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さよならの朝に約束の花をかざろう

さよならの朝に約束の花をかざろう』(さよならのあさにやくそくのはなをかざろう)は、P.A.WORKS制作による日本長編アニメーション映画2018年2月24日に公開。監督および脚本は、今作が初監督作品となる脚本家岡田麿里[3]。十代半ばで外見の成長が止まる不老長寿の種族イオルフの少女マキアと、マキアに育てられ成長していく人間の少年エリアルの物語。

さよならの朝に約束の花をかざろう
MAQUIA: When the Promised Flower Blooms[1]
監督 岡田麿里
脚本 岡田麿里
製作 遠藤直子
京谷知美
竹中信広
菊池宣広
出演者 石見舞菜香
入野自由
茅野愛衣
梶裕貴
沢城みゆき
細谷佳正
佐藤利奈
日笠陽子
久野美咲
杉田智和
平田広明
音楽 川井憲次
主題歌 rionos「ウィアートル」
撮影 並木智
編集 高橋歩
制作会社 P.A.WORKS
製作会社 PROJECT MAQUIA
配給 ショウゲート
公開

日本の旗 2018年2月24日
ベトナムの旗 2018年9月7日

中華人民共和国の旗 2019年2月22日
上映時間 115分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 日本の旗 3.5億円[2]
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目次

あらすじ編集

十代なかばの若い姿のまま数百年を生きる不老長寿の一族「イオルフ」は、人里離れた土地で「ヒビオル」とよばれる布を織って静かに暮らしていた。しかし長寿の血を王家に引き入れることを画策するメザーテ国王の命により、軍人イゾルの率いるメザーテ軍が翼をもつ古の巨獣「レナト」に乗って襲来し、イオルフの里は侵略される。その最中、イオルフの少女・マキアは、暴走したレナトによって偶然にも遠くの森へと運ばれ助かる。一方、マキアの親友だったレイリアはイゾルに捕らえられ、メザーテの城に連行された。

仲間も故郷も失い森をさまようマキアは、盗賊に襲われ全滅した流れ者の集落で生き残っていた赤ん坊を見つけ、育てることを決意する。マキアは人里に出て、農場の女主人・ミドの世話になりながら、エリアルと名付けた赤ん坊の男の子を育てていく。しかし数年後、レイリアがメザーテの王子に嫁ぐことを知り、まだ幼いエリアルを連れて都へと向かう。マキアはその道中、イオルフの少年クリムやその仲間の生き残りたちと再会を果たし、彼らのレイリア救出作戦を手伝うことにするが、結婚を祝うパレードから救出されたレイリアは既に王子の子を身籠っており、救出を拒み城へと戻る。

月日が流れエリアルも成長していったが、いつまでも十代半ばくらいの外見のマキアは、一つの町に留まることができず、エリアルとともに町を転々として暮らしていた。ある日、二人は、大人になり軍に入ったミドの息子・ラングと再会し、旧交を温める。しばらくしてラングはマキアに告白するが、マキアはエリアルの母でありたいとそれを断る。しかしエリアルは、実母でもないのに母親としていつも自分のことを考えてくれるマキアとの関係に悩み、守られているだけの自分に葛藤し、マキアのもとを離れてラングの紹介で軍に入隊する。いっぽう城では、王子とレイリアの娘・メドメルにはイオルフの特徴が遺伝していないことが判明する。レイリアの元には王子も来なくなり、メドメルとの面会も禁じられ、ずっと孤独に幽閉されていた。

レイリア救出を諦めないクリムは、マキアを連れてメザーテの敵対国に赴き、それらの国々を煽動して戦争を引き起こし、混乱に乗して再びレイリアを連れだそうとする。しかしまたもレイリアに断られ、レイリアと心中しようとしたところをイゾルに射殺される。エリアルは軍に入ったのち幼馴染のディタと結婚しており、もうすぐ子供も生まれるところだったが、敵国軍が襲来したため迎撃に向かう。クリムとともにメザーテに入ったマキアは偶然ディタと再会し、その出産を助ける。戦いが終わり、目覚めたエリアルのそばにはマキアがおり、ディタに子供が生まれたことを教え、別れを告げる。マキアは城で一頭だけ生き残っていたレナトに乗り、レイリアを救出して飛び立つ。

数十年後、娘や孫と暮らす、老いて余命僅かなエリアルの家に、まったく変わらない姿のマキアが訪れる。眠るエリアルに声をかけ、出会ったとき、まだ赤ん坊だった彼を包んだヒビオルをかける。マキアは泣かないよう我慢していたが、家を出てから耐えきれず涙を流す。

