酒井昭伸
略歴
編集福岡県生まれ[1]。早稲田大学政治経済学部卒業[1]。在学中はワセダミステリクラブに所属[2]。
柴野拓美(小隅黎)に師事し、1980年(昭和55年)に共訳の『大破滅 : アジモフのカタストロフィー全研究』(アイザック・アジモフ著、講談社)で翻訳者デビュー[1]。大手メーカー勤務から地方公務員を経て、1989年(平成元年)から専業翻訳家となったに[3]。
英語のSF小説を多く翻訳している。主な訳書にデイヴィッド・ブリン、ダン・シモンズ、マイケル・クライトンらの作品がある。
評価と影響
編集SF作家の伊藤計劃は自身のデビュー作『虐殺器官』に影響したものを問われ、リーダビリティの点で「一番考慮した作品」として酒井による「ハイペリオン」シリーズ(ダン・シモンズ著)の日本語訳と、南山宏による映画『アビス』のノベライズ(オースン・スコット・カード著)の訳書を挙げている[6]。
著書
編集共著
編集翻訳
編集- 『去りにし日々、今ひとたびの幻』(ボブ・ショウ、蒼馬一彰名義訳、サンリオ〈サンリオSF文庫〉) 1981
- 『ホーム・ワールド』(ハリー・ハリスン、東京創元社〈創元推理文庫〉) 1983
- 『禅銃(ゼンガン)』(バリントン・J・ベイリー、早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉) 1984
- 『SF作法覚え書 : あなたもSF作家になれる』(ベン・ボーヴァ、東京創元社〈Key library〉) 1985
- 『宇宙の暗殺者』(アンドリュー・チャップマン、社会思想社、ファイティング・ファンタジー 12) 1987
- 『電脳(コンピューター)破壊作戦』(ロビン・ウォーターフィールド、社会思想社、ファイティング・ファンタジー 18) 1987
- 『タマスターラー』(タニス・リー、ハヤカワ文庫FT) 1987
- 『アーサー・C・クラークの2019年7月20日 : Life in the 21st century』(アーサー・C・クラーク、旺文社) 1987
- 『バトルランナー : バックマン・ブックス 1』(スティーヴン・キング、扶桑社〈サンケイ文庫 海外ノベルス・シリーズ〉) 1987
- 『降伏の儀式』(ラリー・ニーヴン&ジェリー・パーネル、創元推理文庫) 1988
- 『ハードワイヤード』(ウォルター・ジョン・ウィリアムズ、ハヤカワ文庫SF) 1989
- 『バトルランナー』(スティーヴン・キング、扶桑社〈扶桑社ミステリー文庫〉) 1989
- 『ブラック・レイン』(マイク・コーガン、新潮社〈新潮文庫〉) 1989
- 『ハイテク・トーキング』(ハワード・ラインゴールド, ハワード・リヴァイン、新潮文庫) 1989
- 『ウィーヴワールド』(クライヴ・バーカー、集英社) 1989、のち集英社文庫 1994
- 『必殺の冥路』(ウォルター・ジョン・ウィリアムズ、ハヤカワ文庫SF) 1991
- 『ウォーターワールド』(マックス・A・コリンズ、徳間書店〈徳間文庫〉) 1995
- 『インデペンデンス・デイ』(ディーン・デヴリン&スティーヴン・モルスタッド&ローランド・エメリッヒ、徳間文庫) 1996
- 『神の目の凱歌』(ラリー・ニーヴン&ジェリー・パーネル、創元SF文庫) 1998
- 『虚しき楽園』(カール・ハイアセン、扶桑社) 1998
- 『リンク』(ウォルト・ベッカー、徳間書店) 1999
- 『スター・ウォーズ 崩壊の序曲』(アラン・ディーン・フォスター、ソニーマガジンズ) 2002
- 『アッチェレランド』(チャールズ・ストロス、早川書房) 2009
- 『都市と星』(アーサー・C・クラーク、ハヤカワ文庫SF) 2009
