ダイナカール
この記事は「旧馬齢表記」が採用されており、国際的な表記法や2001年以降の日本国内の表記とは異なっています。詳しくはこちらを参照してください。 |
ダイナカールは、日本の競走馬。第44回優駿牝馬の優勝馬である[4]。1982年の最優秀3歳牝馬、1983年の最優秀4歳牝馬[5]。 ※文中の馬齢表記は現在採用されている満年齢ではなく、2000年まで採用されていた数え年での表記とする。
ダイナカール | |
---|---|
品種 | サラブレッド |
性別 | 牝 |
毛色 | 鹿毛[1] |
生誕 | 1980年5月10日[1] |
死没 | 1999年4月15日[2] |
父 | ノーザンテースト[1] |
母 | シャダイフェザー[1] |
母の父 | ガーサント[1] |
生国 | 日本(北海道白老町)[1] |
生産 | 社台ファーム白老[3] |
馬主 | (有)社台レースホース[1] |
調教師 |
野平好男(美浦) 高橋英夫(美浦)[1] |
競走成績 | |
生涯成績 | 18戦5勝[3] |
獲得賞金 | 1億8909万6500円[3] |
戦績編集
1982年にデビュー。岡部幸雄が騎乗し、新馬戦、白菊賞、3歳牝馬ステークス[6]と3連勝し、最優秀3歳牝馬に選出された。1983年初戦のクイーンカップで5着に敗れ、初の敗北を喫する。騎手が東信二に変更となった4歳牝馬特別(西)はダスゲニー2着に敗れ、クラシック初戦の第43回桜花賞では一番人気に支持されたが、同じ社台ファーム生産馬のシャダイソフィアの3着に敗れた。
優駿牝馬では騎手が岡部幸雄に戻る[4]。桜花賞馬シャダイソフィアが東京優駿(日本ダービー)に出走して不在となっていたこのレースでは単枠指定を受けダスゲニーに次ぐ二番人気に支持された。[7]5頭が横一線となり、そのままゴール[4]、長い写真判定の末、勝ったのはダイナカールだった[4]。1着から5着までの着差はハナ・アタマ・ハナ・アタマ[4]。これが馬主としての社台レースホースの八大競走初勝利となった。 秋はエリザベス女王杯は回避し、オープン特別のターコイズステークスを勝利し、有馬記念に出走。岡部がビンゴカンタに騎乗するため安田富男が初騎乗となったが、勝ったリードホーユーから0.3秒差の4着と好走。この年の最優秀4歳牝馬に選出された。
古馬となってからは7戦に出走したが、5歳時のアルゼンチン共和国杯3着、6歳時のアメリカジョッキークラブカップ2着、中山記念3着が目立つ程度で未勝利に終わり、引退した。
競走成績編集
以下の内容は、netkeiba.comの情報に基づく[3][8]。
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離(馬場) | 頭
数 |
枠
番 |
馬
番 |
オッズ
(人気) |
着順 | タイム | 騎手 | 斤量
[kg] |
1着馬(2着馬) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1982.10.17 | 東京 | 3歳新馬 | ダ1200m(良) | 6 | 2 | 2 | 1.9(1人) | 1着 | 1:14.8 | 岡部幸雄 | 53 | (スーパーデュール) | |
11. 6 | 東京 | 白菊賞 | 4下 | 芝1600m(良) | 10 | 5 | 5 | 9.6(4人) | 1着 | 1:37.4 | 岡部幸雄 | 53 | (ノーザンタカイ) |
12.18 | 中山 | 3歳牝馬S | OP | 芝1600m(良) | 10 | 6 | 6 | 6.7(3人) | 1着 | 1:35.4 | 岡部幸雄 | 53 | (サクラオーゴン) |
1983. | 1.30東京 | クイーンC | 芝1600m(良) | 14 | 6 | 10 | 2.4(1人) | 5着 | 1:37.7 | 岡部幸雄 | 53 | ダスゲニー | |
3.20 | 阪神 | 報知杯4歳牝馬特別 | 芝1400m(良) | 16 | 7 | 14 | 8.1(4人) | 2着 | 1:24.1 | 東信二 | 54 | ダスゲニー | |
4.10 | 阪神 | 桜花賞 | 芝1600m(不) | 22 | 4 | 9 | 5.3(1人) | 3着 | 1:40.6 | 東信二 | 55 | シャダイソフィア | |
5.22 | 東京 | 優駿牝馬 | 芝2400m(良) | 28 | 2 | 5 | 4.9(2人) | 1着 | 2:30.9 | 岡部幸雄 | 55 | (タイアオバ) | |