登場人物編集

マキア
声 - 石見舞菜香[4]
本作の主人公。イオルフの少女。おどおどとしている反面、芯の強いところもある性格をしている。物語開始時点で両親はおらず、長老のラシーヌの元で暮らしている。物語開始時点の実年齢は十代半ば(ミドと出会った際に年齢を「15」と答えている)。クリムに片思いをしていたが、クリムとレイリアが夜中に家を抜け出して花畑で会っている姿を目撃して涙を流している。
イゾル率いるメザーテの師団がイオルフの里を襲った際に一人、長老を呼びに探すなかで建物を封鎖しようとする里の者たちによって中に閉じ込められてしまう。そこで偶然にも侵入してきた暴走したレナトに追われ、レナトに絡み付いたヒビオルに無我夢中で掴んだまま里の外まで運ばれてしまい、仲間たちからはぐれてしまう。暗い森の中を彷徨っている際に、山賊によって壊滅した流れ人の旅団の生き残りである人間の赤ん坊と出会い、育てていくことを決意する。
エリアル
声 - 入野自由[4]櫻井優輝(幼少期)[5]
人間の男性。赤ん坊のころに盗賊に襲われ家族を失ったところをマキアに拾われる。それからはマキアとミド一家とともに幼少期を過ごし、成長した。
自身が成長するにつれ、一向に外見の変わらないマキアと自分に血の繋がりがないことをなんとなく理解し、思春期以降は彼女との関係に葛藤を抱えながら成長していく。それでも幼いころにマキアに約束した「マキアを守る」という思いは消えておらず、今のままだと守ることさえできないと偶然にも再会を果たしたラングに頼み込んでメザーテ軍に入れてもらえるように頼み込んでいる。
メザーテの軍隊に入り、それから後にディタと再会し結婚する。
レイリア
声 - 茅野愛衣[4]
イオルフの少女。快活な性格。マキアの友人。クリムと両思い。
メザーテの師団がイオルフの里を襲った際に攫われ、メザーテの王子の妃として娶られ、メドメルを身ごもる。
クリム
声 - 梶裕貴[4]
イオルフの少年。マキアの友人。レイリアと両思い。
メザーテに攫われたレイリアを取り戻すためメザーテと敵対する。
ラシーヌ
声 - 沢城みゆき[4]
イオルフの里の長老。物語開始時点の実年齢は400歳を超える。冒頭のみ登場。
ラング
声 - 細谷佳正[4]
マキアとエリアルを迎え入れた農家の少年。デオルの兄。人間。成長後、メザーテの軍隊に入る。
マキアに思いを寄せる。
デオル
声 - 宍戸准之助[6]
マキアとエリアルを迎え入れた農家の少年。ラングの弟。人間。
ミド
声 - 佐藤利奈[4]
マキアとエリアルを迎え入れた農家の女性。人間。ラングとデオルの母。
親のいなかったマキアに母親というものを教える。
ディタ
声 - 日笠陽子[4]
エリアルの幼馴染の少女。人間。エリアルに思いを寄せる。子供ながらにマキアに嫉妬してしまい、エリアルを傷つけるような態度をとってしまう。
後日謝罪に向かうも既にエリアルとマキアは村を去ってしまっており、謝ることができなかった。
成長後、メザーテの軍隊に入ったエリアルと再会し結婚する。そしてエリオルとの子である女の子を出産する。
メドメル
声 - 久野美咲[4]
メザーテの王子とレイリアの間に生まれた少女。イオルフと人間のハーフだが、金髪、瞳に金色の輪、低体温といったイオルフの性質を受け継がなかった。
このためレイリアは王室から冷遇されることとなり、メドメルも母親であるレイリアと引き離されて育てられる。
城が陥落した際に、レイリアと初めて顔を会わせており侍女に「お母様は綺麗な人」と言っている。
イゾル
声 - 杉田智和[4]
メザーテの軍人。人間。
王国の命令でイオルフの里を襲撃した張本人であるが攫ってきたレイリアに対しては罪悪感を抱いている。
レイリアを救うために城に侵入したクリムたちイオルフを剣で斬って殺害しており、それからというもののレイリアにすべてを奪った存在として接さられてきた。その数年後に殺したと思っていたクリムが再びレイリアの前に現れて、レイリアと心中しようとした際にはクリムに銃撃して致命傷を与えている。
バロウ
声 - 平田広明[4]
イオルフと人間のハーフの男性。実年齢は不詳。イオルフの里を出てヒビオルを売り歩きながら世界を旅している。
マキアがエリアルを拾う際に出会い、マキアに人間の子を育てるということや子供はおもちゃじゃないなど注意をうながしている。メザーテで追われるマキアと再会しており、追っ手をまくために力を貸してくれてる。物語の最後でも登場しており、エリアルの家から帰るマキアを馬車の荷台に乗せて送っていっている。
ラシーヌと「腹違いで、血がつながっているという裏設定」を考えていたと岡田麿里は述べている(本編に反映されているかは不明)[7]