- 『ハンターズ・ラン』(ジョージ・R・R・マーティン, ガードナー・ドゾワ, ダニエル・エイブラハム、ハヤカワ文SF) 2010
- 『奇跡なす者たち』(ジャック・ヴァンス、浅倉久志編、国書刊行会) 2011
- 『量子怪盗』(ハンヌ・ライアニエミ、早川書房〈新☆ハヤカワ・SF・シリーズ〉) 2012、のちハヤカワ文庫 2014
- 『ドリフトグラス』(サミュエル・R・ディレイニー、浅倉久志, 伊藤典夫, 小野田和子, 深町眞理子訳、国書刊行会〈未来の文学〉) 2014
- 『ジーン・ウルフの記念日の本』(ジーン・ウルフ、宮脇孝雄, 柳下毅一郎 訳、国書刊行会〈未来の文学〉) 2015
- 『複成王子』(ハンヌ・ライアニエミ、早川書房、新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 2015
- 『デューン砂の惑星』(フランク・ハーバート、ハヤカワ文庫SF) 2016
- 『宇宙探偵マグナス・リドルフ : ジャック・ヴァンス・トレジャリー』(ジャック・ヴァンス、浅倉久志 共訳、国書刊行会) 2016 - 短編集
- 『書架の探偵』(ジーン・ウルフ、早川書房、新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 2017、のち文庫
- 『三惑星の探求 : 人類補完機構全短篇 3』(コードウェイナー・スミス、伊藤典夫 共訳、ハヤカワ文庫SF) 2017
- 『危険なヴィジョン : 完全版 2』(ハーラン・エリスン 編、浅倉久志 他訳、ハヤカワ文庫SF) 2019
- 『危険なヴィジョン : 完全版 3』(ハーラン・エリスン 編、浅倉久志 他訳、ハヤカワ文庫SF) 2019
- 『ゲーム・オブ・スローンズ : ウェスタロスとその向こうへ : コンプリート・シリーズ公式ブック』(マイルズ・マクナット、酒井訳, 堺三保 監修、早川書房) 2019
- 『宇宙へ』上下(メアリ・ロビネット・コワル、ハヤカワ文庫SF) 2020
- 『2000年代海外SF傑作選』(橋本輝幸 編,Ellen Klages [ほか] [著] 共訳 ハヤカワ文庫 SF) 2020
- 『火星へ』上下(メアリ・ロビネット・コワル、ハヤカワ文庫SF) 2021
- 『デューン砂漠の救世主』上・下(フランク・ハーバート、早川文庫SF) 2023
アイザック・アシモフ
編集- 『大破滅 : アジモフのカタストロフィー全研究』(アイザック・アジモフ、小隅黎共訳、講談社) 1980
- 『アジモフ博士の極大の世界・極小の世界』(アイザック・アジモフ、社会思想社〈現代教養文庫〉) 1982
- 『アジモフ博士の輝け太陽』(アイザック・アジモフ、社会思想社〈現代教養文庫〉) 1983
- 『アジモフ博士の宇宙の誕生』(アイザック・アジモフ、社会思想社〈現代教養文庫〉) 1985
- 『アジモフ博士の地球の誕生』(アイザック・アジモフ、社会思想社〈現代教養文庫〉) 1985
- 『アジモフ博士のハレー彗星ガイド : 太陽系の長距離ランナー』(アイザック・アジモフ、社会思想社〈現代教養文庫〉) 1985
- 『次元がいっぱい』(アイザック・アシモフ、早川書房〈ハヤカワ文庫NF〉) 1985
「デュマレスト・サーガ」シリーズ
編集- 『迷宮惑星トイ』(E・C・タブ、創元推理文庫、デュマレスト・サーガ 3) 1982、のち復刊(創元SF文庫) 2006
- 『科学惑星テクノス』(E・C・タブ、創元推理文庫、デュマレスト・サーガ 7) 1983
- 『流血惑星チャード』(E・C・タブ、創元推理文庫、デュマレスト・サーガ 11) 1983
チャールズ・シェフィールド
編集- 『プロテウスの啓示』(チャールズ・シェフィールド、ハヤカワ文庫SF) 1984