10. 2 | 中山 | セントライト記念 | 芝2200m(良) | 12 | 3 | 3 | 6.2(2人) | 2着 | 2:14.7 | 岡部幸雄 | 54 | メジロハイネ | |
10.30 | 京都 | ローズS | 芝2000m(良) | 14 | 3 | 5 | 2.7(1人) | 3着 | 2:03.7 | 岡部幸雄 | 55 | ロンググレイス | |
12.10 | 中山 | ターコイズS | 芝1800m(良) | 16 | 3 | 5 | 2.7(1人) | 1着 | 1:48.3 | 岡部幸雄 | 56 | (サクラパトラ) | |
12.25 | 中山 | 有馬記念 | 芝2500m(良) | 16 | 3 | 5 | 20.2(9人) | 4着 | 2:34.3 | 安田富男 | 53 | リードホーユー | |
1984. | 2.19東京 | 目黒記念 | 芝2500m(稍) | 10 | 7 | 7 | 3.1(1人) | 4着 | 2:37.5 | 安田富男 | 56 | ダイセキテイ | |
10. 7 | 東京 | 毎日王冠 | 芝1800m(良) | 9 | 6 | 6 | 16.7(6人) | 7着 | 1:48.4 | 岡部幸雄 | 55 | カツラギエース | |
11.18 | 東京 | アルゼンチン共和国杯 | 芝2500m(稍) | 13 | 4 | 4 | 10.8(5人) | 3着 | 2:35.9 | 岡部幸雄 | 56 | メジロシートン | |
12.23 | 中山 | 有馬記念 | 芝2500m(良) | 11 | 8 | 11 | 50.0(9人) | 7着 | 2:33.8 | 安田富男 | 55 | シンボリルドルフ | |
1985. | 1.20中山 | AJCC | 4下 | 芝2200m(良) | 10 | 8 | 9 | 6.4(2人) | 2着 | 2:14.7 | 岡部幸雄 | 55 | サクラガイセン |
2.17 | 東京 | 目黒記念 | 芝2500m(良) | 13 | 7 | 11 | 7.1(2人) | 7着 | 2:35.0 | 岡部幸雄 | 55 | ミスタールマン | |
3.10 | 中山 | 中山記念 | 芝1800m(稍) | 11 | 6 | 7 | 9.9(3人) | 3着 | 1:48.0 | 岡部幸雄 | 55 | トウショウペガサス |
引退後編集
4番仔のエアグルーヴが母子2代となる優駿牝馬を制し、更には天皇賞(秋)も制してトウメイ以来の牝馬による年度代表馬を受賞した[9]。しかし、1999年にトニービンとの種付け中の事故で動脈破裂を起こして死亡した[2]。最後の産駒となったモノポライザーはオープン特別の若駒ステークスとポートアイランドステークスを制している[10]。
9頭の産駒のうち牝馬7頭は全て繁殖入りしている。その娘たちが産んだ孫世代からは、祖母・母共に勝てなかったエリザベス女王杯を連覇したアドマイヤグルーヴや[11]、高松宮記念を制したオレハマッテルゼ[12]、香港のクイーンエリザベス2世カップに優勝したルーラーシップ[13]などの活躍馬が次々と現れている。さらに曾孫世代からも重賞競走優勝馬が輩出されている。
繁殖成績編集
生年 | 馬名 | 性 | 毛色 | 父 | 戦績 | |
---|---|---|---|---|---|---|
初仔 | 1988年[14] | カーリープリンス[14] | 牡[14] | 鹿毛[14] | パドスール[14] | 1勝(引退)[14] |
2番仔 | 1990年[15] | カーリーエンジェル[15] | 牝[15] | 栗毛[15] | ジャッジアンジェルーチ[15] | 0勝(引退・繁殖牝馬)[15] |
3番仔 | 1992年[19] | セシルカット[19] | 牝[19] | 栗毛[19] | サンデーサイレンス[19] | 5勝(引退・繁殖牝馬)[19] |
4番仔 | 1993年[20] | エアグルーヴ[20] | 牝[20] | 鹿毛[20] | トニービン[20] | 9勝(引退・繁殖牝馬)[20] |
5番仔 | 1994年[22] | カーリーパッション[22] | 牝[22] | 栗毛[22] | トニービン[22] | 1勝(引退・繁殖牝馬)[22] |
6番仔 | 1995年[24] | エルフィンフェザー[24] | 牝[24] | 鹿毛[24] | サンデーサイレンス[24] | 3勝(引退・繁殖牝馬)[24] |
7番仔 | 1996年[25] | マリーシャンタル[25] | 牝[25] | 鹿毛[25] | サンデーサイレンス[25] | 4勝(引退・繁殖牝馬)[25] |