スタッフ編集

主題歌編集

「ウィアートル」[4]
作詞 - riya / 作曲・編曲・歌 - rionos

評価編集

「ぴあ映画初日満足度ランキング」では第2位となった[9]

ひるなかの流星』などで知られる映画監督の新城毅彦は、本作について「様々な愛が沢山詰まった心が温まる、そしてちょっと切ない素敵な映画。画も繊細で凄く綺麗で、自然に心にしみる言葉が沢山あり、愛が人を強くする事、育てる事を教えてくれた」と評価している[10]

また、『君の名は。』などで知られるアニメ映画監督の新海誠は、自身のTwitterで「自分の中のふだん忘れていた記憶を揺さぶられる、素敵な映画だった。初監督としてこれだけの質を突きつけられると、嫉妬もするし焦りもしてしまう」と評価している[10]

アニメ雑誌『アニメディア』2019年2月号には本作のDVDのクロスレビューが掲載された[11]。5名のレビュアーが5点満点中5,4,5,5,5点をつけ、高く評価されている[11]。5点を付けたレビュアーの中で、フリーライターの大仏三郎は物語の内容について「寂しくも心が温まりました。奇跡のように美しい1本」と称賛し、漫画家のぶるマほげろーは2018年のアニメ映画代表作に位置づけ「大人の方が感動できる作品」と指摘した[11]。一方、4点を付けた漫画家のあさりよしとおは物語の終盤については感動的であると述べたものの、「そこに至るまでの主人公が、物語から役割を与えられて動いている」点に引っ掛かったとしている[11]

映画などのレビューサイト「Metacritic」では、8名の批評家が100点満点中平均して72点をつけており、「概ね好評」("Generally favorable reviews") という位置づけになっている[12]。アメリカの映画評論サイト「Rotten Tomatoes」では25名の批評家の意見に基づいて本作を批評家支持率100%の作品に選出しており、平均評価は10点満点中7.7点としている[13]。さらにRotten Tomatoesの批評家らによれば、本作は「作品の持つとても独創的なファンタジー設定が、普遍的な、そして強く心を打つ現実世界の話題に根ざしている」("anchors its colorfully imaginative fantasy setting in universal -- and deeply poignant -- real-world themes") と指摘されている[13]

受賞歴編集

発表年 カテゴリー等 対象 結果 備考
2018 第21回上海国際映画祭[2] 金爵賞 最優秀アニメーション作品賞 さよならの朝に約束の花をかざろう 受賞 [注釈 1]
第22回富川国際ファンタスティック映画祭[14] BIFAN子供審査員賞(Children's Jury Award) さよならの朝に約束の花をかざろう 受賞 [注釈 2]
第51回シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭[15] ファンタスティック・ディスカバリー部門 最優秀長編作品賞 さよならの朝に約束の花をかざろう 受賞

興行成績編集

2018年2月24日に全国76スクリーンで公開され、最初の週末2日間に動員3万1768人、興収4754万円を記録して、週末興行成績で5位となった[16]。公開スクリーン数は93まで拡大される[16]。2018年6月の時点で興行収入3.5億円、動員24.5万人と報じられている[2]

日本国外ではアメリカ・カナダを合わせて204,238ドルの興行収入(2018年9月13日時点)を[17]、全世界では約180万ドルの興行収入をそれぞれ記録している[18]

関連商品編集

映像編集

2018年10月26日に、本作のBlu-ray / DVDがバンダイナムコアーツより発売された。特装限定版には特典映像(約40分のメイキング映像、115分のビデオコンテ)および本編では描かれなかったストーリーを収めた80ページのブックレットなどが付属[2]

コミカライズ編集

2018年4月22日から2019年7月9日までCygamesが運営するWebコミック配信サイト「サイコミ」にて連載された。作画は佐藤ミト[19]