- 『マッカンドルー航宙記』(チャールズ・シェフィールド、創元推理文庫) 1991
- 『太陽レンズの彼方へ - マッカンドルー航宙記』(チャールズ・シェフィールド、創元SF文庫) 2005
デイヴィッド・ブリン
編集- 「知性化」シリーズ
- 『スタータイド・ライジング』(デイヴィッド・ブリン、ハヤカワ文庫SF) 1985
- 『サンダイバー』(デイヴィッド・ブリン、ハヤカワ文庫SF) 1986
- 『知性化戦争』(デイヴィッド・ブリン、ハヤカワ文庫SF) 1990
- 『変革への序章 : 知性化の嵐 1』(デイヴィッド・ブリン、ハヤカワ文庫SF) 2001
- 『戦乱の大地 : 知性化の嵐 2』(デイヴィッド・ブリン、ハヤカワ文庫SF) 2002
- 『星海の楽園 : 知性化の嵐 3』(デイヴィッド・ブリン、ハヤカワ文庫SF) 2003
- 『ガイア - 母なる地球』(デイヴィッド・ブリン、早川書房) 1992、のちハヤカワ文庫SF 1996
- 『キルン・ピープル』(デイヴィッド・ブリン、ハヤカワ文庫SF) 2007
グレッグ・ベア
編集- 『永劫』(グレッグ・ベア、ハヤカワ文庫SF) 1987
- 『久遠』(グレッグ・ベア、ハヤカワ文庫SF) 1991
- 『女王天使』(グレッグ・ベア、ハヤカワ文庫SF) 1997
- 『鏖戦凍月』(グレッグ・ベア、ハヤカワ文庫SF)小野田和子共訳 2023
ボブ・ラングレー
編集- 『ブリザードの死闘』(ボブ・ラングレー、新潮文庫) 1991
- 『灼熱の死闘』(ボブ・ラングレー、新潮文庫) 1994
- 『衛星軌道の死闘』(ボブ・ラングレー、新潮文庫) 1996
マイケル・クライトン
編集- 『ジュラシック・パーク』(マイケル・クライトン、早川書房) 1991、のちハヤカワ文庫 1993
- 『ライジング・サン』(マイケル・クライトン、早川書房) 1992、のちハヤカワ文庫 1993
- 『ツイスター』(マイケル・クライトン< アン‐マリー・マーティン、ハヤカワ文庫) 1996
- 『ディスクロージャー』(マイケル・クライトン、早川書房) 1993、のちハヤカワ文庫(上・下) 1997
- 『ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-』上・下(マイケル・クライトン、早川書房) 1995、のちハヤカワ文庫 1997
- 『エアフレーム - 機体』上・下(マイケル・クライトン、早川書房) 1997、のちハヤカワ文庫 2000
- 『タイムライン』上・下(マイケル・クライトン、早川書房) 2000、のちハヤカワ文庫 2003
- 『プレイ -獲物-』上・下(マイケル・クライトン、早川書房) 2003、のちハヤカワ文庫 2006
- 『恐怖の存在』上・下(マイケル・クライトン、早川書房) 2005、のちハヤカワ文庫 2007
- 『NEXT』上・下(マイケル・クライトン、早川書房) 2007
- 『パイレーツ -掠奪海域-』(マイケル・クライトン、早川書房) 2009、ハヤカワ文庫 2012
- 『マイクロワールド』上・下(マイケル・クライトン, リチャード・プレストン、早川書房、Hayakawa Novels) 2012、のちハヤカワ文庫 2015
- 『アンドロメダ病原体 -変異-』上・下(マイクル・クライトン, ダニエル・H・ウィルソン、早川書房) 2020
ダン・シモンズ
編集- 「ハイペリオン」四部作
- 『ヘリックスの孤児』(ダン・シモンズ、嶋田洋一共訳、早川書房、ハヤカワ文庫SF) 2009
- 「イリアム」
- 『イリアム』(ダン・シモンズ、早川書房) 2006、のちハヤカワ文庫SF(上・下) 2010
- 『オリュンポス』(ダン・シモンズ、早川書房) 2007、のちハヤカワ文庫SF(上・下) 2010