8番仔 | 1997年[26] | リングレット[26] | 牝[26] | 黒鹿毛[26] | トニービン[26] | 2勝(引退・繁殖牝馬)[26] |
9番仔 | 1999年[10] | モノポライザー[10] | 牡[10] | 鹿毛[10] | サンデーサイレンス[10] | 5勝、地方9勝(引退)[10] |
主なファミリーライン編集
- 1:「f」は「filly(牝馬)」の略、「c」は「colt(牡馬)」の略。
- 2:括弧内の競走名のうち、太字は国内限定を含むGI級競走。
- ダイナカール 1980 f
- |カーリーエンジェル 1990 f
- ||エガオヲミセテ 1995 f(4勝、阪神牝馬特別、マイラーズカップ優勝)
- ||アドマイヤハッピー 1998 f
- |||ウォータクティクス 2005 c(6勝、アンタレスステークス優勝)
- ||オレハマッテルゼ 2000 c(9勝、高松宮記念など重賞2勝、種牡馬)
- ||フラアンジェリコ 2008 c (6勝、京成杯オータムハンデキャップ優勝)
- |セシルカット 1992 f
- ||セシルブルース 2003 f
- | |アイムユアーズ 2009 f(3勝、フィリーズレビュー、クイーンステークス連覇など重賞4勝)
- |エアグルーヴ 1993 f(9勝、天皇賞(秋)、優駿牝馬など重賞7勝)
- ||アドマイヤグルーヴ 2000 f(8勝、エリザベス女王杯連覇など重賞5勝)
- |||ドゥラメンテ 2012 c(5勝、東京優駿、皐月賞、中山記念優勝、種牡馬)
- ||サムライハート 2002 c(3勝、種牡馬)
- ||ソニックグルーヴ 2003 f
- || スペシャルグルーヴ 2007 f
- || グルーヴィット 2016 c(現役3勝、中京記念優勝)
- ||フォゲッタブル 2006 c(4勝、ステイヤーズステークス、ダイヤモンドステークス優勝)
- ||ルーラーシップ 2007 c(8勝、クイーンエリザベス2世カップなど重賞5勝、種牡馬)
- ||グルヴェイグ 2008 f(5勝、マーメイドステークス優勝)
- |エルフィンフェザー 1995 f
- |エルフィンパーク 2005 f
- |ブレスジャーニー 2014 c (現役3勝、サウジアラビアロイヤルカップ、東京スポーツ杯2歳ステークス優勝)
出典:[27]
血統表編集
ダイナカールの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | ノーザンテースト系(ノーザンダンサー系) |
[§ 2] | ||
父 *ノーザンテースト Northern Taste 1971 栗毛 |
父の父 Northern Dancer1961 鹿毛 |
Nearctic | Nearco | |
Lady Angela | ||||
Natalma | Native Dancer | |||
Almahmoud | ||||
父の母 Lady Victoria1962 黒鹿毛 |
Victoria Park | Chop Chop | ||
Victoriana | ||||
Lady Angela | Hyperion | |||
Sister Sarah | ||||
母 シャダイフェザー 1973 鹿毛 |
*ガーサント Guersant 1949 鹿毛 |
Bubbles | La Farina | |
Spring Cleaning | ||||
Montagnana | Brantome | |||
Mauretania | ||||
母の母 *パロクサイドPeroxide 1959 栗毛 |
Never Say Die | Nasrullah | ||
Singing Grass | ||||
Feather Ball | Big Game | |||
Sweet Cygnet | ||||
母系(F-No.) | パロクサイド系(FN:No.8-f) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Hyperion S4×S5×M5 = 12.50%、Nearco S4×M5 = 9.38%、Lady Angela S3×S4 = 18.75% | [§ 4] | ||
出典 |
- 産駒・子孫については上記繁殖成績やファミリーラインを参照。
- その他の近親には、本馬のいとこにリアルバースデー(東京優駿2着、菊花賞3着他)、姪にフェザーマイハット(テレビ東京3歳牝馬ステークス3着)がいる。
出典・脚注編集
- ^ a b c d e f g h netkeiba参照。2018年1月8日閲覧。