脚注編集

注釈編集

  1. ^ 上海国際映画祭において日本のアニメーション映画が最優秀作品賞を受賞するのは史上初[2]
  2. ^ 子供審査員賞(Children's Jury Award)は、子供による審査員により選考される賞。

出典編集

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  1. ^ “JAPAN BOOTH 2017 in AMERICAN FILM MARKET”. JETRO. https://www.jetro.go.jp/en/events/afm2017/ 2017年11月1日閲覧。 
  2. ^ a b c d e 岡田麿里「さよ朝」上海映画祭でアニメーション最優秀作品賞に輝く、ソフトも発売”. 映画ナタリー. 株式会社ナターシャ (2018年6月25日). 2018年6月25日閲覧。
  3. ^ “『あの花』『ここさけ』の岡田麿里さんが初監督に挑む! 『さよならの朝に約束の花をかざろう』劇場公開決定!”. アニメイトタイムズ (アニメイト). (2017年7月6日). https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1499236829 2017年12月14日閲覧。 
  4. ^ a b c d e f g h i j k l “『さよならの朝に約束の花をかざろう』石見舞菜香さん、入野自由さん、茅野愛衣さん、梶裕貴さんら出演声優が公開! 気になるストーリーなどの最新情報も一挙お届け”. アニメイトタイムズ (アニメイト). (2017年12月14日). https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1513161601 2017年12月14日閲覧。 
  5. ^ 『さよならの朝に約束の花をかざろう』劇場パンフレット. バンダイビジュアル. (2018-02-24). 
  6. ^ 『さよならの朝に約束の花をかざろう』公式設定資料集. 玄光社. (2018-02-24). 
  7. ^ 岡田麿里・堀川憲司(対談)「P.A.WORKSらしい映画ができるまで」『さよならの朝に約束の花をかざろう Special Booklet』p.70(特装版ビデオグラム特典)
  8. ^ 平成29年度文化芸術振興費補助金による助成対象活動の決定について 映画製作への支援(第2回募集分) (pdf)”. 独立行政法人日本芸術文化振興会 (2017年9月27日). 2018年7月28日閲覧。
  9. ^ ぴあ映画初日満足度ランキング発表!第1位は『野球部員、演劇の舞台に立つ!』”. ぴあ (2018年2月26日). 2018年3月17日閲覧。
  10. ^ a b 岡田麿里の監督デビュー作『さよ朝』新海誠、新城毅彦らが絶賛!拡大公開も決定”. 映画ランドNEWS. 2018年3月6日閲覧。
  11. ^ a b c d 『アニメディア』2019年2月号, p. 162.
  12. ^ Maquia: When the Promised Flower Blooms Reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2019年2月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月19日閲覧。
  13. ^ a b Maquia: When the Promised Flower Blooms (2018)”. Rotten Tomatoes. Fandango. 2019年2月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月19日閲覧。
  14. ^ 22nd Bucheon International Fantastic Film Festival(富川国際ファンタスティック映画祭)”. ニュース>映画祭参加・受賞作品. 公益財団法人ユニジャパン (2018年7月24日). 2018年7月28日閲覧。
  15. ^ シッチェス映画祭で「未来のミライ」アニメ部門制覇!作品賞はG・ノエ新作”. 映画.com ニュース. 映画.com (2018年10月15日). 2018年10月15日閲覧。
  16. ^ a b “【週末アニメ映画ランキング】「さよならの朝に約束の花をかざろう」が5位スタート”. アニメハック. (2018年2月27日). http://anime.eiga.com/news/column/eiga_ranking/105917/ 2018年3月10日閲覧。 
  17. ^ Maquia: When the Promised Flower Blooms”. Box Office Mojo. Amazon. 2019年2月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月19日閲覧。
  18. ^ Sayonara no asa ni yakusoku no hana o kazarô (2018)”. THE NUMBERS. Nash Information Services. 2019年2月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月19日閲覧。
  19. ^ “「さよならの朝に約束の花をかざろう」を佐藤ミトが描くマンガ版、サイコミで開幕”. コミックナタリー (ナターシャ). (2018年4月22日). https://natalie.mu/comic/news/279189 2018年4月22日閲覧。 

参考文献編集

雑誌記事編集

  • 「DVD CROSS REVIEW さよならの朝に約束の花をかざろう」『アニメディア』2019年2月号、学研プラス、2019年1月10日、 162頁。 - Kindle Unlimitedにて閲覧。

外部リンク編集