エリック・ガルシア
編集- 『さらば、愛しき鉤爪』(エリック・ガルシア、ソニーマガジンズ) 2001
- 『鉤爪プレイバック』(エリック・ガルシア、ソニーマガジンズ) 2003
- 『鉤爪の収穫』(エリック・ガルシア、ソニーマガジンズ) 2005
ジョージ・R・R・マーティン
編集- 『タフの方舟 1 : 禍つ星』(ジョージ・R・R・マーティン、ハヤカワ文庫) 2005
- 『タフの方舟 2 : 天の果実』(ジョージ・R・R・マーティン、ハヤカワ文庫) 2005
- 『乱鴉の饗宴』(ジョージ・R・R・マーティン、早川書房、氷と炎の歌4) 2008、のちハヤカワ文庫 2013
- 『星の光、いまは遠く』(ジョージ・R・R・マーティン、ハヤカワ文庫SF) 2011
- 『竜との舞踏』(ジョージ・R・R・マーティン、早川書房、氷と炎の歌5) 2013、のちハヤカワ文庫 2016
- 『七王国の騎士』(ジョージ・R・R・マーティン、早川書房、氷と炎の歌) 2016 - 短編集、のちハヤカワ文庫 2020
- 『炎と血 1-2』ジョージ・R・R・マーティン 、酒井昭伸, 鳴庭真人, 水越真麻, 川野靖子 訳 早川書房 2020 (氷と炎の歌)
- 『ナイトフライヤー』(ジョージ・R・R・マーティン、ハヤカワ文庫 SF) 2019
ジェフ・ヴァンダミア
編集- 『全滅領域』(ジェフ・ヴァンダミア、ハヤカワ文庫NV、サザーン・リーチ1) 2014
- 『監視機構』(ジェフ・ヴァンダミア、ハヤカワ文庫NV、サザーン・リーチ2) 2014
- 『世界受容』(ジェフ・ヴァンダミア、ハヤカワ文庫NV、サザーン・リーチ3) 2015
アンソロジー
編集- 「焔の虎」(タニス・リー)を翻訳
- 『SFの殿堂 遙かなる地平 2』(ロバート・シルヴァーバーグ 編、ハヤカワ文庫SF) 2000
- 「ヘリックスの孤児」(ダン・シモンズ)、「ナイトランド -「冠毛」の一神話」(グレッグ・ベア)を翻訳
- 『ハッカー / 13の事件』(ジャック・ダン, ガードナー・ドゾワ 編、扶桑社) 2000
- 「ドッグファイト」(ウィリアム・ギブスン&マイクル・スワンウィック)を翻訳
脚注
編集- ^ a b c d “会員名簿 酒井昭伸”. 日本推理作家協会ウェブサイト. 一般社団法人日本推理作家協会. 2024年1月23日閲覧。
- ^ “フェニックス総目録4 : フェニックス(PHOENIX)コーナー”. WMC. 2016年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月30日閲覧。 ※『フェニックス』第80号〈私の好きなミステリ&SF12〉(1976年9月)の寄稿者に酒井の名が見える。同誌は1958年創刊、ワセダミステリクラブ(WMC)の機関誌。
- ^ 大森望『新編 SF翻訳講座』河出書房新社〈河出文庫〉、2012年10月、p. 206。
- ^ @sfwjのtweet(2021年4月12日)
- ^ “酒井 昭伸”. 日本SF作家クラブ公式Webサイト. 日本SF作家クラブ (2023年4月17日). 2024年1月23日閲覧。
- ^ “著者インタビュー:伊藤計劃先生”. Anima Solaris. 有限会社エスエフファンタジイコム (2007年11月). 2024年1月23日閲覧。 “この小説とシモンズ《ハイペリオン》シリーズの酒井さんによる訳書は、読む側のことを考えるときに一番考慮した作品です。なぜ日本の作家さんによる直接の日本語作品でないのかは、自分でも分かりませんが、書いている内容([...])に比して異様に読み易い、ということを考えたとき、わたしはまっさきにこの二つの小説を思い浮かべます。”