- ^ a b “ニュースぷらざ”. ケイバブック. 2015年6月7日閲覧。
- ^ a b c d JBISサーチ参照。2018年1月8日閲覧。
- ^ a b c d e “最も熱く、激しいオークス - JRAホームページ”. JRA. 2015年6月6日閲覧。
- ^ “社台サラブレッドクラブ”. JRA. 2015年6月7日閲覧。
- ^ 現在は年明けの、現在の馬齢表記でいう3歳牝馬限定戦であるがフェアリーステークスの前身とみることができる競走。
- ^ “【オークス】史上初の母子3代同一G1制覇へ”. スポニチ. 2015年6月6日閲覧。
- ^ “ダイナカールの競走成績 | 競走馬データ” (日本語). netkeiba.com. 2020年8月17日閲覧。
- ^ “21 エアグルーヴ - JRA50周年記念サイト”. JRA. 2015年6月7日閲覧。
- ^ a b c d e f g “モノポライザー|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月7日閲覧。
- ^ a b “アドマイヤグルーヴ|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月6日閲覧。
- ^ a b “オレハマッテルゼ(競走成績:全競走成績)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月6日閲覧。
- ^ a b “ルーラーシップ|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月6日閲覧。
- ^ a b c d e f “カーリープリンス|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月6日閲覧。
- ^ a b c d e f “カーリーエンジェル|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月6日閲覧。
- ^ “オレハマッテルゼ|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月6日閲覧。
- ^ “エガオヲミセテ(競走成績:全競走成績)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月6日閲覧。
- ^ “エガオヲミセテ|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月6日閲覧。
- ^ a b c d e f “セシルカット|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月7日閲覧。
- ^ a b c d e f “エアグルーヴ|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月7日閲覧。
- ^ a b “エアグルーヴ(競走成績:全競走成績)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月6日閲覧。
- ^ a b c d e f “カーリーパッション|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月7日閲覧。
- ^ “フラムドパシオン|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月7日閲覧。
- ^ a b c d e f “エルフィンフェザー|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月7日閲覧。
- ^ a b c d e f “マリーシャンタル|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月7日閲覧。
- ^ a b c d e f “リングレット|JBISサーチ(JBIS-Search)”. 日本軽種馬協会. 2015年6月7日閲覧。
- ^ a b c “アドイマイヤグルーヴの血統詳細”. netkeiba.com. 2018年1月8日閲覧。
- ^ a b c “血統情報:5代血統表|ダイナカール|JBISサーチ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2018年1月8日閲覧。
- ^ 『優駿』1992年9月号、日本中央競馬会、19頁
外部リンク編集