ポストを直撃した。後半はそのまま終了し、延長戦に入る。

延長戦

延長戦前、ポルトガルは治療を終えたロナウドがベンチに戻り、味方を鼓舞する場面が見られた。ロナウドはそのままベンチに座り声援を送る。前半はポルトガルがセットプレーから何度かチャンスを迎えるが決めきれず、スコアレスのまま折り返す。

後半もポルトガルが攻め込む。108分、ゴール前左の絶好の位置でフリーキックを得ると、クアレスマが蹴ると見せかけ横のラファエル・ゲレイロが左足で狙うが、シュートはクロスバーを直撃し先制ならず。すると109分、前線でボールを受けたエデルがローラン・コシエルニーを弾き飛ばすと、エリア手前中央から右足を振り抜く。強烈なショットはロリスを破ってゴール左隅に沈み、ポルトガルがついに先制に成功した。失点を喫したフランスはシソコを下げアントニー・マルシャルを投入し猛攻を仕掛けるも、熱くなったロナウドが足を引きずりながらテクニカルエリアに入ってきて指示を出す[注 4]中、ポルトガル守備陣は集中を切らさず奮闘、10分間を守り抜いて試合が終了。ポルトガルが1-0でフランスを破り、悲願の欧州制覇を達成した[4][5]


脚注編集

  1. ^ ラウンド16でイタリアとスペインが、準々決勝でイタリアとドイツがそれぞれ直接対決。
  2. ^ 上位4チームまでが決勝トーナメントへ進出できる
  3. ^ フランスは6試合およそ540分のうち167分相手をリードしていた
  4. ^ 本来であればルール違反であり、副審が一度注意しに行ったがロナウドは抑えきれずそのままテクニカルエリアに居座った。試合が延長後半の山場だったことと、またとない決勝の舞台で無念の負傷交代となったロナウドの気持ちを審判が慮ったためか、それ以上の注意は与えられなかった

出典編集

  1. ^ a b c d e f クラッテンバーグ氏がEURO決勝の主審に”. UEFA (2016年7月8日). 2016年7月9日閲覧。
  2. ^ a b Full Time Report - Portugal v France (PDF)”. UEFA. Union of European Football Associations (2016年7月10日). 2016年7月11日閲覧。
  3. ^ Tactical Line-ups (PDF)”. UEFA. Union of European Football Associations (2016年7月10日). 2016年7月11日閲覧。
  4. ^ co.,Ltd, FromOne. “ポルトガルが悲願の欧州制覇…C・ロナ負傷交代も延長戦を制して初タイトル” (日本語). サッカーキング. 2019年10月22日閲覧。
  5. ^ 【EURO2016】決勝戦、クリスティアーノ・ロナウドの流した涙は歓喜か無念か(7/10)” (日本語). りくまろぐ. 2019年10月22日閲覧。

外部リンク編集